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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1299
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  セルビア・クライシス 《ネタバレ》 
第一次世界大戦の開戦から「大撤退」(The Great Retreat)に至るセルビア王国の戦いの映画である。序盤は迫力のある戦闘場面だが、後は退却ばかりで最後は八甲田山のようになり、戦争映画としての価値は何ともいえない。しかしやたら多数の国が参戦した第一次大戦が、もともとオーストリア対セルビアの戦いだったことを思い知らされるとはいえる。 原作付きの映画であり、公開後にはTVドラマ(11回)も放映されたそうで、映画はその総集編というか予告編のようでもある。最初は勝っていたのに何で敗走しているのか、台詞に説明は入っていたが急展開すぎて感覚的につながらず、また登場人物のドラマも断片的でわけがわからなくなっている。なお軍隊に同行した少年が実在の人物(1906-1993)というのは少し驚かされる。 物語としては、国王が戴冠式で誓った通りにできているかを元首として常に内省する姿を映している。またそれとは別に人として「私も何か役に立ちたい」と言っていたのは共感できる。「この本が役に立ってよかった」というのもいい台詞だった。 映像的にはプリズレンの城塞(現コソボ共和国)と、最後の軍艦4隻の端正な姿が目を引いた。防護巡洋艦のようだが実在したものかは不明だった。  ところで娯楽以外で何か政治的な意味がこの映画にあるかに関して、まず物語中に愛国心は感じられるが特に拡張主義的な主張があるようには見えない。この大戦では国王が味方につけた連合国側が勝ったことで、戦後はセルビアを中心にして周辺地域や国を統合した南スラブ人の王国ができ(1929以降はユーゴスラビア王国)、王国としては領土拡大を果たしたことになる。これはそもそも大戦のきっかけを作った大セルビア主義の立場からも歓迎されたとのことだが、しかしこの映画ではそこまで範囲を広げておらず、あくまでセルビアの枠内にとどめた形で作っている(ただしコソボはセルビアに含めている)。 それよりは当時の国王が元首として、また人としていかにまともだったかをアピールしていたように見える。このことに関しては現在、主人公の曾孫に当たる人物がセルビア国内に住んでいて、セルビアでの立憲君主制復活を提案しているとのことである。地元週刊誌Libertateaのインタビュー(2022.3.5)では「ノルウェー・スウェーデン・イギリス・日本・カナダといった高いレベルの民主主義、人権と自由、社会正義を備えた国でも立憲議会君主制が採用されていて、セルビアでも役立つ可能性がある」と語り、その上で、立憲君主というのは民主主義・継続性・安定性・統一の保証人であり、政治・宗教その他に関係なく全ての国民のためにいる、といった、この映画のテーマにつながりそうな記事にまとめてあった。 現地の世論調査(2013と2021)でも議会制君主主義は評判が悪くないようで、そういった世相を背景に、いわば立憲君主制の意義を訴えた映画のようにも取れる。日本も褒められる側に入っていたようだ(笑)。ちなみに第一次大戦で日本はセルビアの味方だった。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-07-13 10:00:13)
2.  4月の涙 《ネタバレ》 
1918年のフィンランド内戦の時期を扱っているが、戦争映画というより人間ドラマに重点があり、映像美とともに登場人物の心理をじっくり見せようとする映画になっている。 しかし個人的には序盤の白軍宿舎の場面で、トイヴォ・クーラのピアノ曲 op.3b-2 “Häämarssi” を適当にアレンジして弾いていたのが悪趣味で非常に腹立たしく、これでいきなりこの映画自体の印象が悪化した。だからといって見るのをやめるわけでもなく最後までまともに見たが、結局は主要人物の誰にも共感できないままで終わってしまった。特に女性兵士の人格形成の背景が一切わからず、主人公男女の心情を推しはかる上で支障が生じているのは困る。ちなみにイヌのような生物(恐らく雌の狼)が一瞬映ったのは原作との関係かも知れないが意味不明である。 この映画が本当に何をいいたかったかは別として個人的に感じたのは、女に手を出さなければ同性愛者という決めつけも、民族主義か共産主義かの択一を迫るのも同じようなものだということで、要は個人の独自性なり主体性といったことが理解不能な人々への皮肉である。そういうことならわからなくはないが、それだけで賞賛する気にもならない。 なお映像面では、フィンランド南部(西ウーシマーとのこと)の岩ばかりの海岸風景や林地景観が印象的だった。まだ冬の残り香をとどめたようでいながら春の陽射しも見えて穏やかだが、人がやっていることの方は悲惨である。  ほか余談として、この映画では前記のピアノ曲以外にも各種の劇中曲が使われているのが特徴的だった。サティとベートーベンは日本人にもわかるとして、登場人物が歌う現地語の歌としては次のようなものがある。 【女性兵士】 ①”Punakaartilaisten marssi”(赤衛軍の行進曲) 【判事】 ②”Laps’ Suomen”(フィンランドの子) ③”Jääkärimarssi”(狙撃兵行進曲、シベリウスop.91a) 【少年】 ④”Varšavjanka”(「ワルシャワ労働歌」のフィンランド語替え歌) 【孤児院】 ⑤”Kotimaani ompi Suomi”(わが故郷はフィンランド) このうち①④は明らかに赤軍側、③はいわば白軍側の歌だが、⑤は劇中での扱い通り子どもらも素直な気持ちで歌える歌であり、従って最後に出たこの⑤が国民の融和を象徴していると思われる。しかし②についてはフィンランド国歌の作曲者の曲であり、児童合唱団が歌うのを聞いたこともあるのでそれほど極右的でも軍国主義的でもないと思うのだが、これを判事に歌わせていたのはどういう含意があったのかわからず、この辺は異国人としての引け目を感じる。 ちなみにこの映画は1918年4月の話だが、前記のトイヴォ・クーラ(作曲家)はその翌月に、白軍の戦勝祝賀会場で喧嘩相手に撃たれて死んだとのことである。この人物も熱烈な民族主義者だったらしい。
[DVD(字幕)] 4点(2016-08-13 22:28:26)
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