1. エコール
《ネタバレ》 美しさと不気味さを合わせ持つ不思議な映画。全編に漂う張り詰めた雰囲気で次に何が起こるのだろう?と映画に引き込まれる。この世と隔絶された謎を秘めた楽園で寮生活を送り、学園に通う少女達。自分達がどうしてここにいるのか?どこに行くのかわからない。ただ、観る者にはそれが「飼育」なのだということが暗喩される。 ただ、あまりにも非現実的で、理屈で考えると辻褄が合わないことが多いのだが、幻想的な世界を完璧に描いているので、人それぞれいろいろな解釈で観る事ができる。 「児童ポルノ規制法」に触れるとか馬鹿なことを言う人もいるが、そもそも性に目覚める前の「イノセント」な少女達が作品のテーマで、正常な大人が見れば性的な興奮には程遠い内容。この映画で性的に興奮したら自信は真性の「ペド」と疑って良い。(と言っても健全な内容ではないので子供が観る映画ではないが…) 少女達を待ち受ける運命を通して、純粋な物を所有し汚して自己の欲望を満たそうとする病める大人達に敢えて挑戦した作品という見方も出来なくもない。 [DVD(字幕)] 7点(2009-05-22 02:51:23) |
2. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
ドタバタなのかな?世界各地のキノコ雲をバックにして、まるで花火大会でも眺めるように混声合唱が「それでは、みなさんさようなら」と美しく朗々と歌うエンディングが一番良いですナ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-08-31 01:20:12) |
3. イングリッシュ・ペイシェント
壮大で美しい映像だけでも圧巻だが、主人公の不倫関係がそこまでに至る経緯とともに丹念に描かれている。緊迫感があり、とてもエロティック。女優も美しい。良くできているのでそこに印象が強く残ってしまうが、それがこの映画のテーマでは無いだろう。むしろ、身勝手でニヒリスト、他人とのコミュニケーション能力の欠ける「ダメな男」が周囲の人々を不幸に巻き込み、自らも滅んで行く救いようの無い姿から、人の愚かさと悲しさを痛烈に語っている。彼を看護する善意に満ちた看護婦や、彼の命を付け狙いながらも彼を許す男は彼のアンチテーゼのような存在か。人を愛するということはどういう事なのか、改めて考えさせられる作品。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-07-09 00:29:56) |
4. 未来世紀ブラジル
職人的な作品。映像はユニークで音楽も良い。しかし、あのラストはないでしょう。オーウェルの古典「1984」を読んだ人にとっては、オーウェルの書いた悪夢世界の別バージョンに過ぎないので、ことさら騒ぎ立てるほどの作品ではない。同時期に映画化されたマイケル・ラドフォードの本家「1984」がこの作品にすっかり食われてしまったのは、この監督の「見せる」才能なのかも知れない。「1984」の方はティム・ロビンスが再映画化すると発表していたが、どのような出来になることやら。 [ビデオ(字幕)] 4点(2006-02-19 03:40:36) |
5. 未来惑星ザルドス
《ネタバレ》 荒唐無稽なストーリーに哲学的な内容を孕んだSF映画。大人のためのお伽話とも言える。野蛮人となった人類に神が武器をばら撒き、殺し合いをさせている未来世界。野蛮人のリーダーである主人公が、謎の人物の導きによって知性に目覚める。そして廃墟の図書館で偶然『オズの魔法使い』を読んで、神への懐疑が生まれるという設定は秀逸。神の住む都、ボルテックスの正体は、永遠に生命を保つシステムを発明し、生きる屍になってしまった科学者たちの象牙の搭。いかにも70年代的なノリの映画だが、とても独創的で映画の魅力は色褪せない。ラスト近くの殺戮(神から人への回帰)の場面は衝撃的だが、その後、人は限られた命で、愛し合い、子供を育て、老い、死んでいくというシンプルな真理を語って物語は静かに幕を閉じる。 [ビデオ(字幕)] 10点(2006-02-06 23:30:44) |
6. ザ・ビーチ(2000)
こういう辛口青春映画良いですね。夢や冒険や格好良さを期待して観たら失望あるのみ。退屈な日常を抜け出したい若者達が、大冒険の挙句、傷付いた心を抱いて平凡なサラリーマンに戻っていく。若者はバカ者だってことを、こうも率直に見せられるとね。主人公にそうとう入れ込んだというディカプリオの感性は好感が持てる。 5点(2003-11-22 12:31:51) |