1. GANTZ
《ネタバレ》 原作のファンです。GANTZの魅力って、人間の(日本人の、と言う方がより確かか?)心身の描写にこそあると思う。グロさ、エロさ、人の(世間的には)汚い欲求が見え隠れする日常。摘めば、目の前で誰かが地下鉄に落ちたら?そして轢かれた現場に居合わせたら?たぶん自分には助けに降りる勇気はないし、間違いなく「スゲーの見た!」って友達に即メールしてるだろう。でも、写メを撮る程鬼畜にはなれない、それだけはしちゃいけないって何かが囁く。でもその実は非日常を超見たいし求めている訳、要は偽善者。人は、大概の日本人は、手を差し伸べず携帯を離さないだろう。そうそう赤の他人に涙しないだろう。愛国心どころか、隣人愛すらありゃしない。「あぁ…これ分かるなー」って、主人公よりもその取り巻き(通行人に見られるエトセトラ)の言動に、駄目人間として共感してしまうのがGANTZだと思う。痛た痒い所を上手に突いてくるのがGANTZだと思う。日本が作るSF・アクション映画、そしてVFX技術には元より期待はしていない。でも今作は、思いの外、そんなにヒドイ出来ではないと思う。それはそれ、肝心なのは“人間”の心理描写。重きを置くポイントとして、十分に考えて作って欲しかった。「人には役目がある」のでしょう?あれは玄野自身だけのエゴじゃないでしょう?あのおばあちゃんと孫、メリーさんが演じた女性って、何のためにあそこに呼ばれて、そして死んでいったの?時間の、フィルムの無駄でしかなかった気がする。彼女らが生きようが死のうが主人公には関係ないんでしょう?まだ守りたいって意思が芽生えていないし自分のことで精一杯だったんでしょう?簡単に過ぎていく死に、見る人に何かを伝えることができない様な映画では、GANTZとしてはこれ失敗でしょうよ。次回のオリジナル性には期待して待ちたいと思う。 [映画館(邦画)] 5点(2011-02-03 19:28:41) |
2. カイジ 人生逆転ゲーム
《ネタバレ》 原作のファンとしてはやはり納得できる出来ではない。とにかく利根川の貫禄が至らない。香川照之であっても成し得ぬあの存在感である。(個人的には遠藤憲一が適役と思える)「勝たなくては…勝たなくては…勝たなくては…」かの名言を何故切ったか?地下に落ちる件は不要。全体的に詰め込みすぎで勝負のひとつずつが希薄になってしまった。限定ジャンケンは、あんな前哨戦のようなものではなかったはずだ。光ったのはやはりカイジ役藤原竜也だろう。勝負の最中はいわずもがな、冒頭で高級車を蹴るシーンから、クズっぷりを見事に演じ切った。続編は沼なのか?演者に期待します。 [DVD(邦画)] 6点(2010-04-28 18:57:48) |
3. ソラニン
《ネタバレ》 原作のファンは楽しめるはず。そして、夢が足枷となって今現実に迷っている人にはきっと心に響いてくる作品。でもそれは、無神経に背中を押してくれるようなサクセスストーリーではない。煙草に火をつけ、休憩時間に見上げる狭い青空。身動きのとれない、矮小な自分と向き合う長い長い時間。「もう少し時間をください。何か答えが見つかるまでは」…石を投げれば当たるような凡人の苦悩を、弱さを見事に描いている。(時同じくして観た映画カイジ、対象的な利根川の言葉が突き刺さる)死別を流行のように扱っている腐ったその辺の邦画とは一線を画した。芽衣子を好演したあおいちゃんはさすがである。(あと助演賞は間違いなく、サンボマスター近藤さんで)ギターも、懸念したボーカルもそれなりに、いや素人臭くエモーショナルで心伝う。個人的に惜しむらくは、あそこまでストZEROをプレイしてたのに喧嘩後の「超どうでもいいー」の件や、最後「曲が…終わった…」のシーンは、きっちり描き切って欲しかった。更に細かいけれど、学生来の付き合いのはずのムスタングは真新し過ぎてリアリティが薄い。拘って欲しいところ。もう一度観たいと思う映画ではない。一度で心に刻み付ける作品。 [映画館(邦画)] 8点(2010-04-27 12:03:43)(良:1票) |
4. サマーウォーズ
《ネタバレ》 「時をかける少女」が私的に素晴らし過ぎて、過度に(あくまで勝手な)期待をして観たのがいけなかったのでしょう。ご覧の点数で失礼したい。いや、映像美はやはり期待通り、デザインなど表現力も群を抜いていると思う。そう遠くない未来、現実にあんな馬鹿でかい仮想空間が生活の半分(?)を占める時代がきっとやってくるのでしょう。ちょっと前の時事にユビキタスって言葉があったけど、正にそれになり得る世界。そこで想定すべき危険に警鐘を鳴らす、根底にあるテーマはタイムリーかも。攻殻機動隊なんかと比べると、かわいいアバターとか、ショッピングモール、チャット、サイバーな世界観を上手に表現できておりとっても分かり易く入りやすい。ほんと細かいとこまでデザインが素敵。しかし誉めちぎって何だが、健二の存在感が主人公として足らない(事件のきっかけと、締めのみ?)。物語の導入も、なんだか歯の浮く夏希のお願いからで幻滅。好きになったかも?みたいな幕引きも無理矢理。結局描きたかったのはかっこいいアクションシーン?田舎でサイバー劇、仮想空間で花札、ミスマッチ、これがまたいいでしょ?みたいな感じがありありと見えてがっかり。ゲートキーパーなクジラって一体何してたの?無意味に萌えるレアアイテムくれただけ。最後のアバターの変身シーンって必要でしょうか…。アルマゲドンばりの、山や谷やの連続に辟易ともした。一般ウケしそうな要素を散りばめ、そして埋め尽くされてしまっていた。夏、夏休み、田舎、友達、恋、観衆が自らを振り返って懐かしむことができる、そんな感覚を期待して、私は前作の様な作品を描いた細田監督にしか表現できないと思えたあの感覚を、勝手に期待していただけなんですけど。バランスって大事です。 [映画館(邦画)] 5点(2009-08-02 16:34:42)(良:3票) |
5. クライマーズ・ハイ(2008)
《ネタバレ》 初めて予告を見た時「命を追った、あの夏」と言うコピーに、何故かしら柄にも無く怒りを覚えてしまった。原作は読んでませんので、どこまでが事実に基づいているのか、はたまた全くのフィクションなのかも分かりません。まるで戦場のような編集デスク、部署間や上下関係の確執、紙面トップを巡る人間模様。あの夏、あの日、ブラウン管の外ではギリギリの決断があった。でもなんだろう、日航機墜落と言う大事故を背景にして、描くのはそこなの?スクープを巡る駆け引きで、やたらドラマチックに仕上げちゃってるけども、実際に関わった方々はどう思うのでしょう?映画を通して、本当に伝えなきゃいけないメッセージは新聞社からではなくて、御巣鷹の尾根にこそあったんじゃないのでしょうか。実際に現場に赴いた堺雅人の現場雑感、全権堤真一の無神経な広告掲載に対しての激昂。大切な部分が希薄にスルー。ドキュメンタリーじゃないのは分かってる。史実の戦争映画だって、カッコいい主人公を立てて、そんなものはいくらでもある。けど、自分でも分からないけどこの事故に関しては、命を語ってこんな切り口に描いて欲しくなかったと強く思います。もしこれが架空の事件を追った内容だったら、報道・編集の現場が見れるとても面白い映画だったなーと、惜しい気分。あと現在とのリンク結構余計。演者方は最高。見方を変えると、まんねりで仕事に向上心を持てなくなった人にもう一度情熱を注いでくれそうな作品です。 [DVD(邦画)] 4点(2009-04-03 17:49:18) |
6. ハルフウェイ
《ネタバレ》 岩井俊二×小林武史×salyuと、岩井カラーがよく出ていて絵も曲も素敵でした。しかし、監督の撮り方には疑問があります。名作ドラマの脚本家さんとは言え、当時の感性を今もそのまま持ってらっしゃるような?(聞いた話ですが)劇中で語られたハルフウェイの語源だったり、その実その顛末が実話でそのままタイトルにしちゃった件とか、場面場面の会話やそれを追うカメラワークは俳優に一任してましたとか…。何か“新しい”や“おもしろい”を履き違えてるような?登場人物には共感もできず、全体的に「今更?」って感じ。わざとの演出なのか古臭いんですよ。昔のトレンディードラマを今見た様な耐え難い、歯の浮く様な感覚を覚えました。演者もアイドル的な人が多いし。前述のお三方に1点ずつ。ちょっと期待してたのに…、他には何もないです。 [映画館(邦画)] 3点(2009-03-16 17:39:10) |
7. デトロイト・メタル・シティ
《ネタバレ》 松山ケンイチやっぱすごいね、ほんと。今後に期待したい素敵な俳優さんと思う。灰汁の強い役ばっか(YAMATOが一番素?)演じてらっしゃるけど、どれもこれも自分のモノにしてるし。L役だって、他に誰か適役居ましたかね?クラウザーさんが実家でご飯を食べてるシーン超笑った。巻き戻して何度も。カメラワーク分かってるねー。デスメタルはあまり好きじゃないですが、クラウザーさんのsatugaiは何かいい(デスにまで至ってない気がするけど)。松山ケンイチには満点をあげたい。 [DVD(邦画)] 6点(2009-03-09 18:07:47) |
8. 歩いても 歩いても
《ネタバレ》 ラストの、阿部寛が言う「いつもこうなんだよな。ちょっと間に合わないんだ」って想いが…分かる。去り際の、あの絶妙なタイミングがすばらしいですね。現在の私の環境、実家との距離感が見事に重なって、痛く共感した。是枝監督が作るスクリーンの一枚一枚、これがらが醸す空気感ってすごい。茶の間だったり、隣人を迎えた玄関、台所、そこで生まれる他愛の無い会話も。そして演者が活きている。過去の作品然りで、youが特に。30代におすすめの名作です。 [DVD(邦画)] 8点(2009-03-09 14:54:54) |
9. 初恋(2006)
《ネタバレ》 これが、事件の真相だったら面白いと思った。時効を(無事?)迎えられる程、3億と言うお金は小さいものではない、のかなと。国家の威信が絡んでいて、もし“泳がされていた”のなら…。「なるほど」と、妙に納得ができた。そして、みすずと岸の関係がとても切ない。どうして想いを伝えなかったのか?本当の犯罪者にしたくなかったとかそれ以上に、深い気持ちを感じる。元ちとせの主題歌がまた切なさに拍車をかける。画やキャラが暗い???自分には、何かを変えたいと言う衝動に燻る、熱い若者たちの姿を見た。上辺だけの現代人のが逆に暗いんじゃないだろうか。宮崎あおいをアイドル視して観る映画じゃない。小出恵介をはじめ宮崎兄、観るべき演者がある。もっと評価されていい映画です。もったいない… [映画館(邦画)] 8点(2008-12-27 16:12:10) |
10. 20世紀少年
《ネタバレ》 原作は一通り読んでましたが、ただ今となっては潤覚えの状態。だからか?自分はそこそこ楽しめてしまいました。まず客観的には、原作を知らない人にとっては楽しめない作品でしょう。と言うのは、巻数で言ってもあの深いお話を凝縮してみせる訳で、特に時系列が前後する展開にはついて行けないだろうと言う理由がひとつ。そして、それ以上に、漫画ではあれ程に「“ともだち”って一体だれなの?」そこに辿り着くまで浮かび上がる幾つもの謎に、単行本を大人買いをする外無い程にのめり込んでいったあの感覚が、この実写では全く蘇ってこなかったこと。全く知らない方が観て、果たしてどこに面白みを覚えるだろう?また、漫画にハマった人には概ね、原作をなぞっただけの物足りない(せめて、カンナの特別な力を予見させるシーンは、もっとね…)内容でしょう。別に、映画なりの新しい解釈とか脚本なんかは僕は望まない。ほんと単純に、あのワクワク感の追求一点に絞って撮って欲しかった。キャストは申し分無い(特にケンヂ良かったです。付け焼刃のギタープレイを除いて)、と思う。音楽は冒頭のT-REXだけ、実際にこの実写に流れただけでゾワっときたが…、クライマックス時のあの軽~いロックは何なんだあれ?ロックの魂ってどの辺に???今を卑下する対象としてナイトメアを出したのはいいけども。正直、堤監督に決まった時は相当にがっかりした。オッチョの銃撃戦のシーンなんかは「恋愛寫眞」のラストを思い出させた、最悪。でもね、根本的にそんな不安な面持ちで観てしまったからか、周りから聞こえる程に駄作では無いと思えてしまった。だからちょっと高い点数をあげたい、望み薄でも続編に期待を込めて。 [映画館(邦画)] 7点(2008-09-05 18:37:15) |
11. スカイ・クロラ The Sky Crawlers
《ネタバレ》 原作は未読。ただ、時代背景など設定やストーリーはチェックしてました。全ては語られずに終わって行く内容でしたが、予備知識のお陰で(本筋もしっかりしてたし)足りない部分はすんなりと、自分なりの解釈をしつつ見れました。与えられる情報だけに納得するのではなく(過去の押井作品では、小難しい世界観に自分は追い付けなかったです…画だけ楽しんでたかも?)、“考える”ことのできる作品でした。必然と各人最後に残る思いも強く、そして様々かと。個人的には「草薙」「ジンロウ」「人形」「オルゴール」「バセットハウンド」…、たまたまでしょうが押井カラーが散りばめてあったような?川井音楽ももはやしっくり、すばらしい。声優陣は、加瀬亮はとっても良かったと思います、無表情な感じが。あと榊原良子さん、貫禄ですね。(南雲隊長が懐かしい) そして、特筆すべきドッグファイト。映像は圧巻。冒頭では、キルドレと言う存在は抜きに、残酷な戦争のほんの一瞬でも、痛烈に描けていたと思う。そして“それ”だけじゃなくて良かった。「ショーとしての戦争」は、自分には共感できなかったです。請負企業があっての、あくまで“ショー”でしょ?と言う感じにしか受け止められなかった。モニターの中の出来レースを見て、自分のポジション、つまり“平和”とか“安全”を改めて確認できるのかな?と。(自分の身に降りかかることが無いと分かっての戦争(ですよね?)があって、人が死んでいると言う事実だけでいいの?)せめて、平和に浸っている世界の日常が欲しかった。キルドレが何の為に戦って、不条理に生を繰り返しその意義に葛藤をしているのか?その存在がもっと、悲しいけどこの世界には必要なんだって言う、比較対象があればなと…。監督は(「言ってしまった…」と言う表現をされていたが)「若者に伝えたいことがある」と仰ってたましたね。この現実で、薄らいだ“命”の重さについて、でしょうか?映画が終わって退館する際、同じ回を見た大学生位の方でしょうか?10名程が盛り上がってました。「帰ってエースコンバット(ゲーム)しようぜ!」だって。色んな受け取り方があって当然、悪いことじゃない、と思う。けどさ…、そんな見方はね…。この映画にはもったいない。 [映画館(邦画)] 8点(2008-08-19 18:22:19)(良:1票) |
12. ジョゼと虎と魚たち(2003)
《ネタバレ》 原作は知らず、くるりが好きだったのと、一枚の写真(サントラのジャケットかな?)に惹かれて見ました。池脇千鶴のジョゼ役はすばらしかった。「活字の世界を抜け出したら、きっと実際こんななんだろうな」と思えた程。切な過ぎる妻夫木聡との関係。ふたりの結末は賛否を禁じえないです。ジョゼの存在が重くなってしまう、今ここに居る自分の気持ちは愛情?同情?恒夫の最後の号泣は、溢れ出た言葉にならない想いは、上手く説明出来ないけど男として分かる気がする。自分だったらどうしただろう?今問われても、やはり答えることはできません。俳優自身「ジョゼの存在を現実で引きずった…」とも。脇役陣でここでも良々、また板尾がいい味出してたな。そして言わずもがな音楽、くるり。こじつけかな?でも「(ジョゼ、さあ)飛び出せハイウェイ」みたいな。アコギのストロークがそう、乳母車でもゆっくりと、しっかりと…と言った感じ。あれはジョゼの歌でした。 [映画館(邦画)] 8点(2008-07-30 17:39:43) |
13. ピンポン
《ネタバレ》 劇場に三度足を運んでしまいました(当時色々と若かったんですね…)。原作も後日読んだ形ですが、あの作風、破天荒な人物設定と実写のキャストが(容姿然り)ビタッっと極まってました。原作からファンの方々にはどう映ったのでしょう?しかし例えば試合の見せ方は、あのスピード感、カメラワーク、良く表現出来ていたと思います。何にせよこの俳優陣!中村獅童と大倉孝二はよりハマリ役にてほんと熱かった。女っ気の無い絵に描いた様なスポ根映画の中、異彩を放った三輪明日美。彼女が卓球から離れたアクマに「友達(ペコ)カッコイイね」と言った、はにかみながら「オウッ」とうなずくシーンが好き。自慢の親友だって言えるそんな友情、とても素敵ですよね。そして更に、荒川良々の存在(笑)。部活動に燃えたあの頃を懐かしく思い出し、何かにまた打ち込みたいと言う衝動に(単純なんで)駆られました。足を痛めながらも走り込む階段のシーンで入るスーパーカーの曲も、超テンション上がりまくりでした。恥かしながらマイラケットまで購入しちゃった位で、若気の至りもあって?1点減で。 [映画館(邦画)] 9点(2008-07-30 16:08:41) |
14. tokyo.sora
《ネタバレ》 “東京には空がない”と語られた一節と、そして今作品。文学的に無知なもので、見た当時は全て嫁からの受け売りな感じでしたが、今はその空気感を評価したい。どこか晴れない、物悲しい色の空。その下で生きる、それぞれに悩みを抱えた女の子たち。異性の立場からではあるが、重ねて共感できた。淡い光漂う映像も、そんな彼女たちの心模様を現す一助と成り得ている。シナリオを決めず制作されたとのことだが、板谷由夏をはじめ、出演者陣の持つ個性とその空気感で物語は成立したと言う印象。更には、脇を固めるひとり、長塚圭史の演技がすばらしい。現在ストーリーの無い映画の横行に警鐘を鳴らしたいと言う思いはあるが、“共感できた”からこそ、今作はそれをおして別格。この切なさ加減、同性として見た嫁の評価は10点満点です。 [映画館(邦画)] 7点(2008-07-30 13:55:47) |
15. がんばっていきまっしょい(1998)
《ネタバレ》 何年経っても色褪せない。学生時代に部活動でも何でも、仲間たちと何かに打ち込んだ青春時代のあった方には必ず響く作品と思う。当時(私の場合)バスケットボール一筋だった私にとっては特に、あの頃に帰れる2時間です。 主演の田中麗奈のごくごく自然な存在感、そこに集う仲間たち(真野きりながまたすばらしい)が微笑ましい。そして「船を降りたら彼女の島」「解夏」にも見た磯村監督の感性と、特筆すべきリーチェの音楽と水面(映像美)の流れに、思わず目を閉じ身を委ねてしまう。社会人となり仕事に追われただ疲弊している現在、色々な面倒に絡まってしまった心を、この映画は梳かしてくれます。 [DVD(邦画)] 10点(2008-07-30 12:31:48) |
16. 百万円と苦虫女
《ネタバレ》 思えばリリィ・シュシュで初めて見た蒼井優。その自然体は相変わらず、ほぼ彼女見たさに足を運んだ感じです。あくまで私見ですが、ここんとこの邦画って良くも悪くも“お客さん(受け取り手)次第”と言う脚本、あり過ぎです。何も考えずに見れるハリウッドの大作とは対照的に、「考えさせる」邦画の面白さって日本映画の個性だとは思いますが。思うに、某有名アニメに端を発した(と思ってます)「全ては語りません。答えはみなさんの中に…」みたいなスタイル。流行のように、叙情的なシーンでもはやごまかして、秀逸なストーリーが無くとも「共感できるありふれた日常」があって、そこに笑いのエッセンスさえ入れば面白い映画と見れる現状。今作も違わず、少なくともラストは、そんな賛否のある形で描かれており残念でした。更にがっかりさせられたのが、森山未来演じる中島と鈴子、ふたりの恋模様。さも鈴子を裏切ったかの様に見せるあざとい撮り方は浅はか過ぎ。そして設定上、そんな件は全く必要ない。そして、バイトの同僚で大学の後輩の子が明かすあの説明口調、単にそこまでの伏線。中島の回りくどい鈴子への想いに若干「?」。ロードムービーとして田舎までは楽しめたけど、最後の街の肝心の最後で全く共感できなかったのが痛すぎです。 [映画館(邦画)] 5点(2008-07-29 17:32:02) |