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1.  蜘蛛の巣を払う女 《ネタバレ》 
えええ、違和感がありすぎる。リスベット、なんで自分と無関係な男相手に『必殺』みたいなことしてるの? そんなことしてる暇があったら、それこそカミラの言うとおり、救いきれなかった彼女をさっさと助けに行きなよ(子供の頃、DVを受ける母親のために父親を焼き殺そうとしたクソ度胸のエピソードはどこいった!? )。 敵役のセリフに共感し主人公に矛盾を感じた・・・・・・終盤にきたこのねじれ感にはモヤらずにいられない。そもそも、天才肌のリスベットが簡単にアジトを敵に察知されるって、何で? 即行で少年にチェスに負けるし(気づかないし)、敵陣に乗り込んだはいいけれど、スタンガンを振り回すばかりで、作戦BもCも考えてないって・・・・・・(プレイグたちの援護射撃が作戦Bだったにしては、ガスで気を失い、気がつき、拷問を受けるまでの長時間にさっぱり動きがなかった)。それにこれは仕方ないことだけど、この女優さんが大竹しのぶにそっくりだったのも、ちょっと辛かった。  ブルムクヴィストも存在感薄いなあ。3年もリスベットを捜し続けていながら、負傷した彼女をどうしていいかわからず童貞のように躊躇してしまう。人妻と関係を持つほどの男が娘のような若い女にハグもできないなんて、男性としての包容力や経験値を感じられない。リスベットの足を引っ張り、保育士さながら子供だけきっちり保護して、なんとか退場。記事も白紙に戻し、何かと戦い、糾弾することもなくジャーナリストの仕事をせずにさらりと終わる。薄いよ、ミカエル~。  それに核絡みのサスペンスも、いい加減腹が立つ。「核」をちらつかせれば悪事にハクがつくとでも? 2度も核を落とされた側としては、これっぽっちのストーリーごときにやすやすと絡ませないでくれと言いたい。
[DVD(字幕)] 5点(2020-09-13 00:46:15)(良:2票)
2.  アイアン・スカイ
『サウルの息子』を見てまだその深刻な印象が冷めやらない後日、何の先入観もなく本作を見てしまった。うわうわうわ、こっちを先に見て、『サウルの息子』を見た方が、順番としてはまだ割り切れた・・・・・・? とにかく鍵十字が目に入るたびクラクラしてしまって、笑えるどころじゃない。ナチスが笑いのネタとしてふさわしいはずがない、途中で何度も視聴をあきらめかけたけど、ヒロインのレナーテが可愛くて可愛くて、ついに最後までもってかれた。あの天然ぶりは、こっちの女優さんなら綾瀬はるか? ヨーロッパの人たちは、日本人とは違って、悲惨な過去は笑いに変えて乗り越えるという文化があると聞くけど、なるほどこういうことなのか(日本の原発事故を風刺画で茶化した仏メディアにはムカッ腹が立ったけど)。それにしてもドイツが本作の制作国として参加しているって本当に? 日本も長らく自虐趣味が続いていたし、何のかんのといいながら日独って似てるなあ・・・・・・いやいや、この映画の自虐ぶりは相当なもの、ドイツ人のメンタルすごすぎる。 さらに、女性の米大統領がサラ・ペイリンそっくりで、演出家が狙ったとしか思えない。アメリカの映画館はさぞかし大爆笑だったろうな。この映画は、女優さんたちがみな存在感がハンパなく、気が付いたら、ヒロインを初め女性ばかりに目がくぎづけになっていた。
[インターネット(字幕)] 6点(2018-04-28 00:12:38)
3.  列車に乗った男 《ネタバレ》 
それぞれの人間関係や過去は、全て語られるわけではなく、視聴者が想像できるぎりぎりの流れだけを見せてくれる。そのぼかし方が絶妙に上手い。マネスキエがジグゾ―パズルをいじっているシーンがあるが、この映画自体がまさにパズル。映像の端々や台詞で垣間見せてくれるヒントを頼りに人間関係を解けとでも言っているようだ。  たとえば、強盗仲間であっても心を許して抱擁するほどの、実は人一倍人情の深いミランだからこそ、ルイジをかばって撃たれてしまうわけだし、マックスとドライバーのサドゥコは、警察と司法取引でもして仲間を売ったと思われる。初め、マックスは警察の潜入捜査官なのかと思ったが、ミランが彼に「太ったな」と昔馴染みをうかがわせる言葉を出しているから、違うだろう。抜けようとしたミランを無理に引き込もうとしたマックスのタチの悪さは計り知れない。  また、マネスキエもミランも、土曜日にのっぴきならない「用事」があり、この時間制限が、ドラマの明確な設計図でもある。自身の死を賭けたXデーを控えて、2人が次第に互いの人生を「隣りの芝生」視点で眺め始める。彼らの思いが、じわじわと交差していく。その流れが、小憎らしいほど自然で、台詞がまた上手い。ジョークを挟んだり、しないと公言していた質問をするなどして、饒舌と寡黙の単調なリズムが、少しずつナチュラルに変化していく。それは食事風景にも言えることで、最低限の料理と酒しか載っていないだだっ広いテーブルだったのが、ラストデイには、驚くほど小さな食卓となり、その上に果物、水差し、ヤカンとぎっしり物が載った状態となる。初日にはミランが酒を遠慮しており、最終日にはマネスキエが湯?ティー?を断る。しかも、ホスト側ではなく客のミランが最後の食事を用意しているのだから、2人の関係の変化もここまできたかというユニークさがある。こうした細々な仕掛けが台詞・映像を問わず、さりげなく張り巡らされている。何度見ても何かしらの発見がありそうな作品だ。   ラストの一見不可解な映像は、2人の叶わなかった願望をファンタスティックにシミュレーションしたもの、つまり演出家による、視聴者へのサービス映像に見えた。また、ミランが乗ってきた列車は、単なる交通機関である車両に過ぎないが、マネスキエが乗り込んだのは、ユーラシア大陸から直接北米の、例えばワイアット・アープが活躍したトゥームストーンへでも向かう夢の列車だったろう。ただ、ミランがこの街に来なければマネスキエの乗車に繋がらないわけで、タイトルの「列車に乗った男」はやはり両者を指すのだと思う。しかし、2人同時の乗車はありえないので、「男たち」ではなく単数形なのだろう。
[インターネット(字幕)] 10点(2017-06-10 02:14:18)
4.  ゴーストライター
どんよりと重い曇天、陽を受けない冴えない砂浜。別荘の巨大なガラス窓では、そうした2種の灰色が上下でせめぎ合っている。夕方から夜間にかけての映像も多いし、ほとんどBGMがないもの静かな雰囲気、激しく対立する起爆剤があるでもなく俳優たちのセリフもこそこそと低くていまいち覇気がない、なのに、ジャンルはサスペンスであって、印象に残るシーンも数多くあり、数々の映画賞を受賞・ノミネートしている不思議。監督がロマン・ポランスキーと知って納得した。全編を通して漂っている上質な静けさと、それにマッチしたうす寒い島の風景が見ていてとても心地いい。もう一度観るときはストーリーを度外視して、映像美を主に楽しみたい。ただ、エメット宅の訪問のシーンでは、『アイズ・ワイド・シャット』の似たような場面を想い出し、少し迫力不足を感じてしまった。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-01 15:44:46)
5.  ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 《ネタバレ》 
エリカを始めとするミレニアムのスタッフたちのふがいなさに仰天した。ロシアのスパイが絡んだ公安関係のネタを追ってるのに、脅しのメールが数通届くぐらいで動揺するとは、絶句もいいところだ。モンスターペアレンツの「殺してやる」という類のクレームですら対処できないんじゃないかと皮肉りたくなる。ちなみに小説の中の彼らは、命がけでやばい橋も渡るし、敵にひるむことなく問題提起に奮闘している。もし原作者のスティーグ・ラーソンが存命でこのヤワなミレニアムを見たら、どれほどがっかりすることか。 また、サブタイトルの「狂卓の騎士」は「円卓の騎士」をもじっていると言われている。ミカエル1人が勇ましくても仕方がないのだ。原作を読んでいる鑑賞者ならこれでもいいのだが、先入観なしに観る人のためには、やはり映像を主体とする手法で、もっと明確に筋を組み立て直すべきだったと思う。つまりリスベットを救わんとする仲間たちと敵グループの2大勢力をくっきりと浮かび上がらせた上で、ガチンコ勝負をさせるべきだった。本作ではいかにも未整理でばらばら感が否めない。「ミカエル」「リスベット」これらの名のもとに騎士たちが結託を強めてこそ、たとえ2人が離れていても鑑賞者は安定して観ていられたと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2013-03-28 23:37:57)
6.  ミレニアム2 火と戯れる女 《ネタバレ》 
ミレニアム1~3すべての原作を読んだ後鑑賞。あの長い話をどう編集したのか見ものだった。各エピソードの取捨選択に納得できて、「さすが」 という感じ。原作にほれ込んだ人が、映像化を楽しむ目的で見る分には充分楽しめる。なつかない山猫のごときリスベットが、かつての上司ドラガンや、親友のミリアム、恩人のパルムグレンに対して、少々びくつきながら上目づかいに相手の出方を伺っているのが、かわいくてしょうがない。ドラゴン・タトゥーをしょいながら、髪をぴんぴんにひっつめ「近寄るな!」オーラ全開だった彼女が、背中を丸めて「・・・怒ってる?」とニャンコになっているのだから、それだけでもう全部許してあげたくなってしまう(笑)。 蛇足ながら1つ。「火と戯れる女」というタイトルに疑問をもつ人もいるのでは。リスベットが戯れているのは他人のPCの中身なのだから、実は火よりもよっぽど危ないのだが。
[DVD(字幕)] 8点(2013-03-28 23:32:02)
7.  ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
ハリウッド版の後で鑑賞。ハリウッド版のリスベットの方が、動きに無駄がなくてキレがよく、眉がないので表情が読み取れない分、危険度も存在感も上回ってて好きなのだが、ミカエルとリスベットが二手に分かれてする調査内容など、煩雑なストーリーをより良く理解できたのは、こちらの方。またノオミのリスベットは、目が神経質に、細やかに動く。目の動きだけで、的確で合理的な判断や決断をぱぱぱぱっと切り替えているのがわかり、いかにも頭のいい女性なんだろうなぁ、という印象を受ける。ミカエルとの相性もマッチしていて、自然に無理なく鑑賞できた。
[DVD(字幕)] 7点(2013-03-28 11:16:52)
8.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 
悪役が次第に心変わりして人を助ける話に弱い。決して感情を顔に出さないヴィースラー大尉だが、意気消沈しているクリスタを励まし、恋人たちの危機を救い、2人が愛と信頼を回復しているさまを確認して、自分が冒した冒険の成果に酔いしれる。シャンパンのコルクが弾ける音に耳を痛打され、体制批判を繰り返す劇作家たちの言動に、「こらえろ」「みのがしてやる」とぶつぶつつぶやき、彼らの部屋が捜索される際には気をもみながらハラハラする。こんなかわいらしいおじさんが、泣く子も黙るシュタージ関係者とは驚きだ。無表情の彼の心情をどこまで視聴者が汲めるか試すような、決して饒舌ではない脚本の素晴らしさに舌を巻く。また、劇作家が自分の生活を盗み聞きしていた体制をクズと呼びながら、その実行犯に対して謝意を示すという複雑で繊細な心理を、この映画はとてもしなやかに、粋に描いている。人を許すこと、愛に生きること、人のために、自分のために生きることの尊さ等が、『善き人のためのソナタ』というラストの「書名」に収れんされていく…。 (「ソナタ」とはあるが、これは音楽、演劇、小説を問わず、あらゆる芸術の象徴として選ばれた言葉ではないかと思う)
[DVD(字幕)] 10点(2012-03-13 10:34:19)(良:2票)
9.  4分間のピアニスト 《ネタバレ》 
 厳格な老教師と手のつけられない攻撃的な少女のこのコンビは、まるでサリバン先生とヘレン・ケラー。ジェニーが彼女のやせた頬にいきなりキスをするシーンが目にこびりついている。手錠をはめられたまま、腕の中に彼女を入れてダンスするシーンも。  ラストの前衛的なピアノ演奏は、絵画でいうところの抽象画というか、彼女の心象風景をピアノの音に変えたものだと思う。足で器用にスツールを引き寄せながらの演奏はかっこよかった。あの4分間は、ジェニーにとってピアノの腕だけを披露するのではなく、自己証明でもあったはず。メロディに乏しい無機質な、エネルギーのほとばしるあの曲は、私は正直すばらしいと思った。手錠をかけられながら、「どうだ」といわんばかりのジェニーが、悲しくも美しい。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-19 11:25:42)
10.  007/カジノ・ロワイヤル(2006)
ボンドが「Mというのは」と切り出したところ、「それ以上続けたら殺すわよ」と言ったM。ボンドが彼女のプライベートの部屋を出入りし、彼女の叱責を感情的にならずに受け止め(むしろ叱られるのを望んで彼女の元へ戻るような気も)、「この仕事は早死にする」と甘えたことを言ったりし、危機に陥ればコンタクトを取り、「敬愛するM」と呼ぶ。MとはMotherの頭文字の意味もあるかも。それにしても、こんなに母性本能をくすぐられる007も初めて見た。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-12 11:23:26)
11.  オープン・ウォーター2 《ネタバレ》 
 溺れる心配の無い室内で視聴していれば、つっこみどころは満載、彼らのおバカぶりに呆れるほかないが、決して海に入らない女性が船上にいるとわかっているから、4人のうち少なくとも夫は安心して梯子の有無など確認しなかったのだし、前作と違って全員素泳ぎ。体の冷えはすぐにくる。携帯の奪い合いも、彼らがスーツやボンベを背負って浮きやすい状態でいたなら、あんな愚かなパニックは起こさなかったろう。立ち泳ぎで体力の尽きる不安、冷え、船内に乳児、怪我人続出など、経過時間に脅かされれば、視野や思考回路も狭くなる。落ち着いて考えれば安易に見出せる救出法や、体力維持の方法も、助かりたい一心で闇雲にもがけば何も見えなくなってしまう適例だと思う。これを海難事故と限らず、人ごとと思わずに、自分が生死を問われるような立場におかれたとき、どれほど落ち着いて行動できるか、ふだんから考えておくべきだ。  しかしこの海難事故の最大の原因は、「海は危険だ」という認識を持って、航海を終えるまで気を抜かず常に緊張感を保っているべき人間が、ヒロイン以外誰もいなかったことだ。たとえ梯子を下ろしていても、万一にそなえ全員が海に入るべきではない。船上に唯一上がれたのが彼女だったのも、感情的に納得できる。(しかし、乳飲み子を抱えた船上のレクリエーションなど、私なら絶対に避ける!)
[DVD(字幕)] 7点(2008-12-08 09:49:34)(良:1票)
12.  ニコラス・ケイジの ウェザーマン 《ネタバレ》 
主人公は気が小さいために細かいことにこだわりすぎて、かんしゃくもち。しかし彼は自分の家族も父も、つまりメインキャラクターを全員深く愛している。決して自分1人だけでなく「皆で幸せになろう」と必死でもがいている不器用な彼がいじらしい。家族なしで大金を得ても仕方がない、という彼の価値観もほほえましい。実際、人生は予想のつかない天気予報のようなものだ。誤報だろうが当たろうが、結局人間は生きていくしかない。しかし主人公の父親の葬儀のシーンを見ると、少なくとも「人生はクソだ」とは思えない。ほろ苦い、微妙な人生観を皮肉とユーモアでつづった、主旨のぶれないいい映画だったと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2008-07-27 09:23:02)(良:1票)
13.  将軍の娘/エリザベス・キャンベル
トラボルタ演ずる調査官のキャラクターがすばらしい。一見軽そうで、正義感が強く情にも深く情熱的、反骨精神に富みながら任務に忠実でやり手、TPOをわきまえた話し方ができ、ここぞというときは頼もしいファイターになる。別れた恋人に未練たっぷりでも、一人暮らしの冴えなさはみじんも見せない。こんなにバランスのとれたヒーロー像は珍しい。しかも驚くほど自然な演技で、地のようだった。小説ではエリザベスの存在感がとても大きく感じられたが、映画ではなんといってもこの調査官だ。
[DVD(字幕)] 8点(2007-12-12 14:31:52)
14.  パフューム/ある人殺しの物語 《ネタバレ》 
誕生から死まで『オーメン』のダミアンを見るようだった。自ら殺人を犯すまでもなく、主人公に関わる人間は皆ろくな死に方をしない。搾取する側の貪欲な人間として描かれているから、彼らの哀れな末路がいかにもエンターテインメント。また、主人公が職人気質を残酷なまでに貫き、最高傑作を制作後、虚無感に陥り自ら命を絶つさまは、芥川龍之介の『地獄変』と酷似している。けれどもグルヌイユの決定的な個性は、臭覚で得るもの以外は無関心であること。名誉欲、物欲、性欲、人を困らせて快感を得ようとも思わない。ラストでも香水の威力を確かめれば満足で、支配欲はない。これぞ究極の職人気質では。さらに絶世の美女より、匂いの初恋ともいうべきプラム売りの少女の方が、彼にとってはその死が重い。視覚で得る美は臭覚の美より下だからだ。ただ、殺害される前にローラが投げた眼差しの意味は大きい。彼女が見た侵入者の表情は極悪非道には見えず、しかし体は棍棒を振りあげている、そのギャップにぴんと来なかったというところか。グルヌイユのためらいは、無邪気で美しいものを壊す罪悪感を呼び起こしたことから来たものだ。退化した尾の名残として人間に尾骨があるように、無意識に人間らしい躊躇が脳裏をかすめたのだろう。その瞬間の表情を、グルヌイユ本人のではなく、ローラの顔が鏡のように表現しているのだ。媚薬の香水をかぎ、また人々の愛の享楽ぶりを見て、彼自身もプラム売りの少女から癒しを受けたいという気持ちにつながったのかも。グルヌイユの不幸は、欲してやまなかった至高の香水が決して心の渇きを癒すものではないと知ったこと。生甲斐を失った職人ほど哀れな者はいない。
[DVD(字幕)] 10点(2007-10-02 11:00:19)
15.  モンスター(2003) 《ネタバレ》 
自分を愛してくれる人のために、という一心から自己犠牲を払いつつ、善人をも殺さざるを得なかったアイリーンの胸の内には、すさまじい葛藤があったに違いない。極度の不安から短気になり、体を震わせ、体を縮めて泣きじゃくるモンスター。似顔絵を公開されてセルビーを解放する彼女が、たまらなく哀れだけれども立派だった。幼い弟たちを養った経験のある彼女だからこそ、ソウルメイトを手放す勇気が持てたのかもしれない。自己犠牲を払って他を救い、主人公が自滅するストーリーは、昔はドラマやアニメ、映画などいくらでもあったと思うけれども、久々にお目にかかった気がする。目が腫れあがるほど泣きました。
[DVD(字幕)] 10点(2007-07-15 23:01:55)(良:1票)
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