1. ロスト・イン・トランスレーション
《ネタバレ》 日常に孤独と虚無を感じている主人公二人が、不思議の国=すべてがナンセンスに見える場所で出会い、不思議の国を彷徨いながらお互いの孤独と虚無を認め合い、抱き合って別れる。おかしくて、切ない。観ている間はたくさん笑い、ラストシーンでは、少しほろ苦いけど心暖まるような気分になり、映画館の外に出たときには、見慣れたいつもの風景が異国に見えた。良い映画だと思います。 7点(2004-05-26 23:55:34) |
2. コールド マウンテン
《ネタバレ》 純愛映画というよりは、女性原理を高らかに謳いあげたお伽噺。森の中の魔法使いのおばあさんも出てくる。そう思って観れば、丁寧に作られているし、絵も音楽も美しい。一編の、少し残酷だけれどもよくできた絵本を読んでもらったときのような、ちょっと幸せな気分になれました。 6点(2004-05-18 22:15:22) |
3. イン・ザ・カット
アメリカの、さらには人間のやさぐれ具合がよく描かれていたと思います。でも、多くの方が書かれているように、下手にサスペンス仕立てなどにしないほうがよかったのではないかなぁ。不協和音で伴奏されたケ・セラ・セラが気持ち悪る良かったり、あの変なねずみみたいなおもちゃが欲しくなったり、という具合に、ディテールは不思議と印象に残りました。 6点(2004-04-26 22:13:29) |
4. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 サディスティックなまでに人間の弱さ、愚かさ、醜さを観るものに突きつける作品。それをミュージカル仕立てで作る、というアイデアは「悪魔的」と言う他はない。そして、歌姫ビョークを得たミュージカルのシーンは、これまでに観たどんなミュージカルよりも圧倒的で印象的だ。そのビョークが演じるセルマが、すべてを引き受けて殉じる、衝撃のラスト。ビョークを使うのなら、別の終わり方にして欲しかった。身体的にも精神的にも後味はものすごく悪い。でも、傑作と言わざるを得ない。 9点(2004-04-17 08:56:54) |
5. 普通の人々
《ネタバレ》 extraordinary な兄と、それに依存して自分のプライドを満たす母の呪縛から、ordinary な父と弟が復権を果たすまでのお話。こうした家族構造自体も ordinary なものでしょう。家族としては崩壊したが、そのメンバーは(たぶん母も含めて)再生へと向かっている。家族の心理的葛藤の演技がとても自然で、お話が基本的には淡々と進むところも好き。個人的には精神分析医の役割が大きすぎるようにも感じたのと、全体的に品が良すぎるのが難点だが、主人公と父に感情移入できれば、救われた気持ちになれる・・・かも。レッドフォードは、依存される側として苦しんでいたのだろうか? 7点(2004-02-24 07:28:17) |