1. 裏切りのサーカス
《ネタバレ》 人物の分かり辛さ、テンポの悪さ、抑え過ぎる演出にしんどくなりながらも「もぐら」の正体知りたさに最後まで鑑賞。鑑賞後はしんどいと思った点が本作の味わいに思えました。原作があるそうで、もぐらになった動機やもぐらと同性愛者の関係、一度も顔を見せなかったカーラとアンなど掘り下げて欲しかった点を確かめたくなりました。 【2018.2.14追記】 原作を読みました。500㌻超、映画同様解り辛い内容で心踊らされる事のない文章を行きつ戻りつしながらで3日かかるも、先に映画を観ていたおかげで読み切れた。 内容が把握出来た状態で再度鑑賞。 エンドロール冒頭で撮影開始直前に他界したという脚本家ブリジット・オコナーに捧ぐとあるのが頷ける極限まで削ぎ落とし、新たに肉付けした脚本が実に見事。 諜報機関に身を置く者の生き様を見せられる。 全編を覆う忠誠心と裏切り プリドーが愛するヘイドンに落とし前をつける姿は前回鑑賞時で最も印章深かったが、状況が呑み込めた今回はプリドーの胸中がこの上なく切ない。 この二人を上回るのがスマイリーとカーラであって、スマイリーがギラムに語るカーラを西側へ寝返るよう説得した昔話が圧巻。 愛する人に「行かないで」と懇願するようでもあり、一言も発せずに「裏切るくらいなら死を選ぶ」と帰国したのを狂信者呼ばわりするものの己の浅はかさ小賢しさを恥じているようでもある大写しの表情に息を呑む。 いぶし銀英国男優ここにあり。ゲイリー・オールドマン、ジョン・ハート、マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、トビー・ジョーンズ・トム・ハーディ。 私が一番惹かれたのは顔を見せなかったカーラ。演じられるのはポール・スコフィールドあたりなのだろうか。 クリスマス・パーティを回想する女々しさ溢れるスマイリーがラ・メールをバックに気骨ある亡きコントロールの席に就いたラストに拍手を送りたい。 一度の鑑賞で解らなかったので10点とは言えないが、手間暇かけて素晴らしさが解った稀有な作品に敬意を表して前回より3点を上積み。 [DVD(字幕)] 9点(2013-01-19 23:27:24)(良:1票) |
2. 宇宙人ポール
ET、未知との遭遇、興味なく未見。そんな私でも大いに楽しめた秀作。ポールの眼、その美しさに惚れてしまい、人間味ある小粋な物言いも心地良く点数の全てを。シガニー・ウィーバー・・・色んな作品に顔出してるのが笑えます。 [DVD(字幕)] 8点(2023-07-22 20:29:09) |
3. ヴェニスの商人
《ネタバレ》 パチーノとアイアンズの共演。自分にとっては夢の共演です。圧倒的な存在感はさすがです。夢のひと時を堪能出来、大満足でした。興奮冷めやらずの状態で、今日の所は取り敢えずここまでで・・・・箱を選ぶ時の思慮深さにうっかり騙されそうですが、自堕落な生活を送るぼんくらバッサーニオの厚かましい願いを聞き入れ、借金を申し込み、常識外れの証文であっても、甘い見通しを根拠に応じたのはアントーニオであり、証文通りの要求をするシャイロックに非は無いのです。ユダヤ人であるというだけで、ゲットーに押し込め、蔑むという慈悲のかけらもない行為をしておきながら、その相手に慈悲を乞うとは何事かと思います。 シャイロックは、鬱積した怨念を晴らそうとしますが、証文の盲点を衝かれた途端、要求を取り下げてしまったのは、刺し違えても言うまでには至らなかったようで自分としては、残念に感じました。財産没収はまだしも、改宗を命じるとは、驕るのも大概にしろと言いたいです。指輪の件もぼんくら振りを心配しての事かも知れませんが、執拗過ぎて不愉快でした。パチーノのぶすぶす燻り続ける怨念が裁判で一気に燃え上がる様子、アイアンズの破滅を覚悟するも、命の炎が細くなって行く事を怯える様子、共に圧巻で絶妙なキャスティングです。原作を読んでいましたが、見ごたえのある作品でした。未読の方は、読む前に鑑賞される事をお薦めします。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-09 19:56:35) |
4. ウィッカーマン(1973)
《ネタバレ》 老若男女問わず全員が卑猥な島民達の描かれる日常は気色悪さに半笑いですみますが、全員から感じる狡っ辛さにイライラが募り、警部の単独行動に、お目当てクリストファー・リーの不気味さも相まって「大丈夫なのか」不安が増してゆきます。少女捜索の結末はカケラも思い浮かばなかったもので、「コイツ等こそ1人残らず先日観たキングコングに踏み潰されて粉々になってしまえ」人の善意を利用して欺いて陥れて豊作を願う。そんな陰湿な願いを聞いてくれる神さんは居てない筈や。地球上に何人神さんが居てるのか知らんけど縋ろう頼ろうとするからこんな事が起きるのであって、感謝だけして、自分のする事は全て見られていると思ってたらええんや。血圧計が崩壊したカルト作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-08 22:19:46)(笑:2票) |
5. ウォーターシップダウンのうさぎたち
原作未読。野ウサギ達のサバイバル物語。水彩画のような風景とアート・ガーファンクルの澄んだ歌声が幻想的。一方で、ジョン・ハートを始めとする名優達の誇張の無い語り口で描かれる世界観は、弱肉強食、環境破壊、果ては全体主義までシビアであり小学生にはとてもじゃないが見せられない強烈さ。生き抜く事を考えさせられた余韻の残る秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-05-09 13:46:25) |
6. Vフォー・ヴェンデッタ
《ネタバレ》 お目当てジョン・ハートの死に様は鬼畜独裁者の情けなさを見事に表す名人芸でありました。理念は死なないと立ち向かうのも独裁者を生み出すのも個人の意思なのだと思わされます。スティーブン・レイ演ずる警視がもう少し体を張って欲しかったところです。Vの無表情の仮面が表す喜怒哀楽が印象深く一度も取らなかった演出は正解でしょう。議事堂爆破は復讐を超えたテロにしか見えません。実際に起きた火薬陰謀事件の元を辿ればヘンリー8世の離婚問題に行き着くのに驚きで、トーマス・モアのあの映画をまたぞろ観たくなりました。 [DVD(字幕)] 7点(2018-04-08 00:42:07) |
7. ウィズネイルと僕
《ネタバレ》 鳴かず飛ばずの役者二人のうす汚い暮らしをイギリスの曇天が一層うすら寒くさせ目をそむけたくなる。髪を切った僕を観たとき ♪♪就職が決まって髪を切ってきた時、もう若くないさと君に言い訳したね♪♪ のフレーズが浮かび、初めて本作は青春映画なんだと実感。独り芝居をするウィズネイルのラストシーンはほろ苦い余韻を残す。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-03 19:22:44)(良:1票) |
8. ヴェルサイユの宮廷庭師
庭師を女性としたのは作品の彩りなのでしょう。惚れた腫れたの不倫話が主となる展開で、お庭の制作過程がおざなりになったのが物足りないところ。ではありますが、監督の人柄そのままの上品な作りを心地良く観ることが出来ました。 [DVD(字幕)] 6点(2024-06-26 01:02:27) |
9. 運命の逆転
《ネタバレ》 クラウスの無表情な中に心の中の荒涼とした様子が表れていた。殺したのか否か、結局わからない。「弁護士はユダヤ人に限る」という台詞には大賛成。アイアンズはこの作品でオスカー受賞したけれど、自身「受賞はタイミングだ」と述べているように、自分としてもこの作品でオスカーというのは不思議だった。 6点(2004-01-27 01:16:33) |
10. ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
旧日本軍同様の撃ちてし止まんの精神、ヒトラー同様の立て板に水の話しぶり。 勝てば官軍なオハナシ。私的に理知的なイメージを持っていたチャーチルの酒食らって喚く言動に幻滅であります。 クリスティン・スコット・トーマスの賢夫人ぶりに点数の全てを。 [インターネット(字幕)] 4点(2022-10-03 11:46:21) |
11. ウイスキーと2人の花嫁
船もろとも海の藻屑となるのなら頂戴しちゃえ。島民の行為は目くじらたてる程でもありませんが必死で隠す姿に浅ましさを感じてしまいました。喜怒哀楽の感情が湧かなかった作品。 [DVD(字幕)] 4点(2018-11-25 23:04:27) |