1. 野獣死すべし(1980/日本)
正直原作の方がずっと面白いし、何よりも「復讐」という黒い大きな野望に満ち溢れている。この映画の主人公は、伊達邦彦という名前が同じだけで、単に松田優作が演じる原作とは異なる人物に過ぎない。たしかにまばたきを全くしない、狂気に満ちた魚の腐ったような目の演技は素晴らしいのだが、これでは単に狂人が銀行強盗などの犯罪をおかしているに過ぎない。そこからストーリー性の重みがあまり感じられないのが残念だった。 共犯者の鹿賀丈史もまた原作の人物とは全く異なるのだが、なかなか素晴らしい演技だと思った。ただあんなボーイを雇うレストランはないとは思うけど。 同窓会の面々の今では有名俳優の方たちのしょうもない役に注目。阿藤快、かわいそすぎる。 リップバンウインクルのくだりは確かに素晴らしい緊張感、それだけになんかもったいない作品だったと思った。ハードボイルド作品ではなく、人間の狂気を描きたかったのかな・・・ クラシックコンサートの意味もなく冗長なシーンにも正直閉口でした。 [ビデオ(邦画)] 6点(2006-11-04 23:31:56)(良:1票) |
2. ビルマの竪琴(1956)
邦画はたくさん見ていないのであまりえらそうな事も言えないのですが、この作品は日本映画が世界に誇る名作の一つだと自信を持って言えます。 役者も素晴らしいし、何よりもあの竪琴の音色に感動します。言葉ではなくても音楽で人の気持ちを表現する事が出来る事を見事に表現しているというか。 カラーでなくてちょっと残念だったのは大地の赤い色がわからなかった事と、あのスタールビーの色がわからなかった事。 もうひとつ、北林谷栄さんが約30年後のリメイク作品でも同じ役を演じられているという事、本当に素晴らしいと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2005-06-02 20:13:26) |
3. 半落ち
題名の通り私も「半落ち」の感動。 あれだけ大げさに謎があるような感じでひっぱっておいて、ミステリー好きには、なんか全然物足りないラストではないでしょうか? 原作もなんか正直読む気になれないです。 吉岡秀隆の妙に法廷内に響く声にぎくっ! 5点(2005-03-23 23:11:49) |
4. 黒い家(1999)
邦画ではあまりパターンの少ないホラー映画なので役者の演技次第ではもっともっとレベルの高い映画になりえたはずなのが惜しいです。 大竹しのぶをはじめ役者全員が冒頭からおかしな雰囲気を前面に出している。それが監督の作風なのか原作の影響なのかわからないけれど、完全に逆効果。最初は平凡でまともそうに見えた女が実は・・・っていう方が効果があるに決まってる。(夫は狂人めいていてもいいが) ストーリーの性質そのものは実際に起きた事件もあり、質を上げて問題作になりえるのに、わざとらしい演技、主人公のもぞもぞと何を言ってるかわからないせりふ廻しと変な視線でどんどん質を落としてしまってる。結果すごく後味の悪いバカ映画という感じです。 2点(2004-10-18 18:37:13)(良:1票) |
5. 八つ墓村(1996)
私は横溝正史の作品が大好きです。でもこの作品はトヨエツが金田一なのでそれだけでなんか見る気がしなくて(評判も悪いようだし)見てませんでした。でもやはり見てみようと思い見てみましたが・・・ 金田一役のトヨエツはやっぱり全然駄目です。私のように好きな人は石坂金田一や古谷金田一がやはりしっくり来るように感じるので余計そう思うのかもしれませんが、全然自然な感じが出ておらず、ただ金田一らしく演じてるに過ぎない。美也子役の浅野ゆう子もミスキャスト。その他原作の重要な部分はねじ曲げてあるし、岸辺一徳の3役というのも解せない。多治見要蔵役はこの映画ではかなり重要であり、狂人の恐ろしさを演じる事が出来なければ恐怖も半減。 最後の方に原作で登場する重要人物も亡くなってる事になってるし、原作の面白さの半分も生かしきれていない作品だった。 ただひとつ、小竹、小梅役の岸田今日子の演技だけは見事です。 3点(2004-07-18 22:51:39) |
6. ラスト サムライ
かなり期待しましたが、正直がっかりです。全く感動出来ませんでした。それはこの映画の核である「武士道」が何の為に戦っているのか全く伝わってこなかったからです。 オスカーにノミネートされた渡辺謙さんの演技は素晴らしいのですが、英語が流暢過ぎて、逆にリアリティに欠けるというか。変な風景も含めてやはりハリウッド製SAMURAI映画そのものです。 5点(2004-06-08 23:31:14) |
7. 砂の器
原作を越える映画というものに私的にはあまり出会った記憶がないが、この映画は原作を越えた傑作であると思う。原作のストーリーをそのまま映画化したものではなく、根本的なところが違っているが、映画の方がはるかに感動が大きいのだ。 刑事今西の印象が私的にはちょっと丹波哲郎のイメージとは違うような気がするのがマイナス1点。 9点(2004-05-16 12:25:36) |
8. 座頭市(2003)
映画館に見に行こうと思いながらちょっと躊躇してしまった作品です。それでやっと見ました。 うーん、とにかくストーリーがわかりやすくて面白い。単純な私には最初から最後まで飽きることなく楽しませていただきました。 キャストもとても良かったし、ガダルカナルさんはかなりおいしい役をもらってラッキーでしたね。 ただ浅野忠信さん演じる浪人があまり悪い人に見えなかっただけに、「シェーン」のジャック・パランスが演じた悪役のように不気味に孤独な悪役に徹して欲しかった気がしています。 8点(2004-03-20 21:34:32) |
9. 犬神家の一族(1976)
(ネタバレ注意) 横溝正史の作品の大ファンである私はこの作品も勿論傑作だと思っています。最初見たときは本当に夜も眠れないほど恐かったです。でも冷静~に考えたところ、本物のスケキヨが普通に帰ってきたら別に何の事件も起こらなかったんじゃないのかな~。なんで遠慮して 顔を隠したりしてるのか。しかも珠代さんは最初からスケキヨが好きだったので、遺産の部分も全然問題ないわけで。・・・猿蔵が珠代さんの護衛に頑張ってればそれでよかったのでは?「あの人のこと、忘れられない。」には笑ってしまいました。 あと、↑竹子さんが三條美紀さんで梅子さんを草笛光子さんが演じてると思います。 8点(2004-01-10 23:05:46) |
10. 女王蜂(1978)
やはりどう考えても中井貴恵はミスキャストですね。それだけでこの作品の印象がかなり変わってしまうのが惜しいです。この役はもっと艶やかな感じのゆるいパーマがかかった長髪の美人の印象が個人的にあります。仲代達矢の学生服姿も確かにあららら・・・って感じでした。最初の方の自転車クラッシュを冷たくあしらう高峰三枝子とか細かいカット割り等は面白かったです。 6点(2003-10-10 23:05:03) |
11. 悪魔の手毬唄(1977)
《ネタバレ》 思いっきりネタバレです。動機が弱いっていう意見もあるみたいですが私も実は最初そう思ってました。何も若い娘をそう次々手毬唄に合わせて殺していかなくても。・・・でもこの事件の動機の一番は「嫉妬」なんですよね。同じ父親を持ちながら自分の娘は痣があり、人前にもあまり姿を見せたくないのに他の3人娘はきれいでわがまま。しかも自分の大切な息子を取られようとしている!本当は兄妹なのに。殺してしまった旦那が好きでたまらなかっただけにその嫉妬はすごいものがあったと思います。確かにその部分では映画ではちょっと表現しきれてなかった部分もあると思いますが、原作が素晴らしいだけになかなか味わいのある作品に仕上がっていると思います。やはり若山富三郎と岸恵子がいいですね。撮影もなかなか「素晴らしいと思います。 8点(2003-10-05 23:02:05) |
12. 獄門島(1977)
横溝正史の作品のファンとしては、この映画は獄門島の雰囲気を見事に映像化しているにもかかわらず、かなり不満が残る。それはもちろん原作と犯人を変えてしまったところにある。キャストでそれが推理しやすくなっているし、当主嘉右衛門の人間性が威厳のある人物からなんかエロじじい的な人間に変わってしまっているという点。で、結局殺人の動機そのものが少しぼやけてしまってるような気がする。3人娘の狂い咲きの雰囲気とこの物語の焦点でもある異様な死体発見現場は映像的にはかなり良かったとは思うが。(首チョンパは小説にはないが映像的にはショッキングでいいかも)市川監督の作品では何故か警部と金田一は初対面でいつも金田一が馬鹿にされているのも小説のファンとしてはあまり面白くない。 6点(2003-09-30 23:23:36) |