1. 英国王のスピーチ
思いがけず王位を継いだジョージ6世。寒色の多い画、黒や茶の暗色の上に掛かる青い光が、内気なアルバートの内面を表しているかのようだった。上映時間中は男二人の会話劇がほとんどで、コリン・ファースとジェフリー・ラッシュが落ち着いた画面からこぼれることなくシーソーバランスを保つ。クライマックスがあの演説というのは確かに地味かもしれないけれど、あの震災を経て観たからなのか、言葉の持つ力とその響きに心を打たれた。でもベートーヴェンがもたらした相乗効果は否めないなぁ。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-10 20:30:20)(良:1票) |
2. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 影の多い画で描かれる、負の連鎖の物語。話の暗さを物語る影が登場人物たちにいつも覆い被さっている。少年時代の事件に囚われ、脱出できない悲しい男たち。ジミーはこれからも自分に金メッキを塗りたくって虚勢を張って生きていくのでしょう。ズブズブとぬかるみの中を突き進むのでしょう。あの悲しげなチンピラの風体はショーン・ペンの当たり役ですね。少女を殺した少年も、少女の恋人も、あのジミーの嫁でさえも負のサイクルに囚われたまま行くのでしょう。ケイティとデイブ以外の人生は、まだこれからも様々に形を変えて続いていく、という印象をあのパレードのシーンで感じました。確かに人とはあんな生きものかもしれない。けれど私は、重たいまま終わるこの話からは、心に刺さる何かでなく鈍痛しか感じられなかったです。映画界のヒーローである監督の暗部なんでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2006-08-17 02:11:51)(良:1票) |
3. イン・ザ・カット
こんなにつまらない女(主人公)は嫌いだし、こんな女とセックスしたがる男も不思議で気味悪い。品が無く虚しいセリフと観ていてとってもつまらない情事、これにサスペンスがちょこっと乗っかっているといったところか。たまに綺麗な画が出てくるが、ストーリーがこれではね。カンピオン監督は元々苦手だったけれど、次回作はもう躊躇してしまうのは決定的だな…。あれでエロスのつもりなんだろうか?血だらけ裸足がに股で歩いたメグ・ライアンよ、演じていて虚しくはなかったか? 3点(2004-11-03 20:57:12) |
4. ピクニックatハンギング・ロック
ちょと怖いお伽噺のような映画です。不思議な神隠し事件を題材に、ストーリーは非常に淡々と進みますが、輝くような少女達、詩的なセリフ、得体の知れない魔物が住む山などが持つ妖しさは出色です。フィクションとノンフィクションの境目があやふやなところもこの映画の魅力だと思います。また、「エロス」の描き方も秀逸。真夏でも手袋をはめるお嬢様が単にストッキングを脱ぐだけですが、その映し方がとてもエロティックです。劇中ボッティチェリの天使と言われた少女の端整な顔立ちは、美しすぎて見た瞬間目眩がしました。こんなに美しい人、実在するのですね…。岩山の向こうに分け入っていく少女達は、ハメルーンの笛吹にでも連れて行かれる様で、夢を見ているような感覚を残し何とも幻想的でした。 8点(2004-08-28 01:38:19)(良:1票) |
5. アナライズ・ミー
ドバッと大きな笑いが起こるのじゃなくて、細かく洒落っ気のある、品の良い(?)笑いがちょこちょこと盛り込まれた映画。バックミュージックも全編ジャズでちょっとカッコイイし変にドタバタしているよりは全然良いのですけれど、やっぱり平坦な進行具合にあくびが出てしまいました。泣き虫マフィアと分析医の掛け合いはさすがのテンポでしたが、うーん、わかりやすい笑いがもうちょっとプラスされていた方が私向きだったかな、と思います。もう一度観てニヤッと出来るところを探してみようかなあ…。数は少ないけれどリサ・クードローが見せる瞬時の切り返しは冴えてました。 6点(2004-07-05 00:21:31) |
6. ピアノ・レッスン
浜辺に置かれたピアノや、パニエをテント代わりにして一夜を過ごす母娘などは、うっとりするほど幻想的な画で今でもはっきりと思い出せる。でも、主人公にあまり共感できずストーリーも好きになれない。主人公は最初からなかなか気の強い女性で、そんなに嫌ならなぜ嫁に来たの?とか、ハーヴェイ・カイテルとの恋愛はどこから生まれたの?とか疑問符がいくつも残る。なんだか人を想う心よりもエロスの方ばかりが強調されていた。乏しい経緯のあとのエロスには魅力を感じられなかった。別の作品を見たときに、そもそもこの監督の持つ恋愛観などが自分のそれとハッキリ違うのかなあ、とぼんやり思った。そして、マイケル・ナイマンのテーマ曲はとても素敵だと思うけれど、ストーリーの中で奏でられるピアノの音色が、どんなものだったか良く思い出せないのだ。なぜだろう、主人公の命だったはずなのに。 4点(2004-04-12 20:45:54) |
7. ロミオ&ジュリエット
この映画の最大の魅力は、古典そのままのセリフや話の流れと、舞台を現代に移したことで起こる視覚とのギャップだと思う。アロハ着用は日常茶飯事、乱痴気騒ぎのパーティ、教会内部は極彩色、決闘はビーチ…この情景のなかでみんな真面目に何百年も前に書かれたセリフを言う。私はこのある種の実験に合格点を付けられる。好き。華やかな色遣いの渦の中で、現代では考えられないほどもどかしい進展のラブストーリーが繰り広げられる。超有名なストーリーなのでドキドキするようなこともないが、主役の若い二人が活躍する様子は美しく、P・ポスルスウェイトのような重みある役者も、鮮やかな画面の中で違和感なく格好良く写っていた。私のなかで「ロミオとジュリエット」のイメージは溢れる色彩を伴って、この映画そのままになってしまった。 8点(2004-04-04 18:18:37)(良:3票) |
8. プリシラ(1994)
殺風景な砂漠の中を、3人のオカマちゃんが走りぬけるロードムービー。3人とも熱演だったけれど、個人的にこっそり応援しているアバ好きのガイ・ピアーズが一番のお気に入り。ちょっとした出会いと別れを繰り返す道行はなかなかしんみりするし、真面目なシーンだってちゃんとあるのに、ショータイムの行き過ぎなほどに度派手な衣装と踊りで唖然。でも、3人はいつでも真剣なのだ。こういった役をきちんとできる役者さんは優秀だと思う。 7点(2004-02-03 20:34:36) |
9. ベイブ
「あの、すいません」だって!この前髪のある豚ちゃん。なんて礼儀正しいんでしょう。羊の奥様たちが言うこと聞くのも無理ありませんな。ただ吼えるだけではダメよ、という教訓が含まれているかどうかは置いといて、出演する人間たちがジタバタと大げさなことをせず、構えた演技で抑えているので大人も飽きずに見られます。そしてやっぱり可愛すぎます。ベイブちゃんが。 7点(2004-02-02 16:30:29) |
10. ミュリエルの結婚
《ネタバレ》 う~~ん、私これ乗りきれなかったです。ミュリエルが家を出た後さあどうなる?!と期待していたのに、嘘で固めっぱなしの生活を続けているんだもの・・・。自分を受け入れてくれた友人ロンダにも嘘、そのうえ偽装結婚。お母さんを亡くしてやっと気づくというのはちょっと遅い気がしました。その他、横暴すぎる父、それに静かに夫唱婦随を続ける母、だらしない兄弟、浅いきっかけで心が通じちゃうロンダ、これまたいきなり心が通じる偽りの夫など、クエスチョンマークがずっとちらついていました。ただ、トニ・コレットの演技はなかなかのものでした。レイチェル目当てで見ましたが、若かりしころの彼女、J・ルイスにそっくりでした。 4点(2004-02-01 18:40:00) |
11. シャイン
見た後すぐはさわやかな感動に包まれましたが、時間が経つにつれてちょっと・・・。主人公がジェフリー・ラッシュに替わってからの物語の進行が端折りすぎているように感じました。結婚までのプロセスも、コンサートを開くまでの苦労もよくわからない。でもジェフリー・ラッシュの芝居はすごいですね。一人勝ちです。 6点(2004-01-10 20:08:18) |
12. グリーン・カード
ストーリーは、反発しあう二人がいつしか・・・というよくあるものですが、ラストが出色。とても好きです。この映画はなんつってもドパルデュー!!この人の映画あんまり見たこと無かったが、キュート&セクシー大賞(?)をあげたくなった。 [映画館(字幕)] 8点(2004-01-04 02:30:51) |