1. トゥモロー・ワールド
夢を見ている時、とても強くリアルを感じているときがある。 後から考えてみれば、細部のディテールは甘く内容も支離滅裂で現実でないのは明白なのだが、 その時は文字通り頭が没頭している。 この映画はこの時の感覚に似ていて、非現実世界なのは明白なのに没頭してしまい、 さながら夢の中を漂っているかのような、ある種の郷愁を感じてしまう。 夢に完結はない。人生も同じ。終わりの時、その世界から切り離されたらおしまいなのである。 [ブルーレイ(字幕)] 10点(2017-11-04 08:11:46) |
2. インターステラー
《ネタバレ》 人の存在理由は真理探究だと思った。人の本能は真実を強く求めている。 神秘の源泉は真理欲求が生み出すものと仮定し、その現象は人の限界を突破しうる可能性を持つ。 科学的に相反するオカルトの存在も無意味では無く、直感も真理を目指す為に必要な要素なのだ。 全てに意味がある。なぜなら、起こりうる事は起こり、偶然は必然なのだから。 人類の命題が真理究明ならば、人はその為に誕生した事になり、 誕生以前に存在していた事物は、人が真理に到達する為に用意されていたと考えられる。 では何が用意したのか? 太古の昔から人知を超えた存在を神と呼び、現在も神が万物を創造したと考える人は多い。 作中では人類は異常気象や疫病により危機に瀕している。 誰もが神に救いの祈りを捧げていてもおかしくないのだが、そのような人たちはこの映画には登場しない。 即物的な救いを求めている人類に呼応したのは神ではなく「彼ら」だったーーー。 一般的に神とは聖書に出てくる神を指している。 この神は全知全能で完璧な存在であり、ある特質を持っている。 それが「愛」である。 聖書は分厚い本であり一読するに労力を必要とするが、教義は一言で説明ができる。 それは隣人愛である。自分を愛するように他人を愛しなさい。ただそれだけである。 ただし究極的に隣人愛を実践するということは、自分を殺しにくる相手も愛しなさいということである。 普通の人間なら理解も実践も難しい。しかし神はそれを望んでいる。 最初は愛を反理性的な本能からくる非科学的なものと考えていた男は、彼らの導きによって愛の本当の意味を知る。 愛は人を破滅させず救いをもたらすパワーであると。人類の次のステップである進化に必要な力であると知る。 彼らは神と同じく愛の重要性を教えてくれたのだ。 男の中で点と点が繋がり「彼らは我々だ」言った。三次元的思考が五次元空間を介する事で慧眼したのだろう。 その言葉を聞いて私は、もしかしたらこの世の全てを造ったのは我々自身なのかもしれないと思った。 宇宙は超ミクロな一点から始まった。その中に全てが詰まっており、全てが一つだった。 万物の根源は同じであり、優劣など無い意味ある存在なのだ。 直感は訴えかけてくる。いま理解ができないからといって存在しないとは限らない、いつか分かる時がくるかもしれないと。 起こりうる事は起こるのだ。 [映画館(字幕)] 10点(2014-12-31 19:18:07) |
3. ゼロ・グラビティ
この映画は可能な限り森羅万象を模倣して創った記念碑的な作品だ!! 「GRAVITY」が素晴らしい点は大きく分けて2つある。 まずは圧倒的な「映像美」。 徹底的な写実描写が有無を言わせぬリアリティを生み、観ている者を宇宙空間に引きずり込む。 本物はそれだけである種の神秘性を内包するが、それに近い感覚を喚起されるほど作り込まれた世界は圧巻である。 つぎに「普遍的」なストーリーとメッセージ性。 国家、人種、宗教が違えどこの映画は誰しもが楽しめる。 なぜならば襲いかかる脅威は自然現象であり(きっかけは人間だが)そこに善悪は無く敵が不在だからだ。 当然だがどこに住もうが規模の大小問わず生命を脅かす物理現象は偶発的に発生してしばし人間を苦しめる。 大切なのはその現象に対してどう人間として振舞うのかである。 この映画の素晴らしい所はそれを明示していることである。 すなわち人間が人間たるゆえんは、理性をもって思考することだと。 これを放棄し本能に流されるままの人間にはなるなと訴えているのだ。 まだ未見の人はぜひ劇場で観賞してほしい。この映画に限らず宇宙を題材にしている映画は劇場の暗くて広い環境が最適なのである。説明は不要だろう、百聞は一見にしかず。 映画史に名を刻むに恥じぬ「GRAVITY」観て損は無しと保証する。 [映画館(字幕)] 10点(2014-01-12 09:10:00) |
4. ザ・ムーン
始まり―――世界は母の胎内だった。そして生まれ出て世界が家になった。 歩けるようになり外に出ると世界が町になり国なって、最後は世界が地球になった。 現在大多数の人類の世界は地球。それより大きな世界を体感してきた者はごく僅か。 言うなれば彼らは世界が宇宙まで拡張した「新人類」たち。 彼らから見たら地上しか知らない人類は鳥かごの中の小鳥のようなものかもしれない・・・。 ――私は願う。 この先誰もが宇宙空間に飛び立ち、全人類の世界が宇宙に広がることを。 そして世界が地球だった私達の頃よりも大きく進歩した明るい未来を。 そんな可能性を与えてくれる宇宙。――この世は美しい。 [DVD(吹替)] 10点(2009-07-02 01:37:40) |
5. サンシャイン 2057
見るもの全てが奇跡のような現象であり、 生命を否定しているかのような深い闇のなかで、 母なる地球から離れたヒトは、 何を想い太陽へ向かうのか・・・ 宇宙空間とは、地上にいる人間の既成概念では計り知れない場所だということを前提にこの映画は見るべきだ。 [DVD(字幕)] 10点(2007-12-13 14:34:24) |