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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作国 : デンマーク 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  アンダー・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
製作国として国名が3つ出ているが、映画の舞台はコペンハーゲンなのでデンマークの印象が強い。監督・脚本と主演俳優はデンマーク人、ほかにスウェーデン人やスウェーデン語話者のフィンランド人(エステルボッテン出身)も出ていたようである。 邦題はともかく原題の”QEDA”は一般に通用しない劇中用語のようで、「量子もつれ quantum entanglement」という科学用語を理解できる/しようとする人間も少数だろうから、これは製作側の独りよがりである。とても商業映画のタイトルとは思われないので、英題くらいにしておくのが妥当である。 全体的には北欧らしい作りということなのか、地味で不愛想な外見のためたまらなく眠くなり、字幕を見落として少し戻るということを何度も繰り返した。ただ同じ顔の人物(二役)が自然な感じで一緒に映っている場面があり、これが結構不思議ではあった。  映画のテーマとしては、一つは地球温暖化の問題と思われる。海水面の上昇でコペンハーゲンの街路がベネチアのようになっていたのは古典的な温暖化イメージだが、そのほか気候変動の表現として突然の嵐の場面もあった。塩分のために真水が失われて多くの生物種が絶滅し、人の健康も損なわれるというのは世界共通の一般論か不明だが(低地限定ではないか?)、2095年の男が2017年に来て、かつての世界がこれほど豊かで人の心も満たされていたと実感する場面は確かに現代人への警告になっている。ここは一般受けしやすい。 一方で時間ということに関しては、簡単に過去を変えてはならない、といったことを教訓めかして言っていた感じだが、そもそも人間というのは過去を変えられないので現実世界に向けたメッセージにはなっておらず、単に意外で悲惨な結末を面白がるだけのショートムービー的なもので終わった気がする。あるいは過去にこだわらず、未来を変えることを考えろという意味とも解釈できるが、それにしても回りくどい話である。  そのようなことで、学生のSF研とかなら内輪受けしそうなアイデアに、地球温暖化の話を加えてかろうじて長編映画にしたような印象だった。ほか劇中設定(地球温暖化と時間旅行)に関する疑問点もいろいろあるが長くなるので書かない。地球温暖化について何か言いたい人は見てもいい(ただし眠い)。 ちなみに「ひいひいばあちゃん」は確かに魅力的な女性だった(知的で賢明)。妻の先祖であるからには惚れて当然か。
[DVD(字幕)] 4点(2020-04-29 11:51:29)
2.  魔女(1922) 《ネタバレ》 
1922年の映画である。監督その他の関係者はデンマーク人とのことだが、題名のHäxanと字幕はスウェーデン語らしい。 見たのは104分のバージョンで、全体が7章に分かれている。第1章は昔の宇宙観と関連づけながら魔女の基本的な性格を学ぶお勉強的なパートであり、また第2章は時代を1488年と特定して、中世の具体的な魔女像を多少ユーモラスに表現している。しかし次の第3章から第5章までは魔女裁判の話になるので笑っていられなくなり、第6章では魔女の発生原因として拷問の道具と僧院の狂気を紹介している。最後の第7章では近代(大正時代)に飛んで、中世から当時まで残されていた魔女的なものを明らかにする構成になっている。 最後の章はそれまでの各章に含まれていた要素を使って結論を導く形であり、何やら実証的な映画という印象もある。それほど明らかな社会批評の意図もないようだが、気の毒な人々に理不尽な偏見を向けないようにしなければという、この時代なりの良心が表現されていたようではあった。  物語として心に残るのはやはり第3章から5章までの魔女裁判で、ここでは中世の人々の迷信深さとともに、人間が本来持つ(現代にもある)邪悪な部分や偏狭な宗教の害悪が描かれている。個人的には特に、性欲の抑圧がかえって理不尽で組織的な暴力につながる面があるのではという方に考えが向いた。また客観的に立証できない罪状では自白が証拠の王だというのもよくわかる。最後の章では、中世なら魔女とされたであろうシニア世代と未亡人の表情が物悲しい印象を残していた。 特撮としても、主に第2章でストップモーションアニメや逆回転、多重露光?といった手法でけっこう面白い映像を作っている。着ぐるみや特殊メイクも多用されているが、特に監督本人が演じていたという悪魔が神出鬼没で、恐ろしいというより滑稽で不潔そうで品性下劣で邪悪な雰囲気を出しており、ヨーロッパの悪魔像とはこういうものだったのかと思わされた。そのほか個人的には夢魔?が布団の上を這って来て、寝ていた人物が慄いている場面が好きだ(一瞬だが)。 結果として、サイレント映画など古臭くて見る気がしない、という食わず嫌いを一気に解消する内容にはなっていた。なお映画自体は無音でも、今回見たDVDではピアノの背景音楽を入れて効果的な演出がなされている。
[DVD(字幕)] 8点(2018-11-01 19:56:16)(良:1票)
3.  ある戦争 《ネタバレ》 
アカデミー賞外国語映画賞の2015年(88回)ノミネート作品とのことで、日本でいえば「たそがれ清兵衛」(2002)と同格だが、個人的感覚ではこれの方が上である。出演者インタビューによれば、この映画の監督は「演技ではなく状況に反応する」ことを求めるのだそうで、「シージャック」(2012)に続いてドキュメンタリー調に見えるのもそれと関係あるかと思われる。また問題提起はするが答えを与えない監督(脚本家)とのことで、この映画も文字通りの“考えさせる”映画になっている。  内容としてはアフガニスタンで治安維持活動に従事するデンマーク軍部隊の隊長が、民間人の殺害容疑で裁判にかけられる話である。監督によれば、デンマークでは実際にそういうことが現地指揮官の心配事になっているらしい。 まず劇中では誰も明言していなかったが、爆撃の結果として攻撃が止んだのならその場に過激派がいたこと自体は明らかであり、誤って民間人だけを死なせたというわけではない。恐らく爆発物のエピソードのように民間人を盾にしていたと想像されるが、そういう状況で、いざというときに自国民(軍人)と外国人のどちらを優先するかの問題だったと思われる。劇中の検事(法務官)は、人類社会の正義を代表しているようでいて実は単なる手続論の話しかしておらず、存在確認さえすれば殺人ではないと言っていたのも同然である。また弁護人の立場は台詞に出ていた通りであって、どちらの主張にも絶対的な正当性は感じられない。判決がどうなるかは出演者にも知らされていなかったとのことで、自分としてはけっこう驚く結末だったが、判事が諸事情を勘案の上で妥当な結論を出したということなら尊重する必要がある。 ちなみに日本では、最後は国家が悪い軍隊が悪い戦争は嫌だと言えば済むことになっているが、デンマークほどの民主国家なら軍の派遣を決定したのは疑いなく国民自身の判断ということになるだろうから、そういう逃げ場はないことになる。国全体として劇中の妻/母のような立場を取るなら派遣などやめるという選択もありうるが、基本的には国際貢献としてあえて汚れ仕事を引き受けているという考え方だろうし、これに関してもデンマーク国民の判断を尊重するしかない。ただ、自分の国に関してそういう判断をするのは一国民としても確かに難しい。とりあえず南スーダンからはみな無事に帰って来られそうで幸いである。  なお、主人公に対する副隊長の批判的発言は自分としても非常に耳が痛いことで、これで主人公が自分に似たタイプの人間であることが知れてしまった。副隊長はそつなく賢い男だろうが主人公も悪い奴ではなく、一度は事実を認めようとしたことからも個人的には共感度の高い人物像だった。そもそも女性通訳にこの男の弱点を衝かせるような筋立ては卑怯だ。
[DVD(字幕)] 8点(2017-05-21 16:26:18)
4.  シージャック(2012) 《ネタバレ》 
ドキュメンタリー調だが作為的なところが目に付く。“魚にキス”のあたりはいかにもな感じで、これで劇中人物や観客の気を緩ませようとするのがわざとらしい。また終盤では料理人の行動に不自然な点があり、こういう観客が違和感を覚える出来事を発端として最後の大事件を起こすというのは物語の作りとして甘いのではないか。これで落胆してしまったため、残念ながらあまりいい点は付けられない。  そのほか基本的なところはよくできているように見える。 社長はそれなりの規模の会社経営を担う身であり、役員会の監督を受ける一方で社員への責任も負う立場にある。大事を取るならプロに任せる手もあっただろうが、あえて自分でやることにしたのは多少の自信があったのと、やはり本人が言っていた通り最高責任者たる使命感からということか。当初は交渉案件の一つという認識だったかも知れないが、少なくとも銃声を聞いて以降は社長というより人としての責務がかなりの重圧になっていたように見える。結果的にはぎりぎりのところでうまくやれたわけだが、恐らく最後の悲劇のせいで、経営者としてはともかく一人の人間として、自分の経歴に真黒な汚点を残した思いだったのではないか。立派な人物のようでも一皮むけばその辺のオヤジと同じ人間なわけで、社会的責任の重い人はご苦労様というしかない。 一方で料理人は一般人なのでそれほど厳しい姿勢は求められないが、しかし会社のアドバイザーも言っていたように、契約を履行する感覚で身代金を払えば終わりになるわけでは全くなく、また些細なことで簡単に人命を奪う(自分以外の人命を尊重する観念が初めからない)人間がこの世界に存在することがわかっていなかったのは認識不足だったかも知れない。そのために、この料理人も元の幸せな家庭人に戻れなくなってしまったようだが、まあそれは殺された船長も同じだったわけである。結論的にいえば、現代の文明人(デンマーク人、日本人などの大部分)は生物種としての人類全ての生命を尊重しなければならないと思っているが、相手も同じとは限らない、という教訓を含んだ映画に見えた。この世界では“人の性は悪なり”と思っておくのが無難ということである。
[DVD(字幕)] 7点(2017-05-21 16:26:15)
5.  エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略 《ネタバレ》 
1940/4/9にデンマークがドイツ軍に占領された時の話である。ドイツ側は装甲車や軽戦車で侵攻し、デンマーク側は自転車部隊やバイク部隊が応戦して兵も死亡しているので戦争映画だろうが、しかしどこまで戦争する気があるのかわからないのが特徴である。 前半でこそ開戦前の緊迫感や最前線の恐怖感があるが、そのすぐ後に20年前の話を持ち出す住民が出たのはかなり拍子抜けで、その後も一般国民に危機感というものが感じられず、国防の任にあたる者としては梯子を外された形になってしまう。それでも主人公は任務を忠実に果たそうとしたが残念な結果に終わってしまい、正直者が馬鹿を見た(死んだ人間は単純に損した)という印象が残る。 最後のインタビューは別々の述懐を並べたものだが一応の流れはできていたようで、様々な思いが交錯しながらも、結局は歴史的事実を受け入れるしかないという諦観があるようにも見えた。  その一方では国民国家の軍隊など無意味と主張しているかのようでもあり、日本国内でいうと例えば「無防備都市宣言」運動の推進者を元気づけそうな映画になっている。しかし無抵抗が有利になるのは相手が誰でも同じではなく、例えば基礎的な文化を共有しているとか、また特に占領側の倫理水準が低くないことが条件になるのではないか。加えてこの映画の場合、デンマーク人はドイツ人と同じくゲルマン系であり、小国ということ以外にドイツ側が見下す理由もなかったはずで、最初から一定の寛容さも期待できたのだろう。条件の違う他国がこの映画から学ぶことなどどの程度あるかという気はする。 またデンマーク王国は今でも徴兵制を維持しているとのことで、その本来の意図としては、他国の侵略に対して国民挙げて抵抗するという意思表示が含まれていたはずである。今になれば隣国(ドイツ・スウェーデン)が攻めてくるとは誰も考えていないにしても、戦後以来のNATOへの参加や近年の平和維持活動を通じて、実力保持が重要との意識は根付いていると想像されるので、やみくもに軍隊不要などと言っているのではないだろうと思うが。  結局何を受け取ればいいのか困る映画ではあるが、とりあえず世の中こういうこともあると思わせる内容にはなっており、邦題に騙されさえしなければ見ごたえのある映画かと思われる。なお少年が撃たれる場面をうちの老母が見れば、「こんなところに子どもを連れて来る親が悪い」と切り捨てることは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2016-12-09 00:15:58)
6.  原始獣レプティリカス 《ネタバレ》 
最初から余談だが、怪獣を攻撃していた軍艦はデンマーク海軍のコルベットF346フローラ(Flora, 894t)である。これはイタリアが建造したアルバトロス級コルベットをNATOの枠組みのもとでアメリカがデンマークに供与したもので、1956年に就役し1977年に退役している。また空軍が活躍する機会はなかったようだが、この時期ならF-100スーパーセイバーとかに出てもらいたかった。 劇中では場所がデンマークのわりにアメリカ人が妙に幅を利かせており、登場人物がみな英語なのも興を削ぐところがあるが、コペンハーゲンの現地映像はそれなりに出している。不機嫌なアメリカ人が暇だという理由で市内観光に出て、若い女性の案内でいきなり機嫌を直して人魚姫その他の名所を回るあたりは、背景音楽のせいもあって楽しいひと時を過ごした気分にさせられなくもない。図々しいまでのご当地映画ぶりも笑える。  ところで怪獣に関しては、「爬虫類から哺乳類への進化の過程」というのはゴジラ風にも聞こえるが、実際は恐竜というよりドラゴンのようなもので、翼が付いているが飛べない仕様だったらしく、また脚も動いていないのでただの蛇である。爆雷攻撃時にこれが海底に沈んでいた姿には大笑いした(目に生気がなく攻撃前からすでに死骸)。 しかし見た目はともかく実は結構恐ろしい怪獣であって、襲撃された農場主が妻子の目の前で怪獣に呑まれるという悲惨でチープな合成映像があったりもする。また口から緑色のものを吐いていたのは「酸性粘液」(acid slime)とのことだが、実際これにやられるとどうなるかの映像化を徹底的に回避していたのは残酷描写を自己規制していたのかも知れない。 さらに恐ろしいのは死体を1000個にばらすと1000匹に育つという性質であって、そのため通常の爆発物による攻撃ができずに手詰まりになった場面は一定の緊張感を出していた。ここで指揮官がアメリカ人であるからには熱核攻撃とか言い出すのではと思ったが、さすがにヨーロッパで核兵器を使う発想はなかったらしく、代わりに薬物を口から撃ち込んだのは斬新な手法だった。この辺は「シン・ゴジラ」(2016)の元ネタだったのではと勘繰ってみてもいいかも知れない。 世間的に酷評されるのもよくわかる映画だが、自分としては正直けっこう面白かった。ちなみにランゲ橋という大きな橋(長い橋)を大勢の市民が逃げていた時、跳ね橋部分を上げたために人が落ちていく実写映像は特撮場面以上の驚きがあった。
[DVD(字幕)] 3点(2016-09-17 19:59:40)
7.  100,000年後の安全 《ネタバレ》 
淡々とした映画だが、映像的に美しいのでそれほど退屈しない。余計な人間が映っていないため世界の果てのような印象がある。背景音楽としてシベリウスのValse Triste(劇音楽"Kuolema"(死)の1曲)を流していたのはわざとらしくもあるが、使い方としては効果的だった。 現地は地質的に安定した場所とのことで、この映画でも技術的なことはあまり問題にされておらず、制作者も「地震や火山のない地域」であれば可と考えていたようである。代わりに後世に危険をどう伝えるかの方に重点が置かれた形になっており、この辺は日本人としてはずれを感じるところだが、ナレーションが未来の人間に語りかける形式のため、映像の印象と相まって10万年後の伝説を語るようなファンタジックな感覚がある。ナレーションに出る「君」は英雄志向の若者のようなイメージだが、最後は洞窟の怪物の返り討ちに遭って終わったらしい。 登場人物としては、一緒に出ていたスウェーデン人のオジサンとオバサンが微妙に慣れ合った感じで和む。一方でフィンランド政府の当局者?(肩書きがアドバイザー)は、映像的には黒で悪人イメージながら人物がいかにも頼りなく、これは本物かどうか疑わしいような気もする。  なお公式発表によれば、わが国でも先月下旬の閣議決定で最終処分の基本方針が改定され、これまでは外部の法人に任せていた候補地選定に「国が前面に立って」取り組むこととし、「国が科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れる」ことまでするらしい。同時に国民の理解を深めるためとして全国でシンポジウムなり説明会を始めているようで、そういう点で時宜にかなった映画とはいえる。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-18 00:58:44)
8.  偽りなき者 《ネタバレ》 
まず劇中の園長に関して、知性によらず嫌悪感だけで全否定に至るような態度は知的生物たる人類の一員として恥ずかしい。責任者として児童と保護者に申し訳ないという思いで頭が一杯なのか、客観的にどうすべきかが全く見えていないらしいのも組織の管理者としては不適格である。自分の感情処理が最優先になっているにもかかわらず、本人は他人のためと思っているのだろうから始末が悪い。さらに周辺を動員して攻撃対象を孤立させるやり方は卑劣で悪辣であり、これも当人の本性が表に出たのだろうと思われる。これで責任感が強く良心的な人物などと思われているとすれば腹立たしい。 また児童の父親は、要は自分の子が嘘つき扱いされたことに反発したのだろうから主人公の訴え方はかなりまずい。せっかく直接話す機会が得られたのだから、淡々と経過を説明してあとは判断を任せればよかっただろう。親馬鹿はまだ仕方ないとしても、主人公までが感情に訴えるしか能がないのでは全く共感できず、こいつはバカかと呆れるだけである。なお主人公の支援者も基本的には情で動いていたように見えており、その点では対立勢力と同類と思われる。客観的な視点の持てる人物が劇中にいない(裁判所を除く)のは見ていて非常に苛立たしい。 そのほか自分の罪悪感を他人に転嫁して憎悪するタイプの人間もいたかも知れないが、何にせよ大多数の周辺住民は、特に切実な動機もなく自分なりの検証もせず態度保留するわけでもなく単に付和雷同で叩いていただけと思われる。日本の映画なら“これだから田舎は困る”で終わってしまいそうな話だが、外国映画のため素直に普遍的な問題として受け取ってもらえるのは幸いである。  以上、どうせ人間というのはこの程度のものであり、理性的な話が通用するなどと考えない方がいいのは世界共通のことらしい。こんな世の中に生きているよりも、おれはやってない、お前ら全員呪ってやる、と叫んで衆人環視の前で自決して果てれば、関係者全員に一生残る心の傷を負わせて復讐できるだろうが、ただし主人公には息子がいるのでそういう破滅的なことはできないわけである。 なお点数は個人的趣味の問題であまり高くできないが、客観的な評価としてはここの平均点(自分のを除く)に納得する。ストーリーが初めから主人公を追い込む方向で組まれているのは制作側の都合優先に思われなくもないが、映像が美しいのは印象に残った。
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-11 20:28:33)(良:1票)
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