41. インターステラー
《ネタバレ》 話の半分も理解できんかった。 あれよあれよという間にクーパーが人類を救うために宇宙に行く展開がすでについていけんかった。 そもそもクーパーとマーフがあの秘密基地にたどり着いたのは、基地側の人間からすればまったくの想定外の出来事だったはず。にも関わらず、クーパーに事情を全部話しちゃって、移住先の星を決めるという重大任務を与えちゃうっていうのが理解に苦しみます。 方程式はすでに解けていた?ブラックホールに入ると方程式の残りの解がわかる?それをモールスで娘に伝えて方程式が解けた?そしたらなぜか目覚めるとブラックホールから帰還していた?人類の移住が成功していて、それは土星?わかる人にはわかるんでしょうけど、私にはまさに荒唐無稽の映画でした。 期待していた分、落胆も大きい。せめて時間が短ければ・・・。 映像の迫力は息を呑みますが、理屈がいまいち理解できていないので、それが驚きや興奮や感動につながっていきません。 宇宙だけに終始ふわふわしていて、まさに地に足のついていない映画でした。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2021-03-28 15:03:32)(良:1票) |
42. トラッシュ! この街が輝く日まで
《ネタバレ》 思っていたよりサスペンスアクション。大物政治家の献金リスト。裏金。その隠し場所が示されたヒントと財布。ゴミ捨て場で暮らす少年達と国家権力の攻防。 正直よくあるプロットではありますが、その舞台はあまりなじみのない世界の話で、大変興味深く鑑賞。 ブラジルの警察の腐敗ぶりというか横暴は結構凄くて、見るに耐えないとはまさにこのことです。 少年達が力を合わせて頑張るアドベンチャーはわくわくするものです。私もこの手のジャンルは結構好き。ただラファエルが警察に痛めつけられるシーンはちょっと目を背けたくなります。 少年達の置かれている環境があまりに苛酷過ぎて、最初のうちはあまり映画を楽しむ心の余裕がありません。 その分ラストはわかりやすいハッピーエンドで、後味爽やかなのが良かったです。 まともな教育を受けていなさそうなのに、少年達がちょっと知恵がまわりすぎる気がしましたが、そうでないと警察とはわたりあえないので仕方ありませんね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-12-18 09:41:43)(良:1票) |
43. グランド・ブダペスト・ホテル
《ネタバレ》 ホテルの中でいろいろ起る話かと思いきや、ホテルの外でいろいろ起る話でした。 ミステリーと言うには浅く、コメディというには少々ブラックが効きすぎか。どの側面から見てもどっちつかずの中途半端。とゆーか、そーゆー作風ですね。見る人を選ぶとはまさにこのこと。私の好みには合いませんでした。 登場人物は皆記号と化していて、与えられた役割をこなすだけ。RPGに出てくる村人『ここは○○の村だよ』を言い続ける人と変わりません。感情の起伏が極力抑えられ、鑑賞者は事の顛末を蚊帳の外からただ眺めているだけ。 せめてラストがもう少しわかりやすいハッピーエンドで終わってくれれば。あっさり『グスタヴは死んだ。撃たれた。』とか、『妻と幼い子供は○○風邪で死んだ。』とか、わざわざ言う必要があるだろうか。このほろ苦い余韻は必要なんでしょうか。 グスタヴは良い人だし、ゼロもグスタヴに忠実なので、二人の関係は見ていて心地良い。 ゼロが連行されそうになったり、暗殺者が暗躍したり、グスタヴが投獄されたり脱獄したり、とにかくいろいろ起きるので飽きません。ですが鑑賞後の満足度は低いです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-12-17 03:26:12)(良:1票) |
44. ターゲット(2010)
《ネタバレ》 一流の殺し屋がターゲットと仲良くなっちゃうよくある話。 結構人が死んじゃうサスペンスコメディ。どちらかと言えばコメディ寄り。それもブラックユーモア満載のコメディといったところ。 ヒロインのローズはビジュアルは良いけれど、登場シーンからして軽犯罪やりまくりのとんでもない女。 ビクターは紳士的だけど、試着室に入っていた無関係な一般人を誤って殺しちゃったりしています。 とても共感できない2人ではありますが、なんか憎めない魅力もあります。 完全に無関係なトニーも良い味出しています。 ローズを殺すために殺し屋を雇ったファーガソン。その部下。ファーガソンに雇われたディクソン。それぞれ個性的な悪役。と言いたいところですが、実際は悪役ではない。ファーガソンはローズに大金を騙し取られた被害者。なのにディクソンたちは殺され、ファーガソンとその部下は重傷を負って入院。騙し取られた大金も戻ってこない。冷静に考えればとんでもない話。 ビクターとローズはその後結婚して子供ができたようでして。トニーも仲良く一緒に暮らしています。トニーはともかく、とんでもない犯罪を犯してきた主人公2人が幸せそうに過ごすハッピーエンドで終わるような映画。これを割り切って楽しめるかどうかで評価が変わりそうですね。 ちなみにビクターの母親が最高に良いアクセントになっています。 [DVD(字幕)] 6点(2020-12-11 14:32:26) |
45. 僕と世界の方程式
《ネタバレ》 自閉症って言ってもいろんなタイプがあるんですね。 ルークみたいにどこに行っても疎まれるタイプもいれば、ネイサンのように人によっては受け入れられるタイプもいる。劇中ではルークに救いの手が差し伸べられなかったのが辛いのですが、これが世界の真実なのかもしれません。 映画としては『天才型』あるいは『サクセスストーリー』のようなものを期待していたのですが、実際は『自閉症』とその家族、友人をとりまく人間ドラマ。スカッと爽快感のある映画ではありませんでした。いや、自閉症スペクトラムのネイサンが、2人の女の子から好意を寄せられている時点で、ある意味リア充的サクセスストーリーなのか。 数学オンリー、自分オンリーだったネイサンが、他者との関わりを通し、少しずつ他人のことを考え始める。母親が本当に大変そうで、かつ不憫で、いたたまれない気持ちでいっぱいだったのですが、最後はネイサンと心を通わせることができて本当に良かったです。 ルークと違い、ネイサンは周りの人には恵まれていたと思います。 個人的にはネイサンが数学オリンピックで活躍する姿を見てみたかったです。 劇中そういったシーンはほとんどなく、唯一と言っていいのは合宿中のワンシーン。先生に指名されたネイサンがみんなの前で問題の解説を行う。ここは少し盛り上がるシーン。今まで他者から疎まれ、イジメに近い扱いを受けていたネイサンが、みんなから拍手をもらう瞬間。気分が高揚します。ですがこれ以降、類似シーンはまるでなく、ネイサンが数学よりもっと大切なものを遂に見つけるという流れで幕を閉じます。できれば、ネイサンが周りの人たちから頼りにされるような、そんな人物になる姿を見てみたかったものです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-12-01 10:30:06) |
46. ラン・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 ゾンビものの中では良作。『新薬の副作用に関するニュース⇒変異の噂⇒避難の呼びかけ』の流れがうまい。ゾンビが町中に溢れ、パニックになっていく様子が最高。前半~中盤までは突き抜けた面白さです。 被験者3万人の中で、唯一症状が出ていない人類希望の星アンジェラ。製薬会社裏の仕事担当コール。アンジェラの彼氏、水上警察のジョー。脱出用のヘリを確保しに行くアンジェラの兄。4つのスタート地点が全員バラバラ。無事に全員合流できるのか。その過程がサスペンスフルで面白い。 後半になると人間ドラマの割合が増え、映画のテンポが悪くなります。もちろん、人物の背景を描いてくれたほうがより感情移入しやすくなるのは事実です。ただ、この映画は後半その割合がちょっと多すぎた、もしくは長すぎたかもしれません。しかもすべて『語り』で済ませちゃう。そこは映像化してくれたほうが良かったと思います。例えば、ジョーが麻薬依存の少年を射殺してしまったことを悔いているのであれば、そのシーンを映してくれるだけでも、彼に対する印象はまた変わったかもしれません。 パニックムービーではトラブルメーカーも必須。ただこの作品のトラブルメーカーはトラブルメーカーすぎてちょっと不自然かもです。正直大分イライラしました。自分勝手な女性が最後コールに足を撃ち抜かれるシーンはスカッとします。 中だるみがもったいないですが、総合的に見ると完成度の高いゾンビムービー。 気合の入ったゾンビ映画としてオススメできます。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-27 09:24:53)(良:1票) |
47. アバター(2009)
《ネタバレ》 前半9点。後半7点。間を取って8点。 映像が本当に凄い。前半はその映像と世界観に圧倒されっぱなし。身体の不自由な主人公が初めてアバターを扱う瞬間。見ているこっちの世界まで開ける感覚。ゾクゾクします。ジェイクの両足が不自由であるという設定が良かったと思います。それがなければただのいけ好かない奴で終わっていた可能性もあります。 ネイティリが凄く好き。見ているうちに、だんだん魅力的に見えてきます。ネイティリに惹かれていくジェイクの気持ちに共感できます。個人的にはラブストーリーとしても十分に楽しめる内容。 ドラクエ世代でありFF世代である自分にとって、想像しか出来なかった世界をここまで見事に映像化してくれたことに大満足。ジェイクがグレイス達の護衛として初めてパンドラの自然に足を踏み入れるシーンは本当にワクワクします。 初めて見る花や植物に興味津々のジェイク。ユニークな植物と触れ合っていたら、次々と現地の生物に襲われちゃって、この辺りが最高に好きです。 あえて単純化された善と悪の二極化ストーリーもこの作品には合っていたように思えます。単純明快なプロットにしたからこそ、終始映像世界を堪能できたとも言えます。また、これだけの映画が作られてくると、ストーリーが似通ってくるのはもはや自明の理なのかもしれません。面白いストーリーやプロットは、何度焼き直しされても全然構わないと思います。 最後にストーリーについて。 征服する側に征服される側の気持ちはわかりません。あえて征服される側の視点に立つ。そのうえで、大衆向けの娯楽作品でアメリカのメタファーであろう地球人類を徹底的に悪者に描くっていうのは凄い。エンターテイメントという体を成しながら、こういう客観的な視点を持たせてくれる作品は貴重だと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2020-11-04 11:50:22)(良:1票) |
48. ザ・イースト
《ネタバレ》 映画に娯楽を求めちゃう私にとって、こーゆー作品はどうしても評価が低くなりがち。これは完全に好みの問題です。 薬害、公害を引き起こす企業に制裁を加えるザ・イースト。そこに潜入し、ザ・イーストの調査、監視をすることで企業を守る民間警備会社。主人公のジェーンはザ・イーストに潜入するも、彼らに感化され、その思想に一定の理解を示すようになってしまう。その一方で、『目には目を』というイーストの基本理念には強い抵抗感を露にします。『ミイラ取りがミイラになる』みたいな単純な話でもなさそうです。 それが証拠に、ザ・イーストに協力する一方で、自社にはしっかりイーストの情報を報告する。彼氏と仲良くする一方で、イーストのボスとねんごろになってしまう。そんな状況がずっと続くわけですから、ちょっと疲れてしまうのです。 メインストーリーと関係のないシークエンスで結構尺を取っちゃったり、その一方で説明不足な部分があったりと、決してバランスやテンポが良い映画とは言えません。 全員が拘束衣に身を包み、口でスプーンをくわえ、隣の人に食べさせてあげるシーン。このいかにもな思想集団的発想、自分達以外のものを否定する雰囲気がカンに障る時点で、自分とこの作品は合わないと思いました。 [DVD(字幕)] 5点(2020-10-04 02:04:12) |
49. サブウェイ123 激突
《ネタバレ》 思っていたより面白かったです。ここでの評価が低かったので、どうかなと思っていたのですが。 オリジナルがあってこその低評価。なるほど。どうしてもリメイク作品は厳しい目で見られがちになるものですから、多少低評価になるのは致し方ないかもしれないです。 パニックムービーとしてもクライムムービーとしても及第点。これ単体で見れば悪くない作品じゃないでしょうか。 演出がパワー不足なのか、やや盛り上がりに欠ける気はします。ですが最初からずっと、それなりの緊張感を絶やすことなく、最後まで楽しませてくれます。 私怨をはらし、利益も追求する。激情家に見せてその実計算高い。そんなクレバーな人物を流石の演技力で魅せるトラヴォルタ。 一方、一般人でありながら、存在感のある主人公を見事に演じていたデンゼル・ワシントン。 この2人が主演を務めたからこその面白さもあるかもしれません。 面白けりゃなんでもよい私にとって、この作品とは相性が良かったみたいです。 唯一難点を挙げるなら、暴走する無人列車そっちのけでライダーの追跡をしちゃうガーバーはキャラに合っていない気がしました。違和感を感じます。人命最優先ではなかったのでしょうか。だったらすぐ本部と連絡をとって状況を説明するのが先決ではないかと思うのですがね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-09-19 09:07:49) |
50. ゾンビハーレム
《ネタバレ》 ゾンビものは好きなのでとりあえず鑑賞。とは言え、駄作オーラ全開のタイトルに、期待は全くしていませんでした。 で、思っていたよりかは力作。というか意欲作。一風変わったゾンビ映画を、わりと真剣に作ってみた感じです。 ゴア描写もB級作品にしては力が入っています。 玩具、アパレル、精肉、民家、教会、様々な建物に侵入するのがちょっと面白い。どの場所においても惨劇の残り香を漂わせる風景が用意されていて、こんな映画にもイギリス人のきまじめさが反映されている気がします。 ただ、ゾンビものとしては結構中途半端な出来なのは否めません。 指を切り落とすデブ女ゾンビに捕まるシーンや、精肉店ゾンビなど、怖さを感じさせるインパクトはところどころにあり。ですがそういった恐怖演出的見所がすべて単発。ホラーとしてはやや失敗。 かと言って笑いのセンスが良いとは言い難く、コメディはすべり気味。 登場人物が悪い意味で馬鹿すぎるのもマイナス。 何をしたいのかわからないシーンが多いうえ、ミスや油断も多く、反撃のカタルシスなんてものは得られません。 また、ゆきさんの意見に同意見で、こーゆー映画だからこそマットやパトリック、バンクシーを殺すべきではなかった。 最初から最期まで突っ走る感じのノリは嫌いではないです。 [DVD(字幕)] 6点(2020-09-17 13:32:15)(良:1票) |
51. 月に囚われた男
《ネタバレ》 高評価のところ申し訳ないのですが、登場人物が1人なので、どうしても飽きがきます。 自分が使用期限3年しかないクローンだったと気付く話で、救いようがない。 唯一の救いは地球に帰還(帰還というには語弊がありますが)したクローンが自分達を生み出したルナ産業を告発するエピローグ。リアルなクローンウォーズですね。 とはいえ、やはり暗い。色調は白で統一されていて明るいのに、ストーリーがなにしろ暗い。 閉塞感漂うなか、使用期限が近づいてどんどん具合が悪くなる主人公をただ見続ける90分。映画に娯楽を求める私とはどうにも相性が悪い。全然楽しくないし辛いだけ。 序盤は面白かったんですけどねー。女性の幻影を見たり、なんだかホラーちっくで、ミステリアスで。興味を惹かれていたのですが、結局あの女性の幻影がなんだったのか、そのアンサーはなし。こんなの詐欺です。 終盤、タイムリミットが迫る中、月から脱出しようとするクライマックスはハラハラして面白い。『脱出』ってのはやっぱ否が応にも盛り上がるものです。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2020-09-16 12:15:04) |
52. 復讐捜査線
《ネタバレ》 緊張感あふれるサスペンス。メル・ギブソン世代なので、彼が頑張っているだけで嬉しい。 今作はエンターテイメント作品というにはストーリーは重いし暗い。タイトルに『復讐』の2文字が入っている以上は、なんらからの悲しいエピソードは予想されるのですが、それにしてもオープニングの悲劇はけっこう辛い。 ただ暗い話ながら、黒幕とは全員きっちりカタをつけるので、復讐のカタルシスは得られます。 そしてすべての真実は新聞社のもとへ。ラストにこのシーンがあるかどうかで見終わった後の感想がまるで変わってくるでしょう。 中盤までは謎ばかり。ヒントも少なめ。ですが最後は点と点がつながって線になり、画になり、ちゃんと全体像をきれいに見せてくれます。 かなり真面目に作られているので、その分ややテンポが犠牲になっている部分があるかもしれません。だれそうになることもしばしば。しかしだれそうになるとショッキングな事件が起きるので、緊張感が途切れることはありません。 小さい頃の娘の幻影がたびたび出てくるのが悲しい。これがドラマとして悲しさや深みを与えています。クレイブンの最期のときには娘が迎えに来てくれるのが救い。 政府側だったはずの証拠隠滅係みたいな人の最期が壮絶。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-09-10 13:33:36) |
53. ウォッチメン
《ネタバレ》 『ウォッチメン』だけならまだしも『ミニッツメン』とやらまで過去にいたようで、その両方が冒頭の回想シーンに登場。これは混乱します。 『暗い』『グロい』は映画の味なのでまだ良い。 ですが『わかりにくい』『不親切』はだめでしょう。 特に『ヒーロー』やら『超能力』やらが存在する、まさに架空のSF世界であれば、その世界観の認識がとても大事。そこを断片的な映像情報の羅列で済ませて『はい、本編』はいささか不親切。もちろん本編のほうで説明不足の部分を補いながら進行してくれるのであれば問題ありませんが、本編は本編で謎の元ヒーロー殺しの謎でいっぱいいっぱい。 更にはまだコスチューム姿とヒーロー名さえ一致していないのに、元ヒーローの方々の本名までばんばん出る始末。覚えるのが大変です。 とまあ、文句ばかり言っちゃいましたが、じゃあ嫌いなのかというと、結構好きだったりします。こーゆーの。 規格外のDr.マンハッタン。No.2はオジマンディアス。この二人は人間離れしています。 ナイトオウル、ロールシャッハ、コメディアンが強さ的には横一列でしょうか。ラストがシルクスペクター。 結構強さのバランス感覚が良くて、見ていて確かに面白い。 黒幕はオジマンディアス。なのですが、全員が手法は違えど『平和』という同じベクトルを向いているのが救い。 最も正義に対して潔癖だったロールシャッハが、合理的平和を最優先するDr.マンハッタンによりその命を散らしてしまうのは衝撃的であると同時にとてもドラマチック。 そしてすべての真実が闇に葬られたかのようにみせかけて、ロールシャッハの手記が出版社のもとに届く結末。 真相が分かった今、もう一度最初から見てみたいとも思いますが、見返すにはちょっと時間が長すぎるのが欠点。 時間を長くしすぎている原因のひとつに、Dr.マンハッタンの哲学の講義があります。この辺りをばっさりカットして、もう少しテンポよくしてくれたら8点以上の価値があります。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-08-23 02:25:42) |
54. トライアングル(2009)
《ネタバレ》 息子は?なぜ1人ヨットハーバーに?あの突然現れた積乱雲は?無人の定期船の正体は?なぜジェスはここに来たことがあるの? とにかく1から10までミステリーに埋め尽くされた作品。 タイムループ系でもあるし、不思議系でもある。 1つの時間軸に自分という存在が2人いるというのはよくあります。ですが3人というのはあまり見たことないですね。だから『3つのアングル』で『トライ・アングル』なのでしょうか。かなり考えられている脚本とタイトルなのかもしれません。 ごちゃごちゃした構成なのに、ごちゃごちゃしているように感じさせないのに、作り手のセンスを感じます。 とは言え、映画としてはミステリーに重きを置きすぎて、それ以外の要素にあまり良いところが無い気もします。 まずこれだけ個性的な面子を揃えながら、ジェス以外はただのやられ役で終わってしまっていること。 ホラー的演出をしながら、ホラー的な面白さは足りないこと。 どうもアイデア先行の作品という気がしないでもないです。 映画としての面白さ、完成度、満足度でいうと、どれもちょっと物足りないですね。 それから映画とは全然関係ないのですが、DVDのタイトルに勝手なサブタイトルがついています。『殺人ループ地獄』。クソださいうえに、壮大なネタバレ。このサブタイトルをつけた人の良識とセンスを疑います。 [DVD(字幕)] 5点(2020-08-03 05:46:49)(良:1票) |
55. エグザム
《ネタバレ》 よくあるシチュエーションスリラー。閉鎖空間サスペンス。範囲が狭いと動きや展開が限定されるため退屈に感じちゃうこともあるのですが、この作品は面白かったです。 全人類の約半数が感染?っていう謎の終末感は個人的には蛇足な味付けでした。 急にSF。急にザ・フィクションって感じになってしまいまして。 当事者の気持ちで映画の世界に浸っていたところ、急にはじきだされた感じがします。『いや、これ作りもののお話だから。フィクションだから。マジになってんじゃないよ。』って、リアルな雰囲気をぶち壊されたような気持ちになりました。 ただ、この設定がエンターテイメント性を強くするのに一役買っているのも確か。 『しょせん入社試験』だったのが『命や人生に関わる試験』へとその意味を変えていきます。 ある者は自分のパートナーを救うため。ある者は病に冒された自分自身を救うため。文字通り命がけでこの入社試験に臨んでいるわけです。 登場人物はみな個性的。ホワイトにしろブラックにしろブラウンにしろ、ちょっと暴力的かつサディスティックな人間が多いのは気になるところではあります。 ラストのオチは一休さんかと思いました。さんざんもったいつけといてそれかー。なんか答え教えてもらってもスッキリするようなカタルシスはないですね。第一、このオチであればメガネ+ガラスで見える文字のトリックは不要でしょ。 オチはともかく、緊張感の作り方はうまく、攻守交替していく展開はスリリングで見応えがあります。 状況次第で誰しもが加害者にも被害者にもなりうる。これぞシチュエーションスリラーの醍醐味です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-07-14 07:57:55) |
56. マジック・イン・ムーンライト
《ネタバレ》 ウディ・アレン監督の作品は登場人物がせわしないイメージがあって苦手意識を持っていたのですが、これは面白かった。 まずエマ・ストーン演じるインチキ占い師がかわいい。これ大事。正直彼女の魅力が少しでも足りなければ、随分とつまらない映画になっていたことでしょう。 そしてコリン・ファース演じる、合理主義で傲慢で皮肉屋なマジシャン。このキャラが結構好き。歯に衣着せぬ物言いで、言いたいことを言いまくる。いつもだったら『うるさいなー。』って感じるところ。ところが今回はそのウィットに富んだ切れ味鋭い毒舌が妙にクセになる。 ストーリーは昔ながらのシンプルさが何とも言えない趣を醸し出す。『凄腕マジシャンがインチキ占い師のウソを暴く』+『恋愛』。最初はライバルのような関係だった二人が惹かれあっちゃう、いつの時代だよっていうくらいベタな展開。 主人公の婚約者にしろ、ウクレレ王子にしろ、恋愛が必要以上にドロドロしていないのも良いですね。後味爽やかです。 そーゆー余計なところに時間をかけず、コンパクトにまとめる潔さが好きです。 ずっと記憶に残るような映画ではありません。ですが少なくとも2、3日はちょっと楽しい気分にさせてくれる、『幸せおすそ分け』的良作エンターテイメントです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-07-14 04:26:24)(良:1票) |
57. あと1センチの恋
《ネタバレ》 いや、面白いんだけどさ。確かに面白いのだけれども。なんか気に入らないんだよね。主演の二人が。 アレックスはやたらフラフラしていて、近づいてくる人とはみんな付き合っちゃう。でもどっかロージーのことがいつも気になっていて。・・・それって付き合う相手に対してかなり失礼、というか普通にひどくないですか? 例えばベサニー。ぱっと見は派手なんですが、実は浮気もしていないし、ちゃんとアレックスだけと付き合っています。それプラス、ルックスの良さを考えればすごく良い彼女と言えます。だからアレックスは結果としてベサニーには結構ひどいことやっちゃってます。 ロージーはロージーで、好きでもない男の子供を身篭って出産。しかもアレックスには秘密。なのに、アレックスが交際相手との間に子供ができたと知るやいなやぶちぎれる。いやいや、自分勝手すぎませんか。 ロージーとアレックスは美男美女。それも『誠実そうに見える美男美女』。つまり、二人の内面や人間性ではなく、その誠実そうなルックスで、無理矢理二人の生き方に正当性があるように見せています。 実際、私も『お前らなー』って思いつつも、応援しちゃっている。 いかんいかん。目を覚ませ。みんな騙されるな。悪いやつらやで、こいつら。 [DVD(字幕)] 6点(2020-07-09 02:59:00)(笑:1票) |
58. アリス・クリードの失踪
《ネタバレ》 全編誘拐犯のみが映し出される異色のサスペンス。正直たった3人の出演者でよく頑張っているなーと思います。 ですがそれだけで100分もたせるのは至難の業。 この作品はよくできているほう。なにしろ最期まで緊張感が途切れない。誰が怖いとかじゃないんです。このシチュエーションがなんか怖いんです。常に一触即発の状況に、ずっとドキドキしっぱなしなんです。 ただそれもいずれ限界がきます。なにせ人間、どんな状況でも順応しちゃう。見ている側もちょっとこの状況に慣れてきちゃう。さらには、途中からさすがにアリスの両親の存在も警察の存在もだんだん感じ取れなくなってきて。もしかしたらヴィックの狂言なんじゃ?と疑ってしまったくらいです。 3人の出演者だけ。それがこの映画のミソなんでしょうけど、個人的にはアリスの両親や警察の姿を少しくらい出しても良かったんじゃないかなと思います。 終わり方はこのうえなく良かったですね。 最も絶望的だったアリスが、自由も財産も手に入れる。これがアリス・クリードの失踪の真実。 ダニーは一人勝ちだと思われたのに、車中で人知れず失血死。その切ない最期がなんかすごい良かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-07-07 03:12:38)(良:1票) |
59. シャーロック・ホームズ(2009)
《ネタバレ》 ちょっとなめてました。わかりにくいのか、小難しいのか、状況把握と人物把握に手間取りました。ですので、最初のうちはあまり楽しめず。本当に人物把握するだけでも大変。私の知力の問題? ロバート・ダウニー・Jrとレイチェル・マクアダムスが好きなので、この二人がルパンと不二子みたいな関係で楽しませてくれるのは良かった。もちろんワトソン君も良い。イメージとは違いましたが。イケメンだし、なんか強いし、ホームズに強く出るし。まあホームズはホームズで途中からどっかの社長にしか見えませんでしたが。 シャーロック・ホームズが『相手の動きを何手も先まで読んで、その読み通りの超人的アクションで相手を制圧』なるほど、頭脳とアクションの融合。今回はそーゆーノリでいくわけですね。 と思ったら、途中からそーゆーノリが減っちゃって、アクションでは防戦一方。どーにもホームズの強さが一定に保たれていなくて、なんかもやもやします。 で、説明不足なのか私の理解力が足りないのかわかりませんが、途中途中で、ホームズ達が何を目的に動いているのかわからなくなるときがあります。状況把握しきれなかったことが、この映画にのめりこめなかった一因か。 なので、個人的には最後の種明かしは助かりました。ホームズが1つ1つ丁寧に説明してくれるんです。少しすっきり。だけどその種明かし、爽快な驚きにまでは結びついていないのがもう一歩って感じです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-06-27 11:55:23)(良:1票) |
60. 消されたヘッドライン
《ネタバレ》 まずはラッセル・クロウの思い切ったイメチェンに最初こそ戸惑います。しばらくすると慣れますが・・・・ そしてレイチェル・マクアダムス。大好きです。かわいいだけでなく、芯の強さを感じさせる演技が好き。良い女優さんになったものです。最初の頃こそ、ラブコメによく出ていた印象がありますが、この頃になるとサスペンス系にもちらほら。『パニック・フライト』とか。サスペンス系に起用されるのもちょっとわかる気がします。 で、この作品、面白いのですが、ついていくのはまあまあ大変。ポイントコープ社、スパイとしてソニアをスティーヴンのもとに送り込む。手引きしたのはファーガス議員。で、ソニアとスティーヴンは不倫関係。それはポイントコープ社としても想定していなかったかもしんないけど、チャーンス。邪魔なやつをつぶせるぜー。いやいや、そうはさせまいと、スティーヴンに恩がありポイントコープ社に怒っているビンガムが、まずは証拠隠滅に黒人少年を殺害。目撃者のピザ屋も殺害。ついでに元凶となったソニアも殺害。とにかく邪魔な人間は殺しまくる暴走ぶり。おそらくだけど、スティーブンにはビンガムのこの行動は予定外だったのではないかな。焦るスティーブン。失脚どころの話ではない。ブタ箱行きになってしまう。そこで一発逆転の策を思いつく。『全部ポイントコープのせいにしちゃえばいいんじゃね?自分が疑われることもなくなるし、ポイントコープ社もつぶせるし、一石二鳥じゃんか。そのためには・・・そうだ、マスコミを利用しよう。ちょうどアイツが新聞記者やってんじゃん。アイツに全部ポイントコープの仕業でしたって書かせて一件落着っしょ。』とまあ多分こーゆーことなんでしょうけど、あまりに浅はかすぎやしませんか。 真相がわかってもスッキリとはしない映画でした。 それ以前に、『いや、本当に理解できているのか、自分?』という一抹の不安を感じます。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-06-22 02:49:56)(良:1票) |