1. ブラックブック
《ネタバレ》 最後のキブツでのシーンで聞こえたのは、砲撃の音で、キブツの兵士達が銃をとっていました。まだ戦争が続いている事を暗示していたのでしょう。キブツというのは若者のみが入植する組織ではない事がこの映画で分かりました。しかし、本当にこれぞ映画!といった映画でした。こんな体験は映画のみの話でしょう。まず、一番強烈な印象は、最初に出会った2人の女性達の戦時下を生き抜いてきた逞しさにあっけにとられました。▼惚れてしまったナチ将校が処刑された事を知らされて、インスリン大量投与をされる前に云う台詞「苦しみに終わりはないの?」の後の演技は過呼吸症侯群を思わせる鬼気せまる迫真の演技でした。本当の悲しみを表していました(ゴッドファーザーⅢ程でないにせよ)。その後、チョコレートを貪り食べて、低血糖状態を脱するなんて中々やるもんです。窓から飛び降りた後、一番の悪の医者ハンスが追いかけようとしても、英雄扱いされて逃がしてしまうところなどは、強烈な嫌味で、胸がすく思いがしました。その後の医者が入っている逃亡用の棺おけ(自分も入った事がある)のネジを自分の家族の写真が入ったロケットで締め上げて行くところなど、かなりサディスティクと感じました。▼同監督の他の映画でもややあっけらかんとセックス場面が描かれていましたが、本作品ではさらに磨きがかかったえぐさでした。拷問、殺戮(色々な方法による)、被弾した弾抜き、糞尿をかける場面、砂丘に埋まった屍体を掘り出す場面描写などなどオランダ人の感覚なのでしょうか?相当なものです。▼それにしても久々に凄いレジスタンス映画でした。オランダの人々に敬意を表して満点です。 [DVD(字幕)] 10点(2007-12-08 20:00:02) |