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1.   《ネタバレ》 
この映画の幽霊の表現があまりにも大胆であることに驚く。 結果的に小西真奈美演じる春江は幽霊だったのだが、映画における幽霊という存在は大概が誰か、つまりある登場人物が見た幽霊という存在としてはじめて幽霊は存在するのが一般だが、この映画ではその幽霊が階段をひとりで降りて、道をひとりで歩いている。しかも真っ昼間にだ。誰に見られているわけでもない(あえて言うならキャメラを通してスクリーンにて我々観客が見ている)独立した存在の幽霊ということだ。まるで春江という幽霊がごく日常の中に生身の人間の如く存在していているようなのだ。これはかなり際どい表現であると思うし、今までの幽霊が出てくる映画ではこのような表現はほとんどない。 そもそも葉月里緒菜演じる最も幽霊らしい幽霊ですらおかしい。律儀に扉から出て行く幽霊というのは一体何だ。 結局、この映画における、というより黒沢清における幽霊の解釈が以前の彼の作品より遥かに自由になり、生身の人間の意識と平行して存在するわけでなく、彼女ら自身もそれとして意識を確立し日常にごく普通に溶け込んでいるという大胆な解釈になったのだ。 なのだから、この映画の幽霊は恐くない。生きている人間と死んでしまった人間というくらいの差異しかない。 ただ葉月里緒菜演じる最も幽霊らしい幽霊の迫り方は、「DOOR III」と全く同じだが、この表現方法はやはりなかなか怖い。  すべての過去はなかったことになどできない。過去は迫ってくるのだし、責任を負わなければならない。
[映画館(邦画)] 7点(2009-05-06 05:07:36)
2.  残菊物語(1939) 《ネタバレ》 
悲しくも、恐ろしく美しい。 西瓜をふたりで食べようとする、勝手場での長回しのワンショットに心が震え上がる。 これは映画を見ていくと、後に、菊之助とお徳が離れ離れとなり、 菊之助が、昔ここでふたりで西瓜を食べたということを思い返すシーンとして、 前述の勝手場のワンショットと全く同じ構図が反復される。 ただその勝手場にはお徳の姿はなく、菊之助だけが、ひとり佇んでいるのだ。 回想シーンが挿入されるわけでもなく、同構図で反復されるというだけで、 あのふたりで食べた西瓜の時を菊之助は思い出しているのだろうと 我々観客は気付くのだが、もう涙なくして、佇む菊之助を直視することは出来ない。 しかしその後々に反復されるという事実を知らずとも、 もはや西瓜を食べようとしているショットの時点で深く心に響いてくるのは何故か。 それはやはりこのショットが後のふたりの運命を喚起していたからなのか。 或は、溝口健二の馳せた想いが、後に反復するこの構図から、 スクリーンを通して滲み出てきていたのだろうか。 だからか、菊之助が「お徳、ちょっと持っておくれ」などと言うだけで、 切なさが溢れ出し、涙が頬を伝うのだ。 そう、つまりこれは全て溝口健二によって仕組まれた周到な仕掛けだ。 この仕掛けは台詞ではない、身振りでもない、構図だ、ショットの持つ強さだ。 そしてショットの反復は他にも繰り返される。舞台袖だ。 映画の冒頭、父は舞台袖で菊之助の至らなさに腹を立てる。 この舞台袖での件というのは映画が進んでも幾度となく登場する。 そして菊之助がとことん落ちぶれた後に、東京への再帰をかけた舞台が終わった時の、 その舞台袖でのあの感動はなんなのであろうか。 更に、菊之助がいた二階の安下宿。ここに菊之助と離れ離れになったお徳が戻ってくるとき。 昔、鏡台を二階に運ぼうとしたときと全く同じ構図、そう階段上からのあの俯瞰のショットが、 それも空ショットとして挿入されたとき、お徳の悲しさ、寂しさ、そして優しさに心を打たれる。  そして映画はいつまでも鳴り止まぬ声援に手を上げ答える菊之助、 そして静かに息を引き取るお徳、このあまりにも悲し過ぎる対比で幕を降ろす。 しかし、美しい。この美しさは作品の持つ悲しさを破綻させるほどの恐ろしい美しさだ。
[映画館(邦画)] 10点(2008-10-14 00:01:04)(良:2票)
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