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1.  欲望(1966) 《ネタバレ》 
抽象画風のやや難解な映画だ。現代人の「虚無と孤独」が主題だと思う。主人公の写真家は、「現代人、特に男性」を象徴する。経済的に恵まれ、仕事も成功しているが、心は空虚である。移り気で何をしても満足できず、熱中しやすく、冷めやすく、時に人道主義的で、時に冷淡で、女性に惹かれながらも蔑視し、日常生活に飽き、どこか別の世界に行きたいと願う。写真家の人物描写が興味深い。底辺の労務者を撮るが、同情はしない。飛んで階段を登ったり、スライディングして電話をとったりと落ち着きがない。モデル撮影に熱中したかと思うと、さっと止める。静寂を感じると車のクラクションを鳴らす。骨董屋ではプロペラを欲しがるが、スタジオでは見向きもしない。二人の少女と戯れるだけ戯れると、まるで別人となり殺人事件の写真解明に向かう。ライブハウスではギターネックを欲しがるが、通りにでると捨てる。自分というものが無く、周囲の刺激や雰囲気に大きく影響を受けてしまう。殺人事件は事実だ。拡大写真に消音器付拳銃が映っているし、死体も触って確認している。注意深く観ると、デモのプラカードを乗せた写真家の車を追跡する男女同乗の車に気づく。男はレストランを窺っていた怪しい人物で、殺人の実行犯だろう。女は唐突にスタジオに登場したのではなく、追ってきたのだ。スタジオが物色されて写真とネガが奪われたのも、事件が事実であることの証明だ。だが写真家は事件を目撃したという事実に確信が持てなくなる。写真とネガはないし、語るべき相手がいない。抽象画家の恋人と編集者に話すがまるで通じない。画家の恋人には「まるで抽象画」といわれるし、編集者に「何を見た」と訊かれて、「何も」と答えるしかない。「伝達の不毛」「人間関係の不毛」だ。虚無を象徴するのが「無音世界」だろう。無音に耐えきれず、クラクションを鳴らすし、ギターネックに執着したのも音に惹かれたから。公園の死体が消えた後、彼は自分を失って彷徨う。カメラだけを信じて生きて来たのに、それさえも信じられなくなった。そこでパントマイム・テニスの無音世界に出遭う。影響されやすい写真家は、パントマイムに参加し、見えない球を投げ返す。すると聞こえるはずのない打球音が聞こえてくる。無音世界が真実になったとき、写真家の姿は消えた。意識ともども無音世界に行ってしまった。60年代ロンドンの現代アートを刻み込んだ貴重な作品。
[DVD(字幕)] 8点(2013-09-15 14:42:03)
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