1. サイクリスト
《ネタバレ》 すべてのイラン人が観たと言われるほど、彼の国では大ヒット作。 「カンダハール」のマフマルバフ監督作品。 妻の入院費を稼ぐために、ただひたすら止まらずに広場を自転車で回るという 見世物を行う。 イラン版「ひとりぼっちの青春」といったところ。 ただ、主人公がこれにより人生を振り返るというより、周囲が勝手に大騒ぎ。 大物興行師が絡んで来たり、遂にはお前はスパイだと阻止するグループが出て来たり、 審判役の目を盗んで休んだり、体に悪いと救急車がやってきたり、とにかくウルサイ(笑) 単調な画面になりそうなところをスペクタルな音楽で最後まで引っ張る。 アジア映画も面白い。 [映画館(字幕)] 7点(2022-11-20 18:43:52) |
2. 桜桃の味
《ネタバレ》 何度も観た大好きな作品。 最後のシーンは、これは映画なのだから、あまり暗くならないでくださいよ~という監督の意図らしい。 平成最後の紅白で、歌手のsuperflyが「Gifts」という曲を歌ったが、 その歌詞の内容に、この映画を思い出した。 劇中の老師の説教、けだし名説教である。 キアロスタミはこの作品があるから、他の作品も好きだ。 [DVD(字幕)] 10点(2019-01-19 18:31:51) |
3. 風が吹くまま
《ネタバレ》 キアロスタミの映画には、観るコツがある。 何かありそうだけど、何もない場合が多い、とリラックスして観ること。 そうすると、彼の映画のなかの会話やちょっとしたことに、クスリと笑える余裕が出てくる。 この映画では、少年と大人の友情や、顔を見せぬ少女や生き埋めになった事故など。 田舎の刺激感覚で見ると、これらもまた楽しい。 都会の次々消費される刺激の中で、これらの牧歌的な刺激もまた新鮮だ。 そして会話の豊かさ。 ビジネス的な要素の一切ない会話の豊潤さ。 そこにキアロスタミの醍醐味を僕は感じてる。 [DVD(字幕)] 7点(2019-01-19 15:45:34) |
4. 明日へのチケット
《ネタバレ》 そっか、3監督のオムニバスだったんだね。最後のケンローチに快哉を叫んだ。さすが、体制に疑問を抱く社会派をつくる監督らしいね。最後の若者のさわやかさが素敵だった。2作目のキアロスタミの描く車掌さんがあまりにも良いもんだから、最後なんとかしてく れると思ってたけど、監督ちがえば、車掌の人格もちがうんだ。映画としてはどうなんだろう?キアロスタミは、わがままなおばさんにソフトに接するその車掌が良いんだなぁ。キアロスタミ節を感じた。よく知らない監督の1作目も女の人の優しい気配りに、恋の香りがして、男の人が紳士になって、こぼれたミルクを難民の人たちに持っていく話もすきです。 [DVD(字幕)] 7点(2013-06-23 14:39:30) |
5. 別離(2011)
《ネタバレ》 まるでヨーロッパかアメリカのような、イランらしくない家に住む若い家族。最初はどこの国も異文化が混じると、こんなことが起こるんだろうなって思って観てた。「新しい」文化にかぶれた人も、今までの文化を大事に思う人も、事件が起こると、「自分」に正直に反応して、事態がぐちゃぐちゃになる話。日本にもあるよね~。でもこの映画、およそ今までのアジア映画らしくなく、映画的な計算もされている。最後15分前に意外な事実が被害者のお母さんの口から聞かされる。あちゃ~、これはアジア映画ですのん?て言いたくなるほどの演出。そして最後のエンドロールの流れる時の映像の意味するもの。なんと垢抜けてることか!そう、この映画、一番大事な娘にこんな選択をさせる若い夫婦に疑問を感じさせる場面で、こんな「垢」抜けた演出をしてくれるのだ。身勝手な夫婦に疑問を感じながらも、誰も裁けない、と言っているのだろうか?う~ん、それにしてもアジア映画も変わってきたね・・・何とも複雑な気持ち・・ [DVD(字幕)] 8点(2013-01-16 02:19:35) |
6. ペルシャ猫を誰も知らない
日本ではごく普通にやっていることが、他の国では逮捕覚悟でやらなきゃいけないんですね。特に文化面での自己表現なんてのは、もう自分でも止めようがないから、日本に生まれてつくづく良かったです。今はツイッターとかでも自由に政治のことなど書ける時代なので、今の日本って凄いんだな、と思います。映画の中でジャーナリストみたいなおっちゃんが熱く歌っている姿は新鮮でした。メロディは聴いたことがある曲もありましたが、歌詞(特にラップの格差についての歌詞)は良いです。文化の違いを知り、日本を知る。まさにそういう体験をさせてもらった映画でした。ラストの二人の死は、現状への絶望の現れでしょうか?そこまで絶望なんでしょうか?そうだとしたら、ちょっと異国の映画とはいえ、信じられないことです。 [DVD(字幕)] 7点(2011-07-02 14:59:21) |
7. クローズ・アップ
《ネタバレ》 人に何か自慢できるものがなく、奥さんと別れ、自分の甲斐性のなさを見せつけられる「現実」の中で、人から尊敬されるという経験をもってしまったら、それはもう嬉しいだろう。人間、どんな人だって、認められたいよ!それを自分の憧れの映画監督だって思われたら、その人の凄さ、知っている分、そりゃ止められないよ。ただ、お金を借りた時点で彼は「純」ではなくなった。憧れのマフマルバフの顔に泥つけちゃった。そこがなぁ。でも分かる気もする。そういう共感、与える映画だからここでも高得点なんだと思う。キアロスタミの映画は饒舌じゃないけど、映像もそれほどキレイでもないけど、映画の持っている効用を、多くの先進国の映画より分かっているように思う。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-04-13 20:35:41) |
8. 太陽は、ぼくの瞳
《ネタバレ》 実は僕はあのラストの意味がよく分からなかった。生き返ったのか、神に召されたのか?でもあのお父さんが再婚の事で嫌らしい人間になってたことに気づいたのは良かったですね。妹の女の子たちが可愛すぎ。さぞかし、綺麗な奥さんだったんでしょうね。そこが納得いかない。あと、川に投げ出された馬さんは、どうなったんでしょう?撮影の時はどうしたんだろう? [ビデオ(字幕)] 6点(2008-03-12 21:52:22) |