Menu
 > レビュワー
 > なんのかんの さんの口コミ一覧。2ページ目
なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2336
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  噂の娘 《ネタバレ》 
『妻よ薔薇のやうに』の年の暮れの作品で、設定もお妾さん絡みでちょっと似ている。ただし娘は姉妹で、和装の姉は同情的、洋装の妹は反発している。それに家業の酒屋の没落が絡む。婿の頑張りも限界、遊んでいるおやじのほうも元気一杯というわけではなく(釣りはいらねえぜ、と言ったものの釣りを受け取ったり)、全体が衰弱していく気分に包まれている。その気分そのものがこの映画の味わいであって、特別モダンな妹に希望を託すわけでもない。酒がマガイモノでだんだん質を落としていくような衰弱感に、映画もひたされている。見合いのあと橋の上をトボトボとやや俯き加減で歩く千葉早智子のあたりに成瀬のトーン。ラストで家庭内の緊張が高まり、妾が店たたんでやってきて、妹が誕生パーティで父と喧嘩し、カットが細かくなり、カメラの向きが変わって、そこで警察=外部が入ってきて、という展開のリズムの妙。向かいの床屋の「次は何になるかねえ」という冷たい言葉でサッと締める厳しさ。何が噂の娘だかよく分からないけど、一番描きたかったのは“姉”の寂しい笑顔だったのだろう。一家を支えて頑張るぞ、って感じじゃなく、家の滅びに殉じてもいいのよ、という微笑み。
[映画館(邦画)] 7点(2009-06-24 12:08:17)
22.  裏切りの季節
ベトナムでのアメリカ軍の暴虐と、SMとが対比されているらしい。60年代とは、政治と性を一緒に語るのが好きな時代だった(というより昭和40年代かな)。公の極限と私の極限。ただそれが一つの形式になってしまって、とりあえず政治と性を並べておけばサマになる、ってところもあった。その安直さを許す気分自体もあの時代っぽさ。今見ると、渋谷を初めとした都市のロケに資料的価値がある。室内の場になるとマダラな照明になるのは、『胎児が密猟する時』もたしかこんなだったが、カール・テホ・ドライヤーのタッチを模倣したというような美的効果より、写っちゃまずいところを不自然でなく見えなくする手段だったのではないか。あるいはもっと単純に照明費の節約だったかもしれない。またこの時期のこの種の映画ではSMが多く扱われるのだが、男の時代・暴力の時代であったというより、カラミを描くには制限が多すぎ面倒なので、映画の存在理由である女体を簡単に見せるのはSMが一番やりやすかったという面もあったかもしれない。ジャンルの様式とは、内的な芸術的必然性より、案外そんな外的要素に左右されてるとこがありそうだ。でもそういう職人仕事がかえって時代ならではの気分を反映するもので、全体に漂う息苦しさ・閉塞感はマガイモノではなかった。ラスト、風でズッていく広げた傘なんかに、つい時代を深読みしたくなってしまう。
[映画館(邦画)] 5点(2009-06-08 12:04:17)
23.  右門捕物帖 拾万両秘聞 《ネタバレ》 
ああそうか、金田一シリーズの加藤武のルーツは、この志村喬の“あば敬”にあったのかもしれない。ヨシッ、分かった、とひとり合点し、見当違いの人間をしょっぴいていっちゃう、という役柄。志村喬の軽躁さと対照的に、アラカンはずっと大きな動きを見せずにムッツリ考え続け、「伝六、カゴを呼べ」で一気に動き出す。序破急の呼吸。時代劇でヒーローが悪漢を捕らえるときって、眉間にしわをよせ大仰に何かをこらえる表情をするのは、「てめえのような悪漢を含む世界全体を憂えてるんだ」ってポーズなのかなあ。それぐらい悲壮感に満ち満ちた表情になる。それとも「てめえのような汚ねえ野郎とは、仕事だからいやいや関わってるんだ」という軽蔑なのか。半世紀以上たってもテレビ時代劇の松平健あたりにまでつながっている伝統の眉間のしわだ。ドラマとしては、冒頭に刻限を決めた約束があり、ラストで切腹からのぎりぎりの救出があって、整えられている。十万両奪取の動機が複雑な政治的陰謀ではなく、恋のもつれというのがアッケラカンと分かりやすい。芝居小屋は時代劇ではよく背景に使われるが、味わいがあっていい。これでは犯罪で使われたシビレ煙幕と芝居の児雷也の仕掛け煙幕とが絡んでくる趣向で、ドラマの悪にも芝居の悪のようなおおどかな気分が添う。
[映画館(邦画)] 6点(2009-05-30 11:58:39)
24.  うなぎ
男たちがダラダラと床屋に集まっているあたりに味を感じたが、これは今村のものだろうか。男たちの集団は『果しなき欲望』とか『豚と軍艦』とかで描かれてるけど、それらはもっとギトギトしたものを持っていた。今回はサークルのような寛ぎの場で、船大工、やくざもん、UFOきちがいらによる浮世床の世界。この場を提供している役所は一歩退いていて、心的には外部の柄本明に近いのかも知れない。だからギトギトと煮詰まってはいかない。もちろん監督には自分の作品のトーンを定着させない権利があり、こっちに勝手に決められても困るだろうけど、うなぎと言えば『復讐するは我にあり』のドローンネチャネチャとしたカットが印象に残っているので、ついネバっこいものを期待してしまったのだ。人を見る目が優しくなったぶん、ドキッとさせる時間は減ってしまった。昔だったら、柄本明がもっと膨らんだだろう。
[映画館(邦画)] 6点(2009-04-13 11:57:26)
25.  うた魂♪ 《ネタバレ》 
歌ってるコーラスを見ると、たしかに感情表現がオーバーな人が必ずいて、そこから自信過剰・自己陶酔のヒロイン像を生み出したってのは、うまいところを突いた。陶酔のあまりいつもポカーンと口をあけているヒロイン。これに男性合唱団が絡んでくるとなると、恋愛ドラマも絡んできそうなところだが、この男性合唱団がとんでもないキャラクターで、そこでこの映画は膨らんで成功した。恋愛はどうってことない生徒会長との脇筋に押しやり、この副主人公格の男性合唱団長とは、子弟の関係になるところがいい。なんとこれは、求道の映画なのだ。港で訓戒を垂れるところはさながら秘伝伝授の場で、大事なところで後ろの連中がハミングを入れだすのには笑った、このセンスは貴重だ。真剣になっているとき、顔なんか気にしちゃいけない、って訓戒。そういえば浅田真央だって三回転半跳んでるときは凄い顔してる。合唱大会、ヒロインのとこのコーラスより、前の男子校(ケチャがはいるやつ)のほうがうまく聞こえたが、ここはヒロインのとこのほうがうまいんだ、と思って聞くのが映画の観客としての礼儀だ。 
[DVD(邦画)] 7点(2008-12-27 12:20:00)(良:1票)
26.  浮雲(1955)
戦時下の仏印というニセモノの極楽で出会ってしまった二人が、戦後の現実と折り合いをつけられないまま日本中を漂い流れ、また南へと下っていく、と要約できる話だ。ずっと不貞腐れていた高峰秀子が、屋久島へ連れていって下さいと、泣いて哀願する迫力が見事で、あの渡航のシーンで終わってもいいんじゃないか、と思ってしまう。不貞腐れる、ってのは、とても非建設的な行動で、現状への不満は表明するが何ら積極的な働きかけはしない、ってこと。戦後の映画はもっぱら建設的なアピールをしていたが、ひとり成瀬は、不貞腐れる高峰を信念を持って撮り続けた。みんな一緒にスローガンのもとで調子に乗るのに比べれば、不貞腐れるって行為は、個人が取れる精一杯の批評だったんじゃないだろうか。彼女はいい加減に不貞腐れていたのではなく、一生懸命に不貞腐れていた、必死で不貞腐れていた。そしてついに不貞腐れるのをやめたのは、建設の側に回るためではなく、全否定の側に回るためだった。すごい映画である。ただ成瀬の本領は、いろいろあっても市井に留まり続ける普通の人たちを描いた作品のほうで、より発揮されてるんじゃないかなあ。
[映画館(邦画)] 7点(2008-11-21 12:11:58)
27.  Wiz/Out 《ネタバレ》 
すごく面白いところと、すごくつまんないところがある困った映画。比率で言えばつまんないとこの方が多いけど、そこは見なかったことにしてやろうという、新人監督(園田新)を応援したい気持ちになる映画でもある。冒頭が引き込まれる。これから見るかもしれない人のために細かくは言わないけど、テレビとケータイの時代の恐怖で押していく。他人の事件をドラマとして安全地帯から眺めていたはずが、しだいに当事者になっていく。テレビ画面と現実との切り返しが効いていて、このモチーフだけを膨らませてくれたら傑作になっていた。たとえば遠くの戦争のニュースを見ているときの漠然とした不安(遠くのものが本当に遠いいとは限らないまでに込み入っている現代社会)とも関係があるような。これが話の本筋になるとチマチマした通俗青春ドラマになって、ある天変地異が拡がっているのに、渚で女の子が裸足になって波と戯れてたりする。ま、この天変地異が冒頭の事件の波及した結果らしいんだけど。けっこう撮影大変だったとこもあるんじゃないかなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2008-11-05 12:16:07)
28.  歌え若人達 《ネタバレ》 
木下恵介のコメディが好き。これが最後の純コメディになるのかな。松竹戦前からのお得意のスター誕生物語の枠組みだが、でもテレビで人気が出てから映画へというコースになっているのが60年代。永井智雄、大森義夫、坪内美詠子と、テレビ「事件記者」のレギュラーが顔を揃えたのは偶然か。他愛ない作品だけど、何となく現実と触れあえない気分や、もひとつたぎらない青春の血潮ってあたりに、脚本山田太一の色を感じる。東山千栄子に代表される田舎の重圧は木下のテーマ。特別出演の佐田啓二が「俺ら岬の…」を、田村高広が「女の園」を歌うというウチワオチあり。寮生活模様のスケッチ、いつもぶつかる手前のドアのギャグとか、若水ヤエ子管理人の放送などで笑わせる。ストリップ見た後ですぐに寮の男風呂のでぶのカットになるというギャグもあった。他愛ない作品ではあっても、いい加減な感じはない。
[映画館(邦画)] 6点(2008-08-26 12:15:15)
29.  ウォーターボーイズ
微妙にこの監督向きの題材ではなかったような。ガールフレンドが自販機にケリを入れて登場するようなあの感じこそ、この監督の味だ。「これコツがあんの」って。5人がボーゼンとこっちを向いて並んでいる場の反復とか。頑張って成功するという段取りのとこより、新任女性教師の登場でワッと集まり、産休でワッと減り、テレビで紹介されてまたワッと集まり、ってようなとこがいい。ゲーム機などを見ると同時代の話らしいが、出てくる曲はすべてナツメロ、これ監督の強引な趣味であろう。指導者がいいかげんなイルカ調教師ってのは面白いんだけど、竹中直人がはしゃぎすぎてしまう。
[映画館(邦画)] 7点(2008-07-13 11:13:36)
30.  うつせみ 《ネタバレ》 
留守の家に男が忍び込んではいるのだが、どうも主体は男より家のほうに感じられ、その家の空気に男が溶け込んでいってるような感じ。むりやりの闖入者というより、空き家の空間が男を招き寄せたような。だからボクサーの部屋に入り込めば、男はグラブをつけてボクサーになってしまう。男の方に主体がないから、かえって男はその部屋の住人として違和感なく自在にふるまえる。特定の個人の部屋でない牢屋で、気配を消してしまえるのも当然のことかもしれない。現代人にとって夢のような、あるいは悪夢のような話。家に溶けてしまうこういう愛人を妻に持たれたら、もう亭主には手の打ちようがないのだ。
[DVD(字幕)] 6点(2007-11-03 12:20:13)
31.  美しい夏キリシマ
死に遅れた少年の目にうつる幻想の二週間。この監督、戦時下の日常にこだわってきた人だけど、リアリズムのようでいて、そこからちょっとはみ出すところがいい。ジャングルの湿気た雨の世界から生還してきた傷病兵が、こっちはずっと雨降っちょらんですねえ、とつぶやく。単に事実を述べただけなのだろうが、それだけで広がる青空がなにやら魔法にかかったもののように見えてくる。ラストの竹林の雷雨とそこにかかる虹が、単に虹としての美しさ以上のものに見えてくるのは、その魔法の効果だろう。
[DVD(邦画)] 6点(2007-10-03 12:22:25)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS