1. アレキサンダー
《ネタバレ》 何なんだ、この“居心地の悪さ”は…。 まるで「新派悲劇(!)」のように大仰な役者たちの演技。「引き(ロングショット)」も「寄り(クローズアップ)」もほとんど考えてないかのような、一本調子のキャメラ。10何年という遠征の長さをまるで感じさせず、さらにはアレキサンダーの父王暗殺シーンの“場当たり的”な挿入や、ラストの、アンソニー・ホプキンス扮するプトレマイオスに語らせた言わずもがなの“仰天発言”などなど、一種ア然とさせられるストーリーテリングの朴訥さ。…その他、まるで「映画がやってはいけないこと」を、あえてと言うか、わざとやっているかのような感じなんですよね。 確かに戦闘シーンなど、予算をかけただけのことはある壮麗さだと認めつつ、みなさんご指摘の通り『ロード・オブ・ザ・リング』や『トロイ』などの後だと、やはり二番煎じの感はまぬがれない。しかもインドの密林におけるそれなど、まったく『プラトーン』のベトナム戦争と同じ撮り方(画面が真っ赤になるソラリゼーション処理は『ドアーズ』か…)で、斬新であるよりも、オリバー・ストーン監督の才能の「枯渇ぶり」を印象付けるんじゃあるまいか…。いったい、これが本当に「ストーン監督の生涯の企画」だったのかと疑いたくなったのは、ぼくだけ? が、もはや「失敗作」ですらないこの映画を茫然と見続けながら、その画面の向こうに、ただ途方に暮れているオリバー・ストーンの姿がありありと浮かんでくる。何が「原因」かは分からない。けれど、とにかく本作におけるストーンは、『JFK』などのようなふてぶてしいまでの自信や強引さ(そして、それゆえの嫌らしさ)を、ほとんど微塵も感じさせない。彼らしいこれみよがしなあざとさを喪失したこの“脆弱”な超大作は、だからこそぼくのような「ストーン嫌い」な観客にとって、逆に不思議な「感銘」を与えるのも確かなのだ。…そう、一抹の悲哀とともに。 と、書いて、これと同じ気持ちを前にも抱いたことがあったことを思い出した。そう、これは、マイケル・チミノ監督の『天国の門』を見た時と同じだ… [映画館(字幕)] 5点(2005-02-16 14:40:26)(良:1票) |
2. オルランド
男装のティルダ・スイントンに一票。女性に戻った時(?)の全裸ヘアに、満票(笑)。ヴァージニア・ウルフを『めぐりあう時間たち』で深刻そう暗そう…と思われた皆さん、彼女の茶目っ気とユーモアを正しく表現したこの映画もまた、ウルフの世界です。 9点(2003-10-06 16:51:44) |
3. ピーター・グリーナウェイの枕草子
いやあ、日本を舞台にした外国映画って珍妙なシロモノがほとんどだけど、これまたあまりに珍味すぎて、お腹こわしそうになります。とにかく、日本と香港がほとんど同一視されているのには、無理解以前に監督の英国的な植民地主義が露骨ですなあ。超インテリなはずのグリーナウェイのこと、あえてこんな「頭の悪いこと」をやってのけたサタイアかとも思うけど、しかし映画は変にマジだし…。これでも欧米じゃあまともな「芸術作品」として扱われちまうんでしょうか? あ、でも今をときめくユアン・マクレガーのフリチン・ヌードがやたら登場しますよ…日本版じゃボカシ入ってますが。本当は「7、8点くらいかな」と、グリーナウェイ好きとしては思いたいんだけど、そうじゃない方々にはどうせ圧倒的不評だろうから、せめてあまりのモンドぶりに「大笑い」していただきたいのでこの点ということで… 1点(2003-09-16 14:46:17) |
4. ZOO(1985)
近年ますますスノビズムとシニシズムの色合いを深めて、ほとんど鼻持ちならないイヤミさに達しつつあるグリーナウェイさん。まだこの映画の頃は、青臭い’野心”がムンムンと感じられて、なかなか微苦笑を誘われます。こむずかしい理屈はいくらでもこねられるだろうけど、むしろルイス・キャロル風ナンセンスのダークな寓話くらいに考えて、奇態な映像の連続とこれまたかっちょいい音楽に身をゆだねるべき。10人中2人はハマれます(か?) 9点(2003-08-27 14:51:30) |
5. レッドソニア
ブリジット・ニールセンが唯一魅力的だった作品。クライマックス、無数のロウソクがゆらめく場所で女同士がくんずほぐれつ(?)する対決場面は、実にファンタスティックでありました。決して悪くない…どころか、かなりの”傑作”だと思うのに公開当時も、今も、無視され続けるのは、こういう職人気質なスタッフが低予算ながらにがんばっている映画への「愛」や「敬意」が、もはや存在しないってことなのね…。 8点(2003-06-11 15:03:05) |