3. オーソン・ウェルズのフェイク
初公開時、渋谷パルコかどっかの上にあった劇場で観ました。手品が趣味の監督の人となりとタイトルから「これはだましにかかってくるんだろうな」と多少は用心していたのですがみごとにひっかかりました。最近見返してみてネタが割れていても充分楽しめることに驚きを感じました。単なる贋作にまつわるドキュメントでもなく、いわゆるミステリーというくくりにもあてはめられないけれど登場人物も作品のスタイルも内容も、また映画そのものの存在自体もとてもミステリアスというメタな作品。このように他に類例がなく、しかもちゃんと面白い作品を創造するというのは実はとてつもなく偉大なことであって作り手の頭とセンスの良さは尋常ではないと感じました。まるで手品のような作品なので、ミスディレクションに翻弄されることに快感をおぼえる私には最高のご馳走です。手品のタネを知ってくだらないと腹を立てるタイプの人にはまずお勧めできませんが。 [映画館(字幕)] 10点(2004-09-26 19:35:29) |