1. レベル・サーティーン
《ネタバレ》 アイデアが凄く面白い。個人的にはかなり好き。エンターテイメント型サスペンス。テンポ良い。しっかり過程を見せるゲームもあれば、結果だけをさくっと見せるゲームもあり、その緩急のつけ方がグッド。ゲーム内容がバラエティに富んでいるのも高評価。他者を攻撃するもの。自分がダメージを負うもの。謎解き系。時間制限付きボランティア。さまざまです。 スヌーピーの監視カメラや、警察にもゲーム関係者がいるシーンを挿入し、かなり大きな組織であることを示唆する演出がすばらしい。細かい部分が丁寧です。 同僚の女の子の存在が良かったですね。もし彼女がいなかったら、陰湿なイメージが強くなりすぎていたかもしれません。プチットを思う彼女の気持ちが、劇中唯一の救いであり希望の光。程よい緩衝材となっています。 13個のゲームが何かわからないうえ、途中リタイアは全額没収というシビアすぎる縛りも良い。ただし、1ゲームクリアするたびに銀行に入金されているようなので、ATMでさっさと引き出しちゃえば途中リタイアも出来そうな気はします。それに、これだけバイタリティのある人間だったら、もっと営業で良い成績を出せるくらい頑張れたんじゃないかとも思っちゃいますね。 [DVD(吹替)] 8点(2019-04-05 03:56:17)(良:1票) |
2. トム・ヤム・クン!
《ネタバレ》 以前見たタイ映画と構成はあまり変わらないです。キャストも一緒?アクションは相変わらず凄いです。 ただ、シーンとシーンがぶつ切り。映画としてのつくりがめっちゃ粗い。ぶつ切りすぎてストーリーは頭に入ってこないし、ストーリーが頭に入らないと感情移入もしづらい。感情移入できないまま繰り広げられるアクションは、視覚的な面白さこそあれ、驚きや興奮は感じづらくなります。 中盤くらいから、いろんな敵が現れては消え、現れては消えを繰り返します。学生の頃ゲーセンではまっていた『ダブルドラゴン』や『ストリートファイター』を思い出します。テイストが凄く似ています。そう、この作品って、かなりゲームっぽいです。昔ゲーセンで、アクションゲームの上手い人のを皆で見ていたりしたけれど、そのときの感覚を思い出します。子供の象を助けに「トム・ヤム・クン」の店に乗り込んだときのシークエンスなんか、最高にゲームゲームしています。映画的な面白さとは違いますが、それはそれで面白い。 ですので、カンフー映画が好きな人には楽しめる作品。ゲーセン、ファミコン世代にもウケが良いと思います。が、映画好きな人には辛いんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-17 11:30:40) |
3. マッハ!!!!!!!!
《ネタバレ》 カンフー、というかムエタイですが、かなり真面目なアクション。 スピード感あり。アイデアあり。迫力もまあまあ。ストーリーはいまいち。なにせ『盗まれた仏像の頭を取り返す』というだけのものです。 それに、ハムレイが序盤かなりイライラさせる。ムエは悪くないのですが、なんだかいてもいなくても良い感じ。姉が死んだときもハムレイが死んだときも同じリアクションで、死ぬのは姉だけでいいんじゃないでしょうか。 ハムレイが死に、ティンが出家して、で、ムエはどうなったかわからないラストはかなり中途半端です。 つまり、アクションは凄い、けど、シナリオの練りはいまひとつ、といったところです。これだったら、『正義』や『人情』で戦うジャッキー映画、ジェット・リー作品のほうが、カタルシスが得られて良い。『怒り』を私達が一緒に感じられるかどうか、これはアクションにおける重要なポイントだと思うのです。 また、『スローモーション』と『リプレイ』が好きじゃないです。個人的に。この作品も他のカンフー映画同様かなり多用されています。その結果、軽快なテンポを犠牲にしています。たとえ『凄いアクション』であっても、『映画作品』であるならば、ストーリーの一部として見せるべき。もっと言うなら、当たり前のようにそーゆーアクションを見せるのだから、人に感動を与えることができるのだと思います。 いつまでたっても『スローモーション』と『リプレイ』は作り手の自己満足と自意識過剰が目についちゃって、好きになれませんね。 『曲芸鬼ごっこ』『なんちゃって天下一武闘会』など、見所が多いのは確か。 とは言え欠点も多いため、良作と言えるかどうか微妙なラインの良作です。 [DVD(吹替)] 6点(2017-06-01 12:48:05)(良:1票) |
4. 呪信 999
《ネタバレ》 ホラー映画の定石を踏んだ手堅い作品。 演出やシーンとシーンのつながりに、拙い部分もありますが、最初からクオリティには期待していないので問題なし。 むしろ、プロットが思ったよりしっかりしていて好感が持てます。 発想は『ファイナルディスティネーション』で、ギミックは『着信アリ』ですね。 怖くはありませんが、その手口やグロ描写はそれなりに見応えがあって面白いですね。 この手の作品の登場人物って、誰も人の話を聞かないし、自分勝手だし、うっとうしいし、勝手に死ねよって思っちゃうので見ていて悲壮感はありません。いや、逆に、その辺の馬鹿さ加減って、アメリカもタイも同じなんだー、と変に感心しちゃいますね。こんなところにもグローバル化の波が。 ただ、『レインボー』なる女の子の正体だけは、最後までよくわかりませんでしたね。 もちろんそんな細かく追求するような作品でないことは確かなんだけど、気になります。 あの女の子が電話の主なのか。 それともただの『99999999』の伝導士なのか。 謎を残したまま、女の子は次の標的の元へ。いいですよ、この悲劇が繰り返されちゃう感じ、嫌いじゃないです。 高校の先生が授業で講義していた『パンドラの箱』の好奇心ばなしが、しっかり伏線として効いていたのはなかなか良い。 人は、『かけちゃだめ』と言われるとかけたくなるもの。 単純明快で、何のひねりもないけれど、そのとーりでございます。 [DVD(吹替)] 7点(2017-01-16 04:44:05) |
5. the EYE 【アイ】
《ネタバレ》 ベースは『シックス・センス』でラストは『ファイナル・ディスティネーション』。 確かに、いろいろな映画作品のファクターが見受けられます。ですがそれぞれの作品の良いとこどりで終わらず、きちんと一本の映画として昇華され、『the EYE』としてのオリジナリティが確立している点が素晴らしいですね。 前半、視界が定まらない主人公マン。頻繁に映るぼやけた視界。完全主観の世界。この作業を繰り返すことによって、見ている私達はマンと同じ体験を繰り返します。そして抱くようになる強烈なマンとの一体感。怖がりの私はホラー映画を一歩引いた目線で見るようにしているのに、そんな私を強制的に映画の登場人物と同化させることに成功しています。まいった。参加させられてしまいました。舌を巻くほどに完璧に計算された演出と脚本です。おかげさまで超怖くて、夜寝られないと思っていたら、この切ないドラマの完成度。これは凄い作品ですよ。 ホラー要素だけではなく、『美しさ』や『優しさ』といった人の良心を自然に表現したことで、作品に深みがでているじゃあないですか。 インインのエピソードは、涙なくしては語れません。 ラストの名台詞はこの上ない清涼感。そしてちょっと切なく、だけど幸せな人生を予感させるハッピーエンド。 書道教室、エレベーターの霊は否応なしに怖く、電車での手紙のエピソードで驚愕する。 これだけ盛り沢山な内容にも関わらず、ストーリーにはムダがなくムラもない。とてもすっきりまとめられています。 この完成度の高さ。抜群のバランス。『ホラー』『ミステリー』『人間ドラマ』、複数の要素が綺麗に融合すると、こんなに良い作品ができるのですね。 主人公以外になぜか霊が見える店員や、重要な役目を果たしているのかよーわからん霊媒師など、放置されたままの人材がいることは確か。ですがここまで本筋が面白ければ、細かい部分はもーどーでも良いですね。 ホラー映画の傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2016-11-20 14:55:38)(良:1票) |
6. ONE TAKE ONLY ワン・テイク・オンリー
《ネタバレ》 血と暴力の匂いがする作品。 メインの二人はどこにでもいそうな二人の男女。 街中をぶらぶら散歩したり、カフェで女友達とおしゃべりしたり、サッカーしたり。 しかし、裏では、一人は売春をし、もう一人はドラッグを売り捌いて生計を立てています。 タイ社会の表と裏が体感できるムービーですね。 爽やかな恋愛パートと、緊張感漂うサスペンスパートの対比が凄いです。国は違いますが、同じアジア映画の『息もできない』を思い出します。 吹き替えはいまいちでしたが、キャストの演技は臨場感を感じさせる素晴らしいものです。映画としては大変見応えがあり、ストーリーもしっかりしています。 ですが、登場人物が皆不幸になるラスト。 ばりばりのアクションや、ホラーだったら、バッドエンドも全然アリなんですが・・・。ドラマのバッドエンドって本当に不幸な気分になるから苦手です。見ている間は面白いんですけどね。 [DVD(吹替)] 7点(2016-04-29 18:04:04)(良:1票) |
7. バタフライ・マン
《ネタバレ》 盛り上がらないサスペンス。はきちがえたミステリー。浅いラブストーリー。 そのくせラストだけはバッドエンディングにして、感動を誘おうとする魂胆がいけ好かないです。 うーん。面白くないですね。 映画を見ていてこんなにつまらないと思ったのは久しぶりです。 とてもじゃありませんが、誰にもオススメできません。 [DVD(字幕)] 3点(2016-04-24 05:10:38) |
8. レイン(2000)
《ネタバレ》 耳が聞こえない殺し屋が主人公。その主人公に殺し屋としての生き方と技を教えた友人のジョーとその恋人。メインの3人はもちろんのこと、たくさん出てくる脇の人間たちが、非常に丁寧に個性豊かに描かれています。 この作品は、バイオレンス、サスペンスとしての見所もあるし、人間ドラマとしても抜群に面白い。特に、心温まるロマンスパートは、本編の悲哀をより際立たせます。 肝心なのは、ロマンスパートに出てくる人たち。それは主人公が恋する心優しい女性のフォンであり、その同僚であり、フォンの祖母です。主人公の素性を知らない三人は、暖かい眼差しで主人公と接します。その様子を見ていると、主人公には、また別の生き方もあったのではないかと思えるのです。 そして主人公がフォンと心を通わせ、その後友人のジョーとその恋人、たった二人の友人を殺されたとき、はじめて自分が奪ってきた人々の命の重さを知るシーンが印象的です。 ちょっとしたことなんですが、時系列をちょっとだけずらしてみる演出が何気に凄い良かったです。特に後半。主人公がジョーの復讐を決行するシークエンスや、何気ない仕事の一つのように挿入された車の襲撃が、終盤主人公にとって深刻な局面を生み出す展開なんかがほんと見事です。 大変バランスが良いうえに、見所も多く、ハラハラするし、スカっとするシーンもある一方で、最後は泣けるという、映画として完成された一本です。力作です。 [DVD(吹替)] 8点(2015-06-30 17:17:19) |