3. 怪怪怪怪物!
《ネタバレ》 劇中で主人公が言及するように、人喰い姉妹より彼女を監禁した子どもたちの方が余程悪質です。表題の『怪物』は彼らを指すものと考えてよいでしょう。怪の数=主人公を除く4人の監禁犯。実際、彼らの「善悪の判断をしない」様は、空恐ろしく、激しい嫌悪を覚えました。彼らと同類だった女教師も同様です。そういう意味では、良心の呵責を感じていた分、主人公の方が随分と“マシ”に思えます。ところが最後、主人公は4人の蛮行をも遥かに上回る凶行に及びました。情状酌量の余地などない、絶対に許されない行為。首謀者グループが消えてもなお、無くならない自身へのイジメ。殺人を幇助した意味も無くなり「人間」に対して絶望した結果、主人公は身も心も「怪物」に変化したと考えます。タイトルも4人の怪物の意味ではなく、怪が4つもつく超特大の怪物=主人公かもしれません。注目すべきは、主人公のパーソナリティが特別ではなかったこと。自身へのイジメを回避するため、いじめっ子に同調する狡猾さ。ほどほどの良心。彼は何処にでもいる普通の子です。普通の子が怪物に変わるから恐ろしいのだと思います。彼はいつもコンビニのイートインでひとり夕食をとっていました。これが当たり前の景色になる“異常事態”に、事件の本質が隠されている気がします。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-07-30 20:24:53) |