1. トゥモロー・ワールド
《ネタバレ》 子供の笑い声で泣けた事は、おそらくこれが始めてです。それほどテーマ性に優れており、恐怖とそして希望を感じずにはおられない。次々と礎になって死んでいく強調者達。絶え難い悲しみと絶望に耐えながらも必死に親子を守る男。これが単にホームドラマのようなセットだけの人間模様や、ハリウッドの様にVFXを多用しわざとらしくありえない演出なら、こんなには感情移入できなかったと思いますが、映し出される映像のリアリティには、CGにはできない息づかいまで感じられ、身の毛がよだつほどです。主人公の後をまるで従軍カメラマンの様に淡々とついていくカメラワーク、しかもその切れ目がまったくわからないほど自然で、まるで自分が本当にそこにいるかのような現実感。いわゆる「長回し」という技術だそうですが、これがハンパではない。2時間の映画内容のうち約半分がこの技術を使っていると思う程自然に、ふんだんに使用されています。この類まれな技術が、この作品の基礎となり、テーマ性を盛り上げてくれました。さすが、ロサンゼルス映画批評家賞では撮影賞を受賞をとっただけの貫禄があります。そしてキーの最後の言葉に泣き、そしてエンドロールの楽しそうな子供達の笑い声に、思わずむせび泣けました。文句無しに9点。 [DVD(字幕)] 9点(2007-05-08 03:34:29) |
2. 忍 SHINOBI
《ネタバレ》 アニメ版が好きで、その繋がりで見ましたが、やはり個々のドラマをかなりはしょって戦いのみに専念した感が否めません。どの忍も個性豊かで、表情豊かだった筈が、登場して次の瞬間亡くなる。蛍火と夜叉丸の儚い恋や、左衛門とお胡夷との姉妹の絆等、描いて欲しかったものが全て削られる悲しさ。原作小説や漫画「バジリスク」、アニメ版好きにはあまりオススメできません。しかし、アニメと違ってこのエンディングの方が救われる感じがしてここだけは好感が持てます。黒髪長髪の似合う仲間由紀恵は朧にハマリ役、かなり美しかったので、それだけでも見る価値あり。 [ビデオ(邦画)] 5点(2007-03-12 22:18:12) |
3. 日本沈没(2006)
内容は悪くない。しかし人間ドラマを濃密に描く事が苦手なのか、恋愛しかり、信頼しかり、非常に中途半端な過程を経て、無理やり繋げている感じだった。女の子が、最初あれだけ主人公を信頼する理由がわからないし、ヒロインが主人公を愛する理由(過程)もおざなり。そのせいで後半のあの再開や別れ、全てのめり込めず、残念。しかしそれ以外のSFX効果やパニック要素は面白く、楽しめた。最後のあの大掛かりな試みは、実際に行えるのかどうか非常にリアリティに乏しいが、主人公の決断に感動したので大目に。 [DVD(吹替)] 5点(2007-02-16 21:10:09) |
4. サイレントヒル
《ネタバレ》 ゲームを映画化したもので、最初に完全に描ききった作品が多分これではないか、と思うほど忠実に、かつ独創的に出来上がっている。出てくる登場人物は殆どそのままだし、まるでいじる必要がなかったと言わんばかり。その上であえて主人公を男性から女性に変えたことで母性愛が発生し更に深みを与えた。例えばバイオハザードの、ヒロイック的な脚色は一般には向くが、ゲームファンとしてはある意味ガッカリだった。描くべき方向性を変えてしまったからだ。しかしこの作品には、その失敗は無い。ゲーム世界のあの異様・異形・異界、それを一人さ迷う恐怖。愛する子を必死に探すのみ。それらを全て描ききっている。そしてSFXに一切の妥協が無く、残虐さに戦慄し異様な美しさに愕然とする。少女の、最後のあの笑みが魅力的だが最高に恐怖を覚えた。そう、物語はまだ終わってない。 [映画館(字幕)] 8点(2006-08-02 04:04:29)(良:1票) |
5. ゲド戦記
《ネタバレ》 ジブリ作品は全て劇場で見ることにしているのだが、あまりに試写の評判が悪いので最初躊躇した。しかしどれほど名を貶められたのか見てみたくなったのでやはり見てしまった。しかし、言われているほど悪い作品ではないと思う。過去のジブリ作品と比べればなるほど質が劣るが、1個の独立した作品としてみれば結構見られる。画質、演出、登場人物、もろもろがいたってシンプルで、繊細で無駄に飾りつけをしている部分は一切省かれている。しかしその分、てらいがなく、普段着で見られる。例えて言うなら、過去のアニメ名作劇場のあのほのぼのとした生活感。あの感覚がテルー達の生活にある。「世界の均衡を崩さない」様に穏やかに平和に暮らすことの喜び。あの牧歌的な情景だけでも、十分に価値のある作品だといえる。しかし、惜しむらくは内容の欠落部分。ゲド戦記の3~4章の部分だけを無理やり選り抜いて筆者の魅せたかった世界観を十分見せぬまま淡々と進む。これでは、後から小説を読んで足りない部分を納得して下さいと言われているようなものだ。最初の設定から無理があったのだから当然。しかし、ジブリに悪い風が入ったとしても、良い風も多少なりとも吹き込んだのは間違いない。下り坂になっている風潮に渇を入れてくれた感じで、気合が入ったのではなかろうか。既に駿監督が、次回作に取り掛かっているというし、決して無駄では無かったと思う。期待大。それと、アレン&テルーの恋に関して言えばだが、ハウル&ソフィーよりも一生懸命さが伝わってきて、純粋に好きだ。(パズー&シータの恋に似ているからかもしれないが) [映画館(吹替)] 6点(2006-08-02 03:40:06)(良:1票) |
6. 女優霊(1996)
こ、怖い。これを書く手が震えるほど。今までに無いホラーだ。(1998年当時)日本製だけあってどろどろした演出がそそる。特になんでもないあの写真の恐怖演出は、自分が悪夢でもみてるのかと思うぐらいトリップさせられた。しかし、難を言えばあのぞんざいなラスト。あれはだめだなあ。ありがちだし、ハリウッド的だし。これで大幅マイナス。しかし、これを機に日本ホラーがどんどん開花していったのは確か。呪怨の監督も、これに感化されたと言っているし。貴重な作品だ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-20 12:15:14) |
7. もののけ姫
友人達に、「まあつまらなくはない」とそっけない感想を聞かされていたのと、監督が制作をこれで最後にすると言っていた(当時)ので、これが最後の作品という思いが重なり、なかなか見るふんぎりがつかなかった。しかし、最後の最後、都心から離れたはるか遠い映画館で見ることができた。スクリーンに広がったその光景は、体の震えが止まらないほど荘厳で迫力のあるものだった。もののけや人々が個性をもち、まるで生き生きとしている。そして何より「生きる」自分の命の価値を、考えさせてくれるものだった。ナウシカでは人<自然だったが、この作品では人が本当に自然と分かち合える人間を目指していこうという、また違う観点から見せつけてくれた。手のひらに、脈々と打ちつづけている血液の音を、感じさせてくれた一生忘れることのできない作品だ。 [映画館(字幕)] 10点(2005-08-29 22:13:24) |
8. ジャッカル
20余年ほど前の「ジャッカルの日」のリメイク。まだ原作は観てないのでなんともいえないが、主演が2人というリスクを犯した割には成功していると思う。少なくとも「デビル」よりは2人の主演をどう扱うか、という点で勝っている。しかしそれ位で、他に特筆すべき所は無い。原作のほうがレビュー点数が高いので、今度見てみようと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2005-08-25 14:00:59) |
9. DRIVE 破壊王
話は最低。途中の人間ドラマも、友情も愛情もまるで日本人が外国で映画を撮ったみたいな低級さ。最後までみるのが辛かったが、アクションシーンだけはこだわりを感じる。しかし映画としては、、、。 [DVD(字幕)] 2点(2005-08-19 04:28:42) |
10. 予言
《ネタバレ》 恐怖新聞の映画化としては面白い。しかしラストはいかにも映画用のオチでドラマチックすぎ。まあ、泣けたけど。しかし自己犠牲によるこのような解決法があるのなら、恐怖新聞そのものが恐怖でなくなるような気もする。そしてもうひとつ、「死亡情報新聞」なら、普段でも当たり前に見るし、聞き流すし、気にもしない、という人間がほとんどの筈。もし自らが無意識に壁に「他人の」死亡記事を書こうが、狂ったり自殺したりはしない。現在の風潮ではリアリティがない。悲しいことに。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-27 02:54:05) |
11. 感染
《ネタバレ》 つじつまが合わないとか、矛盾しているとか色々あるけれど、単純に怖くて楽しめる作品でした。むしろそういう矛盾点をわざと残したようにも思えます。なにせ、現在見えている色は本当の色とは限らない、と言っているんですから、、。 [DVD(字幕)] 8点(2005-06-24 17:37:01) |
12. 渋谷怪談2
《ネタバレ》 1の完全な続きで始まる。まるで長すぎるエピソードを二つに分けて出したような作り。その手法は、「呪怨」に似ているが、同じようにすれば売れるというものではない。なぜならまったくこの作品には監督の情念が伝わってこない。よく聞く怪談話をつなぎ合わせ、2流役者に演じさせているだけにすぎない。メイキングで監督自ら「ホラーは初めて」「ホラー映画を作りたかった」と1、2続けて言っているが、オリジナル演出の部分はあまりにも影が薄く目立たず、単なる一流ホラーの模倣だ。1のレビューで、「大化けするかも」と書いてしまったが、このままこういう作品を出し続ければ忘れ去られるのは必至かと。 [DVD(字幕)] 3点(2005-06-16 07:35:10) |
13. 渋谷怪談
《ネタバレ》 メインとなる見せ場シーンはありがちでまったく怖くありませんでした。しかし女性が深夜一人で道を歩き、一瞬車の喧騒がとだえ、まるで自分一人だけ、という錯覚に陥る時の恐怖。日常当たり前のように聞こえる、行き交う車の通りすぎるサブリミナル効果音の中に聞こえるありえない何かの声。日常の中、一瞬他のありえないモノが入り込んでくる違和感の恐怖。その演出は唯一の見所だと思います。しかし全体としてみるとリング、呪怨等演出をマネしただけのものなので酷評させていただきました。しかしまだ若い監督なので一皮向けると大化けするかも。 [DVD(字幕)] 4点(2005-06-15 07:17:47) |
14. 千と千尋の神隠し
あいも変わらず宮崎流タッチ。 どこかで見たようなキャラと風景たち。しかしだからこそ伝わる思い。人々の生きる力とその活気。 自分で歩き始めた幼い少女の切なる思い。 素晴らしいの一言でした。そこには重いメッセージは皆無ですが、ちょっと勇気をだせば必ず出来ることの大切さが伝わってきます。 9点(2004-09-16 13:19:56)(良:1票) |
15. レリック
うむむ、脚本家はいったい、、。強引かつ粗末な展開、怪物が潜んでるっていうのに博物館内でセレモニーを始めるあたり、矛盾ありありのお話。しかし、SFXは結構まとも。、、というか、これしかとりえがない。だらけて何も考えず見るには何の問題もない作品。(フォローになってない。) 3点(2004-09-16 13:01:44) |
16. 富江 re-birth
やはり1作目のあの衝撃にはかなわない。しかし呪怨の監督だからこそなんとか形にできたものの、普通の監督に作らせてたら話題にものぼらなかった内容でしょう。1コメントの方と同じ意見ですが、富江に惑わされ、狂っていく演出が、描ききれてなかったような気がします。そして愛すくせに殺す、という訳のわからない思想を、この作品では説明しきっていません。富江1で出し切っているのでこれでもわかるだろう、と思ったのか?呪怨の作り方とは異なるこの作品は、監督のこの作品に対する思い入れがあまりないように感じます。まあでもDVDのおまけにある幻エンディングコンテのほうが映像で見たかったなあ。 5点(2004-08-16 17:46:21) |