1. 霊的ボリシェヴィキ
《ネタバレ》 あらかた、言いたいコトを『ザ・ミソジニー』の方で語り尽くしてしまったのですが、私自身は今作の方もまあまあ嫌いじゃない…的な感じではありますよね。思い返せば『女優霊』もこの方の脚本だったのですよね⇒『ザ・ミソジニー』に比べれば、あの頃位の和ホラーの「奥ゆかしい」感じが好ましく残ってる(+ワリとまだしっかりホラーの範疇に居残ってる)みたいな感覚もあったりして。特に、語られる「5つの話」のソレ自体については、その語り口・実際の演技も含めて全然雰囲気好く醸せてたと思うのですよ⇒それこそ舞台で暗くして車座でやったら(+ソコに後ろから音とか鳴らしたりしたら)結構怖かったりもするんじゃねーか…的に思えたりもして、ですね。 でも、コレは映画であって舞台じゃない…ので、まあ映画でやられても(コレだと)正直怖くはないかな…と思ってしまうのも事実っすね。あと、コレも『ザ・ミソジニー』の方でも書きましたケドも、他方で今作でもチョイチョイ添加されてくる(怖がらせる為の)音響・映像効果なんかは、率直にレベルとしては全然高くない…とも思ってしまいます(⇒特に音響のソレってのがどーにも全部安っぽくてゲンナリ…)。加えてもう一つ、前述の「5つの話」は別としても、ストーリーの全体構造自体もまた少し安っぽい・(ホラー的にはごく)月並なヤツだとも思ってしまいますかね⇒それこそ『マーターズ』みたいなのもワリと直近でつくられてた時期だと思いますし。結論的には今回再見しても、どーせならもっとその方面に「尖っちゃえば」みたいな感覚で観終わった、と⇒だから重ね重ね、私は『ザ・ミソジニー』の方がちょっと好みではあった、てコトっすかね。 [DVD(邦画)] 5点(2024-05-24 00:12:35) |
2. THE LEGEND & BUTTERFLY レジェンド&バタフライ
《ネタバレ》 第六天魔王を名乗った信長は、それでも人として本能寺で死んでいった…その信長を、光秀は裏切ったのではなくて見限ったのだ、というアイデアも含めて、個人的には見たコトが無かったこのお話の解釈がまずは新鮮でもありましたし、展開運び+実際の演技・演出も含めてごく「しっくり来る」流れだったと思いました。個人的には相当面白く観終われたのですが、そもそも信長のその人間らしさや或いは「弱さ」の方の描き出しにコンセプトを置いた内容自体や、そんな信長と濃姫の色恋沙汰がほぼほぼ9割がたを占めてるというコト(⇒168分の映画にしては中身がもしかしたら普通かも…)+(⇒大河ドラマ的なのを期待して観に行ったら合戦シーンとかほぼ無かったんだケド…)とかには疑問を抱く方も居るのかな~て気もしました。一点、長大な歴史物語を映画で描くのにどーしてもダイジェスト的な(かいつまんだ)シナリオになるのは仕方が無いとしても、それでも信長くらいの超有名人だと(+濃姫は史料が殆ど無いので描くのに制約も少ないし)こーいう感じで映画化してもワリと違和感無く付いてゆけなくもねーな…とは感じましたかね(⇒でもまあ時間の流れはリアルとは感じられ得ない…て欠点は確かに在りますケドね)。 主演2人に関して、まず綾瀬はるかはとにかく超・美しかったですね~専任メイクの方の仕事が尋常じゃないのか、それとも何らかCG的なモノの助けを借りているのか、ま~アップのショットはどれも「生身のモノとは思えない」という肌の美しさでしたね(眼福)。そしてキムタクの信長ですが、ギラギラした「如何にもな」序盤の信長ぶりも(ある意味やっぱ当然に)かなりハマってたと思います、が印象的だったのは中盤の魔王になりかけて寧ろ魂が抜け落ちてゆく様な虚ろでやつれた様子の方でした(なんかも~キムタクに見えなかったです)。この部分の展開=信長が人でなくなってゆくハズの部分については(私としても)少し運び方自体も軽かったかな~とソレ自体はややイマイチにも思えたのですが、演技そのモノとしてはかなり好みな方のヤツでした。キムタクも、他の元SMAPの方々に倣って新境地開拓!でしょーかね。 [映画館(邦画)] 8点(2023-02-06 17:34:24) |
3. 恋恋豆花
《ネタバレ》 映画というよりは旅レポ・食レポ方面にだいぶん寄った質感で、とは言えその意味の範囲内では全然悪い作品でもないかなあ、と(キョウビの状況において台湾旅行したつもりで観る分には全然使えるとも思います)。しかし、映画としての体裁的な意味合いでいちおう人間ドラマ要素が無いワケではない、そしてその部分がむしろ少し中途半端で若干興を削ぐ様な、という悩ましい感じでもあるのですね。もう一つ、その旅レポ・食レポを実際に担うのはモトーラ世理奈ちゃんなのであり、このコに対する好みとゆーのも直に作品の評価に繋がってくるのは確かだろう、とは思います(私は正直、楽しそうな彼女の様子が観たくて本作鑑賞しましたのですね=なので特に問題は無かったですが)。 ただし、旅レポ・食レポにしてもその中で相当に食レポの方にまた寄ってはいるのであって(体感80%は「食」のシーンの様な)、じゃあモトーラちゃんがその食レポ(風)が達者かとゆーと決してそーでもない、とゆーのはやや頭の痛い点だと言えるかも知れませんですね。感じたのは単純に「そもそもこのコこんなに食わねーだろ」とゆーコトなのですよ。演技?の中でも「食」とゆーのは意外と誤魔化しの効かないトコロかな、とも思います(常人でも日に2・3回は必ずやってるチョー普遍的な行為ですからね)。その意味でゆーと前述どおりやや「無理」とゆーのも垣間見えたとゆーか、少なくともいっぱい食べて(完食して)満足満足…という様なシーンも無かった…かと。結論、本作のこのコンセプト(台湾の「食」におんぶにだっこ)なら、ソレを「食べる」主役はモトーラちゃんじゃなくても好かったカモ…とも思いますかね(残念ながら)。 [DVD(邦画)] 5点(2021-10-10 01:09:49) |
4. レッド・ブレイド(2018)
《ネタバレ》 改めて、坂口拓という人は自分で演るのも演出するのも、そして素人に仕込むのも出来ちゃう極めて総合力の高いアクション俳優ですね。暇なアイドル・グラドルを鍛えてこーいうアクション映画を撮らせるのが嫌いでなければ、それだけでも相当食ってけるのではないでしょーか。 正直言って本作は(特に女の子3人の)アクションのみが見所な訳ですが(あと一応パンチラもあったか)、オープニングの坂口氏本人の素晴らしい殺陣アクションをタップリ観た後にも関わらず、どのアクションシーンもそこそこ観れる出来になっているのは率直にスゴいと思います。ただ、くの一のヒロ・ユウ役の2人(搗宮姫奈と花影香音)は、2019年公開の『爆裂魔神少女 バーストマシンガール』でも坂口氏と共演しており(公開は前後してるが撮影は『マシンガール』の方が先だった様で)、そこで数か月みっちり鍛えられて今回も坂口氏に呼ばれている、ということのようですね。とは言え、小倉優香だって蹴ったり蹴られたり跳んだり転がったり、かなり頑張っていると思います。彼女のファンなら観る価値は確実にあるでしょう。 しかし本作、問題はアクション以外です。いくら何でも酷すぎます。これならいっそ監督・脚本も坂口氏にやらせた方がマシなくらい(同じ無内容なら何も考えずにシンプルにつくった方が幾らか良い、という意味で)。結果的に非常に価値判断の難しい作品になってしまっていますが、オマケでこの点数とさせてください。 [インターネット(邦画)] 5点(2020-05-26 00:30:55) |
5. Red(2020)
《ネタバレ》 今作時点で夏帆は実年齢28歳、役柄は30代前半だが、のっぺりとした清楚で薄い特徴的な顔立ちは、一見は本作の役柄ドンピシャな人畜無害で貞淑な若妻そのものである。しかし目だけが、なんか妙に凄かったのだ。やさぐれた母親役の余貴美子のそれと見紛うまでに、とでもいうか、20代とは思えない実に陰湿な情念と深い苦悩を湛えて、更にその奥に一種の不道徳さというか、やってはいけないことを平気でやってのける様な「育ちの悪さ」をも見事に醸し出していた。今作、全体的に表情自体の大きな演技はそれ程多くなかったようにも思うのだが、夏帆のこの「目の表現力」が、まず中々に優秀だと感じたのだ。 映画の内容的には、少しは公開時期を考えろ、とでも言いたくなる様なド直球な不倫映画であり、しかも前述どおり、端的に夏帆の方もだいぶん「悪い」様な話である。率直に、人によって完全に評価が分かれる類の映画だと思うし、個人的にも100%共感できるなどということは全くなかった。しかし、妻夫木聡の存在感を消し去ってしまうかの様な夏帆の熱演ぶり、そしてそんな夏帆に必ずしも積極的に感情移入・共感させようとしていない全体の構成の奥深さ、ラストの優れた見応えを含め、かなりの良作だと感じた。結構オススメ。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-07 22:05:20) |