1. 愛についてのキンゼイ・レポート
実際のキンゼイのレポートがどんなものか知らないが、この映画を観ていて、どうも「動物としての」人間という面ばかり表現されていたと思った。人間は他の動物より崇高な生物であるなんて考えるバカではないが、犬が犬であるようにタマバチがタマバチであるように「人間という動物としての」人間という認識がなければならない。その一つに愛はあると思う。セックスと愛は科学的には切り離せるがそう簡単なものではない。何も話さない者がふっと背中に手を添えられただけで話し出すのが人間という動物。そうして新しい愛が生まれるというのが問題でなく、それまであった愛が失われるということが問題だ。「傷つけたりしてはいけない」と言っていたが、これはまさしくそれに類するのでは?これを映画にした理由がよくわからない。本でのほうが、いろいろなテーマも深く掘りさげれるし、説明も詳しくできるのでは、と思う。 [DVD(字幕)] 5点(2006-11-19 11:36:46) |
2. 戦場のアリア
本当にこんなことがあったなんて!その当事者たちに拍手を送りたい。ついさっきまで敵対して殺しあっていた各国の兵士たちが言葉を交わし乾杯をした。そんなこと、想像もできない!「敵」という関係は、クリスマス(宗教)と音楽、そのたった二つの共通するものだけで解きほぐせるような、簡単なものだったんだ。兵士たちが本当はどれほど戦いたくないか、それがひしひしと伝わってくる。戦いたいのはトップだけ。実際に戦って被害をこうむるのは国民だ。それはおかしいじゃないか。……と考えるだけだった以前だが、こうまでそれを強調されると、逆も考えたくなる。もし戦争をしなかったなら?この場合だと、戦争の前に同盟を組まなかったら?例えばそれがかなり国際経済的に不利な事態を引き起こし、自国貨幣の国際価値下落、株価暴落、物価高騰、失業者急増、経済政策のため予算は公共事業等へ、教育には手が廻らず不良青年急増、治安悪化、国債発行、財政大赤字、何年この状況は続くのか、という事態。戦争の死傷者が例えばフランスだと616万人だが、今言ったような状況でそれ以上の死傷者がそうでない場合に比べて増えていたとしたら?経済や政治には詳しくないので本当に起きるかどうかは別として、「もし」そうなったとしたら、どちらが正しいといえるのだろうか。僕にはわからない。 [映画館(字幕)] 8点(2006-06-09 17:39:05) |
3. コーラス
《ネタバレ》 モランジュの歌声はゾッとするほど美しいものだったと思う。子供たちのコーラスも良かった。でも、それだけの映画だった。子供たちが更生していった過程もたいして描かれていないし、ドッと感動があるわけでもない。何よりあの教師がいい先生だといわれるのがすごいムカムカした。コルバンは譜面持ちにして、ペピノに歌を教えるって約束したのにずっと助手のまま。モルダンに救いは描かれなかった。これがいい先生なのかと。フランスの教育はそれで納得されてしまうものなのかと。これがフランスで観客動員数を塗り替えた?俺は納得しがたい。 [DVD(字幕)] 4点(2006-02-07 07:16:29)(良:1票) |
4. 8 Mile
それでもファック,フリーワールド!!全部さらけ出す男に、つけいる隙なんて一つだってない!もうこいつら、すげぇカッコいい…。初めてレンタルでも中古でもなくDVDを買った映画。サントラも買った。とにかくカッコよかった!そのひとことに尽きる! [映画館(字幕)] 10点(2005-12-08 19:27:32) |
5. ダンサー・イン・ザ・ダーク
この映画はCMに魅かれて劇場まで見に行った。けど、10分くらい見て、かったるくなって寝ちゃった。なんで画像悪くする必要があるかなとか思いながら。起きたのは初のミュージカル挿入部。あれ?と思ったよ。画像もよくなってるし。もう引き込まれちゃって、そっからは眠気なんておこらんかった。しかし本当のことを言わないセルマにはいらいらさせられたなぁ。何で言わないんだ!でも後で考えたんだけど、それはきっと彼女が、全ての他人の幸福を願っていたからではないかと思う。あのおっさん(名前忘れた)の信頼も壊したくない、息子の目も患わせたくない、自分は構わない、自分は幻想に遊べば幸福。かすれた世界からの開放。死は怖い。怖いけど、ひとの幸福には代えられない。ましてや息子の幸福には。僕は、目が母より大事だとは思わないが、セルマはそんなふうには考えられなかったに違いない。目が見えない厳しさを身をもって知っていたのだから。美しいミュージカルに、セルマの底のない優しさに感動。 10点(2003-06-02 19:29:17) |