1. パニック・マーケット3D
《ネタバレ》 街のCGがしょぼいのはご愛敬。その代わり水浸しのスーパー店内はCGにしろそーじゃないにしろ、リアルな質感で最高。B級サメ映画のなかでは間違いなく当たりの部類です。 出てくるのは大きめのホオジロザメが2匹だけ。品種改良なし。陰謀なし。潔いくらいただのサメサメパニック。でもすごく面白い。 ストーリー展開も良い。強盗がスーパーに乱入。一触即発のところへ津波襲来。スーパーは水浸し。取り残された人たちがどーやって脱出しようかと途方に暮れているところに、『あれ?水の中に何かいる・・』この畳みかけ方が好きです。まさにパニックマーケットです。 このテの映画は『自分だったらどーする?』って考えながら見るのが面白い。陳列された商品棚の上に避難するっていうシチュエーションがたまらないです。 店内にいる人たちはともかく、地下の駐車場にいる人たちはどーしようもねーだろうと思っていたら、まさかあの状態から助かるとは。 最近の映画にしては珍しく、犠牲になる人にはある程度の規則性がありそうです。とりあえず悪い奴と嫌な奴が優先的にサメの餌食に。でもそのルールにあてはまっていないのが駐車場のバカ女。そーなってくるともう一つの規則性が。サメの餌食になってるの男ばっかりじゃね? まあこの映画、女性が多くヒーローも多いので、結構たくさん生き残っちゃう。サメ映画だけに、いやサメ映画なのにやや食い足りないとしたらそこくらいか。 で、『ゆき』さんがおっしゃっているように、終盤で突如主人公が覚醒。一人で2匹のホオジロザメを血祭にあげちゃう手に汗握る展開に。急にアツい。うん、パニックホラーの定石を踏まえつつこんなにスカッとさせてくれるとはなかなかです。 [DVD(字幕)] 8点(2022-03-22 14:54:01)(良:1票) |
2. the EYE 【アイ】
《ネタバレ》 ベースは『シックス・センス』でラストは『ファイナル・ディスティネーション』。 確かに、いろいろな映画作品のファクターが見受けられます。ですがそれぞれの作品の良いとこどりで終わらず、きちんと一本の映画として昇華され、『the EYE』としてのオリジナリティが確立している点が素晴らしいですね。 前半、視界が定まらない主人公マン。頻繁に映るぼやけた視界。完全主観の世界。この作業を繰り返すことによって、見ている私達はマンと同じ体験を繰り返します。そして抱くようになる強烈なマンとの一体感。怖がりの私はホラー映画を一歩引いた目線で見るようにしているのに、そんな私を強制的に映画の登場人物と同化させることに成功しています。まいった。参加させられてしまいました。舌を巻くほどに完璧に計算された演出と脚本です。おかげさまで超怖くて、夜寝られないと思っていたら、この切ないドラマの完成度。これは凄い作品ですよ。 ホラー要素だけではなく、『美しさ』や『優しさ』といった人の良心を自然に表現したことで、作品に深みがでているじゃあないですか。 インインのエピソードは、涙なくしては語れません。 ラストの名台詞はこの上ない清涼感。そしてちょっと切なく、だけど幸せな人生を予感させるハッピーエンド。 書道教室、エレベーターの霊は否応なしに怖く、電車での手紙のエピソードで驚愕する。 これだけ盛り沢山な内容にも関わらず、ストーリーにはムダがなくムラもない。とてもすっきりまとめられています。 この完成度の高さ。抜群のバランス。『ホラー』『ミステリー』『人間ドラマ』、複数の要素が綺麗に融合すると、こんなに良い作品ができるのですね。 主人公以外になぜか霊が見える店員や、重要な役目を果たしているのかよーわからん霊媒師など、放置されたままの人材がいることは確か。ですがここまで本筋が面白ければ、細かい部分はもーどーでも良いですね。 ホラー映画の傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2016-11-20 14:55:38)(良:1票) |
3. インファナル・アフェア 無間序曲
《ネタバレ》 残念ながら、1作目の緊迫感と衝撃には敵わず。 一番の原因は、潜入をしている二人がメインではないからでしょう。 ウォン警部とルク警部。マフィアのほうではサムとハウ。そしてサムの妻マリー。 そういった人物たちを中心に物語は展開していきます。 よって、前作のような衝撃のラストが待っているわけではないので、サスペンス色は弱めに感じます。 ですがクライムムービー、マフィアものとしては素晴らしい完成度で、見所が多いのは確かでしょう。 ただ、クライマックスが中盤くらいでいっきに押し寄せるため、終盤からラストにかけては消化試合のような雰囲気に。 この後半でラウとヤンがそれぞれの潜入を活かしたあっと驚く展開ストーリーが待っているかと思いきや、何もなし。前作の説明書的役割に落ち着いちゃってますね。 まあそれでも、ハウの2年分の証拠をきっちり集めたヤンは評価しましょう。 その一方で警察内部に潜入しているラウは果たして何の役に立っているのか? そもそもラウを警察官に仕立て上げなくても、サムはウォン警部から情報を仕入れられるのだから、ラウ潜入の必要性がほとんど感じられないのは残念ですね。 怒涛のごとく死者の山を築いていく中盤から後半は、その勢いに圧倒されること間違いありません。 バイオレンスギャングムービーとしては良作、なんでしょうが、そうなってくるとあまり好きなジャンルではないんですよねー、これが。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-13 04:29:55)(良:1票) |
4. ターンレフト ターンライト
《ネタバレ》 すれ違ってすれ違ってすれ違って・・・最後にようやく出会うお話。 その出会い方も、さんざんすれ違っておきながら最後は大地震で部屋の壁が崩れて出会うというミラクル。もはやコント。感動というより吹き出してしまいました。 この作品は様々なすれ違いを演出しているのが面白いですね。 『二人は隣に住んでいるのにお互い気付いていない』とか。 『肺炎で二人並んで担架で運ばれているのに気づいていない』とか。 〝赤ちゃん〟と〝犬〟の使いかたは斬新で良い。映画を面白くするために、細部まで演出やストーリーに気を配っているのがよくわかります。 それに主人公二人の周囲の人間は簡単に出会って、次々と恋が成就するんですよね。なのに二人は全然出会うことさえできない。この対比構造がわかりやすくて面白いです。 主人公二人はあまりにも優等生。すれ違いオンリーのストーリーは多少の飽きもくる。 よって発想は面白いのですが、思いのほかストーリーの起伏は少ないかもしれません。 定食屋の娘と、あほ丸出しの医者が良い味出しています。 ただこの二人の存在がコメディ色を強くし、主人公二人のピエロ感を強め、切なさを奪ってしまったのも事実でしょう。 よって、総評。『まあまあ面白い作品』。以上です。 [DVD(吹替)] 6点(2016-11-05 15:32:28) |
5. フォーエバー・フィーバー
《ネタバレ》 シンプルなストーリーながら、青春、恋愛、スポーツ、コメディ、家族愛、バイオレンス?、性同一性障害とたくさんの要素を盛り込みまくった欲張りな作品。懐かしい昭和の青春の香り、ダンスに打ち込むシーンなどは良かったのですが、それ以外はちょっと欲張りすぎちゃったかもしれません。 特に、弟の性同一性障害カミングアウトから、自殺までのエピソードによって、なんとなく作品に暗い陰ができている気がしちゃうんです。だから、ラストのバイクで旅するシーンを見ても、弟のことが気になってなんか爽快な気分になりきれません。このラブコメに入れるには、弟のイベントはちょっと重たい気がします。 てっきり、兄がダンスに打ち込み、優勝をすることによって、家族の祝福を受けるもんだと思っていたのです。ですが家族の関心は終始弟にあります。どうもこの作品には主軸が二つ存在しているようですね。 ついでに言うと、ラストのダンスも、結局はメイと踊るのかと思いきや、そのままジュリーと踊るってのもどうなんですかね?それだったら、いっそラスト3人で踊るような演出でも良かったんじゃないかな。ホックのキャラが好きだっただけに、その辺りの優柔不断さはちょっとがっかりです。 面白い作品ですから、サイドストーリーを削って、もっとシンプルにしてくれたほうが個人的には良かったです。 [DVD(吹替)] 6点(2014-09-23 01:21:02) |