1. 太陽(2005)
終戦間際の未知なる何かを迎える不安と焦燥を薄暗い室内空間と微音で綴っていく。コチコチという時計の音が一定のリズムを刻み、経過する時間の平等性、普遍性を画面に与えていく。時の平等性と普遍性は、あらゆる空間のみならず、全ての人間に与えられたものであり、天皇も例外ではない。天皇がローソクを消したり、皇后が登場し電灯を点けても、変わらない画面の明度は、人間という意味で天皇も一般人と「変わらない」ということか。しかしこの作品は単に凡なる人間仲間として天皇を平に整地しようとするのではなく、その立場を常に差別化し続ける。人間と立場、平等と差別、その落差の構造に巻き込まれたままに、ラストの天皇のお言葉を「天皇の人間宣言」などと呼んでもいいものかどうかと歴史をぶつけられる。 [映画館(字幕)] 7点(2006-11-24 17:04:04) |