1. バイオハザードIII
《ネタバレ》 人類にとっては、絶望的な状況ともいえる場面からお話ははじまります。前作や前々作における人間達の必死の頑張りは、もう無に等しく、アンブレラでさえ手のつけようがない状態。こうなると、お話の展開そのものよりも、主役のミラの美しさ、アクションに偏った見せ方、また見方になってしまいますが、その点では充分に楽しめました。太陽燦々の砂漠のシチュエーションでは、ゾンビ達の行動も、恐怖よりも、数で襲い来る凶暴さがクローズアップされ、銃でガンガンやっつけるのは少し胸のすく思いです。謎ときや秘密を探るというゲーム的な面白さではなく、ガンシューティングの爽快感でしょうか。僅かばかりの生存者達もあれよあれよと殺されますし。よけいにゾンビに対する憎しみが沸いてくるのも確か。だからこそ、ミラのスーパーな活躍は気持ちいいです。応援したくなります。ああいう状況下では、誰かが救世主にならなければ救われないんだろうな、と思います。たとえアラスカが安全でなくても、信じたい言葉を発するのはミラでなければならないんだろうな。ラスト、ミラのクローン達とアンブレラに反撃を試みる決意のショットで終りますが、アンブレラの首謀者をぶっ倒しても何ら地球の状況は変わらない。でも救世主たるもの、そう思わないと、そう思ってくれないと、観てる我々が納得しない。思う存分やってくれ。そんな願いを抱いている自分がそこにいました。 [映画館(字幕)] 7点(2007-11-07 17:50:26)(良:1票) |
2. ゴーストライダー
《ネタバレ》 アメコミ物ということですが、原作は全く知りません。昨今のヒーローブームとでもいうのでしょうか、スーパーマン、スパイダーマン、X-メン等の映画化が成功している点をうけて、今作も作られたのでしょうが、以外に面白かったです。俗に言うダークヒーロー物ですか。どくろにバイク。皮ジャンに鎖。ほんでもって、炎に包まれているというビジュアルインパクトはかなり強烈。普通なら悪役でしょ、みたいな。演じているのが好きな俳優でもあるニコラス・ケイジ。ミスマッチのような、いや、そうでもないような絶妙なバランスで画面の中で動いています。変身しています。視覚効果は、CGがもう当り前になっていて、新鮮味はないが、やはり凄いですね。特にビルの屋上からバイクごと飛び下りる場面なんかは、漫画の世界そのもの。お話は、宗教感全開の展開で、悪魔との絡みや魂の解釈等、「?」の部分もあるのですが、強引にラストに引張って行く力技でテンポとしては悪くありません。夜の荒野を2人のゴーストライダーが走るシーンは、この絵だけを監督は撮りたかったんじゃないかと思うくらい、ノリノリでした。 あと、あのピーター・フォンダが主人公のバイクを「いいバイクだ」と言うシーンはおかしかったです。そうか、あのイージーライダーからもう何十年も経つのか。ちょっと感慨深いものがありました。 [映画館(字幕)] 6点(2007-03-05 11:28:01) |
3. スーパーマン リターンズ
今作を観る前に、ドナー監督の「スーパーマン」をDVDで観ました。あの有名なオープニングタイトルの爽快さを今作でも感じることが出来、その時点で私の評価は高得点域に。しかも、内容はドナー版のクラシカルな作りを意識して、最近の映画に見られるアップテンポな進展ではなく、ひと昔前のハリウッド大作ロマン映画なる香りさえ漂わせています。たとえは乱暴ですが、ミスタードーナツのオールドファッションのような感じですか。今作の監督がドナー版をとても愛しているのがよく分ります。ヒーローがヒーローとして存在すること。それは、単純に世の中の悪い事、また、災害や事件から人々を救う事。スーパーマンが遥か地球の空の上、耳をすまして世界のニュースを聴いている場面では、なぜかうっとりとしてしまいました。特撮部分の出来もすごく、飛行機を救う場面などは、思わず声を上げそうでした。メジャーリーグのグラウンドに降り立ち、皆の声援を浴びる場面ではなぜか涙が。年をとっても、自分の中では、まだヒーローを欲しているんだなと納得。これって、サンタクロースの存在を信じていることと同じ現象なのかな。 とにかく、面白かったです。クリストファー・りーヴが演じて完璧なものとしたこの偉大なヒーローを、もう新しい作品はみることが出来ないだろうと、くじけてた心に見事よみがえってきてくれました。出来るならもう少し大きなスクリーンといい音響装置の中で観たかったです。公開初日なのに、え、なんで、この劇場で?とショックでした。 [映画館(字幕)] 9点(2006-08-21 18:52:59)(良:3票) |
4. 蝋人形の館
観終った後、2時間近い上映時間にびっくり。こうした作品って、90分や100分程度が主流と思っていただけに、長かったんだ、だから最初の方がまだるっこしいのかと納得。思わせぶりな冒頭のシーンはいい感じなんだけど、若い男女の描き方、行動パターンなどはまさにホラーの王道。鑞人形館に入るか、普通?でも、そう持ってこないと物語は進まない訳で、観ているこちらも突っ込みながら、心の深い所で期待もしているんだろうな。案外、定石通りだから観ていられるのかも知れない。この手のジャンルって、決まった怖がらせ方、恐がり方が暗黙の内に制作と観客の間で出来ているのだろう。そうした展開をくつがえすってのは、やはり難しいのかも。だからこそ、ラスト近くにスペクタルな視覚効果を持ってきて、ただ逃げるというお話じゃなく、今の技術は凄いんだと見せて少しでもアピールポイントを上げているんじゃないだろうか。日曜のお昼間に観ましたが、飽きはしなかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2006-07-18 09:46:34)(良:1票) |
5. マトリックス レボリューションズ
《ネタバレ》 この映画に対する期待が「物語」ではなく、「どんな凄い映像を見せてくれるのか」になった時点で、評価の程は別れると思います。「リローデッド」でも確立した「見せ物」たる姿勢を今作でも確実に見せてくれるのかいな、と。自分の焦点はそこだけ。物語はすでに破綻をきたしています。何でもありの世界で、その世界さえも作り物(プログラミングされている)の中で、パワーのある、ないなんてすでに虚構の形でしかないのですから。でも、視覚的に、それをスペクタクルにして見せることで「戦争」にした今作のアクションレベルは高いと思います。ザイオンの攻防戦などは、その最たるもので「戦争」におけるカタルシスや興奮をこれでもかと描写します。観ている者を圧倒させるためだけに考え抜かれた「絵」になっています。迫力ありました。ミフネのキャラが濃い分、立っていました。ネオよりも印象強かったです。あとは、スミスとの対決ですか。こういうのをやってみたかったんだ的な、クライマックスですね。監督の見たいものがそのまま作られた気がします。最後の「平和」を象徴する朝日も 無事に終わらせるために用意されたプログラムの一つであったように思えます。これで完結となりましたが、この作品の持つ映像技術や表現手段はインパクトが強く、今後もかなりの影響を与えていくと思われます。ある意味到達点であり、また先に進むための通過点でもあるような、そういう場にリアリタイムで立ち会えた事に感謝したいです。 8点(2004-04-05 11:22:33) |
6. ドリームキャッチャー
《ネタバレ》 このレビューでも酷評の本作品ですが、たまたま時間があったため、DVDを借りて観てみました。(原作は1・2巻まで読みました)原作の持つ不思議な能力についての描写や人間の肛門をぶち破って出てくる怪物の描写などは、映画ならではの視覚効果になっています。しかし、モーガン・フリーマンが登場してくる頃になると、話はその神秘性を失い、アクションめいた展開を見せます。つなぎがチグハグな印象を受けました。スタンド・バイ・ミーを彷佛とさせる少年時代の回想もあっさりと片付けられ、ダディッツの特殊性が(何故4人にとって特別なのか、それぞれが思い出す程の存在感があるのか)描ききれていない感じがします。ラストもヘリと人間の対決シーンなど描くよりも、あの赤いカビに侵食された住民の方がとても気になります。男2人の葛藤などテーマではないのですから。そういう意味では狙いが外れた映画だとしか思えません。ダディッツと異星人の関係もそれでいいのか?と画面に問いかけてみたくなりました。ただ、ひとつ、いいなあと思ったのは、うっそうと繁る木々に雪が嵐のように舞う中、車が走るシーンを俯瞰気味にとらえている場面。「シャイニング」のオープニングシーンを観ているみたいで、視覚的に不安にさせることに唯一成功していると思います。その他は、う~ん、しんどい映画でした。 3点(2004-03-29 11:35:19) |
7. マッドマックス
《ネタバレ》 ストレート1本で勝利投手を目指す、というど真ん中勝負で挑み切った映画です。暴走族対警察の図式を広大なオーストラリアの風景の中、1本の道で見せる潔さに、そのシンプルさに、久しく忘れていた単純な感情を呼び起こされました。幸せな家庭を壊した相手を憎むという。物語的に平らな進行が、ラストでは一気に爆発する。その仕組みはまんま東映ヤクザ映画のノリ。眼には眼を。メル・ギブスンが若く、初々しく、おぼつかない感じで演じていますが、アクションには強烈な印象を受けました。残酷ではありますが、許すまじという怖い目つきがとても堂に入ってます。しかし、ここまで売れる俳優になるとは思ってもみませんでした。「2」「3」と続編がつくられましたが、勢いという点では今作の直球にはかなわないでしょう。 7点(2004-03-24 19:02:19) |
8. ゴーストシップ
《ネタバレ》 恐いというよりも、少し寒気のするような、そんな微妙な位置にあります。最初の、ロープ大切断シーンはカット割もよく、なんじゃなんじゃのテンポで観られたのですが、中盤、後半ともなると海洋アドベンチー的要素満開で、この映画は一体どこへ行きたいねんと、思いました。ホラーテイストで全編通してくれたなら、良かったのに。最後の最後、救急車から観た「悪魔は再び」みたいな作り(オチでドキッ)は、本編がそれなりの恐さがあって初めて生きるのでは?なんか付け足し感が強いです。 5点(2004-03-09 12:34:36) |
9. マトリックス
《ネタバレ》 革命的。第一印象は。衝撃を受けたまま、エンドクレジットをぼーっと眺めていました。小難しいことを考えずに、「ああ、コンピュータが世界を支配して、虚実の今がマトリックス世界なんだな。で、人間がコンピュータと闘って何とか取り戻すんだな。大変なんだなあ」ぐらいの感覚で観ると、結構楽しめました。色々哲学的な台詞や言い回しに翻弄されると、アクションひとつひとつまでに意味合いがないとおかしいものになってしまうと思います。マシンガン撮影やワイヤーアクション、黒のボディスーツやひるがえる黒コート、視覚で魅せる技術をフルに活かして、新しい「映画」を生み出そうとするその心意気に打たれました。 映像革命を提唱し、作り上げるスタッフ。実現に込められたパワーに拍手です。 9点(2004-03-03 12:54:12) |