2. 過去のない男
7月にしては空が澄み渡り、秋を感じさせるような美しい月が出た晩に鑑賞。そして、そんな夜によく合う作品でした。ショッキングな冒頭から記憶を失ったことにより、行く当ての無い天涯孤独な存在になってしまった男。でもそんな男を貧乏なはずの住民たちが手助けをし、少しずつ生活を向上させるといったそんな話。登場人物や背景はどうしようもなく現実的なのに物語はどこか空想的に進む。そんなところが現実を生きる者にささやかな希望を感じさせるのかも知れない。本当は北欧や東欧の人が見ればより感慨深いのだろうけど、昭和生まれの僕にも、人間っていいな~と思える。たまには苦み走った大人の恋というのもいいもんだよ。どこか「バクダッド・カフェ」のようでもあり、コーエン兄弟の映像のようでもありました。グレートデンのような女所長の歌やロックに目覚めたバンドが奏でる音楽も良かったですよ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-07-24 20:50:11) |