1. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー
ワンチャイの外伝、と銘打ってて、リー・リンチェイも出演してませんが、要するにウォン・フェイホン先生の少年時代のオハナシ。父親役がドニー・イェンなのでこちらが主人公か、と思いきや、少年時代のフェイホン先生も大活躍してます。このキレのある見事なアクション、演じてるのが実は女の子、というのに驚きつつも、そう言われてみれば確かに、という感じもして、何だかイイ話。 子供の頃からこんなに優秀だったフェイホン先生、してみると『酔拳』に登場したのは、あれはニセモノだったのか、、、 勿論、ドニー・イェンを始め、皆さん、素晴らしいアクションを次々に披露してくれます。おかげで、ストーリーなんて無いに等しいくらいですが、「鉄猿」なる義賊を巡ってひたすら格闘アクションが展開されます。出演者の身体能力に加えて、ワイヤーアクションに早回し(逆にスローモーションも活用)、これらを組み合わせれば、人間に出来ないコトなんて、この世に存在しないんじゃないのかなあ、と。 マキビシみたいなヤツが投げつけられて鎖が切れると火花が飛び散ったりする、芸の細かさ。 ラストの炎の上での死闘まで、目が離せない!! [インターネット(字幕)] 8点(2022-06-25 10:22:52) |
2. レヴェナント 蘇えりし者
ディカプリオも本当にガンバってるのはよくわかるんですけどねー。しかし何と言ってもあの、クマですよ、クマ。あのクマに何か賞をあげて欲しいですねえ。CGであったとしても。。。思えばあの、クマが人間を襲う映画のはずなのに全く襲ってる感の無かった『グリズリー』(76年米)。せっかく一部のシーンで本物のクマを登場させても着ぐるみクマさんが映画の印象を一変させてしまう『リメインズ 美しき勇者たち』(90年日)。死屍累々たるクマ映画の世界に、ついに驚くべき作品が誕生し(クマ映画じゃないけど)、これまでの数々の無念を晴らしてくれました。 このクマシーンに加え、驚かされるのが長回し撮影。そんでもって、被写体に接近して舐めるように撮影するカメラの肌感覚に、ゾクッとさせられます。 でまあ、そこまでの映画、というか、復讐のためのサバイバル、舞台は壮大ながらオナハシは小さいもんで、ちょっと収まりが悪いのですが、それでも観る者を圧倒するには、充分な作品と言えるでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-12 16:46:15) |
3. グリーン・デスティニー
2000年代前半、本作と、チャン・イーモウの例の2作、大きなインパクトがありました。本作はその皮切りで、正直、観る前には少しバカにしてた部分があったもんで(ごめんね)、初めて観た際は、より一層、感動してしまったのでした。 人間、ワイヤーに吊るされるとこんな動きができるのか、いや、ワイヤーに吊るされてもなお、こんな動きができるのか。いや、まあ、その前にワンチャイシリーズなんてのもありましたけど、リーリンチェイなんてあれはもはや人間の動きじゃないからね。いずれにせよ、重力の制約を超えた、一種の舞とも言えるような幻想性。これがあるから、チャン・ツィイーが水中に飛び込むシーンのスピード感(このヒトなら何でもできそう)と緊張感(水中ではワイヤの力が借りられない)にも繋がるし、ラストのちょっと苦しい(?)合成映像にも「マ、いいか!」という気持ちにさせてくれて、感動を損なわない。 ストーリーとしては、中盤に長い回想シーンを挿入するなどの多層性をもたせた上で、脇役たちにもうまくスポットを当ててます。何となくみんな不幸になっていっちゃってるようなオハナシですが。 [DVD(字幕)] 9点(2019-06-23 10:57:17) |
4. 恐怖分子
冒頭、何らかの抗争事件が発生したらしいのだけど、その詳細は描かれない。ただ、そこに駆けつけるサエない刑事がいて、事件の写真を撮ろうとベッドを抜け出して来たジャニーズ崩れみたいな若いカメラマンがいて、現場から逃げ出そうとする若い女性がいて。はたまたその頃、サエない朝を迎えたサエない旦那とサエない小説家の妻がいて。その彼らが映画の進行とともに互いに関わり合いを持つんですけれどもそれが、不思議な位に空虚な繋がりなんですね。互いに連関し合っているハズなのに、みんなどこか、内向きにこもっていく。内へ内へ向かった挙句に、最後は「悲劇」が待つのだけど、映画はそこに至って、もはや事実の連関など有って無きがごとしといわんばかりに辻褄合わせを放棄し、にも関わらず、やっぱりあの「悲劇」はそこに転がっている、その衝撃。観終わった瞬間にこれほどゾッとさせる映画もなかなかないでしょう、それもその恐怖というのはまるで、我々が敢えて日頃気づかない「ふりをしている」恐怖を、突然突きつけられるような、怖さ・・・。 [DVD(字幕)] 9点(2016-01-21 22:21:10) |
5. レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
Part I が「さあいよいよ決戦」みたいな終わり方だったのに、いざPart IIが始まると、いやあ結構引っ張りましたねえ。Part Iのクライマックスの合戦も、何だか弱い者いじめみたいで感じ悪かったけど、Part IIも、散々引っ張った挙句、合戦が始まる頃には、何となくすでに決着がついてしまってるような印象で、やっぱりヤな感じでした。 [地上波(吹替)] 4点(2011-06-06 21:03:20) |
6. レッドクリフ Part I
監督はジョン・ウーだそうですが、“製作ブラッカイマー、監督マイケル・ベイ”というノリの映画ですね。「どこまでが実写でどこまでがCGか分からない」とは言っても、決してCGの出来が良いからではなく、実写も含めて何でもかんでもCGに見えてしまう、この印象の軽さ。マズいでしょう。超大作と銘打っておきながら、こうも変テコな出来だと、ワザとやってるんじゃないかと疑ってしまう。と言う訳で、なぜこんな変な作品になってしまったのか、事件・事故の両面から捜査中です。 [地上波(吹替)] 4点(2011-06-06 20:56:20)(笑:1票) |
7. 迎春閣之風波
元の時代も末期。乱世の中、立ち上がる抵抗勢力に対し、これを抑えようとするリー閣下。繰り広げられる戦の裏ではスパイ活動も盛んに行われている。折りしも、抵抗勢力からの機密文書横流しの情報を受けたリー閣下、彼の一行は、文書の受け取りに向かうが、そこにあるのは、“迎春閣”なる一見の安宿。と、ここまでが冒頭のナレーションによる前置き。この迎春閣が、実は抵抗勢力側のアジトであり、女将、美人(?)女給たちも、まあ一種の秘密エージェントみたいなもんですな。というわけで、以降、映画のほとんどは、迎春閣が舞台となり、ここにアヤシイ人々が次々に現れるのですが、まあ、あんまし物語に関係ない人も多く(笑)、そのゴチャゴチャぶりが結構面白い。いかにも安宿らしい、不味そうな料理、酒、そして博打。その庶民的カオスの中、繰り広げられる小競り合いと諜報活動、しかし、リー閣下の到着により事態は一変、そして・・・。クライマックスのカンフー活劇は、なかなか見応えありですが、それにしてもリー閣下、強すぎ、悪役のくせに一人で大活躍。彼を取り囲み、よってたかって襲い掛かる主人公たちの方がなんだか卑怯者に見えてきて、どちらが善玉でどちらが悪玉やら。という盛り上がりを見せ、映画は大団円をむかえるのでありました。 [地上波(字幕)] 7点(2008-01-20 08:29:57)(良:1票) |
8. 片腕カンフー対空とぶギロチン(93分版)
怪人奇人たちの奇想天外なる死闘を、カッチョよいカメラワークで描ききった伝説の名作。いくら誉めても誉めきれぬ、かといっていくらケナしてもケナしきれぬ。無駄が無いというか、無駄しか無いというか、とにかくすごいです。例えばジミー師匠が弟子に練習をつける場面が長廻しカメラで描かれる、その颯爽とした姿。例えば武術大会における死闘がロングショットで描かれ、手前には冷たく剣が林立している、その寒々とした構図。その他、視線による間接的な動きの表現、移動カメラ、ズームアップの数々。効果的かどうかは別にして(笑)、とにかくカッチョいいんだから仕方が無い。そして、映画の中身もまた、ドアホなキャラ満載の、ユメのような異種格闘技戦で、実にタマリマセン。そう、これはまさに、映画そのものが究極の異種格闘技戦と申せましょう。 [地上波(字幕)] 9点(2007-12-31 17:41:47)(良:1票) |
9. 怒れるドラゴン・不死身の四天王
四天王(?)のキャラを明確にさせようとしているのには好感が持てるけど、そのせいで前半はなんだかゴチャゴチャしております。クライマックスの四天王(?)揃い踏み、4人並んで対決の場に赴くカッチョいいシーンでは、観ている側も肩の荷が下りたような一種の開放感が。振り返ればどうでもいい内容なのに、なんでこうもゴチャゴチャしたオハナシになってるのやら・・・。4人のキャラ立ちもなかなかのもんですが、敵役の、サムライの血を引くチンさんが秀逸。戦いの前には手に持っていた黒扇子(中央に「武」の文字が)をビリビリ破く。手に持っていない場合には、懐からわざわざ出して破く。戦いが終われば懐から新しい扇子を出す(手品師みたいだ)。さらにチンさんの手下には虚無僧スタイルの4人の戦闘員。川で泳ぐ時にも、頭に被った編み笠ははずさない。大したもんだ。編み笠の下にも忍者マスクをつけているのだから、はずしても一向にかまわないハズなんだけど。彼らこそ四天王と呼ぶに相応しいです。クライマックスの死闘。ニワトリ小屋での戦いは、ニワトリが踏みつけられて圧死しないかとヒヤヒヤしてしまいますが、多分、何羽かは踏まれたんでしょう、ナンマイダ。そして、唐突に終わる戦いに、我々はずっこけるのでありました。 [地上波(字幕)] 7点(2007-06-10 15:50:35) |
10. 残酷ドラゴン/血斗竜門の宿
ええと、別に「残酷」でもなければ「ドラゴン」でもない、まあようするに(中華風)時代劇なんですけどね。キン・フー監督 = ワイヤー・アクションの開祖、なんて図式だけで本作を観てしまえば、やはり後のカンフー映画ほどの迫力も無いし、そもそもこの映画よりは、チャップリンの『キッド』の夢のシーンの方がよほどワイヤー・アクションっぽい。しかし、この映画はやはり、雰囲気をあじわいたいもの。政変劇から一変、舞台は辺境の地、竜門の宿。胡散臭い場所に胡散臭い連中が集まってくる、この胡散臭さ(←何となく、わかりますよね??)。活劇は、アクションのみではなく、雰囲気に支えられていることが、わかります。 7点(2004-08-22 02:14:36) |
11. 悲情城市
戦後台湾を舞台に、ある一家及びそれを取り巻く人々の生活と、彼らが時代の波に翻弄される姿を描いたこの映画、その求心力はズバリ「空間」。カメラは不必要に登場人物たちを追い回さず最小限の動きで、役者達が作り上げる演技空間を静かに見守る。また、カメラ位置が限定される事で、「空間」そのものが強い印象をもたらして映画を支える軸となっており、そこに映り込む登場人物だけが、時代の流れ、シーンの流れとともに、入れ代わったり、命を落として消えて行ったりする。時代に翻弄される庶民の無力さが際立つと同時に、それを乗り越えていく逞しさもまた、確かに感じさせます(ここに展開される「空間」、何やら松竹クサさも感じさせる・・・と思ったら、ホウ・シャオシェン監督、小津信者だったか)。うーむ。そりゃいいんだけど、2時間半を超える長尺を支える求心力としてはやや弱いかな。内容的には少々散漫な印象、無きにしもあらず。あと音楽が---何となく安っぽい気がして残念。それにしても、最後の方で出てくるアカンボのナチュラル過ぎる絶妙の演技(なのか?)、全体的に重たい本編の中で何とも言えぬ微笑ましさが光っており、これはまさに名シーン中の名シーンと呼びたいですね。 8点(2004-02-29 01:07:07)(良:1票) |
12. 侠女
巨匠キン・フー入魂の、二部構成三時間に及ぶ大作。後にカンヌでも上映されて、観客の度胆を抜いたそうな(アクションに関してはそれ程のもんかどうか)。坊さんの背後に後光が!って、逆光で撮ってるだけやんけ。でも何だか後光に見えてくるからフシギ。活劇でありながら、地から天へ、混沌から浄化へ、というテーマを背景に持つことで、独特の世界を築いています。 8点(2003-07-06 15:09:45) |