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1.  ロルナの祈り 《ネタバレ》 
ダルデンヌ兄弟の映画は何となく観るのだが、お恥ずかしい話、ストーリーやらキャラクターについては全体的にうろ覚えである。共通して社会のどちらかというと下層部に生きる人の話で、ネガティブな面が描かれているのだが、あまり押し付けがましさがなく淡々としているといった感じで、それぞれの作品の印象が似通っているからかもしれない。この作品についても、兄弟らしく、描かれる内容はダークながらも全体的に上品。インパクトといえば全て中盤のロルナの心境の変化に集約されるだろう。かなり疎ましく感じていた(と思われる)相手に対し、あそこでどうしてああなるのか、一瞬理解できなかったが、安っぽい表現をすれば好きと嫌いは紙一重、愛するのも憎むのもエネルギーがいることで、そのエネルギーのベクトルが変わるだけの話だと思えば、そういうものかなという気もする。ジャンルとしてはラブストーリーなんだろうが、だとすればひねくれているし、事実だけみると、かなりの悲恋話である。だがラストは絶望じゃなく、どちらかというと希望が見出せそうですらあるのは不思議だ。私はこういったところに兄弟の作り手としての温かみを感じる。とはいえやはり、私のなかでは他の作品同様、残念ながら埋没してしまいそうである。このでしゃばらない感じがむしろ、ダルデンヌ兄弟作品の味なのかもしれないが。
[DVD(字幕)] 7点(2010-03-18 01:21:33)
2.  ぼくのバラ色の人生 《ネタバレ》 
とりあえず一番気になるのはビデオパッケージの謳い文句と内容に齟齬があること。深刻なテーマをコメディーにするか社会派にするか決めきれず、適当なカラフルさとファンタジーでお茶を濁した感がある(少なくとも、ハート・ウォーミングではないと思う)。今でこそ性同一性障害は名称だけでも一般に認知されつつあるが、十年以上前の映画ということで、作中あまりにも主人公への理解者がいないことが哀しい。希望を持たせたいならば、せめてクリスティーヌとの友情やご近所さんとの友好によって救われるというオチを明確に描いて欲しかった。ただ、性同一性障害の人や周囲の人間が抱える葛藤をこんなに分かりやすく描いた作品は他に観たことはないので、その点は非常に評価できる。孤独な主人公が冷凍ボックスにこもるシーンと髪を切られるシーンは涙が止まらなかった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-05-18 00:23:13)
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