1. ピアノ・レッスン
同監督には衝撃の傑作『エンジェル・アット・マイ・テーブル』がある。それとは比較にならないほどお粗末な作品。いや並みのレベルには達しているのが、旧作があまりにすばらしかったので、やはり比較してしまい低めの評価になってしまう。『ピアノ・レッスン』の脚本を監督自身が担当していることからいっても、こちらが監督本来の実力か。顧みるに、その差はたんに脚本の良し悪しによるのではなく、『エンジェル』が「天才」あるいは「預言者」を描くことで、製作するスタッフが実力以上の力を発揮したのに対して、『ピアノ』は所詮凡庸な男女を描いているにすぎないことに関係しているのかもしれない。『エンジェル』がいかに奇跡的な作品であるかを証明するための「引き立て役」を引き受けざるをえない作品。 5点(2004-02-26 21:18:35) |