1. 青いパパイヤの香り
《ネタバレ》 1951年、一人の少女ムイがお金持ちの家に奉公に来るところから始まり、後半は10年後、その少女が成人してからの話になります。第2次大戦が終わり、ベトナム戦争前という時代背景。政情も人々の生活も安定しているとは言えない時代だと思いますが、作品はお金持ちのお屋敷から出る事はほとんど無いので、その時代背景はあまり伝わってきません。 それよりもムイと奉公先の家族の関係が限定された空間に台詞も限定された中に描かれる。奉公先の家族は皆いい人。しかし、些細な何かがきっかけで全て崩壊してしまいそうな脆さを感じさせます。 家出した主人や、ムイに興味を持ち悪戯をする末っ子との関係など、中途半端なまま10年後に話が飛ぶという雑な一面も感じられるし、少女の頃からのムイの恋が成就する10年後の後半は更に台詞が少なくなり、2人の心の機微もかなり省略されているように思います。 それでも滑らかに移動しながら緑の多い庭と屋敷の中をとらえる映像美、少女時代のムイを演じた女の子の独特の存在感には見入ってしまう魅力が確かにある作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-07-10 12:11:00) |