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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  エミリア・ペレス ネタバレ 
日本公開前から主演のトランスジェンダー女優のSNSでの差別発言が掘り起こされ、 賞レースに影響を及ぼすなどネガティブな話題ばかりが取り沙汰されていたが、 実際に本作を見ても先入観が覆されることはなかった。  "多様性"という一部の意識高い系映画評論家が持ち上げているだけで内容がまるで伴っていない。 正直、本年度のアカデミー賞で最多部門候補に挙がるほどかと。 事実、米配給のネットフリックスでも人気がまるでなく、ロッテントマトでも観客の評価は最低、 舞台のメキシコでも不評だらけだ。 そりゃそうだ。 日本に例えれば、日本のことをよく知らない外国人監督が、性転換するヤクザの話を描こう、 それで主演俳優陣が片言日本語だらけのアジア系俳優ばかりなら、この映画の違和感が分かるはずだ。  自分らしく生きたい、好きなように生きたいと歌っても、そこには責任が伴う。 性転換前は凶悪な麻薬カルテルのボスとして悪逆非道を働いた性同一性障害の男が、 "女"に生まれ変わって、行方不明者の捜索と遺族への支援といった慈善団体を立ち上げるも、 どこか凄い虫が良すぎるのではないか。 死を偽装しながらも、子供には会いたいと叔母として招くあたりもそう。 元妻も子供そっちのけで元カレと遊びまくり、 演じる俳優陣の素性もあって、身勝手すぎて感情移入できるわけないでしょ。 ギャング映画としても、社会派映画としても、ミュージカル映画としても中途半端。 単に"多様性"で誤魔化しているだけで、オーディアールのベストでもない。  グダグダな展開が続いて、エミリアが誘拐される事件が終盤起きるも、 発端が正体バレではなく、子供の"親権争い"と元妻の身代金目当てだから下世話すぎて… 取って付けたような悲劇的なラストも、自分からしたら因果応報にしか見えなかった。  もし、カマラ・ハリスが大統領になって、主演女優の炎上発言がなければ作品賞受賞の可能性があった。 観客不在であり、政治発言の場所ではない。 今後、トランプの"テコ入れ"前に方向転換するか、屈服を拒絶してDEIを推し続けるか、 映画産業は大きな転換点を迎えている。 クリエイターには本当に描きたいものは何か、その原点に立ち返って欲しい。 劇中でも現実でも振り回されたゾーイ・サルダナはもはや主演と言っても良いくらいの熱演で、 彼女のために3点献上します。
[映画館(字幕)] 3点(2025-03-29 00:44:17)★《更新》★
2.  逆転のトライアングル ネタバレ 
全編にわたって寄せてしまう"眉間のシワ"。 原題は美容外科用語から来ている。  監督の前作『ザ・スクエア』は視聴済み。 2作連続でカンヌパルムドール受賞の快挙らしいが、他に相応しい作品はあったのではないか? 格差社会を描いたテーマは過去にもたくさんあれど、 本作はその対象物(男性と女性、富裕層と労働階級、白人と非白人、健常者と障害者、資本主義と共産主義)を広げすぎてしまい、 ブラックコメディとしての切れ味がイマイチだった。 居心地の悪さと気まずい空気を生み出す巧さは相変わらずだが。  割り勘を巡り、インフルエンサーの彼女と長々と揉める立場の低いモデル男性の卑小なプライド。 「スタッフを休ませなきゃ」という思いつきで無理矢理泳がせるセレブばあさんの偽善。 ファーストフードも高級ディナーも口に入れば、吐瀉物も排泄物もみんな一緒。 無人島漂着時、セレブ全員にサバイバルスキルがないために、唯一持っている女性清掃員が女王に君臨するグダグダな一幕。 どこかで見たことのあるような展開で、いくら皮肉たっぷりに金持ちも貧乏人も全方位的にコケにしたって、 前者からしたら免罪符、後者からしたらガス抜きにしか見えない。  今の資本主義社会の権力者の横柄に"ノブレスオブリージュ"は必要だが本作を見て襟を正す人はいるのか(財○省とかね)。 金で買える"安全な場所"がある限り、ヒエラルキーの頂点に立つ者はどこまでも無礼になれる。 無人島がリゾート地だと判明した瞬間、女性清掃員にはその金がないし、いつまでも平穏は存在しない。 社会構造が転覆しようが、これからもずっと誰かが割を喰らい続ける。
[インターネット(字幕)] 4点(2025-03-11 23:46:31)
3.  バルド、偽りの記録と一握りの真実
バルドとはチベット仏教用語で"中陰"。 「死から転生までの間の魂の浮遊期間」のことを指すという。  アメリカで成功したジャーナリスト兼映像作家のメキシコ人監督が、 祖国に戻っても居場所のない疎外感、メキシコ人としての帰属意識とアイデンティティの揺らぎ、 家族とのわだかまりを描いている辺り、イニャリトゥの半自伝的作品であることは確か。 問題はそのシンプルなストーリーを物凄く難解に(いやストーリーの繋がりすら放棄している)、 現実と空想とメタ演出が曖昧のまま、何の方向性も決まらずに単調でダラダラ描いているだけだった。 これがテレビ司会者の主人公の作品に対する批評と重なる。 要は中身がない。  拝金主義のアメリカに対する風刺やメキシコの抑圧された歴史を盛り込んでも、 知ったところで何の感慨もなかった。 オスカーを4個も取って、「本当の俺はこうではない」とモヤモヤした部分はあったのだろう。 ネットフリックスだからこそ好きなように撮られたそうだが、受け入れられるかは別の話。 (事実、ヴェネチア映画祭で初公開時不評だったようで、劇場公開時に結構削ったらしい)。 金をかけた同人映画の域でしかなく、イニャリトゥのワースト。
[インターネット(字幕)] 3点(2023-01-02 23:49:43)
4.  ギレルモ・デル・トロのピノッキオ ネタバレ 
原典とディズニーアニメへのリスペクトを散りばめつつ、ギレルモ・デル・トロなりの解釈を加えた、 "ピノッキオの冒険"というよりは"ピノッキオの数奇な人生"に近い。  戦争と死が身近にあったムッソリーニ政権下のイタリアで、 ピノッキオは時代に翻弄されながら権力と運命に屈せず、自分の意思で試練に立ち向かう。 しかも彼は死んでも待機時間と称して、時間が経てば何度も生き返ることができる。 つまるところ、限りある生を持った人間とは違い、永遠の命を持つことの意味を彼は知ることになる。  我々が知っているピノッキオは最後は人間になるが、本作では木の人形の少年のままだ。 ハッピーエンドになっても、いつかは死という永遠の別れが訪れ、ピノッキオ一人が残される。 冒険を通じて、様々な通過儀礼を経験した彼は新たな旅に出て、その先の物語をどのように紡いだのだろうか。 寂しげで儚い終わり方であり、逆説的に言えば、 ピノッキオではない人間はたった一度の生を如何に生きるかを問われていると言える。 国家に言われるがまま、少年兵として散っていくのか?  ストップモーションによる表現力もさることながら、隅まで行き届く美術を堪能。 とは言え、友情を育んだ市長の息子の消息が不明のままで、 終盤の興行師との"再会"が偶然すぎたりと、脚本的にもう少し何とか出来たと思うが。  ユアン・マクレガーによる主題歌は必聴。 すごい歌唱力だ。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-10 02:02:50)
5.  MEMORIA メモリア
頭内爆発音症候群に罹った監督の実体験を元にしているという。  固定カメラによる常軌を逸した長回し撮影に、眠気と共にハッとさせられる"音"の数々が挿入され、 夢か現か彷徨い歩く超自然的な感覚と同化する。  本作を撮ったのは、かつてカンヌで最高賞を受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクン。 母国タイでの制作環境の改善のなさから海外に拠点を移した初の外国語映画だ。 『ブンミおじさんの森』で撃沈した自分にとって、久々の監督作視聴となったが、 やはり既存の映画文法から外れた対極的な作りであるため、 本当にそういう風に割り切らないといけない。  お酒を飲んで、照明も外界の環境音もシャットアウトした視聴環境で、 人間をダメにするソファに埋もれながら見ることをおススメする。 無意識に委ね、何度も反芻して初めて、本作が傑作だという結論に辿り着くのかもしれない。 (再視聴次第では評価が変動する可能性あり)。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-09-02 23:59:39)
6.  ROMA/ローマ ネタバレ 
ガレージの床洗いで水面に写る飛行機のショットだけで只者ではない。タルコフスキーを彷彿とさせる数多の水の表現が生と死を雄弁に語り、片付けられては転がっている犬の糞がどうにもならない不条理を表現する。東洋武術に代表されるシュールな光景が暴動に繋がっていく非現実感と、父親不在の脆く崩れそうなのに何気ない日常をやりくりする家族の現実感が表裏一体で、白黒画面の奥に色が見えるようだ。不安定な家族を救ったのは、恋人に去られ死産を経験した家政婦だった。彼女なしでは今の自分はいなかったとキュアロンが語るように、社会の片隅にひっそり生きる女性が一見輝いていなくても、"家族"として認められ居場所を見つけた、その過程に言葉で表現しようのない感情が湧き上がった。すぐに拭かれる水面の飛行機が果てしなく広がる大空へ羽ばたくみたいに。(追記)期間限定で劇場公開とのことで再視聴。小さなスケールとは思わせない緻密な撮影と隅々にまで行き届いた音響効果は映画館向け。観客席はがらんどうでヒットする映画ではないが、その貴重な体験に加点せざるを得ない。
[インターネット(字幕)] 9点(2018-12-30 23:15:00)(良:1票)
7.  エル・トポ
「マカロニ・ウエスタンに宗教的アングラ要素、精神世界を混ぜ合わせたら珍妙な映画になりました」。それに尽きる。混沌の時代が作り出した魑魅魍魎な空気は、現代の倫理観では絶対に作れない。確かに変わり者のジョン・レノンやヒッピーが好みそう。自分にとって都合の悪い"もぐら"に蓋をして、モノの大量消費こそ一般人の社会常識だと擦り込ませる資本主義にキックを入れた作品なのだから。
[ビデオ(字幕)] 7点(2018-07-04 19:33:23)
8.  闇の列車、光の旅 ネタバレ 
列車の屋根に無断に乗り込み、強い雨風を凌いで、アメリカに不法入国するヒスパニック達。アメリカに行けば希望があるとは限らない。だが暴力と貧困と汚職が根強い祖国に残っても希望も未来もないのは確かだ。幼い少年ですら真っ当に生き残るためにギャングに入る現実。そしてどこまでも地の果てまで裏切り者の主人公を追いかけてくる絶望感。彼が蜂の巣にされようが、多くのものを失ってまでアメリカに辿りつこうが、ヒロインにはハッピーエンドとは程遠い困難が待ち構えているだろう。共倒れしたくないからと、国境に壁を作ろうとする大統領。明日も分からない彼らに寄り添っているため、蝕まれているアメリカ側を忘れそうになるが、善悪を二分にできない複雑さは双方の血と涙と犠牲によって作られている。
[DVD(字幕)] 6点(2017-06-08 19:43:38)
9.  パンズ・ラビリンス ネタバレ 
ファンタジーの本質を突いている。閉鎖的で暗澹とした現実を打開するための武器となるし、ただの現実逃避用の慰み物にもなる。この映画では後者よりだ。非力な少女によって紡ぎ出された幻想は現実に蝕まれ、グロテスクで歪んだ悪夢的な世界の中に美が孕んでいる。本心では彼女は生きたかったに違いない。救いのない結末だが、ある意味で非情な現実から勝ち逃げしたとも言える。悲惨な自殺や理不尽な死が蔓延する現代社会に通じるテーマであり、世界中に星の数ほどいるオフェリア達の叫びだ。叶わない妄想の果ての無残な最期だとしても死は救いかもしれない。
[映画館(字幕)] 8点(2015-11-21 18:04:19)
10.  BIUTIFUL ビューティフル(2010) ネタバレ 
バラエティ旅番組では決して見ることのないバルセロナの熾烈。ただ生きていくことだけで手一杯で、あまりにも醜悪で悲惨な世界でもがく人たち。わずか二ヶ月の命を宣告された父親は自分に出来ることを最期まで捧げる。しかし全て裏目に出て、安いストーブの不燃焼で自分が斡旋した不法労働者は死に絶え、知人のセネガル人女性に後見人として頼むも裏切られる。残された姉弟は受け継がれる貧困を歩むのかもしれない。それでも父親から与えられた愛情を胸に、困難に立ち向かう未来を我々は願うしかないだろう。猥雑で汚わいに満ちた世界から一転して純白に染まった雪景色の中、彼を待つ父と共に黄泉の世界へ旅立つ。歪だがそれでも生きた証こそ<<BIUTIFUL>>そのものではないだろうか。
[DVD(字幕)] 7点(2015-04-09 19:58:55)
11.  バベル
「頭の良い馬鹿ほど受けやすい映画」と誰かが言った。ブラッド・ピットと日本目当てで観たミーハーのほとんどは憤慨し、さしづめ神の怒りに触れて崩壊したバベルの塔のようだ。実のところ4つの物語が深く密接に関係することもなく、その構成を象徴するかのように、言葉も人種も宗教観も価値観も散り散りになっていく地球人のディスコミュニケーションに警鐘を鳴らしても、「だから何だ」で済まされる可能性が高く本末転倒だろう。ただ、2時間半に及ぶ長尺を冗長なくまとめた演出力は評価。賛否両論だが聾唖の女子高生を聖人君子として描かなかっただけ良い方。今の日本も映画のようなディストピアになってきているよね。
[映画館(字幕)] 5点(2015-04-09 19:51:44)
12.  アモーレス・ペロス ネタバレ 
冒頭のカーチェイスから鷲掴みにされる。 荒削りでギラギラした熱情の一方で冷徹な眼差しのコントラスト。 タランティーノの乾いた暴力とポール・トーマス・アンダーソンの濃厚な悲喜劇の融合だ。 しかし、あくまでイニャリトゥ特有の辛苦さがねっとりしたメキシコの空気を支配する。 三度繰り返される交通事故が及ぼした人間模様はあまりにも容赦なく、もう取り返しのつかない喪失感を際立たせる。  「それでも人生は続く」。 これが監督の取り組む一貫したテーマである。  犬と共に何もない荒野を前に一歩一歩踏み締める姿に、生きる強さを感じざるを得ない。 兄嫁に見放された青年も生きていく。片脚を失った元モデルも生きていく。 絶望を超えて達観している。
[DVD(字幕)] 7点(2015-04-09 19:47:15)
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