1. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 見終わってからもじわじわと心の奥底に問いかけてくる映画。「目が見えないのか」の問いに、「What is expected to see?(見るべきものがある?)」と答えた後、列車と線路で踊るミュージカルシーン以降からのめり込んだ。セルマはほとんど目が見えないがために、音楽などに対する感性も常人とは異なるのだろう。現実シーンは素人のように手ブレで撮影し、空想シーンでは逆に固定した映像で見せるという、なんともいえない切り替えのバランスが一言でいって素晴らしい。この作品には「Mercy(慈悲)」「forgiveness(許し)」などの宗教用語が絡んでおり、そういった西洋人のキリスト教的考え方を考慮に入れながら見るとますます評価は高くなるだろう。最後のシーンは残酷に過ぎるという意見が多いが、執行延長を却下した時点で分かっていたことであり驚きには値しなかった。自分自身、そういった場面について何度も噂に聞いていたせいかもしれない。ショーシャンクのように救いがある終わり方ではないので、ショーシャンクよりマイナス1点。非常に重い映画なので、「白夜を旅する人々(三浦哲郎著)」と同じく四年に一度ぐらいの間隔でみたい作品。ミュージカルの場面だけは毎日でも観たい。 8点(2004-01-08 18:41:14) |