2. 戦場でワルツを
《ネタバレ》 ドキュメンタリーの【記録】をアニメーションの【記憶】として描くことで、現実とも虚構とも似つかない、白昼夢のような超現実的な世界が広がっている。原題にある、バシール・ジェマイエルに関する基礎知識がなければ、この映画の理解や共感は難しい。端的に言えば、「イスラエルのヒーローとして利用されたバシールが首相になった途端暗殺されて、報復として、キリスト教徒民兵を使ったパレスチナ難民の虐殺を青年だった監督が目撃していた」というたったこれだけの話で、物語や結末を求める人には肩透かしだが、ドキュメンタリー映画ではこれが限界だろう。実写映像は、イスラエル側の看過を直視したという意味でメッセージ性はあるにせよ、ちょっと安易。最後までアニメで通すべきだった。 [DVD(字幕)] 6点(2016-02-15 18:50:54) |