1. バベル
魂揺さぶられる映画でした。一発の銃弾から紡ぎ出される世界各地の物語を時間と場所を巧みに組み合わせ構成した脚本は見事と言うほかありません。 この物語は特殊なようでいて、実はこの世界の営みを象徴しているように感じました。 この世は不条理と人は嘆くけれども、それは愚かで浅はかな人間同士の出会いやすれ違い、偶然の連鎖が絡み合って絡み合ったその集大成、その混沌は自らが生み出したものなのだということを。 それでも世界はまわり、人々はその中で生きていく。そんなわずかな希望の光をのこして物語は終わります。 それを見つめる監督の目線は冷めているようで暖かい。この点は「21グラム」と同じ空気を感じました。 本作では菊池凛子のアカデミーノミネートが話題になりましたが、彼女だけでなく、どのキャストも素晴らしい存在感でした。 彼らが俳優であり、キャメラの前で演技しているのだと言うことをしばし忘れました。 誰もがスクリーンの向こうの世界で生々しく生きていました。 特にメキシコ人家政婦、アメリア役のアドリアナ・バラッザは素晴らしい。 [映画館(字幕)] 10点(2007-07-04 08:56:38)(良:2票) |