41. パリ空港の人々
抜け出したくとも抜け出せない。さりとて抜け出す事に腰が引ける。如何ともし難い胸中が透けて見える大晦日の面々の様子に胸が痛くなります。ラスト、抜け出して、暮らしの保障が何もない明日へ歩いて行く二人の背中にエールを送ります。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-26 16:32:21) |
42. 欲望のあいまいな対象
《ネタバレ》 金持ちでお上品ぶってはいるものの、婦人やその幼い娘の前でも平気で告白してる爺さん。美貌は眩しくともその言動からオツムの悪さが滲み出ている小娘。互いの肉欲と金銭欲が執拗にぶつかり合う、阿呆と馬鹿の絡み合いのこれ以上ない馬鹿馬鹿しさが実に見応えがありました。意味不明のテロシーンが最後に活きています。吹き飛ぶのが二人だけなのならハッピーエンドに思えます。 [DVD(字幕)] 3点(2011-11-01 19:18:18) |
43. 汚れなき悪戯
《ネタバレ》 あどけなく愛しいマルセリーノが、「今すぐに」と旅立っていった結末に、茫然となりました。無償の愛情を惜しみなく注ぎ込んだ12人の父の心中を思うといたたまれないのですが、会う事が叶った母にお粥さん達の話をしている姿が想像出来るところにせめてもの救いを感じました。余韻の深い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-18 01:21:18) |
44. ウィスキー
ハコボにとってマルタは空気のような存在。その空気の微かな揺らぎを感じられない、若しくは感じまいとする事に対する代償。人は空気無しでは生きられないのに。鈍感は罪である事を実感させられます。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-05 01:09:13) |
45. ナインスゲート
《ネタバレ》 重厚で端正、僅かな空気の動きの如く漂う不穏さ、死体の描写の生々しさ。ポランスキー特有の映像に満足。ジョニー・デップはその世界に、久々に観たエマニュエル・セイナーのやはり濃いキャラクターはストーリーに、それぞれマッチしています。悪魔の手の上で踊らされる人間の欲望が描かれる中で、金の亡者がその門をくぐるラストは良いとして、バルカンの最期の陳腐さに監督の集中力が途切れたのかと思いました。また、金儲けの商品としての書籍に対する扱いがぞんざいであるのが始終気になりました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-11-23 03:25:50) |
46. レッド・サン
今にして思う奇跡のようなキャスティング。当時ドロン目当ての鑑賞で、三船>ブロンソン>ドロンの役柄であったことの不満が何処かへ行ってしまった、三船とブロンソンの絡みが素晴らしい。これほどまでに孤高で誇り高い侍を描いた外国映画を他に知りません。味わい深いテーマ曲も未だに耳に残っています。 [地上波(吹替)] 8点(2009-11-12 15:00:19)(良:1票) |
47. 麦の穂をゆらす風
《ネタバレ》 アイルランドの独立戦争から内戦。力ずくの下劣な暴挙に力で対抗する暴力の連鎖が繰り広げられ、憎悪と悲しみが満ち溢れますが、『マイケル・コリンズ』とは異なり、一つの町を舞台としたピンポイントな視点で描かれた末端の争いなので、民族の文化、歴史、政治的な部分が抜けた、単にやられたからやり返すの物語で見応えに欠けました。 ただ、同胞であるにもかかわらず反目する主義主張を力で解決させようとする内戦の模様と、繰り返された「私の前に二度と顔を見せないで」に、戦争が大義を掲げても正気の沙汰でない行為である事を何時も以上に見せられました。 [DVD(字幕)] 5点(2009-11-03 00:53:07) |
48. 永遠のマリア・カラス
全盛期が偉大であればある程衰える事は辛い。昔に戻れないと分かっているであろうに夢を見てしまったカラスとラリー。夢の部分である「カルメン」。オペラの知識が無い自分には、理屈ぬきで胸に響いた。このまま突っ走るのか、どこで夢から覚めるのかと観ていたのでラストの二人は切なかった。早くに逝ってしまったカラスは、第二の人生の舞台は自身考えられなかったのかと思うと悲しい。威厳に満ちた姿、美しさ、痛々しさ。ファニー・アルダンの演技は圧巻。 7点(2004-04-26 08:20:16) |