1. ポンペイ
《ネタバレ》 ポンペイと言えば、灰に埋もれたまま遺体だけ朽ちた空洞から再現された、生々しい市民の石膏像。オープニングで出てきたときには、すぐにはそれとは分からなかった。何か舞っているなと思ったら火山灰的なものなんですね。そこから始まって、最後に二人の抱擁がそのまま灰の像になって終わるのは巧いと思った。 また、ヒロインの父親が、「新しい水道を作る」といったのを見て、昔ポンペイに行ったときにガイドが言った「ポンペイの水道管は鉛でできていて、市民は鉛中毒の症状を呈していた」というのを思い出した。その他、灰に埋もれていたために生活の様子や家具調度などかなり保存されていたというから、映像的にもかなり再現されているのかもしれない。その辺を理解・楽しめるだけの知識が自分にないのが残念だ。 復讐譚と恋愛もの、歴史ものに災害ムービー。ちょっと欲を張りすぎた感があって、それぞれ少しずつ物足りない感が無くもないが、火山の火砕流・飛翔溶岩の迫力はそれなりにすごい。そいつが最後に主人公と共に見ている我々を襲うのは怖悲しい。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-13 16:46:45) |
2. 民族の祭典
《ネタバレ》 映画にというより、競技に興奮させられた。記録映画だから当然なのかもしれないけど、やっぱり被写体力が強い。特にスローモーションで活写されるアスリートたちの肉体美には、惚れ惚れする。それと、大昔なのに日本人も活躍してたんだなというのが、以外でもあり誇らしくもあった。 ところで、実況などでやたら「ニグロ」的な言葉が使われているが、昔のことだからしょうがないのかな。その辺も含めて民族の祭典なのかも。 あと、戦争映画やそれに絡んだ映像などでハーケンクロイツ旗を見ても「ナチスなんだな」と思うだけだが、オリンピックの映像でドイツ国旗としてそれを見ると、ちょっと驚きというかドキッとする。なんでだろう? [DVD(字幕)] 7点(2017-08-21 09:48:36) |
3. ブラックブック
《ネタバレ》 ラジオ番組での、田原総一朗のオススメにより鑑賞。 ナチスとレジスタンスの闘いだから、戦争の話に決まっているが、物語の興味は、それよりも人間の暴虐についてなのでは、と思う。 基本的にユダヤ人迫害は暴虐だが、それをいい事に、財産横領のための大量謀殺。無意味な死刑を望まないドイツ将校がいる一方、終戦後にナチス軍の論理によって行われる、銃殺刑。 この辺までは、直接戦争行為の一部といってもいいが、終戦後のナチス協力者たちへの、市民による残虐。丸坊主にされた女の写真は、教科書で見たことがあるが、切られている場面を動く映像で再現されると、ちょっとショッキングだ。囚人を裸にして、汚物を浴びせる連中を見ていると、戦争が人々に与えたストレスと、その反動というのは、尋常じゃないと素直に思える。 正直言うと、レジスタンスの裏切りに関する話は、それほどの興味をそそられない。終盤、何か犯人探しみたいになったあたりで、かなり興味が萎えた。ドイツ将校と主人公の恋愛事情には、もっと興味がなかった。 悪事への制裁とは言いながら、戦争後に一般人を殺してしまった主人公が、その後尼寺にでも入るように、ギブツで暮らす結末は、何故かちょっとショック。結局は、ナチスのためにと言うよりは、富に目の眩んだ犯罪者のために家族を失った事が、彼女のその後の生き方に影響しているのだろうか? 本題とは関係ないが、ヨーロッパでも、進駐軍はイン・ザ・ムードの音楽に乗って、チョコレートばらまいていたんだな。 [DVD(字幕)] 6点(2012-10-29 21:46:49)(良:1票) |
4. ターミネーター3
《ネタバレ》 相手が女になっただけで、基本的には2と同じ。劇場で観た時には、その前と変わらないあたりが、志がとても低い気がして嫌だった。今回は、スカイネットが稼働を始めて、ジョンが指導者にならざるを得なかった事情が描かれる。そしてスカイネットの脅威は、我々の身近なコンピュータネットワークにある、という辺りが今回の肝なんだろうけど、今までさんざん「未来は変えられる」と言い続けてきたのに、結局審判の日が避けられなかったという展開が、何か前二作を否定されたような、志が挫けたような気がして、さらにイヤだ。更に今現在のインターネットこそが、脅威の基盤であるという辺りが、もっとちゃんと描かれていれば、と思う。 ……と、今まで思ってきた。しかし、T4を観てしまっている今、これはこれで、そんなに悪くないのではないか、と思い始めている。 イヤだイヤだと言いながら、やっぱり抵抗軍のリーダー「ジョン・コナー」を望んでいた自分を、後に発見する事になるとは……。 [地上波(吹替)] 4点(2011-09-25 09:47:17) |
5. シャーロック・ホームズ(2009)
《ネタバレ》 数々の謎の解明が、ちょっとショボイというか、ご都合過ぎる。突然燃え上がるトリックは、相手が銃を使うという前提が必要だし、復活のトリックも、誰もが思い浮かぶ様なものだし、死んだように見える薬って、ロミオとジュリエットかよ!あと、人を買収して共犯にしてトリックを仕掛けるって、ミステリのトリックとしては、とても情けないぞ。 VFXによる活劇主体のホームズっていうのは否定しないけど、ホームズのみごとな推理と、それに相応しいトリック(現実的な)、という部分は、シャーロック・ホームズの基本だから、外してほしくない。アクションの強いのと、頭のいいのは相反しないから。それと、こういうモノのお約束なのか、最後に「モリアーティの仕業」的な設定をすることが多いようだけど、それ要らないんじゃないのかなあ。 [ブルーレイ(吹替)] 4点(2011-04-12 20:34:27)(良:2票) |