2. 処女の泉
《ネタバレ》 こんなにも美しく、そして残酷な映画は観たことがない。 世界広しと言えど、こんな映像はベルイマンにしか撮れない。 それくらい鮮烈な映像だ。 少女の強姦シーン。 これほどまで残酷で鮮烈な強姦描写は観たことがない。 観ていて悪寒がはしった。 動悸がした。 心がざわざわとする程の強烈なシーン。 この強姦シーンを、ここまで際立たせた要因は、少女の美しさに尽きる。 冒頭で、少女が神がかり的な美しさを見せる。 これ以上ない美しさ。 心乱されるほどの、強烈すぎる美しさだ。 この、少女を美しく撮った冒頭部分があったからこそ、後の強姦シーンの痛ましさが際立った。 89分と短い尺ながら、体力を非常に奪われた。 なんていう美しさ、なんという不快な作品だろうか。 この不快感には、どんなスプラッター映画も、どんなホラー映画も、足元にも及ばない。 神秘的な美しさと並存する不快感。 私はイングマール・ベルイマンという監督に畏怖する。 ベルイマンにしか取れない独創性の極めて高いモノクロ映像。 美しい少女と、その少女を極めて神秘的に美しく撮った手腕。 ベルイマンという人が、いかに凄いかを確信できる作品だ。 終わらせ方やラストシーンに疑問は残るものの、並外れた作品であることに疑いの余地はない。 この不快感を基に点数をつけるとすれば、0点のインパクト。 美しさを基に点数をつけるとすれば、10点のインパクト。 あまりに両極端で、点数をつけるのが非常に難しい作品である。 いつかは再見したい作品だが、再見する勇気が湧いてこない。 最後に湧いた「処女の泉」は、私にとってなんの慰めにもならなかったのだ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-02-17 21:04:37)(良:1票) |