1. 私の頭の中の消しゴム
《ネタバレ》 なにか、もうれつに「悲しみたい」人にとってのみ勧められる映画だと思う。その他、例えば肉体的な死と精神的な死についてなど、ある程度ものについて考えこんでしまったことのある人間にとっては、当り前すぎる内容。「その先が肝心なのに…」と突っ込んでしまう。平たく言えば、この映画は「悲しい」とばかり言うので、そのまま一生「悲しい」ばっかり言いつづけるんですか?とおおいに疑問。僕個人としては、悲しみをどう克服するか、それがどう描かれるかに興味があったのに…。前半の美しいラブストーリーはちゃんと見れるけれど、出会いのきっかけまでもが後々の病気の伏線(物忘れ)であることも興ざめ。「病気になる前の人を好きになってしまったら、病気になってしまった」という展開ではなく、「病気になりかけの人を好きになってしまった」のが最初の前提ならば、どうぞそのまま頑張ってくださいと言うしかない。 [映画館(字幕)] 5点(2006-05-07 11:35:03) |
2. オールド・ボーイ(2003)
《ネタバレ》 シナリオが不十分だと思う。15年という歳月をかけた復讐の動機についてアイデア不足。説得力がない。この程度の理由ならば敢えて謎解きする必要がなく、まったくもって無駄な気がした。ただ、ミド演じた女優はとても魅力的だし、ラスト近くで自殺したものと生き延びたものを対比するシーンも美しかった。一言でいえば、「胸糞の悪い映画」だが、そういうマイナスの方向に観客の感情を揺さぶるのがこの映画のねらいならば、おとなしく脱帽するしかないだろう。でも、僕はそのねらい自体が大っ嫌いだ。だから点数なんて客観的な指標にするにはあまりにも個人的過ぎる理由で4点。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-12-07 21:19:57) |
3. 四月の雪
相変わらず丁寧に作られたシーンばかりで安心して見れる。大体においてこの監督は作風あるが画風がないのが特徴。でも今回はやけに鏡とか窓とかに映りこんだ人物を撮るシーンが多かったなぁ。マイブームか? 個人的には度が入ってないのがばればれなペさんの眼鏡が気に入らないのを除けば、ほとんど文句はない。しかし、これほどまでに会話の弾まないカップルも珍しいのでは? いつから無口な男はもてるようになったのだ? ちなみにハリウッドでは相変わらす多くの男がしゃべくりまくっております。僕自身は人間の関係は言葉に依存してる部分が多いと思うので、もう少しふたりにしゃべって欲しかった。 [映画館(字幕)] 6点(2005-09-20 00:48:07) |
4. オアシス
とても残酷な映画だと思った。コンジュが一瞬健常者になるところは、見えてはいけないものを見せられている気がした。男がたまに見せる妙な優しさとオアシスのイメージ、ラストの展開が、確かに明るい光を投げかけている。しかし、それは全編を見終わってはじめていえること。途中には、見てしまってよかったのか考え込まざるをえないシーンがいくつかある。世の中には分かってても言っちゃいけないこと、見せちゃいけないものがあると思うのは僕だけでしょうか?寅さんの文脈とは大きく違いますが「それを言っちゃあおしめえよ」という感想を持ちました。 [映画館(字幕)] 6点(2005-03-14 12:11:21) |
5. 僕の彼女を紹介します
《ネタバレ》 この監督にはやりたいシーンのパターンが決まっているみたいで、『猟奇的…』と『ラヴ・ストーリー』にでてきたのと同じ構成のシーンがかなりある。とりあえず派手な銃撃戦のシーン、バスとか電車で恋人が別れるシーン(ってそれしか思い当たらなかったけど…)が、まるっきり同じだと思う。しかも、この作品の場合、バスのシーンはそれがやりたいために強引に入れ込みましたって感じなので、ちとそれは不自然でしょうと突っ込みたくなります。でも、そういう共通点を探していくという、妙な楽しみ方もあると思う。 5点(2004-12-19 20:34:35) |
6. 春の日は過ぎゆく
愛ってかわるんですか? 変わるんです。っていうか、そもそも愛なんてありません。単なる錯覚です。錯覚という「ウソ」を「本当」だと互いに思い込むのが愛です。「ウソ」は皆が信じれば「本当」になります。だから、ちょっとしたできごとの偶発的な組み合わせで、愛があることになったり、愛がなくなったりするみたいです。そもそも愛って「確かめ合う」ものですし。この映画、そこら辺のところをものの見事にすくい取っています。ラスト近くになって、歩幅をあわせてくれない男に、腕を絡ませてゆっくりあるいてくれるように促す女。女をスキだった頃には自然と歩幅が合っていたのに…。今では、「わざわざ」歩幅を合わせるのがイヤになる。その瞬間に「愛は終わった」ことになった。もしこのとき、男が歩幅をあわそうと思ったら、「愛はまだある」ことになっていたかもしれない。こんな風に、瞬間瞬間がウソと本当のはざまでゆれ動いている映画。イ・ヨンエのインスタントラーメンかじる姿にもやられました。 9点(2004-06-05 23:12:56) |