1. ナイト・オン・ザ・プラネット
ジャームッシュの手にかかれば誰だって映画の主人公になれる。人が人に出会う、その前もその後もおそらく他人のままの二人の一回だけの出会い。その一回きりの出会いさえあれば映画ができる。世界中の中から5つの都市が選ばれ、それぞれの場所で、タクシー運転手と客のひとときを切り取る。5つの都市といっても登場する人たちのバックボーンはもっと複雑で、様々な人種が交錯する様はいかにもジャームッシュ映画。ジャームッシュは常に映画の中で様々な国の文化に触れ、文化と文化が自然に、あるいは不自然に溶け合う様を好んで取り入れている。そういう意味ではこの作品は最もジャームッシュらしいと言える。その一方でジャームッシュらしくない部分もある。それは一つ一つのエピソードがひとつのストーリーとして洗練されすぎている点。どのエピソードにもささやかな伏線がありささやかな起承転結がある。脚本が出来すぎなのだ。ここまで完成された5つのショートストーリーを見せられたら、いくらそれが「らしくない」といっても満足度のほうが大きいので個人的にはOKなんですが。彼の作品の中では、映像よりも脚本のうまさというか、話の構成のうまさというのが印象に残る作品。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-12 16:09:35) |
2. 南京の基督
芥川龍之介の「南京の基督」と監督のオリジナルを合わせたものらしいが、なかなかいい。いいというよりせつない。せつないというよりせつな過ぎる。富田靖子がひたすら純真無垢な娼婦を見事に演じきっていることで輪をかけてせつなさを強調している。 7点(2003-10-27 17:50:10) |
3. 涙そうそう
公開時の新聞に載った土井監督の言葉によると、テレビとは違って暗い館内でスクリーンに集中する映画の観客に説明しすぎないことに気をつけたとあって、それはおそらく前作『いま、会いにゆきます』があまりに説明しすぎたところの反省も含んでいるのだろうと思われるが、たしかにこの『涙そうそう』には説明をわざと抜いてるなと思わせる場所が多々見受けられる。とくに妹が登場するまでの兄の生活ぶりとか妹と兄のカノジョの初対面(観客にとっても初対面)で説明を排除したことはそれなりに映画を停滞させずに見せることに貢献しているとは思う。でも矛盾を起こしてはいけないとか意味を持たせなきゃいけないというところからは開放されていないので結局そこで説明じみたものが入っちゃう。例えば嵐の再会シーンに意味を持たせる為の子供時代の嵐のシーンは全編説明で成り立っている。例えば兄の過労を納得させるための詐欺事件はこの映画からえらく浮いている。見せたいものだけ自由に見せても観る者は勝手に想像力をもって理解してくれるものなのだ。そしてその想像をリードしてくれたら面白いものがきっと出来上がる。長澤まさみに、にーにーと呼ばれる。萌え萌えな想像を喚起するこの響きを利用しない手はないではないか。ああ、もったいない。 [DVD(字幕)] 4点(2009-02-16 18:46:46) |
4. ナイスの森 The First Contact
映画じゃないです。ショートコント集です。ショートコント集として見れば、それなりに楽しめる。たしかに全然面白くないのもあるけど、例えばテレビコマーシャルに、声に出してまで笑わないけど、単純にこれ面白いなあと思うのってあるでしょ。コマーシャルだから当然何度も見るわけだけど、その度につい目がいっちゃうみたいな。そんな感じの面白さ。シュールでクオリティの高いショートコント集。でもショートコント集だから面白いのであって、いや面白くなくたって許せるのだが、これを映画だと言われれば腹もたつ。この監督の『茶の味』も私はダメ。同じ意味合いにおいて。でも西門えりかが可愛い。で、ラストで加瀬亮と踊るのね。ウッソー、ウソソって。これがまた可愛いんだ。ちょっと恥ずかしそうに踊るんだけど、ふと横を見ると加瀬亮めちゃテンション高!このラストダンスに免じて3点。 [DVD(邦画)] 3点(2007-10-09 17:57:59) |
5. 波の数だけ抱きしめて
「彼女が水着に着替えたら」よりまだ見れた。現実的度合いが「私をスキーに連れてって」に戻った。でもしかし、三上を大きく上回る織田の優柔不断ぶりにはかなりイライラさせられるし、出てくる連中はみんなくさすぎるし、三角関係だか四角関係だかって展開もベタベタでこれもイライラする。織田裕二のファンか中山美穂のファンならOKなんだろうが..。 3点(2004-01-21 18:15:37) |