1. 独裁者と小さな孫
《ネタバレ》 最後の浜辺のシーンで、一人のおばさんが叫んでたことが1番納得でした。酷いことですけど。 逆に「負の連鎖を断ち切るんだ」「踊らせるんだ」と自分の首を差し出した男の気が知れない。主張はしても良いが、自分の命を投げ出す価値が分からない。彼には家族も友もいないのか? 1番いいのは、あの孫を独裁者の目の前で殺し、独裁者にはずっと生き地獄を味わってもらうことでしょう。 こんな意見は褒められないこと分かってますけどね。 もう1つの考えは、独裁者を孫の目の前で最も悲惨な方法で長く苦しませて殺す。そして孫は一生生き地獄か自殺か。万が一、孫が復讐を誓って生きていかないように、長きにわたって孫の精神をくじく。 [DVD(字幕)] 1点(2016-10-15 16:40:56) |
2. ミケランジェロ・プロジェクト
《ネタバレ》 「絵なんて興味ねぇ」という人は少なくないはず。人々の日常に浸透してるのは音楽の方。それと同じように浸透してる絵があるとしたらアニメとか漫画かなという気がする。そういう人たちでも、もし戦争のドサクサの中で、大好きな漫画や映画やアニメの原画やオリジナルフィルムやデジタルデータに至る全てを消滅させようとする事件が起きようとするなら、それを命がけで阻止しようとする人の気持ちは少しは分かるのではないかと思います。どこかちょっとジーン・ケリーぽさを感じた男優さんはサイレントでモノクロの『アーティスト』で主演してた人だと途中で気づきましたが、なかなか存在感ありました。マット・デイモンとケイト・ブランシェットのエピソードが良かったです。「30年後もその芸術を守るために命を掛けた者がいることを覚えている人がいるか?」みたいな問いは、もちろん語り継がなければ消えるものだと思う。だから語り継ぐことは大切だと思うんだけど、最近「ヒトラーは極悪人」&「ユダヤ人は可哀想な被害者」という図式ばかりの刷り込みに疑問を感じていて、この映画にもその図式があることだけはちょっと…という感じでした。映画では「語り継ごう」みたいな表現はどこにもないのだけど、映画を作ったこと自体が語り継ぐ行為なのだし…。で、語り継ぐというのは、とある国では嘘八百の歴史が語り継がれて、そこ国の若者たちはその嘘を刷り込まれてるってことがあったりするわけで…そういうの考えるとねー、この映画も「本当の出来事」をベースにどんな嘘を投げ込んでるのかな? と思ってしまうのでした。 [DVD(吹替)] 6点(2016-04-18 00:18:13) |
3. es[エス](2001)
《ネタバレ》 この映画の存在を知ってから長いことスルーしていました。パッケージやポスターにデカデカと配置された主役の顔が苦手で「この顔と2時間付き合うの、気が向かないなー」というのと、顔ではないもう一つのデザインは、頭を抱え込んで孤独にうずくまる姿のやつで「なんだかウツにさせられそう…」と感じる病的な印象。白ベースを広くあけたデザインは「『SAW』と似たような感じなのかな?」とも感じてしまっていました。あらすじを知っていても、キャッチのビジュアルの印象ってやっぱりバカにできないものですね。直感的な印象が変わってしまう。しかし、ハリウッドのリメイク版を観て、あまりに重々しく陰鬱なだけにしか思ってなかった印象が変わったので「オリジナルを観てみようかな」という気になりました。観てみたら、リメイクの何倍もおもしろくてリアル! 結果リメイク版の出来の悪さに腹を立ててしまうほどでした。僕と同じような理由でこの映画をスルーしてる人がいたら、観てみてほしいと思います。決して主役1人だけがずっと画面を占領するわけではなく、群像劇なのでいろんなキャラの絡み合いを絵的にもストーリー的にも楽しめます。人間心理の闇を描いた作品なので、もちろんスリリングな意味でです。後味スッキリというわけにはいきませんでしたが、僕にとって、強烈に印象に残る忘れられない名作となりました。ポスターやパッケージのデザインもっと工夫されてたら、もっと観る人多いんじゃないかなって、それだけが本当に残念です。ノンフィクションと言えど映画が事実をそのまま描くとは限らないことは承知の上なのですが、他の方々のレビューを拝見して「実験と承知で短期にここまで狂うか? あり得ない」的な意見も結構あるんだなーというのが印象に残りました。「それはそうかもね」と思う反面、海外ではサッカー観戦ごときで暴徒になったり人殺しちゃったりもあるわけで、靴欲しいだけで銃で射ち殺しちゃう人もいるわけで、日本の震災で誰も暴徒になったりコンビニ強盗しないことを驚きの目で見てたりするわけで、日本人の当たり前感覚が、海を越えた国ではそうならないことって、あるんじゃないかなぁ…? [DVD(字幕)] 8点(2016-04-05 18:50:13) |
4. ピエロがお前を嘲笑う
《ネタバレ》 うわ〜、まんまと騙された! ストーリーではなく売り文句に…。僕には『宣伝マンがお前を嘲笑う』て感じでした。見る前から「どんでん返し」だの「驚愕のラスト」だの、ストーリーにすごいヒネリがあるんだよと豪語する類の宣伝はハードル上げてしまって、作品の面白さを台無しにするだけのような気がする。何も知らずに観ていて「えーっ!?」と驚いたあの映画やあの映画も、見る前からそういう宣伝されてたら、面白くなくなってただろうなーと心底思わされました。僕はマジな話、画面に映らないところでザキヤマが「かーらーのぉ〜?」を連呼してる状況を想像してしまう状態で、「感動的な騙しを披露してくれるんだろ? それは、まさかこれじゃないよね?」という期待を繰り返し、結局「それがオチかい!」とガッカリでした。取り調べのおばさんが、もう一枚上手だったとか、とっ捕まったはずのカリスマハッカーが実は…というような展開でもあったら面白く思えたかも。いや、騙し系なら普通そのくらい期待しません? [DVD(字幕)] 4点(2016-04-05 16:31:48) |
5. アンコール!!
《ネタバレ》 良い話で笑えたりところどころ泣けもしたので、鑑賞後の味は良いのですが…付属の予告編を見ると、ベッドの奥さんから「私のために歌って」と頼まれる、本編にはないシーンがありました。あの偏屈爺さんも人前でなければ歌を口ずさむこともあり、妻の為にならその歌声を聞かせることも出来た。妻はきっと歌を歌うときの彼を見るのが好きだったのだと思います。その爺さんが亡くなった妻に(そしてすれ違ってしまった息子に)もう一度人前で歌を歌う。だから映画のタイトルは『アンコール』なのだと思うけれど、妻の生前に彼が歌を聞かせる部分はカットされていて、サークルの先生の質問に答える短い回答でしかそれは分からないのです。クライマックスの爺さんの歌は沁みるので、それ前に彼の本気の歌声を観客には聞かせない作戦だったのかもしれないけれど、爺さんがサークルに足を運ぶ理由が弱くなっていて、サークルの先生が爺さんばかりひいきにする感じ(新入りなのにメインソロです)も不自然なのでした。ベタな話の流れという以前に、おそらく編集段階で切り取られたエピソードに大事な部分があったのでは…と思えて残念さも感じます。 [DVD(字幕)] 6点(2014-02-26 00:58:14)(良:1票) |
6. クラウド アトラス
《ネタバレ》 短く切り取られた断片を紡いでいくうちに、壮大な時空の点と点が次第に結びついて行く構成は、終わって久しい『LOST』を見るような、好奇心くすぐる面白さでした。僕はトム・ハンクスの底の浅い善人役な感じが苦手でしたが、この映画ではそんなふうに感じませんでしたし、卑しい役やワルな役も演じていて「気の抜けたフツー感」を感じずに済みました。ほとんど期待していなかったけれど、終盤は泣けました。顔メイクのバリバリ作り物な感じがなかったら、もっと作品世界に入り込めた気がします。そこだけちょっと残念でした。 [DVD(吹替)] 8点(2013-11-01 23:07:28) |
7. THE WAVE ウェイヴ
《ネタバレ》 完全に実話なわけじゃないようで、実際どう収束したのか知りたくなりました。独裁政治が成立する条件を挙げていくくだりで「高い失業率と社会不満」との言葉が出てきてちょっとヒンヤリした。ただ日本人は今のところさほど不満を感じてなさそうだし、ネット上でプチ団結もどきして憂さ晴らしてそうなので大丈夫かな…? 今の日本は戦争直前の雰囲気に近いと聞きもするけれど…。日本は中高制服当たり前だけど、制服に別に反対する気はないものの黒とか紺とか夜道に見え辛い服でうろつかせるのはいい加減やめて欲しいものだ。ある人があるアニメについて「友情とか仲間とか、そういうのに弱いんです」とか言っていて、僕はそれに内心冷めて返す言葉も見つからなかったことがありますが、友達の数がどうのこうの言ったり、気に入らない奴のことを「きっと友達少ない(いない)」だの書き込んだりする連中て、もしかすると流されやすいのかもね…。仲間だ友だと力入れる人、そういうのは会社組織の派閥でも政治派閥でもヤクザの世界だって似たようなもんで、要はその集団が何を犠牲にして何を得たいのかの物差しの質が問われるんだと思う。映画の元になった事件は実際どんなものだったか知りませんが、危険性や取り返しのつかない生徒の心の傷のことはとりあえず置いておくなら、とても素晴らしい授業と思えます。しっかり抜かりない安全装置を確保できる指導案ができるならば、これほど生きた社会勉強はないと思うほど、教師の授業能力には感心しました。「いい面もあった」という生徒の言葉が妙に心の隅に残ります。思想信条自由すぎてみんなバラバラで不毛な世界も嫌だし、違う価値観を認める余裕を持たないガチガチの世界も怖いし、いろいろ考えさせられます。 [DVD(吹替)] 9点(2013-08-24 23:00:12) |
8. 黄色い星の子供たち
《ネタバレ》 「まさかね…」ということがこれから起こるということを知らない能天気な少年たちの日常から、暗雲がじわじわと覆い尽くして行く描写速度にリアリティを感じました。競技場に集められてもまだそれほど危機感が大きくない感じなど、ゾッとする感じでした。「なんかやばそうだよね」「でもまさかね」と、楽観視したり他人の善意を信じたりポジティブ指向だったりネガティブに捉えることを避けたり…普通はそれでなんとかなって行くものだけど、そういうフィーリングでいちゃいけない場合もあるということを思いました。と言っても、あの状況から騒いでも何も変えようがないのでしょうけど。だからこそ、手遅れになる前に、怪しい世の中の動きには「大人しく」していてはいけないのではないかと思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-07-17 21:59:52) |
9. ソハの地下水道
《ネタバレ》 ヒトラーによるユダヤ人大量虐殺のことは普通に知ってるけれど、当時の細かい社会情勢のことはよく知らない。これまでなんとなく「ヒトラーが大馬鹿で狂っていて、そういう人間を祭り上げてしまったドイツ人も相当オツムが弱く歪んでたのだろう」みたいな感覚があったのだけど、最近なんかモヤモヤ。歴史の真実って、なかなか本当のところは分からないものだと思ってるんですが、ユダヤ人はなぜあんなに嫌われた? 『アウシュビッツ』という別の映画も観て、なんとなくカネの問題、貧富の差のことや、金そのものを商売道具に儲けることなどがジワジワ頭の中を廻るようになった。心の隅にしまっていた不公平感が爆発した? 裕福なユダヤ人は貧しい人々とどのように接していたのだろう? この映画ではその辺りのことがほんの少し垣間見れるようなシーンが幾つかあった。マイケル・サンデル教授が現代社会の貧富の差の激しさに憂いていたけど、『I AM』という映画では自ら作り出した「経済」という怪物に振り回されて生きる人間が自然の営みから外れてしまった危機を描いている。ホロコーストは過去のことのように感じるけれど、似たようなことが繰り返されるようなヤバさが現代にもあるんじゃ…? 単純に道徳側面だけでなく金の話しが出てくるこの映画は、そういうことを僕に思わせた。ラストの方で主人公が何度か言う「俺のユダヤ人だ」って、どういう感覚の物言いなんだろう? [DVD(字幕)] 6点(2013-07-17 10:46:56) |
10. レボリューション6
《ネタバレ》 オープニングが煩く感じて、しばらくは物語に入っていけませんでしたが、大人しくなった4人の登場から面白くなってきました。ベルリンの壁崩壊前後から現在までの社会情勢を詳しく知らないので、6人のバックグラウンドはよくよくは理解できていません。何なんだろう…ドイッチャでは身障者をお縄にしちゃマズイの? ホッテが失った足に絡んだ記憶で激情するシーンが印象に残りました。みんな抑圧と激変の中を通り過ぎてきたんだろうなと、知らないながらに思いました。もっとパンクでハチャメチャなイメージの映画かと思っていたので、思ったよりまともで好感持ちました。引退を強要された警察のハゲおっちゃんは、もっとそこに至る理不尽を丁寧に描いて欲しかったなぁ。最後の方で突然にそういうことになり、突然に6人をかばうので簡単過ぎです。全て見終わったあとに、もう一度オープニング見たら笑えました。あのオープニングは一部エンディングに回した方が効果あると思いました。 [DVD(吹替)] 6点(2013-06-22 21:58:53) |
11. アイアン・スカイ
《ネタバレ》 最後の最後のセリフだけとっても気に入りました。あのセリフで締めたことで、この作品の質がちょっといいものに思えました。インドの平和の印や北朝鮮の主張は可笑しかったです。エンドロールの地球やラストもまぁまぁ好きでした。音楽も結構気になりました。けど、もっと笑えてもっと風刺が効いているものが観たかったです。いろんな国を敵にまわしてもなんですし、むずかしいのかなぁ… [DVD(字幕)] 4点(2013-06-04 18:31:04) |
12. クラッシュ(2004)
《ネタバレ》 一度見ていたのに、覚えてなくて二度レンタルしてしまった。なんか話が作られすぎであり得ない。どんだけ狭い世間で生きている人々なのか…。あまりにも無関係の人々がみんなどこかで関係しすぎ。舞台はどんな田舎だよっ‼ [DVD(吹替)] 4点(2012-11-14 18:36:47) |
13. おとなのけんか
《ネタバレ》 ヒッチコックの『ロープ』みたいに、ほとんど一部屋の中で4人の人物が物語を進行していきます。両親vs両親 という対峙関係のはずが、奥様~ずvs旦那さんず の対峙関係を見せたりして、予想以上に楽しめました。ジョディー・フォスターとケイト・ウィンスレットが酔って本性を剥き出していくというコメディの共演を見ることが出来たのは、なかなかの贅沢体験でした。ブラックベリーの携帯をアップで映して外の景色にカットが変わり、エンドロールが出始めた時は「え、これで終わり?」と、ちょっと拍子抜けはしましたが、それまでけっこう笑わせてもらいました。ちょっと肩すかしだったエンディングも、当の子供たち本人はあっけらかんと仲直りして遊んでる状況は、じわじわと可笑しくなってくるし、ハムスターが飄々と生きてた姿も親たちの口論を思い出すとじわじわ来るし、ブラックベリーも結局なんとか直ってるっぽいし、なんだかんだハチャメチャあったけど大した損失はほとんどなかったという締め方はなかなか心地いい感じがしました。感想の持ち方は人様々なんだろうけど、エンドロールを眺めながら、僕はあの4人はああやって本音をぶつけ合ったことでもしかするとこの先いい友達になるかもしれないと、そんな期待を感じてしまいました。子供同士はあんなにすぐに仲直りできるんだしね。「大人だって時には本音でぶつかれば?」「その方が歪んだりしないで健全で気持ちよくない?」と、そんな問いかけをされたような気分でした。少なくとも、外面は「大人の対応」で内側ではドロドロ・・・というより、あの4人の衝突の果ての子供じみた様の方がよっぽど清々しく気持ちいい。そういうことを思いました。 [DVD(吹替)] 7点(2012-10-04 17:13:11) |
14. モンスター(2003)
《ネタバレ》 シャーリーズ・セロンがこの作品のためにどんだけ頑張ったか、テレビ番組で観てました。彼女はあまり好きになれない女優さんだったのですが、この作品を観て初めて敬意を持ちました。あれほど捨て身になれる役者さんなら、もっといろんな役で活躍させてあげて欲しいです。どの程度事実に即しているか分からないので、純粋に映画のストーリーをそのまま受け止めた上の感想を述べます。短絡的な感じはあるのに、なぜか「バカな女だ」とは感じられず、かわいそうに感じました。最初の殺人は「そりゃ仕方ないよ」と味方する気持ちにもなりました。その一度の境界越えで、人の感覚って少しずつ麻痺しちゃうのかもしれないですね。はじめのうちは殺す相手を選別してた感じがするけど(「激しいのは好きじゃない」「こういうことするの初めてだ」と言った男は多分殺されてないですよね?)、林で撃たれた警察や「孫の顔が見たい」と命乞いした優しい紳士のことはやはり赦されないです。恋人を見送るとき「救いが欲しい」「私は自分が赦せないから」と言う彼女の気持ちが痛々しくてたまりませんでした。彼女は自分がしたことをちゃんと分かっている。でも、それと同時にこういう道しか与えられなかった自分の生い立ちや社会環境への赦しがたい思いにも飲み込まれていて、それが自分の行為を正当化もしている。誰も自分を大切にしてくれず蔑み、そんな中で自己肯定感を持つことなんてなかなか難しいだろうに、その上に自分の犯した罪で自分自身でも自分を嫌う。もはや自分自身だけの世界にさえ安らかな居場所がない。その地獄から救われるため、世界にたった一人でいいから、自分を大事に思ってくれる存在が欲しかった。自殺目前に、一途に純粋に人を愛するチャンスが訪れて、それを維持するためにがむしゃらに頑張れば、自分自身も愛されて、きっと人生が好転すると信じたのに、多大な犠牲を払っても彼女は結局信じた全てに裏切られた。「勝手にほざけよ」で締めくくられるラストのナレーションは、主人公の立場に寄り添っていてかなり好感持ちました。罪なく殺された人がいるので、主人公に対して「お前が死ぬのは当然」と考えることも出来ますが、主人公の悲痛な感情がそういう部分に押しつぶされない力を持って描けていて良かったと思います。生まれに左右されず平等に生活環境や教育が得られる社会はまだまだなんだなぁとあらためて思わされました。 [DVD(吹替)] 9点(2012-05-29 21:04:25)(良:2票) |
15. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
《ネタバレ》 これがアラン・パーカーの作品だったなんて、ちょっとビックリ。かなり引き込んでおきながら、結局は全然社会派でもなんでもない単なる3番煎じドンデン返しサスペンスに仕上げてしまった駄作。これ、ひどい濡れ衣に苦しんだ経験のある人間が観たら、すっごく迷惑で腹立たしい話のような気がする。他の方も書いてらっしゃいますが、「冤罪」と「死刑」をごちゃ混ぜにするようなストーリーも嫌い。冤罪晴れてからもずっと苦しんでる人はいるでしょうに、命は助かっても奪われた人生は返ってこないし、受けた痛みはそう簡単に癒えないはず。「死刑にさえしなければ、命以外のものは何だって取り戻せる」わけではないのだから。そういう事態に無実の人間を追い込んだものが、それ相応の罰や責任をどう負うのかってことは全く問題にされず、それどころか「冤罪って、ほんとに全て冤罪なのかね?」みたいな何とも無神経なことをやらかして終わるとは・・・。そういう思いをさせられる人間というのは極々少数であるから、そういう立場の人にどう思われても痛くないしーみたいな精神を感じてすごく嫌な気分。「冤罪かもしれないし、冤罪じゃないかもしれない」みたいなことを映画で遊びたいなら、も少し「これは単なる現実離れしたサスペンス映画ですよ」という体を最初から成して欲しい。冤罪を受けた者にとっては非常に大きな問題だというのに、なんてお気楽な道楽精神でフィルム使ってるんだろう? あんなオチがどうしてもやりたいのなら「冤罪で無実の者を死刑にした者は、自分の死で償わなければいけない」というくらいの均衡を持たなきゃフェアじゃない。 [DVD(字幕)] 4点(2012-03-29 01:46:00)(良:1票) |
16. アンノウン(2011)
《ネタバレ》 単なる記憶喪失ならまだしも、自分で作り上げた嘘をリアルだと思い込んで、妻でもない女を愛してるつもりな男って・・・なにそれ! 宇宙人オチよりひどい。腕利きの催眠術師にコントロールされちゃってたってオチのほうが、まだ説得力ある気がします(ちゃんと伏線ありで)。あとこの手の映画で、人がうじゃうじゃ歩いてる歩道を車で疾走ってシーンはそろそろ卒業できないもんかね? どうしてもやるなら、たまには一人ぐらい跳ねちゃうようなリアリティ見せてみなさい。めでたしめでたしのあとに轢き逃げ犯で逮捕されるとこまでしっかりね! [DVD(吹替)] 3点(2012-01-16 11:51:53) |
17. 知らなすぎた男
TSUTAYAで発掘良品コーナーにあったので観てみました。ものすごくつまらなかったです。子供と一緒に観る為、吹き替えで観ましたが、吹き替えわざとらしいし、こういうのは英語そのものの持ち味も影響するんでしょうかね。そもそもギャグなんかは日本語で訳出来ないものもありますし。ジム・キャリーの『ライアー ライアー』なんかは吹き替えでも家族で大爆笑できたんですけど・・・。この作品は子供さえもシラケていました。 [DVD(吹替)] 2点(2011-07-07 19:48:36) |
18. 帰らない日々
《ネタバレ》 冒頭、事故の加害者と被害者となるそれぞれが淡々と交互に映される。よくあるオーソドックスな表現だけど、それぞれの些細な言動の何が事故を誘発するのかハラハラした。ひき逃げ事件の犯人と被害者ともなれば、被害者を応援する気持ちになって観てしまいそうなものだけど、この映画はどちらの立場にも感情移入した。被害者が加害者の事務所に訪れた時、自分が犯人の感情になっているのに気づいて、珍しいタイプの映画だなと感じた。社会派か人間ドラマの類と思いながら観ていたけれど、徐々に「もしかして復讐劇???」と思わせるようなサスペンス風味が顔を出し「期待はずれか・・・」と微かに思い始めたら、それもいいスパイスになって心情的にすんなり受け入れられる余韻の深いエンディングを観られた。決して「めでたしめでたし」のハッピーエンドではないけれど、被害者が思いの丈を犯人にぶつけ、加害者が真っ当に懺悔し彼なりの苦しみを吐き出すことで、一応の気持ちの締めくくりが出来ることが、ある意味心地よかった。そのクライマックスはそれぞれの気持ちが痛くて涙が出た。犯人に怒りをぶちまけることができた父は、ようやく息子のいない日々の自分の感情にシフトできるようになり妻の胸で思い切り泣く。決して苦しみから解放されたわけじゃないと伝わるショットだけど、ああやって手放しに泣けるのは「心が一区切りできた」からこそ。そこの感情のあり方は『ラブリー・ボーン』なんかと大違いで、やはりある種の心地よさがある。残された加害者側の少年のラストショットは切ないけれど、ひき逃げしたまま卑怯に暮らしている男の息子でいるよりも、起きてしまった事故に対して最後は正しい選択をとった父を誇りに思える日が来ると思いたい。この映画がひき逃げ犯の気持ちにもなって観れるのは、彼がそれほど無謀運転をしていたと思えない点が大きいのかもしれない。自分の場合「あれは仕方ないよね」と同情する(そのまま逃走したことは別だが)。少し違えば彼らが死んでいたかもしれない、そんな危険を回避した結果の出来事だ。つまり間違えば、ラストで悲しい背中を見せた少年が死んでいたかもしれないのだから、その彼が生きているだけメッケもんだ。カーブを大きく張り出してきた対向車の運転手は、自分のせいで2つの家族が苦しんでることなど何も知らずへらへらと暮らしてるんだろうなと思うと、それが一番許せない。 [DVD(吹替)] 8点(2011-06-07 06:03:07) |
19. エスター
《ネタバレ》 エスター役の子はまだ13歳とか。演技スゴいなー! 顔立ちもいい雰囲気持ってるし、大人顔になった時の特殊メイクもスゴく自然でした。映画が持ってる雰囲気は『ゆりかごを揺らす手』や『危険な情事』を思い出す感じ。久々に「映画を見た~!」て感じで楽しめました。もっと話題になってもいいような気がします。僕はレンタル屋で見つけるまでこの映画の存在を知りませんでした。夫がいつまでたってもノーテンキなのが、あまりにわざとらしいし、クライマックスに入ってエスターをきちんと後始末しないで逃げ出すあたり、このテの映画のお決まり技で「まだ何かあるぞ」と分かり過ぎで減点ですが、それでもシラケはしませんでした。奥さん役にもう少し存在感が欲しかったかなー。それほど出番の無いシスターやセラピストの方が印象強いのは、いかがなものかと・・・。奥さん役をも少し選び抜いたら10点満点の強力映画になったと思います。 [DVD(吹替)] 9点(2010-11-28 21:58:34) |
20. 宇宙人の解剖
《ネタバレ》 うわっ! こんなにレビュー数少ないんですか??? なかなか面白い作品だと思うんですけど。この映画は実際にあった出来事が元になってます。それはまずロズウェル事件。1940年代にニューメキシコの荒涼とした場所にUFOが墜落したとされる事件で、このとき中にいた宇宙人を軍が解剖したって話があります。で、時を経て現代に、その当時の宇宙人解剖のフィルムとされるものが世の人々の目に晒されることとなり、テレビ放送で大盛り上がり。その後ネット上でも動画が見られました。そんな凄いフィルムの所有者は、しがない二人の青年。二人がそのフィルムを手に入れることができたのは、あるマフィアの大金があったから。けれど、世の人々が目撃した衝撃フィルムは実は偽物でした。なぜなら手に入れた貴重なフィルムは密閉された缶から取り出された際に酸化腐食していき、映像が焼けてしまったので、出資したマフィアを騙して命拾いするために偽物が必要になったから。二人の青年の生死をかけた嘘のために、隣人を巻き込んで偽フィルム制作スタート! このハチャメチャ加減が面白いです。そして出来たフィルムを使って世界中に大嘘を展開、大金を手にしていくのです!! でもそんな嘘で世界中を騙し金儲けしたってことだけで話は終わりません。ラストは2回3回リピートしちゃいました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-23 18:29:08) |