1. ピーターラビット
《ネタバレ》 なんかどっちもどっちなんだよなぁ。 トーマス・マクレガーがそんなに悪人じゃないから。 むしろ、家と庭を荒らされた被害者に見えちゃう。これじゃあウサギたちが害獣って言われても仕方が無い。 終盤になると、ピーターラビットが反省して、今度は二人の仲をとりもとうと奮闘。今までいがみあっていた二人が和解し、ピーターは自分の罪をビアに告白。で、なんか丸く収まるハッピーエンド。 ま、ハッピーエンドは嫌いではないので、後味は悪くないんですけど・・・。やっぱそれまでがねぇ。 それにビアがそのままそこに住み続けるのであれば、ピーターが果たして反省したかどうかは、はなはだ疑問。 つまり、ピーターラビットに共感できないのが問題なんだと思います。 それにファミリー層を狙ったハートフルコメディにしては、やり口が少々過激すぎやしないかい。 まさにホームアローンを連想させるようなやり口ですが、そーゆーのは人間側をはっきり悪者に描いてこそ、ウサギたちの反撃にカタルシスを覚えるものでしょう。 正直、ずっと眉をひそめて見ていましたよ。とても教育上良い映画とは思えません。 ただ映像作品としては大変すばらしく、何の違和感もなくその世界に浸ることができました。 キャラもストーリーもいまいちですが、映像だけは一級品かと。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2024-03-24 16:25:31) |
2. ビザンチウム
《ネタバレ》 最初は退屈そうだなぁ・・・って思っていたのですが、美少女がいきなり血を吸ったり、追っかけてきた男の首をチョンパしちゃったり、突然のグロ展開。全く予備知識なしで見たものですから、唖然としちゃいました。 こいつは面白くなりそうだと思ったのですが、こっからまたのんびりダラダラ・・・。 良く言えば丁寧、悪く言えば退屈。 いや、最近のテンポの速い映画に慣れすぎている自分がいけないんだろーな。・・・とはいえ、なかなか話が進まないものですから・・・。 こんなこと言うのはあれなんですけど、200年も生きてきて、まだ大学に通いますか?危険を冒してまで?あの母親がなぜそれを許すの?う~ん。 ちなみにクララのキャラクターは、エレノアと同じくらい良かったと思います。最初は毒親かと思ったのですが、エレノアに対する母の愛は本物だったのがぐっときました。特に終盤ですね。エレノアも、反発しつつも、やはりクララのことを母親として愛しているのが伝わってきて、そーゆードラマが描けているのが殊の外良かったです。 こーゆー映画って、最後はみんな滅んじゃうんだろーな。少なくとも母娘は滅んじゃうんだろーな。なーんて、固定観念があったのですが、真逆の結末。考えうる限り、エレノアとクララにとって最高の結末だったのではないでしょうか。 エレベーターに墜落死しちゃった親切な男性。エレノアのことを本気で心配してくれた大学の先生たち。みんな良い人たちだったのに、死んじゃって、殺されちゃって可哀そう。そこはなんとかならなかったのかな。 ちなみに、誰も触れていませんが、エレノアがヴァンパイアなのに吸血鬼の映画をTⅤで見ていたのが、超シュールで私にはたまらなく面白かった。 [DVD(字幕)] 7点(2023-06-05 02:09:25) |
3. 美女と野獣(2017)
《ネタバレ》 ミュージカルは苦手。ふだんまず手にとりません。 ですが『美女と野獣』はアニメ版を何回か見ていて、その楽曲に好きなものが多いので見ちゃいました。もうひとつの理由は当然エマ・ワトソンです。 まずアニメ版の曲はすべて使われています。それに加え、本作のために新曲が3曲も追加。そのうち2曲は流れる時間こそ短いものの、3曲とも良い曲でした。 そしてストーリー。実写版用に多少アレンジ、追加、変更はあれど、ほぼ原作通り。おとぎ話なのでそれでOK。アニメでしか表現できない世界があるのと同じように、実写でしか出せない味わいというものが確かにあります。 それがクライマックス。野獣がガストンの銃弾で息を引き取るシーン。そしてタイムリミットを迎え、屋敷の人たちが骨董品になってしまうシーン。アニメ版では感じなかった悲しさと切なさでなんと目頭が熱くなってしまいましたとさ・・・! 当然その悲しさの反動は、そこからのハッピーエンドの幸福感をより大きなものにしてくれるのです。 ちなみにルミエール、コグスワース、ポット夫人などはアニメ版のほうがかわいいです。 とはいえ、アニメ版のデザインそのものを起用しちゃえば、実写版の雰囲気を壊しかねません。そう考えるとこれはこれで正解なのかな? そしてなんといってもこの映画最大の立役者はエマ・ワトソン、この人でしょう。その美しさ。その歌声。あまりの美声にてっきりプロが歌っているものと思っていました。歌っているのはエマ・ワトソンその人じゃないですか。わずか3カ月のトレーニングでここまで歌えるようになるなんてただ者じゃありません。まさにすべてを兼ね備えたスーパー女優です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-05-22 21:19:39)(良:1票) |
4. ヒューゴの不思議な発明
《ネタバレ》 正直言ってなかなか退屈な映画。いつか面白くなるだろう、いつか面白くなるだろうと思っていたのに、ちっとも面白くならない。 大人たちのヒューゴに対する扱いが冷たくて、見ていて不愉快。子供からノートを取り上げて、『これをどうしようがわしの勝手だ。』で、後日灰を渡すなんて、ドン引きです。結局燃やしてはいなかったみたいですが、それもイザベルのフォローがあってわかったこと。こんな大人気ないパパ・ジョルジュが、なぜかこの物語の中心人物かつ悲劇の主人公みたいな扱い方をされてついていけません。 そう、この映画って主人公が2人いる。ヒューゴとジョルジュ。 てっきりヒューゴが天才的な才能を持っていて、その発明でみんなを幸せにし、自らも幸せになっていく、そんなストーリーを勝手に想像しちゃった自分も悪いのかもしれませんが、そんな感じのジャケ!タイトル!中身は全然別モノ! 一応サクセスストーリーではありますが、爽快感、カタルシス共に弱い。 かといって、コメディ的面白さはない。感動もない。美しい映像はありますが、心躍るようなアニメーションはない。ハラハラするシーンがあるにはあるが、そのほとんどが公安との追いかけっこ。 映画は娯楽。『楽しませてくれなきゃ。』と思っている私にとって、なんとも相性の悪い作品です。 ただ、ジョルジュ・メリエスの作品をいくつか見られたことだけは収穫でした。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2019-10-21 03:22:49)(良:3票) |
5. Bモンキー
《ネタバレ》 アクション、サスペンス、ラブストーリー、そのどれもが中途半端な出来ながら、それなりに楽しめてしまう作品です。 ストーリー展開や演出は何気に面白いので、肝心なところがうやむやにされちゃったり、あっさり解決されちゃったりするのが少々肩透かしをくらいますね。 『虐待は本当にあったのか?』『福祉課を語ったベアトリスとブルーノはいったい何をしたのか?』『ポールがフランクとトラブルになった要因は?』例えば、そういうところをもう少しつっこんでくれていれば、もっと各エピソードが盛り上がったかもしれません。 また、本作品のメインである、ベアトリスとアランの恋愛ですが、これもベアトリスがアランに魅かれる説得力が弱い気がします。 それに強盗シーンも、『どこが凄腕?』っていうくらいのぐだぐだな内容だったのがさすがに残念。 ラストの、『こんな何もない田舎で幸せを感じられるなんて』というセリフが、まさに本作品の中途半端さを一言で表しているような気がします。 それでもまあまあ面白いのですけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-09-15 02:34:17) |
6. 日の名残り
《ネタバレ》 過ぎ去ってしまった日々はなんて美しく尊いものなのでしょうか。普通は何十年も後にしか分からない感慨を、たった2時間のドラマの中で体験できたことに感謝です。 本作において、スティーブンスの執事としてのルールは、はっきりしています。そのルールの中でも核になるのが、「使用人同士の恋愛をしてはならない。」「執事は主人とそのお客様に対して、個人的な意見を言ってはならない。」の二つでしょう。その二つのルールを徹底しているだけなのに、そこに崇高な志を持った執事の姿を見ることができるのです。 ただ、スティーブンスはやはり生身の人間でもあります。彼が感情のある人物であるということを素晴らしいくらいに第三者の視点のみで描いているところにこの映画の魅力がありそうです。 個人的には、映画が原作を越えられることはまれだと思っています。なぜなら活字で表現できる心理描写というものを映像で描いていくことには限界があると思われるからです。ですが、この映画は心理描写を登場人物たちの台詞や表情、仕草を通してかなり的確に表現できているのではないでしょうか。まるで小説を読んでいるかのような味わい。それがこの作品にはあります。 スティーブンスは2回ほど、プライベートと公務において同時に選択を迫られるシーンがあります。一度目は大事な会議の最中に、父親が亡くなるシーン。二度目はダーリントン卿とナチとの密会の最中に、ケイトンが結婚の報告をするシーン。 まさにスティーブンスがプロとしての資質、執事としての在り方を問われる本作でのハイライト。そしてスティーブンスの選択、行動、振る舞いに、僕はただただ深い満足感を覚え、充足感に満たされるのでした。 [DVD(字幕)] 9点(2013-06-30 15:32:31)(良:2票) |