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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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641.  宇宙戦艦ヤマト 完結篇 《ネタバレ》 
劇中の水惑星の名称はラテン語由来であるから地球人が命名したのだろうが、新天体にわざわざ“みずがめ座”という名前を付ける人間の気が知れない。 内容は前作をさらに上回る超超大作になっており、従来の路線を集大成してパワーアップした大仰で独りよがりでくどい映画になっている。「わたしは××」と名乗る謎の女が唐突に出現するとかは通例であってこの映画が特別なわけではないが、ただし最後に2人がやっと結ばれたという場面を置くことで、ここで本気で終わらせようとした意気込みは感じられる。 この映画で珍しいのは僚艦の乗員救助の場面があったことで、また避難民の輸送船が全滅させられるといった展開は民間人を巻き込む紛争の悲惨さを感じさせる。要は敵の冷酷さを強調するためだろうが、逆に今回は制作側が柄にもなく人命を気遣っているように見えたのが特異な印象だった。そのほか純粋に面白かったのは、敵の君主が自ら騎馬兵団を率いて突撃した場面である。古代シュメール人の末裔らしく前近代的な行動様式だが、その心意気はまことに立派であり、彼の人間的な魅力のなさもこれで許せる気になった。  ところで空中に出現する謎の女は台詞が長いので聞くのがつらい。最初はとにかく戦って勝てと言っているのかと思ったが、そればかりを目指していた敵が滅んだところをみるとそうでもなかったらしい。まずは現世的な(いわば横の)つながりを作ることが勝利に結びつき、その結果として人類の命が未来に続いていくということなら、唐突にデスラーが参戦したのもこの映画的には必然性があったことになる。これまで人類(というか古代)が培った友情がここで実を結んだということだろう。 またこの映画で素直によかったのは終盤で古代と雪が黙って敬礼していた場面で、その後の「お父さん」というのも何気に感動的だった。ここで見送られていた艦長にも亡くなった子がいたはずだが、その分も背負って二人の子孫が未来に続く(いわば縦のつながり)というのなら、これも謎の女のメッセージにもかなうことだろう。宇宙戦艦ヤマトを見て感涙するなどまともな大人としてどうかとは思うが、ここは少々泣けた。その後の子作りの場面はやりすぎだが、少子化の時代の今こそ見てもらいたい(しかし誰も見ない)映画といえなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-14 19:09:39)
642.  ヤマトよ永遠に 《ネタバレ》 
当然ながら公開時には見ていない。このあたりになるともうヤマトなどというものは完全に見放していたらしく、TVでもやったかも知れないが全く憶えがない。 そういうことで今回が初見なわけだが、まずは「さらば」同様の2時間半の超大作であることに呆れる。長いことに対応して突っ込みどころも膨大であり、かつ展開の意外さが優先のためか荒唐無稽の度も増している。また今回は古代と雪の関係を揺るがしてみせる趣向だったのか、2人をそれぞれ惑わせる女と男が登場していたが、結局はそれぞれのお相手が簡単に死んでしまい、最後まで危機が表面化せずに終わったのは予定調和というかおめでたい感じである。それにしても近親間で性愛感情が生じるというのは誰の趣味かと思うが、いわば禁断の愛ということで、2人の関係が破綻に至るリスクがあらかじめ回避されていたと取ればいいのか。 そのほか今回も星(都市)一個を完全に滅ぼしていたが、画面上で死んだように見えたのは敵の親玉とサーシャの二人だけであり、どうもメインキャラ以外は制作側の視野に入っていないらしい。ストーリーの都合のために何人死のうと構わないというのも通例化してきたようだが、こういうことをやるようでは、地球人類含めて人命への配慮など制作側には全くないのではないかと疑わせる。  以上、当然ながら褒めるようなものでは全くないが、ただし冒頭で何が何だかわからないまま危機が進行していくのを見ていると、これは案外期待できるかも知れない、と一瞬思ったことだけは認める。
[DVD(邦画)] 4点(2015-10-14 19:09:33)
643.  宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち<TVM> 《ネタバレ》 
次回作のヒロインと敵を紹介したプレイベントのような映画である。 地球にしてみれば恩義ある個人(と乗組員の身内)のため、またデスラーにしてみれば惚れた女のための戦いだろうが、地球そのものが壊滅の危機に瀕するヤマトの通例からすれば緊迫感も悲壮感も感じられない。結果的にはスターシャが死んだことで、デスラーが未練を振り切ることができた?のは幸いだったともいえるが、それだけのためにガミラス人全部が滅亡しかけたように見えており、またヤマト側にも明らかに死者が出ている。こういうメインキャラクターの個人的感情のためにどれだけ人が死んでも構わないというのはまるで他人の痛みを感じられない人間が作ったようで、「戦争のためのエネルギー源なんか採掘させてたまるか」などという唐突な台詞がいかにも空虚に感じられる。だいたいイスカンダルの2人を助ければ済むはずなのに、相手の申し出を蹴ってまで戦闘を始めるのではどちらが好戦的かわからない。 個人的にこの映画の価値と思われるのは、新作の劇伴で「新コスモタイガー」という曲が出て来たことである。ただしそれほど印象的な使われ方でもなかった。
[DVD(邦画)] 3点(2015-10-14 19:09:29)
644.  さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 《ネタバレ》 
現在、「宇宙戦艦ヤマト」が日本アニメ史上に確固たる地位を占めているのはこの映画の成功のせいだろうが、その後に際限なく続編を作り続ける契機になったものでもあり、個人的にはいい印象を持っていない。 まず年少者向けアニメにも関わらず2時間半もある超大作のため見るのが疲れる。また今回のテーマは「愛」であるらしいが、個人的にはそういう空虚な綺麗事を持ち出されると嫌悪を催すので真面目に聞く気にならない。だいたい前作で「愛し合うべきだった」という台詞が出て来たのはガミラス本星を滅ぼしたときだったのに、今回また平気で星(都市)全体を壊滅させているのは全く反省がみられず、そもそもこれは他人の痛みというものを感じられない人間が作っているのではないかと疑われる。 それから古代が序盤から新鋭戦艦に嫉妬しているとか、過去の栄光が忘れられずに大事件とみれば騒ぎ出し、地球防衛軍なのに「宇宙の平和のため」などと叫んで見境なく飛びついていくとかいう行動は痛々しい。死んだ英雄は顕彰していれば済むが、生きた英雄が自ら波乱を求めるのは民主社会にとって物騒なだけである。皮肉なことをいえば、この映画で古代がたまたま死に場所を与えられたのはかえって幸せだったとも取れる。  ところで、前作では目的を遂げてちゃんと帰還したヤマトが今回は最後に失われてしまったのは、前作に共感した自分としては肯定しかねるものがある。しかし終盤で古代が長々と語っていた内容自体は無下に否定できることでもなく、必ずしも同じ状況とはいえないが、これは本物の戦艦大和に関して語られることにも通じるところがあると思われる。簡単に人が死ぬアニメではあるが、最低限、死ぬこと自体が格好いいと思っていたわけでもないらしいことは確認できた気がする。 ラストの「もう 二度と 姿を現わすことはありません」には大笑いしたが、本当にここで有終の美を飾る形で終わっていたとしたら、自分としてもヤマトというコンテンツ全体の印象がもう少しましなものになっていただろうと想像する。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-14 19:09:25)(良:1票)
645.  宇宙戦艦ヤマト 《ネタバレ》 
「古代くんが死んじゃう…」がないのは知っていたが、「馬鹿め」の返信や、ワープ時の視聴者サービスくらいは短いので入れてくれてもいいだろう。要はTVシリーズの総集編なので映画として評価すべきものでもないだろうが、中身は一応ヤマトなので、ヤマトに関することを書いておく。 まず2世紀前の廃物を改造するのが不自然なのはもちろん、全体的にも科学考証度外視でサイエンス・フィクションとしては落第だと当時の小学生でさえ思っていた。また何かと適当な作りに思える部分が多く、ご都合主義も満載で動画としても粗い印象があり、決してベタ褒めできるようなものではない。 しかし自分にとってこのストーリーの価値は、実はそんなことには全く左右されない。悲運の軍艦大和が宇宙戦艦として復活し、大遠征の果てに目的を遂げてちゃんと還って来る、という点に激しく共感したからこそ、各種の問題点は当時から全部不問にしていたのである。また、勝利と引換えのあまりに大きな犠牲に茫然とする描写や、周囲が喜びに沸く中でひとり家族の写真を見ながら息を引き取る姿など、見るべき場面もちゃんと用意されている。個人的に忘れがたいアニメであったことは間違いなく、自分にとってのヤマトはこのTV第1シリーズだけで充分だというのが、その後の商業展開を横目で眺めて来た立場からの実感である。個人的に一定の思いもあることから、ここは総集編というよりTVシリーズに対する評価をそのまま点数にしておく。  ちなみに思い出話になるが、うちのクラスでは短いチョークを教室の天井に投げ、跳ね返らせて目指す相手に当てるのを反射衛星砲と言っていた。授業中にこれをやったら、怒った相手からチョークが一直線に飛んで来たことがあった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-10-10 22:20:03)
646.  幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦 《ネタバレ》 
基本的にはメイキングだろうが、ほぼグループのメンバーだけに焦点を当てていて、例えば劇中であれだけ存在感のあった黒木華さんはほとんど出ていない。またメンバーを除く1~2年生もどういう人々だったのか紹介くらいはしてもらいたかった。このグループのドキュメンタリーにするために普通のメイキングではなくなってしまったのは残念だが、しかし本編では断片的にしか使われていない本物の高校演劇(「まくら投げ」ではなく「修学旅行」という題名らしい)の現場も見られるので、そういうものを若干ながら復活させている意義も認めるべきかも知れない。  中身を見ていると、いくら著名アイドルでもそんなに監督に甘えていいのかと思う場面もあり(一応怒られた場面もあった)、また一人芝居の緊張に耐えかねたメンバーが監督に泣きついて、見かねたスタッフが引き離したりしていたのは笑える(この人はいつもこうなのか?)。それでも恐らく自分を人に見せること、人の心を動かすことでは実績があり、アイドルとしての存在感も十分なメンバーだからこそ、監督のいう「コール・アンド・レスポンス」なるものが成り立つ素地もあったのではないかと想像する。 ただの一般人ではないにせよ役者としての積み重ねはまだまだ必要で、その過程を本物の演出家や映画監督が出てきて見せていたわけだが、自分としても完全な部外者ながらその場に立ち会って、映画づくりの現場を体験したような気分ではあった。特に原作にもあったワークショップや、本物の高校演劇への参加の場面では、実現しなかった自分の人生の可能性を思う気にもなる(まあ無理だったろうが)。  なおナレーションではメンバーの「成長」を強調していたが、これが本人らにとってどの程度の成長だったのか自分にはよくわからない。また監督の「こんなに一生懸命映画作ったことない」という言葉もお愛想だった(あるいは本人がモノノフだから?)かも知れないが、これは手間のかけ甲斐のある出演者だったからこその言葉と取れなくもない。 自分としては別にファンでもないのでこれで感動する動機も義理もないわけだが、それでもそれなりに映画の完成を喜ぶ気になって、少ししあわせになる映画だったので、ここは感じた通りの点数をつけておく。無関係と思っている人間も巻き込んでいくのがアイドルの力ということだろう。
[DVD(邦画)] 7点(2015-09-30 23:36:03)(良:1票)
647.  幕が上がる 《ネタバレ》 
ファンではないので冷たい見方をすると、一般人にとって決して悪くはないが絶賛するようなものではない、という微妙な感じのお話だった。映画化に当たって犠牲にした部分が多いのは当然としても、一方では映画で加えられたファン限定の仕掛けが素直に受け取れず、部外者にとっては確実に何割かが欠けて見えるわけである。 特に思ったのは、このグループの映画では何が何でもグループ一丸でなければ済まないらしいということである。本来、劇中の生徒には一人ひとりにそれぞれの才能と未来があったはずだが、映画では部長だけに特別の才能を賦与してグループを代表させる一方、他の人々は集団に埋没した状態で終わったためにその先を見通す形になっておらず、これでは高校3年生という設定も意味が薄れてしまう。以前のNHKのTVドラマもそうだったが、ストーリーの行方を実在のグループへの期待に振り替えるような形では一般の視聴者/観客が置いて行かれることになる(毎度これなのか)。 またこの映画では、“どこまでも行ける”というのが単なる景気づけの掛け声にしか聞こえない。ファンならそれで十分だとしても、銀河鉄道の切符の話を強く印象づけた原作のラストがないのは非常に惜しいことだった。それをやるとグループの解体を意味してしまうのかも知れないが(ザネリがいない)。  ただしアイドル映画として見た場合、自分としてもファンでないとはいいながら全く知らない人々でもなく、それなりに微笑ましい気分で見られなくはない。そこに劇中の感動的な要素が重なって泣き笑いのような感情を生じる映画だった。自分としてはまずは中西さんの目つきが切なく感じられるが、また明美ちゃんが失敗してしょんぼりしていたのがかわいそうで、それでも後輩には結構慕われていたらしいのが嬉しい。ユッコはさすがにお姫様には見えないのが残念だが、がるるに関しては人物イメージが原作に逆流して、これは本当にこういう人だったのではないかと思えて来る。 メンバー以外では当然ながら吉岡先生の迫力が圧倒的である。また杉田先輩は先輩らしい雰囲気ながら(実際は部長役より2歳年下)柔らかな笑顔に和まされるが、卒業後に日々苦闘していたらしい姿は健気に見える。この二人が部長の未来を段階的に示していた感じだったが、その部長も最後はちゃんとこの人々の後を追っていきそうな顔つきを見せていた。
[DVD(邦画)] 7点(2015-09-30 23:35:58)
648.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
好きな女優が誰も出ていない映画など見て何の意味があるかと思うが、だからといって最初からけなすために見たわけではない。 まずは全般的に安易な展開が目につく。劇中2回も大事な時に深刻な事態が都合よく起こるとか、大事な言葉を大事な時に再現するために好都合な人物をあらかじめ配置しておくといった作為は受け入れがたい。 また携帯電話での実況は、部員の気持ちをまとめる意味ではいい考えだと一瞬思ったが、その直後に「恋空」(2007)の類似場面を思い出して思い切り興醒めした。そういえば、やたらに不幸を並べ立てるのもケータイ小説の特徴を思わせるものがある。 以上に関して、映画の後に原作を読んだところ元からそうだったというのも多いが、映画化に伴う省略や強調、及び主演女優を軸とした改編によって、全体的に悪印象を増す方へ変わっている気がする。  また合唱が出る映画ではあるが、主人公が著名ピアニストという設定もあって合唱の映画という印象は薄まっている。かえってこの映画では合唱限定でない音楽一般が“誰かをしあわせにする”ことに力点が置かれていたらしく、そのこと自体は理解できなくはない。ただ劇中ではこれと主人公のドラマとの関連付けが弱く(悲愴の場面)、また終盤の感動場面でも出来事の発端になっていただけで大合唱自体との関連性は薄い。そのため表面上のキレイな言葉でストーリーを飾ったという印象にしかならなかった。 さらに「ありがとう」の位置づけが半端で、ストーリー中での確固とした位置づけができておらず、これが全体構成を散漫にしているように感じられる。終盤ではそのほかに、少年の父親の本心が明らかになる場面(これも弱い)といった劇中要素を総動員してドラマを盛り上げようとしたらしいが、自分としては釈然としないままでただ泣けと言われた感覚だった。ここでも合唱は泣かせる手段に過ぎず、単なる感動ネタに終わった印象がある。  そういうことで、不満は多いが褒めるところはほとんどなく、単に人気女優を使った泣ける映画というように思われたのが正直なところである。ただ生徒役の皆さんは好印象であり、また兄貴役もご苦労様だった。個別の場面で泣かされたのは終盤の大合唱のほか、生徒の「笑って」に対する主人公の表情の変化である。 なお映画と関係ないが、今年のNコン全国大会にうちの地元の高校が出場することになっている。×高がんばれ。
[DVD(邦画)] 4点(2015-09-30 23:35:53)
649.  うた魂♪ 《ネタバレ》 
主演女優は普通の美少女かと思っていたが、この映画では変顔を惜しみなく見せており(これを見るのが鑑賞動機)、それでいてちゃんと美少女としての印象も出している。何よりこの女優の表情が見どころの映画である。 また序盤のコメディ部分がかなり笑える。主人公の我田引水的な妄想が実体化して飛んでいくのも可笑しいが、フェロモンに誘引されて鱗翅目の昆虫(大型!)が飛来したのは爆笑した。  ところで個人的に合唱にはいい思い出がない。熱心な音楽教員が児童に歌わせたい理想の歌を、学年全員に歌わせたことで一体その何割が合唱嫌いになったことかと思う。合唱部なり合唱団に属していれば、どんな曲でもいわば“業務”としてやらなければならないだろうが、それでも個人の嗜好に関わらず「自然な笑顔」を強いられるのでは多少なりとも自己洗脳が必要になり、「将軍様を讃えてる」と揶揄されるのも無理はない。 しかし逆に人間であるからには感情が顔に出てしまうのは仕方ないわけで、劇中でも「私の青空」を即興的に歌ったときの楽しそうな表情は見ている側も嬉しくなる。一連の事件の経過を受けて主人公の心境にも変化が生じていたらしく、アンコールの段階になればもう、写真愛好家の馬鹿に見せつけてやるに十分な最上の笑顔を見せていた。ソロ部分の歌い出しは主人公のドラマに即して聞くと心に染みるものがある。 ここで指揮者が反対向きになっていたのは実際あることなので珍しくはないだろうが、アンコールとはいえ“業務”だったはずの合唱が、最後は全員が心から共感できる歌に変わっていたのは本当に感動的だった。独りで歌えばいいと思っていた主人公がこういう場面に居合わせることができたのも、やはり初めから「みんなと歌う」ことを志向していればこそのことだろう。自分としては今でも合唱など男のすることではないと思っているので他人事ではあるが、この映画を見ていると、改めてそういう人々がうらやましいと思わなくもない。 そのように一般人にも歌う喜びを感じさせる一方、合唱側の人々にも一定の注文を付けたように見えるところがあり、合唱人と一般人の間の越えられない深い溝に何とか橋をかけようとした映画のように感じられた。コメディ部分はともかくとして、合唱というものを真正面から真摯に扱った映画として評価したい。
[DVD(邦画)] 9点(2015-09-30 23:35:50)(良:1票)
650.  BAR神風~誤魔化しドライブ 《ネタバレ》 
ほとんど一室だけの撮影だが意外な展開の連続で飽きさせず、また背景音楽も心地いい。前半はかなり大笑いしたが、後半は主人公が心の傷を克服する話になっており、最後の締めは予定通りともいえるがちゃんと観客が望む形に収めてある。また、よくわからないが何気にクリエーターの心意気のようなもの(浮気はバレないようにやる、といったこと)も込めてあったらしい。 登場人物としては、まずは男連中の個性がそれぞれ際立っていて好印象である。女性の登場人物は怖い人ばかりだが、個人的にはミュージシャンの二股相手の友人がキュートで少々何をやっても見惚れてしまう。またアルバイト店員役に関しては、いくら可愛くしていてもどこか怪しい雰囲気が残ると思うが、特に厨房にいて口しか見えなかった場面が非常にいい(怖い)。 若干の不満としては、パスタを作れない理由付けがかなりいい加減に感じられた。人が死んだからにはここで笑ってはならないのだろうと思うが。  なお監督は厳しい人物ということのようで、メイキングを見ると確かに厳しい言い方をしているが、キレて暴言を吐いているわけでもなく、まあ普通に厳しい指導の範囲に見える。刑事役の俳優がインタビューで語っていたところでは、自分がこれまでの現場で言われるべきことを言われずに来たのをあえて言ってくれる監督とのことで、これを聞くと逆にいまの制作現場の雰囲気が想像されるものがある。完成品を見たからこそ言えるのかも知れないが、役者がちゃんと本を読んできたのか怪しく思える場面もあって、これでは怒られても仕方ないと笑ってしまった。このメイキングも少し面白い。
[DVD(邦画)] 6点(2015-09-26 19:09:24)
651.  CRAZY-ISM クレイジズム 《ネタバレ》 
震災の1か月後によくこれが公開できたものだが、まあ無事に公開できて幸いだったということだろう。 まず役者の演技に関しては素人なので特に書くことはない。しかしストーリー展開に関しては、当初の些細なエゴの噴出から決定的な対立に至るまでの経過に少しずつ飛躍があるようで不自然に見える。偶発的な要素も多く、これが登場人物のあらかじめ意図した展開だったというのが信じられない。 また見る側としては、話が進んでいく中で暴力も裏切りも陰謀も何でもありの世界という先入観ができてしまい、登場人物の誰も信用せず同情もしない方向で意識づけられた状態になる。そのため最後に真心が一つだけ残っていたというような話もそのまま素直に受け取る気にならず、信頼を裏切られた絶望とか、その信頼に応えられなかった悔悟にも共感できない(信じた奴がバカということ)。 さらに黒幕が序盤から顔出ししていることもあって最後のオチもインパクトに欠ける。ありがちな結末を用意しているが、映画全体がリアリティ重視というより作り物の雰囲気が強いので、ラストでも作為的でいいからもっと意外な結末を付けてもらわないと収まりがつかない感じになっている。 加えてこれは個人的感覚かも知れないが、初めから「密室」と書いてあるのだから思い切り一部屋だけでもよかったと思うが、ところどころ回想部分で全く別の場所が出るので、息抜きというより集中が途切れてしまう。またその回想部分が結構長いものがあり、どこまで行ったのか忘れてしまったりする。 以上、後味が悪いというよりも、全体として味が悪くかつ薄味という感じの映画だったので、とりあえずこれ以降に期待したい。 なお本質的な問題ではないが舞台挨拶を見ていると、最後に狂乱した役の女優がけっこう可愛らしい感じの人物だったのが意外だった。
[DVD(邦画)] 4点(2015-09-26 19:09:21)
652.  心霊写真部 劇場版 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、2010年に制作された「心霊写真部」(壱限目・弐限目)が中断したまま完結しなかったにもかかわらず、「ニコ生ホラー百選」というもので2年連続ランキング1位という変な人気が出たために、その勢いで参限目と四限目に当たる内容の劇場版を作ったのがこれである。制作費の一部をクラウドファンディングで調達したとのことで、話だけでなく現実に期待を集めていたことがわかる。 前作の主演女優はものすごく可愛かったが続投せず、代わった女優(奥仲麻琴)も可愛いとはいえるが個人的には前作の方に未練が残る。ただ登場人物としてはちゃんと前作の主人公に似せようとしており、明らかに似ていなかったのは胸の大きさだけである。ほか部長以外のキャストも代わっているが、それぞれ人物イメージは継承していたようである。ちなみに上野優華という人は顔を見ていると和むタイプで個人的に好きだが、この映画ではリリ先輩の役が当たってしまったのであまりいい所がないのだった。  それでストーリーとしては実質的に前作の続編であり、最初に新作エピソード1話をこなしたあとは全編の終結に向けてまとめにかかる形になっている。前作を見ているか原作(「Re:心霊写真部」)を読んでいるのでなければ腑に落ちない点が多いだろうから、ほとんどファン限定というのが実態かも知れない。自分としては前作を見ており、また原作も読んでおいたので問題ないが、「あれれ、佳夕、驚いてくんない」という台詞が映画になかったのは残念だった(些細なことだがないと変だ)。 なお、自分としてはもしラストが原作通りだったら映画と原作をまとめて全否定してやるかと思っていたのだが、しかし実際に映画を見ると非常に正しい終わり方になっている。これは本当によかった。安心した。続編があれば見てもいい。霊感女子高生がんばれ。
[DVD(邦画)] 5点(2015-09-20 10:23:32)(笑:1票)
653.  恋空 《ネタバレ》 
好きな女優が出ているわけでもないので、これを見たのは完全な冷やかしである。この手の映画としては「天使がくれたもの」(2007)を見たことがあるので一定の耐性はついている。 まず劇中人物のほとんどは異性のことしか頭にないようで、いったい何しに毎日学校へ行っているのかわからない。こういう生殖本能だけで生きているような連中も高校生かと思うと、同時期に見た「幕が上がる」(2015)とのあまりの落差に呆れてしまう。まあその種の人間はいつの時代も人口の一定割合を占めているわけなので存在自体は否定できず、自分としてもここはそういう世界なのだからと納得して多少のことは見逃すようにしていたが、しかしその後に主人公が大学に進学することになっていたのは非常に驚いた。この映画で最も違和感の大きかったのはここである。 ただ自分としては実際のところ、意外にまともに見ていられる映画という印象だった。ストーリーも一応できており、時間は少し長目だがとりあえず最後まで見られないことはない。原作に対するネット上の酷評(罵詈雑言)を見る限り、そのままでは一般人には受け入れがたかった内容をさらりと通るようきれいに映像化して、ある程度見られるものにしたのは映画の功績だろうから、ここはそれなりの点数をつけておくことにする。  なお、この話の内容が不道徳だからといって原作者を責める筋合いのものではなく、また書籍の出版や映画化に関わった業界関係者に倫理感など求めるつもりもないが、一方でこの映画に関して心底呆れたのは、O県教育委員会という公的機関が制作に協力していたことである。学校内で生徒が妊娠させられる映画に協力する教育関係者は脳の機能が疑われるわけだが、さらにその県教委が映画公開の次の年に組織体質の問題で世間を騒がせていたことを思い出すと、自分としては本来この映画に感じるべき悪感情を、常識外れな県教委への怒りに転化させずには済まなくなった。O県出身・在住の人々全体の不名誉につながらないように願う。
[DVD(邦画)] 3点(2015-09-20 10:23:17)
654.  ガメラ対大魔獣ジャイガー 《ネタバレ》 
前作は1969年の月面着陸だったが、今回は1970年の大阪万国博覧会ということで、高度成長期の山場を飾るイベントの一つが登場する。同時期に「ゴジラ ミニラ ガバラ…」を見たからかこの映画は見なかったが、本物の万博会場には親に連れられて行ったので実写風景は懐かしい。映画のセットにはソ連館(だけ)のミニチュアが作ってあり、敵怪獣に鼻で押されて揺れていたが、ソビエト連邦を選んだのは政治的理由というより建物の見栄えを重視したのと、実物が会場の隅にあったことが理由だろう。周辺がどれだけ破壊されても会場だけは壊すなという雰囲気だったのは、万博の成功にかけた当時の意気込みが感じられる(と言えなくもない)。  それで今回は過去映像をオープニングだけにとどめ、あとは個別場面の流用はあるが基本的には新撮の映像であり(当然だが)、都市のセットもなかなか頑張っている。怪獣同士の戦いで、ガメラが同じ攻撃を二度受けないというのは相応の賢さを表していて面白い。 また例によって小賢しく無鉄砲な子どもが勝手な大冒険をやらかしているが、今回は映画全体のテーマが“子どもの優れた点を大人も見習うべきだ”ということだったために子どもらがますます増長してしまい、大人の事情で悩みの多い万博事務局長が渋い顔をしていたのが可笑しかった。子どもらがガメラに直接助けられる場面はなく、反対に深刻な危機に陥ったガメラを救う展開になっており、子どもらの貢献度はシリーズ中最高レベルだったかも知れない。 ほか今回は大阪が舞台のためかユーモラスな場面が多く、寄生虫の映像を見せられた一同の表情と、大村崑氏がボケをかまして娘にどつかれる場面は可笑しかった。今回はこの娘(主人公の姉)の活躍度が高く、十分に画面の華になっていた気がする。  なおこの映画を見ると、当時もいろいろ問題はあったろうが、基本的には先行きが明るく感じられる良い時代だったのだろうなと想像する(自分が無責任な年齢だったからかも知れないが)。この頃になると劇中の子どもが自分の年齢に近くなって来るが、「人類の進歩と調和」を志向した時代に「次の時代を背負って立つ」と思われていた世代が今はこんな歳になって、われわれは現実に社会をよくしてきたかと思うと少々寂しいものがある。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-29 19:52:26)
655.  半分の月がのぼる空 《ネタバレ》 
登場人物の伊勢弁?が耳慣れない感じで珍しい。 原作は読んでないので比較できないが、時間の流れに沿ってそのままであれば割と平凡なお話だったところ、前後を組み替えて再構成したのは効果的である。死ぬ物語でなく生きる物語というのは恐らく原作由来なのだろうが、ラストでまた月明かりの病室に戻ったことでそれがより強調されていたように思われる(舞台セットとライトは不要だが)。 しかし見ていて引っかかる点はかなり多い。例えば序盤の「命令」は若年者受けを狙った女王様設定のようで必然性が感じられず、それを終盤で忘れた頃になって再現されても冷やかな目でしか見られない。そのため、ここから導かれた医師の再出発(及び娘の存在の再認識)という点にも共感する気にならなかったのは残念なことである。加えて全般的に都合の良すぎる安易な展開が非常に多いのも困ったことだった。  それでも演劇の場面など、けっこう心和む(笑う)ところも多い。舞台での「私も」という台詞は原作由来かどうか知らないが、自分としてはこれが最大の泣き笑いポイントだった。また若年かつ病人のためあくまで清純でほのぼのした関係にとどまっているが、そのためかえってフトンの中で二人きりのドキドキ感が生じてしまう。 この場面をはじめとして、ヒロインの円い感じの笑顔(変な表現だが)は見ているだけで嬉しくなる。この笑顔が、生きていてよかった、という実感の表現になっていたのは間違いないことで、これがこの映画の大きな価値と思われる。全体としては感心しないところも多いが、このヒロインのために評点は少しいい方にしておく。娘の「笑ってるやん」もよかった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-23 23:47:53)(良:2票)
656.  狼少女 《ネタバレ》 
昭和にこだわった映画のようだが、現実の昭和は1926年から1989年まで結構幅が広いわけで、それでも何となく“子ども時代”とか“昔”の意味になるのは世代交代が進んで昭和が遠くなってしまったということか。劇中の事物の属する年代はかなり散らばっていたようで特定できず、これは意図的に幅を持たせたのかも知れないが、さすがに見世物小屋は時代が古すぎるように思われる(自分としてはお化け屋敷の記憶しかない)。 しかし人間の尊厳にかかわるような興行のあり方とか、見るからに汚い子どもの存在といったものは、いつの時代の反映かというよりむしろ子どもにも容赦のない世間の現実を表現していたように見える。その中でも転校生が毎日いい服を着て通学していたのは、親代わりと思っていた連中のせめてもの思いやりだったのか、あるいは皆のこだわりもあったということか。 その上でストーリーしては、感動を呼ぶ話であることは理解できるが、しかし個人的にはそれほど強く心に訴えるものにはならなかった。敗因は何かと考えると、まずは大人の立場として子どもの愚かさとかガキっぽい揉め事から心理的距離を置くようにして見たために、登場人物の心情までをスルーしてしまったということか。あるいは自分としては、前記“世間の現実”から目をそらしたい気持ちもあったと思われる。まともに考えてしまえばこの少女の将来が非常に危ぶまれて痛々しく、これで切ない初恋物語のような感傷に浸る気にはならなかったというのが実情である。 そのほかに、娘の生育状態に合った下着を与えることもしないでプライドだけ立派な母親が愛情深い扱いをされているといった感情的に引っかかる点も結構あり、また全般的に嘘臭さを感じるのは少し困ったことだった。決して悪くない映画とは思うが褒められないのが誠に残念である。子役の皆さんは大変結構だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-23 23:47:48)
657.  非金属の夜 《ネタバレ》 
予告編で出る曲が面白そうだったので見たが、映画よりも予告編の方が長く聞けるのだった。 内容としては若年者向けなのだろうが、若年でない立場からいえば見事に誰にも共感できない映画である。かろうじて、劇中人物専属の女神さまのように見える連中のうち最も可愛らしいのが言ったことは辛辣で結構だった。 また申し訳ないが劇中人物のほとんどが生きていても仕方ない人間に見える。劇中で最もまともに生きていたように見えたのは怖い兄さんだったが、その怖い兄さんに殺された男などは死んでしまってかえってよかっただろうという気にさえなる。主人公も女神さまにつきまとわれていた男も、他人の目から見れば生きようが死のうがどうでもいいので勝手にしろという感じだった。 結局、人間が生きる意味など本人が決めるものであるから、自分でそれができなければどうしようもない。最後に男が死んだのは本人の意志なら構わないが、一方で主人公の女は、この男と序盤の女が先に行ったことでいわば安心したらしく、それでとりあえずは生きていることにしたようだった。そのうち生きる意味を自分で見出すこともあるだろうし、結果的に生きていてよかった、ということになれば結構なことである(おれには関係ないが)。 そういうことで共感できない映画ではあるが、しかし見ていて意外に退屈しなかったので、エンターテインメントとしては結構うまくできているのかも知れない。それにしても主人公の顔つきは少々作りすぎである。微妙に昭和くさいのは誰の趣味か。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-18 00:44:31)
658.  バルーンリレー 《ネタバレ》 
主人公の中学生女子は冒頭の表情を見ると可愛らしいと一瞬思うが、実は徹底して高圧的で傲慢で暴力的なので呆れてしまう。しかし相手の男子が打たれ強く温和な好人物なのでかなり救われている。主人公は終始無自覚で衝動的に見えるが、それでも一連の出来事を通じて二人の間にも人知れず微妙な変化が生じていたらしい。自分としてはこれの当事者になりたいとは決して思わないが、他人の目で見る限りは微笑ましい関係の二人だった。 そのほか全体としてはかなり笑えるコメディになっている。主人公と男子のやり取りが基礎的に楽しいが、花嫁(演・美波)の真剣な顔も可笑しく、また古舘寛治氏もいい味を出していて飽きることがない。ちなみに序盤に出て来たボスの娘というのが怖いおねえさんかと思ったら、終盤で手下の大男と並べてみると極端に小柄で変に可愛らしい。最初に出た時には身長がわからないようにしていたようで、これはうまく騙された。 なお少し困ったことだと思うのは、題名にかかわらずバルーンのリレーが徹底していないことである。この映画は2010年「シネマプロットコンペティション」の受賞作を原案にしたとのことだが、当初はどうなっていたのか気になるところである。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-18 00:37:00)
659.  チープ・フライト<TVM> 《ネタバレ》 
LCCについての考え方がいろいろ盛り込まれたドラマのようである。 劇中で極端な物言いが多いのは気に障るが、それは普段は言えない生の本音をコメディに紛れ込ませたものと解される。しかし言葉遣いに異常にこだわる割に本質的なところで答えが出せず、その上ふざけたパフォーマンスでごまかそうとするのでは、現実の客ならさらに怒るだろうし、真面目に見ていた視聴者も小馬鹿にされた印象がある。劇中で一つ感心したのは元看護師の態度だったが、これは看護師の世界のことがそのまま航空会社に当てはまるかのように印象操作しただけではないかと取れる。 またストーリーとしては、テーマに関わる重要事項を主人公の成長にあわせて視聴者に提示していく形のようだが、そのせいで放送時間の70%を過ぎるまで主人公がLCCの意義を納得できていなかったというのは本物の馬鹿に見える。ベテランCAであれば、そういうことは初めから全部わかって納得してから来るのが当然なわけだが、このドラマでは鼻糞扱いされるために引っ張り出され、最後は見事に洗脳されて終わったようなのが痛々しい。そのほか最初は嫌な奴だったがほんとはいい人だった、というドラマ作りは幼稚に感じられ、また当面の出費より信用が大事といった普通の判断をさも立派なことのように印象づけようとする展開も姑息に見える。 そのようなことで、主張の一部が理解不能な上に全く共感できない話であった。内部ではこれで受けるのかも知れないが、世の中それほど寛容な人物ばかりでもなく、下手な作り方をすると関係ないところにも敵を作るのではないかという気もする…少なくとも自分としては制作に協力した航空会社の印象が著しく悪化した。 なお正直に書いておくと、個人的に好きな女優が誰も出ていないことも低評価につながる要因である(嫌いなのもいる)。
[DVD(邦画)] 2点(2015-08-08 13:06:54)
660.  東京うんこ 《ネタバレ》 
若手の村松英治監督(1980年生)の初長編映画とのことである。現代日本では「東京…」という映画が多いのが目に余るが、この映画は「…」の方のインパクトで人目を引いており、かつ何で「東京」なのかという理屈も一応ついている。 基本的にはコメディなので主にウンコネタで笑わせようとしているわけだが、それが本格化するのは絵本を出版するあたりからで、それまではとりあえず黙って見ている必要がある。面白くないギャグも多いが、本当に笑うところもある(個人的には「うんこ!」「ブッ!」のあたりなど)ので虚心に見ることが望まれる。 登場人物としては、まずは関西弁の女(演・宮沢マキ)の人柄がほとんど映画全体を支えており、また友人の男女もいい味を出している(寒い男など)。一方で同居の男はキャラクターを作り過ぎで受け入れがたいところがあるが、その辺はまあ我慢のしどころである。 ストーリーの面では、うんこをメインにしてこういう話を作る必然性は特に感じられず、単なるギャグネタに終わっている気もするが、そもそも出版社の社長が語る理屈が無理やりだったりするので、これはこういうものと思うしかない。それより関西弁の女の東京に対する意識が変わってきたというのはなかなかいいオチであり、これはうんこ映画というよりも、大都会東京の持つ一面を描いた映画だったということかも知れない。 なおDVDのチャプターの題名が中身と全く関係ないのは非常にふざけている。これではチャプターメニューの意味をなしていない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:36)
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