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コメント数 50
性別 男性
自己紹介 人生半世紀を超えた。たいていのことは許す。

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1.  TAKESHIS’ 《ネタバレ》 
 とても面白かった。初老期に達したエンタテイナーの厭世感が根っこにある。北野武という人は、ホントは木賃アパートに住んで、コンビニで店番して、レートの低い麻雀打って、センベイ布団でふて寝してたいんだろう。今さらそういう境遇に落ちるのは怖いけど、それが自分の青春だったんだから、そこへ戻りたくもある。っていうか、戻ってみんなを撃ち殺してやりたい。でも、そういう甘ったれを許さないのが岸本加世子。彼女は、要するにオカンですね。あらゆる場面に顔を出して、タケシのたくらみを必ずくじく。この映画は、全知全能のオカンに見守られて緩慢に死んでゆくタケシを、ホントはそうなってたかもしれない色々なシチュエーションで見せているわけだ。功成り名遂げた男の厭世感を、映画のキャラでなく現実の「ビートたけし」を使って表現した点が、欠陥と言えば欠陥だろう。だから「ビートたけし」という日本限定のポップ・ヒーローを知らないと、映画の意図が分からない。でも、そういうやり方で「ビートたけし」こと北野武が、ヨーロッパのTakeshi Kitanoファンを切り捨てた映画とも言える。すべての虚像を切り捨てたいという気持ちが根本にある。痛ましいくらい分かりやすい映画。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-11 19:11:29)(良:2票)
2.  HANA-BI 《ネタバレ》 
この映画はホントの意味でのマザー・コンプレックスが作らせた映画ですね。ラストで「ありがとう、ごめんね」と言ってるのは、妻ではなくて母です。男を残して先に逝く女は、本質的に母なんです。職場の人間関係は狭いし、職場の外とは最初から切れてるし、コトバなんか無くても分かりあえるごく狭小な世界で、お母さんに「ありがとう、ごめんね」と言ってもらうためだけに男は生きる。映像はとても美しくて、日本の美景を自信を持って撮っている。桜、富士、白砂青松、雪、そして薄暮のレインボーブリッジ(?)まで。海外賞ねらいとは少し違う。この美景にオレは照れない、という覚悟を監督が打ち出してる感じ。それなら、文句をつけたいのはただ一点だけ。「これがオレたちの愛の劇なんだ、これが美しいんだ!」って照れずに言い切るのは立派だが、「これがそれだっ!」てこと自体が寸足らずの喜劇だぞ。優しいお母さんと、美しい自然と、殴り合うダチと。これってちょっと世界が狭すぎないか? お前は十代の不良なのか? たしかに今の日本のクリエイターが到達できる限界まで行ってる優れた映画だと思うけれど、これが優れた映画だっていうこと自体が「オレたち」の限界を示してる。
8点(2004-08-10 16:21:13)
3.  12人の優しい日本人 《ネタバレ》 
映画としては、元ネタがあるとはいえ、とっても出来がよい。面白かった。「フィーリングかなあ」の時間差2発には笑い転げた。ありがとう三谷幸喜。でも、良い子はこれが日本のオトナの現実の会議をえぐった風刺だ、なんて思ってはダメですよ。風刺じゃないんです、これは、まぎれもなく〈理想〉なんです。この陪審員協議みたいに意見のある人ばっかり集まった会議なんて……、うっそぉ! 私の半世紀を超える日本人生を振り返るとですね、この陪審員たちの協議は、まったく有り得ないほど理想的に充実した会議なのです。だって、全員とりあえず何か中身のある――有罪か無罪かどっちかの――意見を持ってて、それを表明するんだもんね。んなことあるかって。みんなくっきりキャラ立ってて魅力的じゃん。会議でキャラ出す勇気あるヤツなんて例外だよーん。それから、相手の意見に正面から反論してるでしょ。つまり、議論が立派にかみ合ってるってわけだ。それで、最後はみんなが納得する結論が出る、と。ありえない!ありえない!! あ り え な い!!! ま、取り乱してしまったが。ペーソス皆無で成功したセリフ喜劇。珍しいと思う。
8点(2004-08-09 23:46:02)(笑:1票)
4.  ゆきゆきて、神軍 《ネタバレ》 
みんな、オクザキさん凄すぎ!って言うけれど、旧ナチスを追求するユダヤ人グループは、今でもみんなでオクザキしてる。つまり、欧米の規準だと、悪いヤツはオクザキさんぐらいにきっちり追及するのが正常で、水に流すのは悪に加担するのと同じ。これは「グローバルスタンダード」だったりするから始末が悪い。私は、オクザキさんがそばにいたら引くけれど、原則として、オクザキさんは偉いなぁと思いました。別の意味で凄すぎるのが、もう一人の、確かヤマダさんというニューギニア生き残りがもらしたコトバ。自分は山の中であっち行ったら水があるとか、何かと勘が働いたから、みんなに喰われないで済んだ、ですと。取り柄がないヤツはマジで喰われるってのは、うーむ、いや、ほんとに、凄いな。そこにいる他人を、食べようかな、ってマジで考えるって、どういうことだ?これこそ真に想像を絶している。
9点(2004-06-24 12:48:17)(良:1票)
5.  羅生門(1950)
映像の美しさと構図の斬新さが際だつ。真実は見るものに相対化される、というメッセージが、神の死以後の欧米人を深いところで揺すぶった。相対主義は彼らには無神論につながるとんがったタブー。今でも「ラショモン」は真実の相対性の比喩になっていて、芥川の原作「藪の中」はジャームッシュの『ゴースト・ドッグ』でも意味ありげに言及される。日本では、人によって真実が違うなんて言いぐさはタブーどころか社会生活の前提だから、黒澤は、ラストでヒューマニズムを唐突に持ち出すことで、相対主義を越える希望を観客に見せたつもりだったと思われる。欧米と日本とで、思想的意味が食い違っている興味深い作品ということになる。
8点(2004-06-17 14:16:43)(良:1票)
6.  七人の侍
皆さんには関係の無いことですが、『七人の侍』とは幸運な出会い方をした。まだビデオが存在しない1970年代半ば、近所のマーケットの2階にあった汚い名画座で、土曜オールナイトの黒澤特集があった。「名物にうまいもん無し。クロサワってのもどうせ**みたいに評判倒れなんだろな。でも、暇だし観るか」と思って、観てビックリ。お も し ろ い じゃないの。古典的名画は、もう無理なのといつまでも面白いのとはっきり分かれる。これはいつまでも面白い方の代表格。
9点(2004-06-17 13:48:20)
7.  デッドマン(1995) 《ネタバレ》 
ジャームッシュは、いつも、当事者の予測や期待に反して思いがけない方向にものごとが転がってゆく、という状況にこだわってる。思ってたのとは全然違うトチ狂った就職先に転がり込んだり、オカシナ思いこみを固く抱いたインディアンが脈絡なしに出現したり。つじつまの合わない出来事が、つじつまの合わないままに支え合って、それなりに世界が出来てしまう構造になってる。そして、デップの人生はちょっとずつずれて行って、最後は黄泉の国に心静かに旅立ちましたとさ、というお話し。大変心地よく観られました。
8点(2004-06-16 10:32:56)
8.  ゴースト・ドッグ
伝書鳩にしびれた。緊張と弛緩が、ぜーんぶ的外れに配分されているあたりが、ちょっと真似のできないジャームッシュの世界。ところどころに出てくる英語訳の葉隠れに一驚。ジイサン侍の狂信的うわごととは全然違う立派な箴言みたいに読めてしまう。呑み込めないと言って止めといてもいいはずのところを強引に消化すると、こういう創造的誤解が生まれるわけだ。人殺しを生業にするのは勧められないけれど。
8点(2004-06-14 10:11:00)(良:1票)
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