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1.  スパイダーマン(2002)
最後の墓地でのシーンだけを見たとしたら、誰がこの映画の題名を当てることが出来るでしょう。CGや特撮部分を除いたドラマ部分の作りは、文芸大作を思わせるような絵作り、美男美女のヒーローヒロインが登場しないリアリズム。浅薄で美しくない女と、彼女に振り回される格好悪い主人公を受け入れられない人たちは、あまりのリアリティーに耐えられないのでは?図式的ではあるけれど、ヒーローの苦悩の生々しい描き方も気に入った。サム・ライミは、21世紀にヒーロー映画を作る意味を熟考した上でメガホンを取ったのだろうと、思われる跡がありありと伺える。意欲作として高く評価したい。
8点(2005-02-27 01:41:48)
2.  シュレック2
1は、アンチメルヘン、アンチディズニーのテイストたっぷりで、毒があり、ディズニーの存在を相対化する力のある作品だった。結末もブラックユーモアが効いていて、美男美女がめでたしめでたしに終わる凡百の映画を吹っ飛ばしていた。 だから2にも期待していたんだが・・・。これでもかと映画のパロディーで笑わせてくれたものの、アンチヒーローも妙に優等生になってしまい、続編の限界を感じさせてくれたところが残念。結婚して守りに入ってしまう男じゃ妙に道徳的でおもしろくない。1のブラックな笑いを2では否定しているのはなぜ。明らかにコンセプトが変質してしまっている。予想以上の前作ヒットを受けて、2は、より健康的なドタバタコメディーで笑わせようと、登場人物と同じく守りに入ってしまったのだろう。 大人向きに1を作ったが、思いもかけずファミリーに受けてしまったので、今度は少し教育的に作りました、と言うわけか。
6点(2005-02-27 00:54:57)
3.  ラスト サムライ
屋上屋を架すようですが、私も一言。良くできてるなあ、さすがハリウッド映画。顧客満足度はしっかり満たした作りは、お見事です。日本の歴史的事象を背景としたファンタジーとしておもしろく見られました。日本の役者陣が、絵葉書的ジャパニズムから少しでもリアリズムに(と言っても、自分だって明治に生きてるわけじゃないからリアルがなんだか言えたものではないが)引き戻そうと健闘されていた跡が感じ取れました。けれど、いつもながら国家観、戦争観が、エンターテイメントの衣装を着せられて、スペクタクルにされているのは、個人的に、違和感はぬぐえません。特に今は。虐殺のトラウマから飲んだくれていた「キャプテン」も、結局殺戮に駆り立てられていくわけで、ここではいかなる意味づけもむなしい。実際、この映画の中では見事に破綻しています。戦い終わった惨状を見せつけて、やっぱり非人道的ですって、サイン送れば免罪されるものでも無いと思う。人間って(とあえて大上段に振りかぶりますが)どこまで戦争シーン(もしくは戦争そのもの)が好きなんだろう。
7点(2004-05-16 13:26:34)
4.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 《ネタバレ》 
DVDレンタルで見ました。主人公が犯罪に突き動かされる動機が、すべて自己愛を満たす承認願望にあったという描き方が、ほろ苦く悲しく、人間存在の一つの本質を垣間見させてくれる、秀作だと思う。彼の人生は、自分をほめてくれる人を探す旅だったんだよね。ディカプリオもそれをよくわかって演じていた。カバンいっぱいの札束が舞うシーンが、手に入れても手に入れても本当にほしいものは見つからないといった、空しさを感じさせて良かった。ただの娯楽映画じゃない。   
8点(2004-01-24 17:51:43)
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