1. ゴルゴ13(1973)
原作のファンには不評な実写版、健さん主演の「ゴルゴ13」である。確かに企画には無理があり、脚本もいささか破綻気味だ。健さんは日本語でそのまま演技し、外国人キャストには吹き替えを被せる(山田康夫氏も登場)という手法もかなりキワイ。ゴルゴのキャラクターや精神性の表現もイマイチ。それでも佐藤監督の演出は手堅く、黄金時代のにっかつ作品ということもあり、そこそこ観れてしまうのが凄い。本作の凄いところはもう一つ。ロケを敢行しているのは何と革命前のイラン。ヨーロッパの都市のような近代的なテヘラン市内、砂漠でのカーチェイス、巨大遺跡での銃撃戦などなど、外国映画の撮影に対する当局の一大バックアップは、現在では考えられないだろう。ナイトクラブやら、西洋風のファッションに身を包んだ女性たちの姿などは映像資料としても貴重である。ルーティンでもこれだけのスケールでの撮影が可能だった、当時の日本映画界の勢いが偲ばれる。何度も言うけど原作のファンの方は割り切って観ましょう。 [地上波(吹替)] 7点(2005-03-31 01:33:28) |