1. スパイダーマン:スパイダーバース
《ネタバレ》 米国製なのに日本人の自分でもギャグが可笑しい!シナリオがすばらしい。キャラがみな魅力的。映像がすごい。海外では並行宇宙がふつうの素材になっているとはいえ、ここまで豪華にまとめあげると、他の映画で並行宇宙ものを作ることは躊躇するだろうな、と思います。センスオブワンダーとはこんな感じだな、と思いました。 [3D(吹替)] 8点(2020-01-03 09:55:48) |
2. スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
《ネタバレ》 まず、娯楽作品としてとても面白かったです。視聴中首をかしげる部分も色々あったように思いますが、たたみかけるハッタリと演出に幻惑されました。 7作目の公開時から「前作の焼き直し・過去の設定にひきずられている」という批評をされているこのディズニー版3部作、完結させるにはこうするしかないという感じでした。ただ、戦争マニア、SFマニア、歴史マニア、フォース哲学マニアなどの人々は全然満足できないだろうな、と思います。これを見た子供たちが「窮地ではタイムリーに友軍が沢山来てくれる」し、「人は時間が全くなくても段取り組んでちゃんと仕事ができる」し、「死傷者が50%超えても勝てばみんなお祭り騒ぎで大笑いする」んだ、と勘違いしないように祈っています。 [映画館(字幕)] 7点(2019-12-23 15:12:16) |
3. アナと雪の女王2
《ネタバレ》 この作品を作り上げるために、また興業のために、ディズニーがどれだけの人員と資金を使ったのかと思うとめまいがします。 制作者は、一度進み始めたら最善を尽くそうと徹底した努力を行ったに違いなく、場面各所での映像や音楽のクオリティには文句はつけられません。 ですが、作品のおおもと、続編を作る根本的な理由において作品自体が持つ切実さを私は感じられませんでした。 ハッキリ言って(エルサの能力の謎を探るような理由で)続編など必要とは思えません。 また、子供向け大人向け両方に受けようとして、どっちつかずになっているように感じられました。 客が飽きないように焦り、せっかちに話を進めているような印象もあり私には向かない作品だったようです。 [映画館(吹替)] 5点(2019-12-14 00:21:06) |
4. マッドマックス 怒りのデス・ロード
《ネタバレ》 マッドマックスシリーズのことは何も知らずに観ました。そして圧倒されました。狂気のビジョンは物凄く、これを数十年間も頭の中に入れていて監督はよく狂わなかったものだと感心します。自動車修理の番組を好んで見るので、リアリティについて言うなら不適なところは色々ありますが、それを視聴中は感じさせない迫力に酔いました。ところどころ黒澤映画の演出を借用しているところがあり、そこも興味深かったです。 [3D(字幕)] 8点(2019-08-23 22:27:02)(良:1票) |
5. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
《ネタバレ》 ないものねだりの感想です。今回、禁教となった日本への潜入を宣教師の視点から描くために、徳川時代の日本がひどく暗鬱に描かれています。公平さに努めながらも、宣教師のフィルターにかけられた日本を、監督も意図しているのでしょう。クリスチャンの監督には地獄ですからね。 ですが、当時の長崎の、迫害と関係ない人々から見ればその地の美しい自然と景観を楽しむことができたはずなのです。それこそ「神に祝福されている」ように。眩しいほどの美しさの中で踏み絵が行われているほうが、イエスへの疑いに苦しむ様子をさらに恐ろしく演出できたかもしれないな、と思いました。 パンフレットによると、監督は「自然をクローズアップで撮りたいと思っていますが、私にはどうしてもできなかった。」と述懐しています。 今作ではBGMはほとんど使われず、虫の声や風雨の音を多用しています。監督はこれを神の声が聞こえない虚無・雑音と捉えたのか?それとも神の声そのものと捉えたのか、知りたくなります。 [映画館(字幕)] 7点(2017-02-14 11:13:06) |
6. わんわん物語(1955)
《ネタバレ》 個人的に低めにしました。 作品はプロの腕の結晶と思います。しかし犬を徹底して擬人化することをおし進めた結果、「人間に飼われる方が幸せ」という結論に疑問を感じてしまうのです。まるで奴隷制度を推奨しているみたい。「宇宙人に飼われるほうが幸せな人間」の物語なんてすっきりしないでしょ? [ビデオ(吹替)] 5点(2014-12-27 20:46:17) |
7. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 音響効果やCGなどは他の方々におまかせして、記したいことだけ少々書きます。 ここで登場するゴジラは、現在の米国の暗喩に見えます。「暴力的で凶暴だけど正しいと思ってやってる俺ヒーローのはずなの。世界で評判悪いしだれもわかってくれないけどさ」 監督が核開発に良心をとがめており、なんとか罪悪感を逃れたいと思っているのを設定で感じました。ゴジラが米軍の空襲と原爆のイメージによって生まれたことを監督はよく知っています。それでも核爆弾に正しい使用法があると信じる作品内の米軍には砂糖のような甘さを感じました。 [映画館(字幕)] 6点(2014-12-23 20:58:50)(良:1票) |
8. オブリビオン(2013)
《ネタバレ》 この作品は近来ない美しさと空間的な解放感を感じさせるものでした。廃墟の地球のビジョンも秀逸で、主人公の単独行に惹かれました。主要登場人物3人の心模様もよくわかり複雑で切ない気持ちがよく伝わります。惜しいのは終盤の展開と敵の説明不足、決着のつけかたです。最近カミカゼ核攻撃が米国ではお気に入りのようですが、安易すぎます。もうひとひねりできれば傑作になったと非常に残念です。 ○主人公のクローンと結ばれるような結末に不服な人も多いようですが、これは手塚治虫のマンガを思い出して好印象でした。○クローンのヴィカはがんばって生きててほしい。あんまり可哀想です。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-12-22 14:48:44) |
9. 6デイズ/7ナイツ
この作品、個人的には好きなんです。旅行気分と南国の自然の美しさを堪能できます。 上映当初はハリソンフォードのハードなアクションが見られると期待した人が多かったので辛口になったんじゃないでしょうか。 1点付け加えると、この物語は1970年代の少女漫画のふんいきがあります。 定期的に観たくなる映画です。もしかすると案外長く残る映画になるかも? [DVD(字幕)] 6点(2014-12-22 00:28:58) |
10. ハメット
《ネタバレ》 この作品は冷静に観られません。最初に観たのは高田馬場の映画館。予備知識をまったく持たずに観たのですが、ハメット扮するフレデリックフォレストのしぐさに魅了されました。たばこの火のつけ方にも美学があり、道端への捨て方にも作法があったのです。もう一度観たくて、レンタルビデオを借りたけど、色の再現性がとても悪くてがっかりした思い出があります。いまじゃDVDで微妙な陰影まで味わえますけど。ハメットは実在した作家で、実際の彼もとても面白い男でした。彼の生涯と生き様を知ったのち、この作品はもっと感慨深くなりました。じっさい小説書いてる作家さんに感想聞きたいものです。音楽は007で有名なジョン・バリーですが、目立たずしっとり演奏してます。オープニングの水面のゆれはいつ観ても美しいです。 [映画館(字幕)] 8点(2011-08-28 22:16:22) |
11. ライトスタッフ
《ネタバレ》 この作品は、ほとんど喜劇です。登場人物個々の立場は同情するけど、世俗の垢にまみれた俗物ばかりに見えます。アメリカ全体がバカやって浮かれてる。彼らはこれと同じのりで北ベトナムを絨毯爆撃してたわけです。ジョンソンを下品な権力亡者に描いてるのは、監督の嫌悪感でしょうか。ただ、対象をつきはなした喜劇ではあっても、愛情をこめてることがわかるので、キューブリックのような冷たさはありません。 この作品で唯一、笑いの対象でない男はただひとり。イェーガーだけです。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-24 22:47:01) |
12. マルタの鷹(1941)
《ネタバレ》 映画公開からすでに70年・・・・ この映画こそリメイクすべき映画です。 映画では削除された、スペードとオショーネシーの会話・ フリッツクラフトの物語。あれがあればこの映画もずいぶん変わったでしょう。 コッポラ監督なら・・・と以前思ったけど。誰かやってくれないかなぁ・・・ スペードは結末で傷ついてるんだけど、ヒーロー然とさせちゃってるこの映画はイマイチです。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-06-27 01:45:07) |
13. ゴッドファーザー PART Ⅲ
《ネタバレ》 前回2作を鑑賞し、しっかりおさらいしてから映画館に入りました。 マイケルの湖畔の屋敷が朽ち果てている場面から始まり、ここでまず感動します。 この映画、コッポラが黒澤監督の「乱」を観た事で生まれた映画と思っています。 黒澤監督は「リア王は英邁な君主だが、もし暴虐な男だったなら・・・」という、 シェークスピアの原作にない要素を「乱」で付け加えました。 コッポラはこれで、「暴虐だった男の善行があだをなす」老いたマイケルを描く気になったのです。その試みは成功していると思います。よい完結編でした。 [映画館(字幕)] 8点(2010-02-06 01:28:59) |
14. ダークナイト(2008)
バットマンの設定が、ここまで暗く・重くなり、しかも全米の観客に 受け入れられたという事実に、隔世の感を感じます。米国も変わりました。 昔、バートン監督がバットマンを映画化したとき、僕はこの作品がピカレスクロマンになるという発想がなく、暗い暗い物語に出会って興奮したのですが、この作品は さらに上を行きました。 貧乏のどん底でどうしようもなくなって犯罪を犯した人もいるでしょう。そんな犯罪者を、ありあまる財産を湯水のように使っていじめまくるバットマン。好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-11 19:40:19)(良:2票) |
15. ラスト サムライ
《ネタバレ》 言うまでもなく、この作品はフィクションです。事実ではありません。 米国の歴史がめんどくさいので、日本の映画監督が架空の人物で米国建国史を描いたら 失笑ものです。 しかし・・・私達が日ごろ読み、感動してる歴史小説は「事実」でしょうか。古来私達が慣れ親しんだ数々の歴史物語も決して「事実」ではない。では、私達は何に感動しているのでしょう。私達は「事実」を自らの脳内で再構成し、そうして醸した幻影に酔っているのです。私達は原料には酔えません。歴史は「平家物語」「太平記」等など、優れた文学作品となることによって我らの血肉となったのです。 その点を理解した上で、この作品を観ると、これは決して悪い酒ではありません。 また、この作品。米国人にとってはセンス・オブ・ワンダーです。近代合理性の非情さに憤り、自滅の美学に感動する自分に気づいたとき、彼らは自分の内にある衝動に驚き愕然とするわけです。 [映画館(字幕)] 7点(2008-12-20 22:18:21) |
16. 2001年宇宙の旅
《ネタバレ》 この映画を観たのは、リバイバルされた高校の頃。上映前もずっと音が鳴り続け、 月地球太陽のあの場面が始まった。 クラークの小説版は、宇宙に対して愛情深いものを感じるけど、キューブリックの 映画は違う。大画面で見る宇宙はそれはそれはおっかないところだった。 TVじゃわからないところ、それはけし粒のように見えるまで遠ざかる宇宙服が、 ものすごく遠くにあることがわかること。くるりとくびすを返して襲いかかるスペースポッドも衝撃。木星軌道上に流れるリゲティ。「人間こんなとこ来ちゃいけないよ」生きて彼岸を覗くタブーを犯したようだった。 ほかにも色々書きたいがくどいのでやめるけど、40年も前に液晶TVを描いてるのは立派だった。 [映画館(字幕)] 10点(2008-12-20 20:53:04) |
17. アイズ ワイド シャット
《ネタバレ》 原作を読んでいないので映画を観たのみの感想です。 キューブリックといったら思い浮かぶのは、上流階級の低俗さ。 お高くとまって、その実自堕落な人々に対し、監督の猛烈な嫌悪を以前は感じたものです。 でも、この作品はちょっと違いました。貸し衣装屋の娘が彼にアドバイスします。 「王様のマントがいいわ」。この言葉、主人公ビルの役割を言い当ててるように思います。彼は優秀な医師で、裕福で、穏健・善良で、若く、魅力あるハンサムな男です。誰も彼も彼に惹かれるんです。彼と相手することを嫌がってる男女がいないことに注目!まさにサラブレッド、王の資格をもつ男なのです。 ここまで裏表なく善良な男を描くのは、監督初めてではないでしょうか。 そんな彼を監督は、どうやって愛情こめてからかってやろうか、可愛い子をいじめたく なるように、撮っていった風に思います。と、いうわけで僕はそのからかいを楽しむ映画のように、単純に捉えているのです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-20 02:18:36) |