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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2285
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 お世話になっております。
只今『真・女神転生VV』攻略中のため新規投稿お休みしております。
2024.6.28
とりあえず1周目クリアしたのでぼちぼち投稿再開しています。
2024.7.19


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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21.  KARATE KILL/カラテ・キル 《ネタバレ》 
主役のハヤテのアクションは、往年のジャッキーチェンカンフーに通じる“型の美学”と“見栄えの良さ”があり好印象です。ワイルドキャット・亜紗美嬢は(こう呼んでいるのは私だけだな)、相変わらず雰囲気抜群で流石の存在感であります。ハイ、褒めたい部分は以上で終了です。リアリティとか、ドラマ性とか、映画としての“正しさ”を求めても仕方がないことは、DVDパッケージの主人公のデフォルメ具合をみれば分かること(どんだけ筋肉モリモリなんだ笑)。とはいえ、それでも注文をつけるとすれば、良キャラの扱いがあまりに勿体なかったこと。剣術使いのハゲ店長(鎌田規昭)、鉤爪のケイコ(亜紗美)、彼らにもっと見せ場をあげて欲しかったです。主要キャラ3人で敵アジトへ乗り込む展開でも良かったんじゃないかなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2018-03-15 20:29:12)
22.  監禁探偵 《ネタバレ》 
監禁しながら探偵+監禁されながら探偵、で監禁探偵と。なるほど。まあ、結構な無理筋ながら、なかなか良く考えられた設定とお話しだったと思います。エロティシズムのさじ加減も丁度よく(激し過ぎず)、無類のワキの下&二の腕&汗かきフェチとしましては、歓喜のショット多数!私は、まんまと監督の注文通りにハマった観客の一人なのでしょうね。トリッキーな体裁ながら、その実は本格ミステリーの様相で、往年のロッキングチェアディテクティブならぬ、パイプベッドディテクティブとでも呼びたい趣向。ほぼアパートの一室内で物語は進行します。情報収集方法がインターネットというあたりは今風ですね。わずか数時間で犯人探しせよ、という時間制限を設けた点も、サスペンス的に正解だったでしょう(長丁場ですと主人公の監禁の罪も看過できなくなりますし、短期決戦は一石二鳥)。「実は◯◯だったんです」は、本来ミステリーの醍醐味をスポイルする悪手ですが、厳しい制限の効いたシチュエーションミステリーゆえ、本作程度の後出しなら許容範囲と考えます。基本的には、夏菜姫(時々高橋みなみに見える)と監禁男のやり取り(イチャイチャともいう)をニヤニヤしながら楽しむ映画です。
[DVD(邦画)] 6点(2017-02-25 08:08:02)
23.  かしこい狗は、吠えずに笑う 《ネタバレ》 
これは凄い。スゴイです。一級品のミステリーです。先に投稿されているレビュワー様がおっしゃる通り、情報シャットアウトでご覧になる事をお勧めします。以下鑑賞済みの方のみ、お読みいただければ幸いです…。ややもすると、イズミの狂気が熊田に連鎖した、あるいは、イズミの人格が熊田に受け継がれたと解釈したくなる結末ですが、これは誤りと考えます。延々と観客が見せられていたのは、あくまで熊田の弁明(供述調書)。客観性を裏付けるものは何処にもありません。おそらく真相は、熊田がイズミの立場で、周りの人間をコントロールしていたのでしょう。熊田こそが事件の中心に居た張本人。マニキュアの色、生きていたインコ、ラストカットの席位置等の状況証拠に加え、鏡を割り『自分を守るための嘘、あなたの武器でしょ』とつぶやくシーンが決定打。こんな特殊なシチュエーションが偶然繰り返されるはずがありません。つまり、当初イズミの姿で再生された鏡割りは完全なフェイクと判断できます。さらに“あるミスリード”が、この仮説を強力に裏付けます。それはスーツ姿のふくよかな女性の正体について。体型と生理痛。たった2つの共通点だけで、観客はスーツの女=成人した熊田の姿と思い込まされました。しかもこのミスリード、本筋とは一切関係ないのです。本来必要のないミスリードを何故わざわざ仕組んだのか。其処に込められていたのは、監督からの“思い込み注意”のメッセージでありました。人は一度確定させた事実を覆したくないもの。何故なら自身の決断を否定するのは苦痛だからです。熊田=可哀相な被害者として一度認識してしまった以上、彼女が真犯人なんて不都合な真実、本当は認めたくないのです。ですから冒頭に示したような“イズミの狂気が熊田にも連鎖した”という、観客にとって都合の良い解釈が生まれてくるというワケ。何とまあ意地の悪い趣向でしょうか。全部まるっと熊田の創作話との解釈で問題ないと思いますが、そんな嘘の中にも幾つか“ほんとう”は隠されているはずで、それを想像すると…何とも味わい深い作品とも言えます。いやー、いい映画を観させていただきました。でも多分、監督はけっこう性格が悪いと思います。もちろんコレは褒め言葉ですが。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-02 01:03:40)(良:3票)
24.  ガッチャマン 《ネタバレ》 
近年、かつての人気TVアニメを原作とする実写映画が数多く製作されましたが、そのほとんどがファンを満足させる出来ではなかったと感じています。キャスティングの不具合、世界観の構築誤り、無用なアレンジ……不満は様々あれど、結局のところ観客の“思い入れ”に勝てなかった事が全てでした。そこで本作。『ガッチャマン』と言えば、タツノコプロを代表するビッグタイトル。当時確かに大人気でした(かく言う私も二代目ゴッドフェニックスが宝物でした)。しかし私自身、“思い入れ”や“コダワリ”の類は一切持ち合わせていません。それもそのはず。ファーストシリーズ放映年が誕生年。続編放映時が幼稚園ですから。メンバー全員ピチTじゃなきゃ駄目とか、コンドルのジョーはケツあご以外認めないなんて言いません。幼き日の私にとって『ガッチャマン』とは勧善懲悪型のアクションヒーロー。単純なものです。おそらく私を含めたオリジナル直撃世代”以外”の認識はその程度でしょう。ノスタルジー不在。そのような観客をメインターゲットとするならば、オリジナルの特性(重厚なテーマやドラマ性)をバランスよく取り入れた本作の方針は、いささかセールスポイントの焦点がぼやけるものだった気がします。つまり娯楽映画の”大正義”=“アクション”に特化するのが正解だったのではないかと。プロローグで披露したスピード感溢れる立体的なアクションで終始押し切れば良かったと思うのです。目指すは和製『スパイダーマン』。縦横無尽に躍動する科学忍者隊の活躍をお腹いっぱい観たかったです。もし次回作があるならば、ゴッドフェニックスは鳥型でお願いします(あっコレはコダワリですね笑)。
[DVD(邦画)] 5点(2014-08-03 20:57:52)
25.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 
「借りぐらし」は屁理屈です。所有者の了承を得ず、返すあてもなく持ち去る事を“借りる”とは言いません。家政婦の婆さんの言う通り「泥棒」あるいは「寄生」が正しいでしょう。しかしそう指摘されても、アリエッティは「借りている」と主張する気がします。それが小人族のプライド。人間と同程度の知能や文化を有しながら“日蔭者”として生きざるを得ない種の宿命に、同情の余地はあります。ただし、アリエッティ家族の生き方に共感は出来ませんでした。もし、人間に見つからなかったら、彼らはあの家に居続けたのでしょうか。そんな馬鹿な。快適な“今の暮らし”と引き換えに、“娘の未来”を閉ざしている現状は深刻です。父と母が認識しているよりずっと。だからこそ監督は、小人に友好的な少年を使って「滅びゆく種族」という刺激的な台詞を吐かせ、警鐘を鳴らしたのだと考えます(苦言を呈してくれる人は味方です)。人は人と繋がって生きていく、社会をつくらなければならない。そんなメッセージが隠されていたと感じました(宮崎駿らしい脚本とも言えます)。さらにこの言葉は、小人たちだけでなく“生産的な生き方を選択していない人々”に向けられているのかもしれません。ところで、アリエッティ一家は(今度は海の見える?)新居に無事辿りつけたのでしょうか。そして小人族の行く末に希望はあるのでしょうか。答えは…「分からない」。だから尻切れトンボのような結末なのです。其処には監督の優しさと厳しさが在りました。人間に依存した小人族伝統の「借りぐらし」を続けるのか、あるいはスピラーのように逞しく「狩りぐらし」を選択するのか。種としてのターニングポイントに、彼らは居る気がします。体裁はファミリー向けファンタジーアドベンチャー。その娯楽性の高さは流石ジブリ作品。ただし内包されたテーマは深いです。
[地上波(邦画)] 7点(2014-07-24 18:55:11)(良:3票)
26.  カルト 《ネタバレ》 
『ノロイ』『シロメ』以来の、白石晃士監督のモキュメンタリーホラー鑑賞。正直期待していませんでした(ノロイ5点、シロメ3点)。しかしコレがなかなかイケるのです。嬉しい誤算でした。前述の作品との差異は“遊び心”の有無と考えます。しっかり者のあびる優(さすがF1レーサーの嫁さん候補!)、ゆうたろう激似の霊能者(胡散臭さ満点!)、そして極めつけは某週刊少年ジャンプの打ち切り漫画のような終わり方!どれも爆笑でした。じゃあホラーと見せかけて、実はコメディかといえば、さにあらず。ちゃんとホラーでした。適度な遊び心(コメディ要素)が恐怖を際立てるスパイスとして機能していたと思います。スイカに塩、アイスクリームに醤油みたいなもの。『トロール・ハンター』に近い感覚です。やはりモキュメンタリー+笑いは相性が良いのだと思います。白石監督、ぜひこの路線でのモキュメンタリーを続けてください。本作の続編が出たら劇場鑑賞します。ただし、2か所ばかり注文を。まずオチはちゃんと付けてください。「本当の戦いはこれからだ!」なんてマジで打ち切り漫画の最終回ですよ。白石先生の次回作にご期待くださいじゃないですよ。恐怖演出は瞬発力の勝負。今度はストーリーテラーとしての持久力も見せてください。あとタイトルがいけません。ネタバレしてます。謎解き放棄は勿体ないです。三文字カタカナ表題がお好みならば、今回は『アビル』で良かったと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2014-02-18 19:27:32)(良:1票)
27.  陰日向に咲く 《ネタバレ》 
漫才コンビ・ゴールデン鳴子雷太、解散場面のこと。鳴子が別れ際に放った一言が引っ掛かります。「また、あなたを見つける」この台詞は、これから心中するカップルが使う言葉でしょう。「(生まれ変わっても)あなたを見つける」の意味で。鳴子が雷太を見染めてコンビを組んだ経緯があるとしても、このシチュエーションで使うのは不自然です。後の鳴子の娘来訪が前提となっていることが透けて見えます。前フリ・伏線は脚本家の腕の見せ所ですが、無理やり挟み込むのはかえってマイナス評価。それに別れ話でこんな台詞を吐く奴は、気持ちが悪いです。初対面でキス。田舎から上京し、押し掛けてお笑いコンビを結成。にもかかわらず人前に出るのが苦手?乙女の恋心パワーで説明するのは無理があるような。芸人ならデフォルトの変人でも、一般的にはドン引きです。ルックスが“宮崎あおい”だから許されるようなもの。彼女に限らず、登場人物の人間性は総じて酷いものでした。モーゼは偽父親になり済ましましたし(しかも誰も得をしていない!)、アイドルオタクの童貞紳士ぶりには苦笑いするばかり。岡田くんは正真正銘のクズでした。お前は大家さんにキレられる立場かと。弁護士先生のやっている事も独り善がりな感アリアリ。お父さん(鳴子の夫)の気持ちはどうなるの?で、タチが悪いのは、これらダメ人間エピソードを感動話に仕立て上げていることです。監督というより、劇団ひとりのセンスという気がしますが、ダメな奴がカッコ付ける事ほど恥ずかしいものはありません。V6岡田くんや塚本高史といったイケメン俳優の起用も、明らかに間違いだったと思います。バラバラに見えた主要登場人物たちが、主役を中心に集約される筋立ては、この手の物語の定番様式。こちらも脚本家の手腕が問われる部分。ところが何故かアイドル&オタクチームだけが本筋に絡んできません。こういうリアリティって必要ですか?脚本家の意図が測りかねます。正直、私には魅力を理解できない映画でありました。ただし、宮崎あおいの「ごしない」だけは絶品!頬が緩みます。方言女子に萌える方には、一見の価値があるかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-10-09 17:57:34)(良:1票)
28.  カラスの親指 《ネタバレ》 
香川照之でも、竹中直人でも、大杉漣でもなく、何故村上ショージだったのか。オチを見て納得しました。体躯に優れた阿部が主役に選ばれた理由も。役者が持つ世間一般のイメージや見た目の印象を利用したミスリードは的確でした。ただし、物語自体のインパクトはさほど大きくありません。伏線が少なく謎解きが唐突なので、驚きはすれど、感慨は薄いのです。また、彼の計画全体に不確定要素が多い点も高評価し難い要因かと。さて、冒頭に述べたように、キャスティングの意図は理解したつもりですが、それで村上の演技に対する違和感が消えるワケではありません。一人だけ別世界の演技レベル。しかし素人と決定的に違うのは、これを“味”と認識出来ること。ツッコミに類する台詞の座りの良さは流石ですし、敵アジトに乗り込んでの大芝居は、演技上手では逆に出せない緊張感を創出していたと思います。良くも悪くも、村上ショージが全てを持って行った映画だったと感じます。上映時間が2時間40分と知り評価アップ。時間が気にならなかったので楽しめたという事でしょう。今や時の人“あまちゃん”能年玲奈ちゃんもハツラツとした演技を披露してくれているところも見どころです。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2013-08-31 20:59:00)(良:1票)
29.  怪談新耳袋 異形 《ネタバレ》 
女性アイドル映画でホラーは人気のカテゴリーです。カワイイ女の子が怯える姿は画になりますから。それに“恐怖”という感情は単色で表現し易いという側面もあるでしょう。演技に不慣れなアイドルには有り難いのでは。よく目にするシーンは「キャー」からの失神です。ところがこれが意外と難しいのです。演技力が伴わないと、凄まじく嘘臭い「キャー」になってしまいます。恐怖の悪寒とは違う意味でのお寒い状態。そこで本作。スマイレージの皆さんの絶叫も、残念ながら後者の部類でした。ももクロの『シロメ』のようにハナから演技を要求しない手法も一つのアイデアですが、本作ではコメディ要素を加味することで、“いた堪れなさ”を緩和しています。これが井口昇監督を起用した最大の理由と考えます。ご丁寧にも、オムニバス4話全てにギャグが挿入されていました。中でもコメディ色が最も強い『部屋替え』の出来が一番良かったのは、ホラー映画として喜ばしい事なのかどうなのか。怪談新耳袋シリーズ中、異色の一作でありました。もちろん、キャッチコピー「この恐怖、笑えない」は大ボラです。
[DVD(邦画)] 4点(2013-02-03 22:59:01)(良:1票)
30.  カイジ2 人生奪回ゲーム 《ネタバレ》 
“地下チンチロ勝負”とは、『賭博破戒録』編前半の天王山。爽快感ではクライマックスの沼攻略を上回るかもしれません。その重要エピソードを削ったのは英断でした。そして大正解。各エピソードを中途半端な内容で再現し、大いに落胆した1作目の反省点が活かされたといったところでしょうか。そう、求められるのは原作エピソードの取捨選択。そういう意味では、原作の世界観に合わないオリジナルゲーム『姫と奴隷』や、地下労働とセットで意味を成す居酒屋での祝勝会等も必要なかったと思います。“沼攻略”については、原作の流れをほぼ再現出来ていました。ただし、カタルシスはありません。イカサマシステムへの対抗策が次々と披露されただけの印象。カイジらがどんな思いで、どんな代償を払って、乾坤一擲の勝負に挑んだのか。その過程は逆に省略してはいけないところです。言い方は良くありませんが、“上澄みを掬った”感は拭えません。本作も『カイジ』の映画化としては物足りないと言わざるを得ません。もっとも、そんな事は前作で学習済みです。失望感に対する免疫が本作の評価を“相対的に”押し上げている一因だと自分は捉えています。ただし、ご指摘の方もおられるように、人食いモンスター台“沼”の再現度や役者の熱演など、制作費に見合う長所があったことも付記しておかなくてはならないでしょう。さて、これで『カイジ』の映画化は一段落。次に福本漫画を映画化するとすれば、『無頼伝 涯』の人間学園あたりが面白そうですが、個人的には『最強伝説 黒沢』を強く推したい。主演は高橋克実で。
[DVD(邦画)] 5点(2012-10-06 19:57:39)
31.  鍵泥棒のメソッド
『WEEKEND BLUES』の感想にて、自分は『WEEKEND』と『運命じゃない人』が監督の頂点とならないように、と書きました(やっぱり偉そうですね。スミマセン)。その後、『アフタースクール』が制作された訳ですが、前述の作品には残念ながら及ばぬと感じました。内田監督なら“もっとやれるだろう”という思いがありました。それほど2作品が凄かったのです(『アフター』も十分な佳作なのですが)。果たして本作。前作から4年。期待半分、心配半分で鑑賞に望みましたが、この場にて声を大にして叫ばせていただきたいと思います。「こんな映画が観たかった!」。内田監督の代名詞とも呼べる巧みな脚本もさることながら、本作で特に素晴らしかったのが人物造形。俳優の持ちうるポテンシャル(演技力からパブリックイメージに至るまで)を存分に活かしキャラクターに命を吹き込んでいきます。その手腕のお見事なこと。今の広末をこれほど魅力的に撮れる監督が他にいるでしょうか。所作、言葉遣い、服装、その一つ一つに全て意味がありました。また『アフター』の感想と重複してしまいますが、画面から監督の人となりが伝わってくるのが内田映画の良いところ。根底にあるのは人間愛、人間に対する信頼。人間を丸ごと肯定しているから、皮肉に嫌味がありません。それが素直に笑える理由。この傑作コメディを映画館で観ないなんて選択はありません。極上のクスクス感と喜びの胸の痛みを多くの観客と分かち合ってください。観終えた瞬間から、車の盗難防止アラーム音が愛おしく聞こえるようになるでしょう(笑)。満点の採点で全く問題のない傑作ですが、内田監督には“これ以上”を目指していただきたいので、9点に止めておきます。次回作まで正座して(と言いたいところですが、自分にも生活がありますので、立ったり座ったり寝たりしながら)心して待ちますので、次回も極上の一品をお願いします。追伸。大事な事を言い忘れていました。『アフター』の感想にて、“魅力的な画作りを”との希望を述べましたが(またまた偉そうで申し訳ない)、本作では随所に観客の心を掴むイイ画がありました。中でも予告編でも使用されている“一人通天閣スペシャル”(@ダイナマイト関西)に、“2つのラストカット”(エンドクレジットが流れてもすぐに席を立たないで!!)。監督の主張が感じ取れる素晴らしい画でした。良い映画には必ず心に残るシーンがあります。(2020.2.27追記。韓国リメイク『LUCK‐KEY』鑑賞を機にオリジナルを再鑑賞。改めて本作の完成度の高さと“手数の多さ”に驚かされました。まるで内田監督から北斗百烈拳をくらったような。私の中のいい感じのツボめがけて全弾命中ですよ!無理矢理10点を回避していたのが申し訳ないので満点に訂正します。後発リメイクと比較する必要もないのですが、かの作品に無くて本作にあるもの。それが本編ラストカットに集約されています。ガバッツ。ガツッ!の部分。コメディとして最高の締めくくり。そしてこの“人間観”がたまらないんだよなあ。
[映画館(邦画)] 10点(2012-09-18 20:35:19)(良:1票)
32.  怪談新耳袋 怪奇 《ネタバレ》 
【ツキモノ】怨念主は周囲の人間に対して強い不信感を抱いて死んでいったものと思われます。“見殺しにされた”。だから「ミザル・イワザル・キカザル…」という恨み言を繰り返します。見る意思のない目なら要らないだろうと。取り憑いた相手も主と同じ孤独な女を選んでいるのでしょう。呪いの背景はおそらくこんなところ。少なくとも主人公は、この女の思いを汲み取る必要があったと考えます。でないと、気味の悪い女に襲われたという表層的な恐怖しか観客に伝わりません。死に様がギャルも真っ青のパンダメイクっていうのも、あんまり怖くない…。【ノゾミ】母の友人は主人公に向って「このままだとあなた死ぬよ」と言いました。霊障によって命を落とすという意味。でも仮に霊が憑いていなくても、彼女は危うかったと思います。自殺に至らずとも、前に進めないのであれば死んだも同じ。本当に助けてもらったのは、主人公の方だったのかもしれません。静かなオカルトホラーという狙いは悪くないですが、一本調子は困りものです。震え上がる恐怖を乗り越えて、切なくも心温まる余韻に浸りたいと思いました。ツキモノ3点、ノゾミ5点の採点です。
[DVD(邦画)] 4点(2011-12-21 19:58:01)(良:1票)
33.  神様ヘルプ! 《ネタバレ》 
今更なのですが、自分はジロリアンです。ラーメンじゃなく俳優の方の。佐藤二朗。アクが強すぎてキャスティングバランスを崩してしまう劇薬俳優ですが、ハマったときの爆発力は他に類を見ません。本作ではプチ爆発といったところですが、これくらいで十分面白い。基本設定はシリアスなので、ジローでコメディテイストを付加するのは戦略としてアリだと思いました。トリックのネタはミステリー映画好きなら、もはやお馴染みと言っていい例のヤツ。1回目の鑑賞よりも2回目の検証の方が面白いかもしれません。ちゃんと整合性が取れていて良かったと思います。タイトルは『神様ヘルプ!』というよりは『学園天国!』かも。
[DVD(邦画)] 6点(2011-11-15 18:48:47)
34.  カラフル(2010) 《ネタバレ》 
『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』等の演出、監督で高い評価を得てきた原恵一監督。完成されたパッケージを離れて挑んだオリジナル作品『河童のクゥと夏休み』は、“原恵一とは何者か”が垣間見える映画ではありましたが、一作品としての完成度は十分なものではなかったと考えます。そこで本作。原作本はあるそうですが、冒頭に上げたシリーズ作品と比べれば制約は無いに等しい。“原恵一色”がどれほど出せるものか、興味を持って拝見しました。まず気付いたのは、作画部分が改善されたこと。アクの薄いキャラクターデザインという点では変わらないものの、洗練された印象を受けました。また、『クゥ』ではある種の苦味として認知されたリアルな描写(例:血飛沫など)が、本作では物語と遊離することなく表現出来ていたように思います。感心したのは真がひろかをラブホから連れ去る場面。2人が息つくまで、実に20回近くカットを割ります。それは長い。しつこい程に。でも、この長さは主人公が現実から逃げた距離。ちゃんと意味があります。そしてこれが原映画のリズム。“原恵一アニメのかたち”を本作でしっかりと打ち出せたことは、素晴らしいと思います。メインキャストに非声優を起用しながらも、違和感なく仕上げたキャスティングセンスも評価させてください。みんなオカシクて当たり前。いろんな自分が居ていいんだ。自身を肯定することが、生きる力になる。良い映画でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-10-10 21:22:09)(良:2票)
35.  完全なる飼育 メイド、for you 《ネタバレ》 
今や国際的おたくタウン、秋葉原が舞台。ターゲットがコスプレメイドで、監禁場所が漫画喫茶というリアルに在りそうで怖い設定ながら、実現性は低い。他人に興味が薄い都会とはいえ、漫画喫茶の一室で長期間監禁するのは不可能だから。その結果、本シリーズの要である“飼育”要素がスポイルされています。寂しい者同士の傷の舐め合い。普通の恋愛と大差ない。メイド本人が被害を訴え出なければ事件化は難しいケースです。でもそれでは“拉致も出会いの一つ”と馬鹿が勘違いしても困るワケで、どうしても重犯罪として処理しなくてはいけなかった。前田健はそのためのトラブルメーカー。バッドエンドは必然でした。タイトルも“冥土”ですしね。ところが苦くも切なくもない後味。深作マジックが見事に物悲しさを打ち消してくれているのです。実は『エクスクロス』で深作監督のコメディセンスに興味を抱き、本作の鑑賞に至ったのですが、どうやら“本物”ではないかと。ナチュラルギャグが上手いのです。本作の場合は、もちろん前健の背中のナイフ。「病院行ってないのかよ!」「警察は被害者未確認で指名手配を打ったのかよ!」「っていうかナイフ抜けよ!」1つのボケで少なくとも3つはツッコめる。コレをコメディ以外でやるのだから大したものです。このセンスは才能だと思う。振り返れば同監督の『スケバン刑事』も自分的にはアリでした。愛すべきクソ映画の量産が期待されます?!
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-02-21 20:20:08)
36.  カイジ 人生逆転ゲーム 《ネタバレ》 
ご指摘の方も多々おられるように、最初のゲーム『限定じゃんけん』だけで映画が1本楽々作れます。本作はいわば長編映画3本分の素材を無理やり2時間に収めたようなもの。各ゲームの設定を簡略化し、ドラマをシンプルに作り直す。この方法しかなかったのは理解できますが、結果として原作の長所が失われてしまったのでは価値がありません。ホント、爪の垢ほども残っていなかった。ゲームからは戦略性が削ぎ落とされ、ドラマからは泥臭さと執念が消えた。出がらし。旨味無し。これで『カイジ』という看板を掲げるのは詐欺だと思う。特に腹が立ったのは、石田のおっさんの扱いです。嘘、裏切り、騙まし討ちが当たり前の戦場において、カイジが良心を持ち続けられたのは、おっさんがいたからに他ならない。おっさんは弱者です。搾取される側。でも他人を思い遣る心を失わなかった。その優しさにカイジの心は救われました。おっさんの最期には、この後のカイジの戦い方に影響を与える意味がありました。持たざる者、負け行く者が見せた精一杯の矜持。その感動を観客に十分に伝えるためには、エスポワールでの2人の関係をきちんと描かなくてはいけなかった。この省略は致命的です。本作は『カイジ』ではなかった。きっと『カイヅ』か何かの間違いでしょう。そう思うことにします。麻雀といえば透明牌、漢字1字で「みなごろし」が書ける、人間学園出身でアジフライには目がない原作ファンの愚痴でした。失礼しました。原作未読の皆様へ。もし原作漫画に少しでも興味を持たれたなら、原作本1巻~5巻(希望の船編)だけで構わないので読んでみてください。運否天賦にみえる『限定じゃんけん』のルールの裏に隠された驚愕の必勝法に触れてください。原作は映画の2,000倍は面白いです。(200倍じゃないです。二千倍です。)最後に、貶してばかりではアレなので、良かったところも指摘しておきます。金貸しの遠藤を演じた天海祐希。原作の遠藤は男性なのですが、天海が一番福本伸行キャラを再現していたのは意外。福本が描く女性って確かにあんな感じです。色気無いし、アゴ尖ってるし。
[地上波(邦画)] 3点(2010-10-19 19:59:13)(良:3票)
37.  怪談新耳袋 劇場版 《ネタバレ》 
全八話の短編で構成されているオムニバス映画。各話に関連性はなく、起承転結を有している物語から、シチュエーションの提示のみで終わるものまで様々です。気になったものだけピックアップしてみます。『約束』叔父の長期出張中に、豪邸の留守番をすることになった主人公。家主との約束は「呼ばれたら返事をすること」。確かに1日に1回、何処からか「○○さん」という女の呼びかけが聞える。もしこれがリアルな肉声だったら、怖すぎてすぐに逃出したと思う。でもくぐもった電子音のような響きゆえリアリティが無い。恐ろしい状況を受け流してしまう主人公の気持ちが理解できました。声の主のビジュアルも含めて、自分はコレが一番面白かった。『視線』は堀北の美少女ぶりが際立つ一編。暗いけど。物語はオーソドックスながら、“視線の怖さ”を感じることが出来ました。『ヒサオ』は烏丸せつ子の一人芝居。オチは想像できましたが、途中アンフェアなシーンが挿入されていたのが残念。影ならOKですが、実体を映してしまうのはダメだと思う。各話10分程度なので、サクサクと観られるのはイイですが、オチの無いものはちょっとモヤッとします。
[DVD(邦画)] 5点(2010-07-12 19:38:10)(良:1票)
38.  怪談(2007)
前半は好調。役者の技量も高く、落ち着いたテイストで物語は進んでいきます。とりわけ感心したのは、尾上菊五郎の存在感。あの色香、艶の在り様は流石としか言いようがありません。黒木、井上といったキレイどころが霞むよう。自分は男ですが、彼になら抱かれてもいいかなと。いや冗談ですよ。冗談。  ところがホラーの色調が濃くなるにつれ、次第にありきたりなホラーの様相を呈してきます。音楽の煽りとドッキリが主体の、いつもの中田節。CGまる解りの蛇が出てきたところで、一気にテンションが落ちました。落語が原作の時代劇ならば、それに合わせたワビサビの効いた恐怖演出を見たかったと思います。
[DVD(邦画)] 5点(2010-05-31 20:23:05)
39.  鍵(1997)
世間は、自称○○に結構甘いです。本人が言うなら、そうなんでしょと受け入れてしまうところがあります。お笑い芸人、美人姉妹、芸能界のご意見番、ハイパーメディアクリエイター。有栖川宮なんてのもありました。川島なおみの場合は自称“大物女優”。全身から女優様オーラを発しています。正直、何故あんなに堂々としていられるのか不思議で仕方ありませんでした。でも本作を観てその謎が解けた気がします。彼女の自信の拠り所は、本作に在るに違いありません。ただし、それは彼女の錯覚。過大評価もいいところです。脱いだら一流女優というわけではないのに。でも勘違いも気付かなければ本物と変わらない。少なくとも本人にとっては。思い込めば血液もワインに変わるのです。川島にとっては、それが一番幸せなのかもしれません。でも僕は忘れませんよ。あなたが一番輝いていたのは、車だん吉の横だということを…。
[DVD(邦画)] 4点(2010-03-11 19:24:08)
40.  神様のパズル 《ネタバレ》 
学業優秀な母とスポーツマンだった父の血は受け継いでないけれど、ウッカリ屋と頑固な性格はしっかりコピー。最近は髪の薄さも父に似てきて(苦笑)。これが親と照らし合わせた時のわたしの姿。だからどうしたって話ですが、サラカには出来ないこと。自分が何処へ向かうかを決めるため、まず何処から来たのかを確かめたい。巣立ちの一歩。飛ぶためにまず大地を踏みしめます。その土台がアイデンティティ。サラカは誰よりも高く飛ぶ能力を持っているのに、飛ぶ事はおろか立つ事さえままならない有様。危なっかしくて見ていられません。足場を固めるのは子の仕事。でも土台の原料を提供するのは親の役目。それを知る由もないサラカは、独りでもがき苦しんできたのだと思う。その心の痛み、不安たるや想像するに余り有ります。ただ、彼女はツイていた。最悪を避けられたのは、魂の応援歌を歌ってくれる人がいたから。弱っているとき、栄養をくれる人がいたから。母親だって不器用だっただけ。悪い人じゃない。自我を手に入れるのは、自分の力を証明すること?いや、ただ只管に、自分自身を肯定すること。綿貫の腕の中に飛び込んで、彼女は自我を手に入れました。それは“自分の宇宙”を創り出したのと同じ。彼女はもう何処へだって飛んでいける。正直、サラカが『無限』を乗っ取った時はやり過ぎだと思いました。でも綿貫が天井を突破ったとき、見方が変わりました。一線を越えた馬鹿演出が胸に刺さりました。何故スタンドマイクがあったのか?サラカの心に想いを届けるためにマイクが必要だったから。綿貫の滑舌が悪すぎる!けどアイツの気持ちは伝わってきた。初めて三池監督の演出を凄いと思いました。谷村美月のオッパイも、いやいや演技にも感心。市原くんの歌も良かったです。ただ脚本の粗さは目立ちますし、三池映画特有の品の無さも気になります。お世辞にも出来のいい映画だとは言えません。しかし自分にとって愛すべき映画ではありました。
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-13 20:18:09)(良:1票)
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