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Qfwfqさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 170
性別 男性
年齢 43歳
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21.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
なかなかの力作だった。長回しもそうだが、とにかく窓を使いたいらしく、窓の奥では暴徒が暴れていたり(暴れるから暴徒か・・・)、陰謀が進行していたりと、空間における奥行きのみならず世界観の厚みも効果的に表されていた。ただ、見せすぎである。この監督が好きなタルコフスキーも、とにかく見せるのが好きだ。見せることはそんなに重要か。フレーム内に何でもかんでも入れてしまう姿勢はどうかと思う。確かに冒頭のワンカットにせよ、ラストの銃撃戦にせよ、まあ驚きはするけれども、厳密さに欠けている(プロットを描いた画面に過ぎない)と思った。キーがお腹を出すシーン、マイケル・ケインが最期に妻と話すシーン等の見せ場も同様。しかしこの映画は音が良いと思った。画面の外から聞こえる祈りの声や移民たちが喋る字幕に映らない言葉、ラストの赤ん坊の泣き声なんかも素晴らしい。森の中の風のざわめき、鳥の鳴き声、またこの時代からすれば古い時代の音楽であるロックも。総合的には話の面白さもあり、十分に楽しめた。真っ直ぐな映画だと思う(ジュリアン・ムーアのあっけなさには苦笑だったが)。ところでこの終末観、特に最後で船が出る辺り黒沢清の「回路」が頭をよぎったが、この映画の予算で「回路」を作り直したら、「トゥモローワールド」100本分の価値が・・・なんていっても仕方ないか。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-04 00:21:54)
22.  父親たちの星条旗
「ミスティック・リバー」を観た後の脱力感、とんでもないものを見せられた後の、どこに発散するべきか何と言い表せばいいのか分からない時に感じる無力さへの苛立ちが突き抜けて、ただその映画を「見た」という事実だけが残るという感覚。もしかしたら、見てすらいなかったのかもしれない。「ミリオンダラー・ベイビー」で徹底的に打ちのめされた時に味わった感覚とは何か違う、この何ともいえない感覚を「父親たちの星条旗」は持っているように思う。イーストウッドは多分、まったく新しい視点を発明したんじゃないのか。パンフで蓮實重彦が書いていた、有名性と無名性をめぐる関係の新たな形式、というのもあるだろうが、そんな簡単にすっぽりと収まるだろうか、少なくとも自分には納められない。「父親たちの星条旗」は現代映画への重過ぎる宿題だろう。
[映画館(字幕)] 10点(2006-11-04 22:47:57)(良:1票)
23.  ザ・フォッグ(2005) 《ネタバレ》 
霧と共に幽霊が町へ復讐にやってくる、という設定はなかなか面白い。だが、この幽霊は姿が不透明な割に物理的な力が凄い(霧に包まれた部屋から人が吹っ飛ぶ事が何度かある)し、特殊な殺し方もやってのけるので、別に霧に紛れなくとも十分強く、霧による恐怖演出が余り恐怖として伝わってこない。また、良質であることを第一と考えているのかどうかわからないが、全体的に下手に上手くこなしてるので安心してドキドキできるという感じがどうも嫌。「怖い気分に浸りたい為にホラー映画を見ている私は、本当に怖い気分にはなっていない」、これである。
[映画館(字幕)] 5点(2006-08-22 21:52:08)
24.  マルホランド・ドライブ
この映画に出てくるファミレスとそっくりな場所が東京の登戸周辺にあるらしい。まあ、そんなことはどうでもいい。私はこの映画が大好きである。ただ、大好きといいながら最初は意味がよく分からなかった。前半と後半でナオミ・ワッツが同一人物だとは思わなかった。それでも意味不明では済まない高密度な展開を目の前にして思わず戦慄した。何度か鑑賞の後、ストーリーを理解した時はリンチの虚実感覚に確かに驚いたが、それよりもこの悲しすぎるラブストーリーの濃度がこの映画のキモなのだと確信した。リンチはどう考えてもヒューマニストだ。その意味不明な映像の連続とフリークス達に、まず目がいってしまうが、彼の映画の本質は社会からはみ出てしまった人間たちを「ありのまま」描くことにある。トラウマ体験間違いなしの「イレイザーヘッド」ですらそれが見て取れる。おそらく彼にとって、むき出しの人間をそのまま描くのは顔が赤くなるぐらい恥ずかしい事でもあるんだろう。リンチは社会から見えない異形を映し出す「ラーのかがみ」になる。そして登場人物達に「遠回しの愛情」を注ぐ。それがまた魅力的なのだ。前半の、ありえないぐらいキラキラしていてポジティブ、それでいてエロさを併せ持つベティはまさにハリウッド的異形。発端だけ提供される幾つかのストーリーは次第に消えて一本の筋が見えてくる。それは一本の張り裂けそうな欲求だった。そしてデビッド・リンチの冷徹な視線はそんなベティの妄想を打ち砕く。夢は破れてしまった。映画は一気に破局を迎える。ベティ(ダイアン)とリタ(カミーラ)の蜜月がオーバーラップされ、最後の「シレンシオール」。うーん、切ない!ダイアンの衝動は「ノー、アイ、バンダ!!」のシーンに集約されるのだと思うと泣けてくる。
[映画館(字幕)] 9点(2006-06-14 12:41:44)
25.  ライフ・アクアティック
映画のなかで色んなものがぐるぐる蠢いていて、それをそのまんまの状態でカメラに収めている。節度はないがハッタリが利いている。しかもこの監督独特のユルさが潤滑油みたいになっている。海洋を舞台とする壮大なスケールの内容ながら、「タイタニック」みたいな見世物根性がここには全く無くて、かえってそれらは隠してある。だから思い出すのはタイル張りのサウナルームであったり盗んだエスプレッソマシーンだったり、妙に高性能なレーダーだったり彼らのユニフォームだったりする。細部へのこだわりじゃなくて細部へのいたわりというか、結局それが登場人物のキャラクターにも関連してきて、ビル・マーレイ達にこれ以上ないというほどの魅力的な人物像を与える。ウィレム・デフォーの小物っぷりなんて、もはや泣けるんだこれが。だからはっきり言えばメチャクチャな展開だけど、画面が面白いからストーリーなんてどうでもよくなるし、気がつけばサメへの復讐だって最後まで忘れ去られる。それを破綻ととるか否か。まあ、どっちにしても最後のサメと遭遇するシーンを見てしまえば、些細な事は全て吹っ飛び「ライフ・アクアティック」はどこを切っても映画だとしか言いようがなくなる事間違いなし。
[映画館(字幕)] 9点(2006-06-14 12:41:30)
26.  ラストデイズ(2005) 《ネタバレ》 
「ジェリー」や「エレファント」とまるで突然変異したかのように怪作を世に送っているガス・ヴァン・サントの新作「ラストデイズ」は、やっぱりジェリった(?)映画だった。「砂漠」、「学校」、「森」とガス・ヴァン・サントが向き合ってきた風景の変遷も興味深い。主人公の背中か側面をひたすら追い続ける視点は3作に共通しているが、「ラストデイズ」でのそれは、演じるマイケル・ピットがまるで幽霊のような歩行で、意味不明のつぶやき(これを字幕にする必要はあっただろうか?そこだけが不満)を続けている。意志とか目的みたいなものがなく、ただ歩きそして死んだように洋館にこもる。カート・コバーンの物語はここにはない。マイケル・ピットのアクションは、カート・コバーンの死という特殊性から遠くはなれる。「ラストデイズ」は、伝記映画が陥りがちな「事実関係>映画」の構図から回避し、むしろ映画の中に事実関係を包括してそれを新たなイメージとして表出する。そして終盤マイケル・ピットが曲を演奏するシーンでそれは一気に爆発する。
[映画館(字幕)] 9点(2006-06-14 12:30:30)
27.  ニール・ヤング/グリーンデイル
知る人ぞ知るニール・ヤングが映画を作った!興味本位で鑑賞、そして、最初10分でこの映画は一体・・・?と、困惑させられた。というのも登場人物はなにも喋らない。いや、正確に言うと口パク。どういうことかというと、ニール・ヤングの歌声が全部セリフなのである。映画にするという意図がアルバム製作時からあったのかわからないが、歌詞は台本(?)的だ。映画の内容や状況は、全部「グリーンデイル」というアルバムに沿って進行している。音楽を映像化したのではなく、音楽が映画になったというところか。この映画によって、映画を「観る」ことが当たり前だと思っていた人は衝撃を受けることと思う。この映画は「聴いて」こそ響いてくる。これは単なるアメリカ批判映画では決してない。というかこんな映画みたことない!(追記)時間が経って思い返すとこの映画は思ってた以上にすごい映画なんじゃないかという気がしてきた。そして上映を行った吉祥寺バウスシアターは震源あるいは音源として映画館の常識を覆してくれたとも思う。
[映画館(字幕)] 9点(2006-06-14 12:25:51)
28.  ヒストリー・オブ・バイオレンス
戦慄の映画である。一見、ひねりのない平凡な映画に見えるが、同時にこんな映画は見たことがないかもという不思議な感覚がある。この手の映画はふつう、傾く。暴力を映画で扱いきれず、奇抜な脚本とか編集あるいは特殊な映像表現という、いらん飾りをつけてしまう。そうすることで暴力の危ういバランス感覚がどこかへいってしまう。だがこの映画は暴力をスタイリッシュという文法に乗せないで、極めてシリアスに扱っている。スタイリッシュ暴力はそのほとんどが「痛み」感覚を追求しており、映画でしか味わえない暴力体験を擬似的に与えようとする。しかしヒストリー・オブ・バイオレンスはそんなに甘くない。痛いじゃ済まない。そもそも痛みは猶予でもある。痛がる前にもう死んでるのがこの映画。そして素早いカット割りで無駄のない殺しを実行するヴィゴ・モーテンセンの目にこそ暴力の本質が現れるのである。そしてバイオレンスとくればセックスという安易な発想から逃れた、バイオレンスの地続きとしてのセックスがあの階段でのシーンとなり、観る側の血を凍りつかせる。ラストは、暴力というバランスの危うさに傾き堕ちることを免れたこの映画だからこそ到達できた屈指の名シーンだと思う。この映画を見てしまうと、あれほど面白いと思った「オールドボーイ」や「ファイトクラブ」が単なる曲芸のように見えてしまうのだから恐ろしい。
[映画館(字幕)] 9点(2006-06-14 12:25:19)(良:1票)
29.  ドミノ(2005)
途中で一瞬「ミリオンダラー・ホテル」のホテルが出たような気がするけど、気のせいか?ドミノは「一瞬」と「気のせい」のマシンガンである。「マイネームイズ、ドミノ・ハーヴェイ。アイアム ア バウンティハンター。」っていうセリフから映画が終わるまでトニー氏は、流行というにはちょっと旬の過ぎた感のある映像効果を超速で、顔どアップの切り返し連続で、しかもカメラをぐりぐり動かしながら、2時間チョイの時間飽きることなく(途中飽きるんじゃないかと思ったが、やりのけた)描く。早送り巻き戻しスローストップ3倍標準。再生モードの無いビデオデッキみたいなものだ。テレビ番組の速すぎるスタッフロールで「そーたに」しか確認できないかのようだ。でも、キーラ・ナイトレーが指輪を人差し指と薬指でいじる姿、ルーシー・リューが神経質そうに削った鉛筆をグラスにガンガン叩く姿、最後に登場する本人さんの不思議な表情、なーんか心に残る。激しい視覚効果の中でも被写体を的確に捉えているということなのか(【まぶぜたろう】さんがすでにおっしゃってますね。)実際、それぐらいにキャラクターが豊かだったように思う。銃撃戦も最高だった。エレベーターのドアが閉まる時の演出とか、ミッキー・ロークに「今日は死ぬには最高の日だ!」とか言わせるのもクサいとは思いつつ、大学のサークルで女子大生をぶん殴った後のキーラ・ナイトレーよろしく、拳を振り上げたくなるのである。
[映画館(字幕)] 8点(2006-06-02 21:10:25)(笑:1票) (良:2票)
30.  キング・オブ・コメディ(1982)
BSでたまに放送しているハリウッドスターのインタビュー番組で偶然にスコセッシが出演していて、「太陽は好きですか?」と聞かれて「大嫌いだ」と言い、「じゃあ南の島なんかも?」と続くと「気が狂ってしまうよ!」(ヤヤ誇張アリ)。これ聞いてスコセッシが好きになった。しかもこの時スコセッシはスゲーいい顔してた。非生産的な人間は手加減を知らない。ちょっとでも方向を間違ったらヤバイ。このエネルギーがスコセッシ映画では美学になる。抑えの利かない屈折したエネルギーが「タクシードライバー」のトラヴィスを創り出し、「一夜の王」ことパプキンを創り出した。どっちも根底には同じ人間性を抱えてるが、パプキンの狂気はより複雑に表現されている。それは笑いと狂気と恐怖が「一緒くた」にされている感じに近い。いや、この3つはある条件では同義ともいえる。戦争映画はこの条件に一番あてはまるだろう。例は挙げるまでもない。ホラーは笑いという意味ではちょっと薄いがあてはまるものはたくさんある。で、スコセッシはコメディの中にこの3つをあてはめた。結果的に芸能界というヤクザな世界とスコセッシの負の力は怖いぐらいに調和し、デニーロはやっぱり天才だった。それにしても、オスカーに焦がれたスコセッシが大作ばかり作るのも、この「キング・オブ・コメディ」の延長線上にある事なのかもしれない。
[DVD(字幕)] 8点(2006-06-02 20:55:36)
31.  麦秋(むぎのあき) 《ネタバレ》 
超傑作。貧しい人々が集い、共同体となって農場を経営するという社会主義的な側面をもつこの映画は、大手スタジオが金を出し渋ったため結局自宅を抵当に入れて独力で作っただけでなく、発表後もその危険(?)な思想により批判を受けたらしい。この映画のどこが危険なのか、さっぱり分からないが、この映画が煙たがられるような時代は確かにあったんだろう。アメリカという国家が自由だと思ったことはないが、この偉大なアメリカ映画は限りなく自由である。ラストで、荒れた大地にぶっつかるように流れる怒涛の水があなた、ほんとに凄いんですから。まさに人間賛歌、大地讚頌。ぜひいつかスクリーンで観てみたい。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-05-30 20:51:00)
32.  ミュンヘン
実に暗くて冷たくて重たい映画だった。9.11が世界と映画のあいだにもたらしている歪みと、スピルバーグの内なる悪意(というか、なんか黒いもの)の肥大化が、20年以上前に起こったショッキングな事件をさらに不気味なものへとチューニングしてしまったような、そんな感じ。でもだからといって映画がグニャリとしているわけではなくて、映画自体は非常に洗練されているので見ごたえは十分。罪悪感ではない、エネルギーの消費としての殺人の重量みたいなものを感じられる映画だと思う。その最たる場面が、誰の印象にも残るであろうオランダ女の登場する部分。彼女の存在感はそのまま死を喚起させる。確か、彼女がらみで直接ではなくても仲間の3人が死んだはず。それが事実に基づくか基づかないかは置いても、イメージの喚起力が現実を凌駕してしまうような凄みがここにはあった。それにしても「映画のような」という形容詞すらついたあの同時多発テロだが、映画はこのミュンヘンのラストのように再びタワーを甦らせる事だって出来るということを忘れてはいけないと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2006-05-17 12:56:39)
33.  ニュー・ワールド 《ネタバレ》 
この映画の凄い所は、新世界側の人間が旧世界を新世界として認識するドラマを前半のコリン・ファレルが新世界に触れる部分と等しく描いたことにあると思う。片方を描いた映画は沢山あるが、両方の視点をくっつけた映画はそう無いはず。ただでさえ自然光を生かした贅沢な映像や幾層にも積み重なるような編集が縦横無尽に駆け回るのに、加えて後半はポカホンタスがいっぱしのメロドラマばりに真実の愛を追究する展開が待っているのでクラクラしてしまう。この映画は前半よりも後半の方が、面白くそして新しいと思う。全てを理解したポカホンタスが最後に見せるパフォーマンスは必見必見。
[映画館(字幕)] 8点(2006-05-07 00:18:12)
34.  罠(1949)
なるほど、この映画は上映時間と映画内の時間がシンクロしていたのか!全然気がつかなかった・・・ミュージカルの人という印象が強いロバート・ワイズだが、こんな美しいフィルムノワールを作っていたとは。盛りを過ぎた、あと一歩がいつも足りないベテランボクサーとその妻を主軸としたストーリーはもちろん素晴らしいが、リングに集まる脇役達こそがこの映画最大の魅力になっていると思う。気の弱い新聞売りのオッサン、盲目の男、ボクサーに罵声を浴びせるおばあちゃん、八百長を企んだ奴ら、そして主人公のボクサー仲間たち。リング内での彼らの熱気を上手くコントロールするように、妻が歩く夜の街のシーンは何度か出てくるが、やはり屋台で二人分の食事を買うシーンはグッと来る。「ミリオンダラーベイビー」にノックアウトされた後でも、この「罠」を見れば立ち直れる、かも知れない。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-05-02 23:07:20)
35.  キャット・ピープル(1942)
ジャンル映画だけど、この映画は自由、とにかく自由。檻に入れられた黒ヒョウは一見人間の支配下に見えるが、実は彼らこそこの映画の支配者であったように、この映画はジャンルという檻のなかに入っていながら外にいるように自由。プールでの恐ろしいシーンも印象的だし、さらに夫から離婚を告げられたとき無意識にソファを引っ掻いて出来る裂け目が凄い。メスが皮膚をサァァーッと切るときのような、薄い紙で指をスゥゥーッと切ってしまうような、ゾクッとくるあの感じ。超必見。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-24 17:24:16)
36.  暗黒街(1927)
フェザーズの身に付ける羽毛がユラユラと・・・これでもう思考は止まってしまう。サイレント映画はいつも、映画を「理解する」という地点から「感応する」ことへと引き戻してくれる。ラストの10分は、まさに人生そのものが濃縮されていると思った。ジョージ・バンクロフトの不敵な笑み、猫と戯れる姿、そして最後警察に連行される時の清々しい表情。そういえば「近松物語」のラストにおける香川京子の表情も、こんな風に清々しかったのだった。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-16 15:34:41)
37.  荒野のストレンジャー
西部劇異聞みたいな感じの不思議ラストである。西部劇という舞台が持つ場所感覚は魂の彷徨みたいなベクトルをすっぽりと受け入れるようだ。どこまでも広がる荒野は確かに地獄であり(COWBOY FROM HELLって歌もあるし)、この映画では小さな水辺の集落がその地獄の舞台となる。イーストウッドがならず者を撃ち殺しすぐさま女をレイプする野獣のごとき姿を見せるという冒頭からシャレにならない展開。そして村を赤く塗りたくって「地獄」と変えてしまうイメージ感覚もビックリだが、この映画が本当にシャレにならないのは切り返し構図の強烈さである。特に終盤の炎に囲まれた復讐シーンでイーストウッドが鞭を放つ画と叩かれる男の画はこれだけでご飯がすすむ、みたいなよくわからないがそれぐらいの鮮烈な画面であった。近年のイーストウッド作品がもたらす、開き直りともいえるぐらいの恐ろしい歪みがここにあるのかどうかはわからないが、イーストウッドイズムがとってもよく溢れた必見の作品だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-10 20:03:09)
38.  ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
非常に良い映画だった。ていうかジョニー・キャッシュという人もジューン・カーターという人も全く知らず、さらにボブ・ディランにもエルヴィスにもあまり縁がないのだが、全然問題なかった。だって映画自体が素晴らしい。ウェルメイドという枠では収まらない音響の臨場感だったりライブの光景だったり両主演の存在感だったりが心に響く。監獄コンサートのシーンは音だけで泣けてしまうし、ホアキン・フェニックスが会場入りする前のリーズ・ウィザースプーンとの距離感もすごく良い。釣りのシーンも印象深く、この映画のキーポイントとしてうまく機能している。ていうか、単にあの静かな時間の流れがとても好き。そしてなんといってもこの映画はアメリカの物語で、非常に映画映えするのである。
[映画館(字幕)] 8点(2006-04-07 19:24:34)(良:1票)
39.  ヒズ・ガール・フライデー
面白すぎた。男みたいな女ロザリンド・ラッセルとケーリー・グラントの喋りは、もはやこの映画のBGMになっている。ロザリンド・ラッセルが良いです。帽子が素敵。スカートをたくし上げて疾走、しまいには逃げる男にスピアーをかます。この躍動感。躍動感といえば、殺人囚の恋人役が男への自分の愛情を示すために窓から落っこちる、あの落ち方は凄い!「あっ、落ちた!」感が出すぎ!そうかと思えば電話の使い方のように、大量のセリフの裏側でしっかりと綿密な演出が組まれていたりして、面白いだけでは済まされない完成度を持っている。でも、面白すぎて味わう暇がないっ!
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-12-07 01:02:13)(良:1票)
40.  ランド・オブ・プレンティ
グラウンド・ゼロから次第にカメラが上昇し、夜になりかけた空を映し出す。その空は、以前では見ることが出来なかったものだ。それを虚空と名づけるには思いが込められ過ぎている。それでも撮る。正しいとかそういう以前に、このシーンを入れなければならないという義務みたいなものが働いている気がした。だがヴェンダースとアメリカという、多くの人を困惑させ幻滅させたであろう組み合わせがこの映画ではもっと接近し、それゆえに離れてしまったような感じもまた、このラストシーンで抱いた。この感覚は矛盾しているようだが、この映画自体アメリカという矛盾で成り立っている事にも気がつく。イスラエルから母の手紙を持ってアメリカに帰った一人の少女と、その伯父(つまり少女の母の兄)――ベトナム戦争の後遺症を引きずりながら、アメリカの理想へと盲進する――との出会い。対話の不可能性を示しながらも、両者の体験を共有してゆくことで新しい何かが生じる。そしてその何かを、まずはあの空に求めてみる。真摯な姿勢だと思う。だが見終わったときは、それだけか、とも思った。そもそも短期間で、しかもビデオで撮るという機動性は、正面から取り組みすぎたこの作品のテーマとは相反しているような気がする。だからといって、しっかりと腰をすえて撮ったところで何がしかの獲得があるかどうかは、わからない。だが、ドイツ生まれのヴェンダースがこのテーマを撮ったのにアメリカの映画監督はまだほとんど、この映画のラストシーンに正面からぶつかっていないようだ。ランド・オブ・プレンティのラストは「始まり」でもある。必見。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-05 01:13:40)
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