1101. まってました転校生!
転校生がやってきて、次第にクラスに打ち解け、やがて仲間として認識される。 そんな少年時代の懐かしき様子を、恥ずかしいくらいに真っ直ぐに描いた児童映画。 ちなみに、監督ご本人がシアター内におり、そのすぐ後ろで鑑賞した。 監督のハゲ頭が気になったせいか、特別な感慨をおぼえられず、何だか申し訳ない気持ちにさえなってしまった。 もっと素直に感動すべきなんだろうけど、自分の少年時代と比べてみて、共感できる部分が少なかった。 というか、それ以前に、私にとっては真面目すぎる児童映画だった。 PTAの方か、真面目すぎる方にオススメしたい作品。 [映画館(邦画)] 5点(2011-02-28 01:14:20) |
1102. 女王蜂と大学の竜
石井輝男、吉田輝雄コンビによるお馴染みの新東宝映画。 今回は、アラカンがアカンかった。 元々苦手な俳優だが、どうにも演技としゃべりが好きになれない。 おまけに、三原葉子のグラマーぶりも苦手(笑)。 路線というか、作品自体に関して言えば、石井輝男のエネルギッシュさと新東宝の良い意味でのチープさが出ていて、大いに好きなタイプの作品。 吉田輝雄が暴れん坊的なキャラ設定だったのだが、このキャラ設定も合っているとは思えず。 吉田輝雄と言えば、“異常性愛シリーズ”の数々の作品で魅せてくれた、あの妙ちくりんな真面目演技が、個人的には大好きだ。 石井監督の創り出す、ふざけた作品設定の中にあって、浮きに浮きまくった“あまりに真面目すぎる空気読めない男”的なキャラの吉田輝雄を、私はもっと観てみたい! [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-02-18 06:21:14) |
1103. さよならみどりちゃん
《ネタバレ》 ささくれ立った、ほろ苦めのラブストーリー。 女がダメ男を好きになってしまって、ひどいこともされて、それでも嫌いになれない女。 そんなダメ女を星野真里が熱演。 なかなかのハマリ役だったんじゃないだろうか。 貧乳をさらけ出しながら、「私のことを好きになって」と懇願し、男に無視をされて嗚咽する女。 だけど、その侘しい女の風情が、その貧乳がゆえにうまく表現されている。 貧乳をさらけ出しながら、ベッドの上で男に無視をされてベソをかく構図は、何とも表現し難く侘しい。 監督は、ここまで計算して星野真里を抜擢したんだろうか?? こういう男女のどうしようもないダラダラ関係っていうのは、現実的にもある話で、リアリティは十分に感じられた。 星野真里の薄幸な感じ、そして意外にもダメ男ぶりが自然に感じられた西島秀俊。 キャスティングはかなりマッチ度が高い。 だが、このささくれたお話を、楽しく観ることはできない。 最後のカラオケシーンで多少は気分が軽くなるが、とってつけたようなラストの感も否めず、なんだか自分までもが、どうにもならない窮屈な環境に居合わせた様で、気分は塞ぎ気味の降下気味となった。 色々書いたが、私が本作を観ようと思った理由は、他でもない「星野真里が脱いだ」なわけで、まあこんなもんでよろしいのではないか、とも思ったりした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-01-19 00:55:47)(良:1票) |
1104. CURE キュア
なんだろなぁ・・・ 全てが中途半端だった。 怖さも大したことはなく、サスペンスとしてもそれほど緊迫感もなく、人間ドラマにしてもそれほど深くなく・・・ 役所広司の演技は素晴らしいが、萩原聖人がミスキャストかも。 ただ一方で、つまらないかと言ったらそういうわけでもなく、最後まで観る者を吸引する力を持った作品だった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-12-28 01:02:34) |
1105. 娘はかく抗議する
渋谷の「シネマヴェーラ」にて鑑賞。 客の入りは少なかったが、こうした“シブ筋”の川島雄三監督作品を上映しようとする、その気概が素晴らしいシアターだ。 話としては、まだ性というものがそれほど解放されていなかった時代のもので、女子高校生が性というものに対して、どのようなスタンスを取るべきかが話題の中心となっている。 現代から見れば、ものすごく時代を感じてしまう話で、苦笑せざるを得ない内容だが、その分、逆に言えばその時代を感じることのできる作品である。 川島雄三監督らしいユーモアはなく、至極まじめに話は進んでいく。 物足りなさはあったが、貴重な川島雄三作品を鑑賞できたことだけで満足かも。 [映画館(邦画)] 5点(2010-10-23 18:16:57) |
1106. 鬼畜大宴会
《ネタバレ》 こういう作品って、ほんと評価しにくい。 見終えた後の気持ちの悪さといったらないし、やっぱり見終えた後に爽快感が残る映画が好きだし、ブサイクよりかわいいコが出ている映画の方が良い。 だけど、最初から最後まで緊張感を持って、時間を忘れて没頭できる映画ってのも、そうはない。 本作は、その両方を満たしている。 だからこそ、評価するのが難しい。 「文化住宅」なる汚らしいアパートで、共同生活を営む左翼運動に傾倒する若者たち。 その汚らしさ、猥雑さ、密閉感などがとてもリアルで、臨場感たっぷり。 ここでの生活が地味に描かれる前半部分が、ある意味、一番面白かったかも。 高度成長期の若者たちが、同じ思想信念を持って共同生活する様。 これは観ているだけで興味をそそられる。 高度成長期だからこそ、こんな生活が成り立つのであって、沈没し始めた現代の日本経済下においては、こういったあらゆる意味で自由な生活を実践するのは、極めて困難である。 後半に怒涛のごとく押し寄せる残虐シーンの数々は、噂どおりの凄惨さだった。 中でも、個人的に一番キタのは、アソコを切られてずっと口から泡ぶく出している男のシーン。 しかもそれだけでは解放されず、廃墟にまで連れていかれ、流し台みたいなところで缶詰をむさぼり食うシーンなんかは、ほんとに気持ちが悪くなった。 しかも、最後もまた泡ぶくを口から出すし(苦笑)。 女が一人出てくるが、これまた生理的嫌悪感を刺激する、きわめて悪質なキャラと外見。 男なら、こんな女を見ているだけでも、ヘドが出るだろう。 卒業制作でここまでリアルに作ったのは見事である。 だけど、大学生活の最後に、こんな気分の悪い映画を作って卒業はしたくないもんだ。 いずれにしても、「日本映画史に残るグロ映画」であろうことだけは間違いない。 (P.S.) 昨日の土曜日に『女優霊』、そして本日、日曜日は『鬼畜大宴会』と、明日からの活力を見事に奪われた。なので、お口直しに、中野裕之監督の『SF Short Films』の中の一編、「Slow is Beautiful」を観てから床に着きました。 [ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-18 00:42:22) |
1107. ポーラX
前作『ポンヌフの恋人』から実に8年の歳月を経て作られたレオス・カラックス久々の長編映画。 かつてほどの精彩は感じられず、レオス・カラックス独特の色彩感覚も感じられなかった。 だが、分かりそうで分からないレオス・カラックスならではのストーリー展開は独自のものを感じた。 よくあるアメリカ映画の様に、いたずらに時間軸をずらして分かりにくくなっているわけではなく、これはおそらくレオス・カラックスならではの天才的なセンスによるものだろう。 その分かりにくさが逆に観る者を心地良くさせる作品なのかもしれないが、淡々と終わってしまった印象はぬぐえない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-08-25 22:53:15) |
1108. 裸の島(1960)
日本映画史に名を刻む新藤兼人の代表的監督作。 島の暮らしをただひたすら音楽だけで綴った内容。 人はどんなに辛いことがあっても、立ち止まることはできず、今ある現実を受け止めて生きていくしかない。 そんなメッセージが伝わってきた。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-08-21 01:26:15) |
1109. 娘々廟會
フィルムセンターにて鑑賞。 満鉄映画の3本立てだったが、目当てはあくまで本作だった。 前の2本が終わったところで、満を持しての登場。 ニャンニャンメヤオホイ、と題字にヨミガナがふってあった。 満州国の、とあるお祭りの様子を撮った記録映画だが、今日観た他の満鉄映画2本と異なるところは、妙に若い声の中村伸郎がナレーションをしているところだ。 お祭りの様子を映しながら、非常に聞き取りにくい小さな音でのナレーション。 はっきり言って、何を言っているのか分からず。 ただ、満州国の時代性と、そのお祭りの臨場感を楽しんだ感じだった。 [映画館(邦画)] 5点(2010-08-19 23:54:34) |
1110. 少年拓士の日記
フィルムセンターにて鑑賞。 色々な映画館でよく見かけるオヤジが、出入り口の警備員にしつこく話しかけていた。 警備員は迷惑そうだった。 映画館の警備員やってるからって、映画通だとは限らないのに、映画ネタを一方的に語りかけるそのオヤジは、迷惑人間だと言わざるを得ない。 そのオヤジは、またもや上映中に他の客に大声で注意。 「音たてるのやめなさいよ!」、と。 っていうか、おまえが大声出すのやめろよ! さて、当時の満州国の様子を生きた映像で観ることのできる貴重な作品だった。 記録映画という感じで、何らストーリー性は感じられないが、歴史上の出来事としか感じられなかった満州国の様子を、こうした映像で生々しく観ることができるのは凄い。 そういう意味において極めて貴重な日本映画で、まるでタイムスリップしたかのような感覚だった。 [映画館(邦画)] 5点(2010-08-19 23:39:01) |
1111. 贅沢な骨
麻生久美子が今までにないほどの露出を見せている。 最初から最後まで露出度の高い服を着ていて、しかも何度となくセックスシーンが出てくる。 それだのにそれだのに、何故だか今までになく老けて見えた。 話としては、人間関係がなかなかドライに描かれていて、軽いノリで観ることができた。 人間と人間のつながりなんて、しょせんはこんなもんだろうと、しみじみ感じ入ってしまった。 そして人間の命の儚さも。 だからこそ、人は生きているうちにやりたいことをやっておかなければならない。 今ある人間関係も命も、全ては泡のように儚いものなのだから。 凡庸な作品であることは否めないが、そうした人間の儚げな生き様を見せ付けられた作品でもあった。 [DVD(邦画)] 5点(2010-08-15 01:00:05) |
1112. どん底(1957)
特別、傑作ではない。 群像劇スタイルで、社会の底辺に生きる人々を丁寧に描いた内容。 不景気の現代にも通ずる内容で、現代に当て込めばそれなりに含蓄を感じる部分はあった。 左卜全の自然な演技は素晴らしい。 それにしても、黒澤明は香川京子の使い方がヘタ。 使うからには、可憐な香川京子を撮ってほしい。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-08-08 00:39:03) |
1113. 忠臣蔵(1910-1912)[活弁トーキー版]
まともな形で残っている日本映画としては、最古の作品らしい。 フィルム・センターにて鑑賞。 忠臣蔵のストーリーは知っているから、何とか理解はできたものの、それでもセリフの半分は判然としない。 映像は思ったより綺麗で、普通に観られるし、活弁トーキー版だったので、サイレントを観ている時のような集中力も要しない。 何より、今から100年前の日本映画を観ているということだけで、感動もんである。 [映画館(邦画)] 5点(2010-08-04 23:50:10) |
1114. 縮図
借金のカタに芸者として売られた女性の半生を描いた作品。 新藤兼人脚本・監督、そして新藤監督の妻、乙羽信子主演。 死にそうな時はみんな優しいが、少しでも回復すると、みんなで金づるとして扱われる一人の女性。 死にそうな時にだけ優しくて、本当にその人のことを思っていると言えるのだろうか? 例えば、死にそうまでいかなくても、弱りきった時にだけ優しい言葉をかけてきて、普段は利用ばかりしてくる人間を非難すべきと捉えるか、それとも本当に困った時は心配してくれるのだから味方と捉えるか。 自分にとっての周囲の人間に対する、敵か味方かの捉え方。 それを非常に深く掘り下げた作品で、自分の周囲にいる様々な人間に対し、信頼すべきか否か、ぐっと考えさせられる作品である。 ちなみに私個人の考えを言えば、参っている時にだけ同情してくるようなレベルの人間は、自分の味方とは到底思えない。 日頃から助け合ってこそ、仲間と言えるのではないだろうか。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-06-22 23:20:33) |
1115. 続・飢える魂
《ネタバレ》 終りまで観て、結果としては凡作かなぁ、と。 なんだか突っ走るものが感じられない。 終り方もまったくよろしくない。 三橋達也を殺すところなんか、うまく話を収めるためとはいえ、強引過ぎる。 これだけ不倫関係を散りばめて、恋愛の自由を訴えた内容なのに、最後は家庭に収まって終りってのは、納得がいかない。 大体、中年太りした轟夕起子が魅力的な未亡人に描かれている時点で、居心地がすこぶる悪い。 更には、轟夕起子に関するサブストーリーが全く不要で、このサブストーリーのせいで二作に渡る長尺になっているのが納得いかない。 南田洋子に関するエピソードのみで、普通に90分前後にまとめ、ラストは全てを捨てて恋に走る・・・ってな展開の方が流れ的に自然だし、キレが良い気がした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-06-13 19:09:40) |
1116. 婚約三羽烏(1937)
《ネタバレ》 1956年のリメイク版を先に観てしまい、しかもセリフもそれとほぼ同じということで、ただ漫然と観るより他なかった。 佐野周二、上原謙、佐分利信の“三羽烏”は、実に贅沢なキャスティング。 佐分利信が本作ではまだ若い感じだが、それでもどこか迫力があり怖い。 この頃から佐分利信は、独自の悪玉・大玉オーラを発していたように思う。 [ビデオ(邦画)] 5点(2010-05-30 17:38:21) |
1117. 牝猫たちの夜
《ネタバレ》 ゲイ少年の筆下ろしから、覗き、トルコ風呂、自殺・・・ 相変わらず、ごった煮の日活ロマンポルノ。 傑作、名作と評判の高い本作だが、リアリタイムで観ていない分、別に普通という印象。 一方で、1970年代初頭の新宿の風景を堪能できる点は楽しめたのと、まだ人もまばらな早朝の新宿西口ビル街でシャッターが一斉に上がるラストシーンは楽しめた。 日活ロマンポルノは私にとってさほど興味のあるジャンルではないが、田中登監督の作品だけは光るものを感じる。 特に場所の選び方、撮り方が秀逸。 現場撮影を大事にしているのも良い。 それにしても、新宿西口の風景は今も昔も変わらず侘しい。 タイルが汚い。 そしてロータリーが汚い。 この汚さ、猥雑さが、ATGや日活ロマンポルノの先鋭的な作品で重宝された所以であろう。 新宿の風景と言えば、線路跡。 あれは都電の線路か? 恥ずかしながら知らないが、映画で良く使われるだけあって、素晴らしく場末な新宿的風景だ。 これもまた良く映画に使われる理由が分かる気がする。 本作に出てくる三人娘は、どれも肥満気味で、中途半端におばさんで、特別美人でもない。 それがいいのか悪いのか。 私はといえば、苦手だ。 本作で知っていた出演者は、唯一、丹古母鬼馬二だけ。 しかも、その丹古母鬼馬二はノンクレジットという皮肉さ。 私がいまいち日活ロマンポルノに乗り切れない理由は、出演者たちを良く知らないからってのが大きい。 [DVD(邦画)] 5点(2010-05-07 22:00:01) |
1118. 押繪と旅する男
《ネタバレ》 序盤に鷲尾いさ子の着物からチラリと見える足首をいやらしい目つきで見ていた少年が、最後に海辺で鷲尾いさ子が足をくじいたことにより、それに触る機会を得るといった展開は、まさに江戸川乱歩らしい淫靡なエロスを感じた。 全体を通して流れる雰囲気も江戸川乱歩の世界を巧く体現していたのではないだろうか。 それと、震災で大破した“浅草十二階”こと「浅草凌雲閣」の合成映像は、なかなかの出来! 現在の浅草に復元建築してほしいなぁ。 それにしても、老人になってから自分が何をしてきたのか、と落ち込む老人には全く感情移入できなかった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2010-05-02 18:20:50) |
1119. 禍福 前篇
これはさすがに古臭かった。 入江たか子がこれまたベタついた女性を演じていて、被害者意識が強く、全く感情移入できない。 だがラストの主人公男女の話し合いには気迫みたいなものを感じた。 男女のドロドロとした愛憎劇を撮らせたら、やはり成瀬巳喜男は巧い。 後篇を観たいと思わせるラストであった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-24 15:19:31) |
1120. けんかえれじい
《ネタバレ》 鈴木清順監督作品の中では比較的まともな方なのだが、それでも何だかギクシャクしてみえた。 なんか最初から最後までしっくりこない感じ。 それでもって特別見所もなく、特別面白いわけでもなく・・・ 鈴木清順監督の風変わりぶりだけを堪能すべき作品か。 終り方は確かに合点がいかない。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-21 23:19:05) |